塾でのひとコマ

May 29 [Thu], 2008, 0:47
去年中三で、理科を教えていた生徒さんが今年は高校生になって塾に帰ってきました。
彼女は中三の秋頃から通い始めていた子で、いつも熱心に話を聞いてくれていました。
「私は塾は嫌いだと思ってたけど、来てみたら楽しかった」と言ってもらえたこともあって、

本当に嬉しいものです。

「あっ先生、これ見て!」

『なになに? えっ……』



「先生がよくホワイトボードに描いてくれた菌のノートやねん♪♪
 いつもお世話になっていたから、これ先生にあげます」

『これめっちゃかわいいやん! えっくれるの? ありがとう!
 うわぁ、ほんまにうれしいわ! 微生物学のノートにするわ』

「かわいすぎて、書けへんのちゃう?」

『いや、微生物学やし、心を鬼にして書くわ。』


もやしもん、という『農大が舞台のマンガ』がイブニングという雑誌に連載されています。
農学部出身の私としては農大の雰囲気がそのまんまだ!というのもさることながら、かわいくて仕方がないのがその菌たちのデフォルメっぷりです。

その、かわいい菌たちのイラストがちりばめられているノートでした。
彼女はアルバイトをしているということだったので、自分で稼いだお金で買ってくれたと思うと、嬉しくて仕方がありませんでした。


最近、新しく担当になる子には必ず聞くことにしています。

『将来の夢は何?』

ある中三の子が、恥ずかしそうに「たいしたものちゃうねん」と何度か言った後に、
「……お嫁さん」と言ってくれたことがありました。

『たいしたことないどころか、最高やん。
お母さんっていうのはすごい仕事やで。一生の仕事になるし、大好きな人の子供を産んで育てるのはすごくやりがいのある仕事やと思うで。
そのためにも、賢いお母さんにならなあかんね。
勉強じゃなしに、頭の使い方の上手なお母さんになろうね。
私も賢いお母さんになりたいわ。頑張ろうね』


「夢……」と言って首をかしげてしまう子もいますが、興味のあることは?と聞いてみるとやはり何か見つかるもので、そこから話が膨らみます。


将来の目標があれば、それを達成するための「目先の目標」が作れます。
それが達成できれば、やりがいを感じられます。
そうなればもう、私の仕事は9割方終わったようなものです。

そしてまた、それは一番むずかしいことでもあります。


授業の終わりには挨拶をします。

「ありがとうございました」

『はい、気をつけてお帰り。』



毎日これからもこうして、普通にやりとりができますように。

塾でのひとコマ

October 23 [Tue], 2007, 13:06
今日は塾ネタです。

中3生の五ツ木の模擬テストの結果が返ってきました。
五ツ木の模試! それは!
兵庫・大阪・京都・奈良の中学生が受ける統一模試のようなものである!

まぁそんなわけでかなりシビアに偏差値が出るので、この模試の結果から志望校の合格可能性を見るのであります。
大阪などは学校によって評定のつき方が全然違うので、学校の成績だけでは公立高校の合格可能性はわかりません。なので、五ツ木の模試はかなり信ぴょう性のあるデータとして、「塾での進路指導」のソースになります。

私の愛する、お前は一体どうやったらそんなにポジティブなところだけ見られるねんという生徒がついにこの模試を受けました。
これまでは「そんなんええから」と彼は流してきたんですが、さすがにこの時期になって自分の実力を知らないのはまずいということで半ば無理やり受けさせました。(というか中3生は全員受けているはず)

ちなみに彼は以前、「スズメって背骨ある?」と2回聞いてきた生徒です。
この授業でもまた同じような問題が出て、

「なー先生、スズメって」

背骨あるかって質問はすでに 2 回 受 け た ぞ 。
 ええかげんに覚えろよ。』

……背骨ありますよねー。それは覚えてんけど。」

『そういえば、はいこれ。(五ツ木模試の結果を差し出す)』

案の定、結果を見てへこんました。
志望校の合格可能性も惨憺たる有様。

「……えっ、でも、この3教科はまだマシじゃない?」

『あのねぇ、いいところばっかり無理に見つけようとしてもあかんよ?』

それまでは無根拠に自分はできると信じていたんですが、己の実力をようやく知った模様です。
私とcanako(職場の上司です)の評価としては「まぁこいつの実力はこんなもんだろう」といったところだったんですが、「自分は頑張ってる」と思い込んでいるもんだからその落胆ぶりがまた激しく。

……またそこでスネて私に言うことかわいいんですが。

「……なー先生。俺みたいな成績悪い奴がおったら、塾の足引っ張るんやろ。先生も俺みたいな生徒なんか嫌いなんやろー。」

と、浜に打ち上げられたエチゼンクラゲみたいな顔をして私に言うのです。
……この馬鹿め。「塾の足を引っ張る」ってなんやねん。
と思いつつ、頭をぐりぐりしながら諭してみました。

『あのな、君は私やcanako先生の言うことをぜんっぜん聞かないよな。
 これをやれって言っても、ぜーーんぶ無視するよな。

 でも自分なりに頑張って勉強しようとはしてるよな。
 やり方が間違ってるから成績が上がらんだけや。
 私はな、頑張って成績を上げようとしてる子は好きなんや。

 最初から、やればできると勝手に思い込んで、やらん結果、
 何もできひんしせーへん奴は大嫌いや。
 正直、どつきまわす気も起こらん。
 なんぼできても努力しない奴よりも、できへんなりに努力する奴が好き。
 君はちゃんと努力してるやないか。人の話は聞かんけど。

 だから私は君はなんぼでも応援したるよ。やる気があるんやから。
 その代わり、言われたことはそのとおりにきっちりやれよ。』


パアッと表情が晴れる彼。

「うん! 俺、めっちゃ頑張ってるよな。だってテスト前も夏休みも、
 ずーっと前の塾でもらったテキストやってたもん

『アホか……調子に乗るなよ。
 私が夏休みにやれって言ったこと、
 やっぱりひとっつもやってないやんけっ!
 学校のテキストを繰り返し解け、この塾のテキストも繰り返し解け、
 テキストには書き込むな、まだこれが覚えられんのかっ!
 canakoの家の犬の方がまだ言うこときくわっ!

「ちょーw 犬ってw」

『実際に言うこときいてるとでも言いたいんか?
 なんやねん、この全教科混ざったノートはっ!』

「はい! すんませんっす!」

『で? スズメには背骨あった?』

「ない!」

『……宿題のプリント、7枚ぐらい作らないとあかんみたいやな』

「え? スズメって背骨あったっけ?」


受験まであと4か月、5か月。
彼らのように、わずかに残った「やる気のある子」たちを、何とか志望校に押し込んでやりたいところです。

スズメって、背骨ある?

September 12 [Wed], 2007, 16:13
消えると言った舌の根も乾かぬうちから、思わず更新。

昨日、ウナギって…鳥類!? の彼の理科に当たった。
(彼についてのそれ以外の過去ログは、カテゴリー別倉庫『子供たち』から)

実力テストの件で面罵されて懲りたのか、今回はしおらしく五ツ木模試の過去問を解いていた彼。
『必ず、わかる問題から解いていきなさい』と指示して、自分も同じ問題を解いてみる。えらく難易度や出題傾向が変わっているなぁ……年々簡単になっているなぁ……とぼんやり考えていたら

「先生。」

『はい。何でしょう』

「スズメって背骨あったっけ?」

……黙ってホワイトボードに鳥類の骨格を描いてやる。

「おぉ〜先生、ほんまに絵うまいよなぁ〜♪♪」

ブチ
『……お前どこまでボケ倒す気やねん! ツッコめやっ!
 つい最近全く同じ質問をして、やっぱり全く同じ絵を私に描かせたやろっ!! しかも反応まで全く同じとはどないなってんねんっ!!』


「え? そんなこと言ったっけ??」

『ちなみに実力テストの点数は。』

「……え」

『点数は。』

「えーと、さんじゅう……(テヘッ)」

ゴン。(軽くどつく)
『(おお……思ったよりは取れてるな……)定期テストよりも5教科の合計が100点下がっているとはどないやねんっ! ワースト1が数学、2が理科ってのは私とcanako先生(数学担当)に対する嫌がらせかっ!?

「これ、canako先生に知られたら、キレられるよな〜」

『canako先生〜、彼の今回の5教科合計、定期テストと比べて100点下がってます』

canako「その子の実力?……まぁ、そんなもんやろ

「あ、怒られへんかった。 ほらなっ!?

『何を喜んでるんやっ! 実力がないってことをcanako先生にも公然と認められてるんやぞっ!』

「えへへ〜…でもな〜〜……」

『でもな、はよろしい! とっととやるっ!』

「はい。」


彼は本当に憎めないんであるが、こんな短期間にスズメネタをまさか2回ふられるとは……。
脱力した初秋の夜であった。

ウナギって…鳥類!?

August 23 [Thu], 2007, 17:00
暑さのあまり、言葉遣いが荒くなって困る。
(暑さのせいではないと言う意見はこの際見ないことにする)

生徒からの質問。

「先生、ウナギって鳥類やんな。」

「……ああ? ウナギに羽があるんか??」

「あっ、よく見たらこれ『ウサギ』や。ウサギは鳥類やんな!」

「……だから……ウサギにも羽根はあるか? 空飛ぶか?
 ウサギは卵産んで増えるんかっ!?」

「そっかそっか……じゃあほ乳類か……。
 えーっと、『ほ乳類は主に(1)で生活する。』
 ……生活する? 生活……あ、わかった! 家!

家!? ほ乳類って常に家に引きこもってるんか??
 人類以外のほ乳類についても、頼むから考えてみてくれ」

「……先生、スズメって背骨ないやんな。」

「……」

無言でホワイトボードに鳥類の骨格を描き始める私。
ついでに魚類、爬虫類なども描いてやる。
ムダにヘビの後ろ足など、痕跡器官も描く。

「おぉー、先生めっちゃ絵うまいなー♪」

「そんなことはええねん! こ こ を 良 く 見 ろ !!!
 全部背骨があるやろうが! セキツイ動物ってのは
 背骨がある動物のことやっっ!!」

「あ、そっかそっか、そういう意味かー♪」



彼は本日、「コロッケを4個食べてきた」せいか、集中力の続く時間が
20分延びた。1個で5分集中力が伸びた計算になる。

彼には「50分タイマー」がついているので、90分授業をこなすには
あと20分必要だ。


頑張って毎日コロッケを8個食べてきてくれ。

愛すべきおバカちゃん

July 30 [Mon], 2007, 23:26
うちの塾の生徒に、激しい調子乗りの少年がいる。
自分の「サイン」を創作してみたり、「今度バンド組むねん。
俺 ボ ー カ ル マジすごくない?」と威張ってみたり、
「俺将来有名になるから今のうちにサインもらっといたほうがいいで」
と言ってみたり、ミスチルを聴いて「古い曲っていいよな〜」以下略

まぁ素直で一途で自意識過剰な、いわゆるごく普通の中学生である。
彼には「50分タイマー」がついており、90分の塾の授業では決まって
50分で集中力の限界に達し、机につっぷしてカウントを取り始めることが
一部で有名である。
学校の授業が50分であるため、知らず知らずのうちに体内の「集中力時計」
がそのように設定されてしまったのだろう。

しかし基本的にはやる気があるし、何より素直でいい子なんである。
うちの塾に来る中学生で、真剣に50分も集中できれば十分といえよう。

そんな彼の理科を担当し始めて数ヶ月がたち、最初のうちは
「褒めていたら進んでやる子だな。褒め伸ばそう」
「多少集中力が切れても、少し世間話をしてやれば集中しなおすし、
まぁ本人もやる気があるから許してやるか」
と思って、ニコニコと接していた。

そうこうしているうちに前述のような発言がもれはじめ、
バカだけど本当に可愛いヤツだなと思っていた。

しかしこいつはやはり根本的にバカであるため、ついに私の逆鱗に触れた。

「先生、トイレ行ってくる」
3時間連続の授業で、休憩も含めて3回目のトイレである。

斜向かいのブースには彼の友人がいる。
友人がトイレに立ったすぐ後に、彼もトイレに立った。
何となく怪しいとは思いつつも、何も言わずにトイレに立たせた。

そして彼は7,8分ほどして帰ってきたあと、ニヤニヤしながら
(おそらく何の悪意もなく)
「さっきトイレ行かんと○○としゃべっとった」と素直にゲロったのである。

こいつは本当にバカだ……と、心の中で嘆息したのち、

『ふざけんな! お前いい加減にせえよ!』 ガスッ!! グギッ! 

「あいだだったたああたたっ!! せ、先生ちょっ……!?
 ……ち、力めっちゃ強いな………」

振り返ったその表情は本当に「驚愕」そのものだった。
ちなみに彼は運動部であり、腕の太さも私の倍はある。

それまではまぁまぁ、話も聞いてくれるしそこそこ「ユルい先生」だと
思っていたのだろう。
数日前には「偲先生って○○先生(上司)の次ぐらいの権力者?」と
言っていたので、塾内でのヒエラルキーは理解していたようだが。

『……おぅ。そない力入れてへんけどな。』

「はい。ごめんなさい。今からちゃんと集中してやります。」

『それでええねん。今ちょっと調子乗ったな?』

「はい。今ので目が覚めました。リアルで。」

『よっしゃ、ほんなら電流行くで。回路図は『反射で』書けよ。
 オームの法則で出る数値を書き込めるように、ノートや余白に
 きっちり書く癖を叩き込むからな。それさえやっときゃ自動的に、
 電流の問題はできるようになる。』

「はい。気合入れて描きます。」

そこからの数十分は実に濃かった。濃すぎて彼もさすがにギブアップしたので、最後の5分は放免してやった。
そして授業の後、あれだけ殴られたのに「先生〜」と無邪気にまとわりついてくる辺りが本当に可愛らしくもバカであると思う。

仕方ない、あと数ヶ月はきっちりと面倒を見てやることにしよう。
なにしろ自分の悪事を講師にゲロってしまうほどの素直バカなんである。


君の夢がかなうといいね。応援してるよ。

まともな子どもたち

July 26 [Thu], 2007, 16:26
最近殺伐とした、というか嘆かわしい子どもの話ばかりを
書いていたので今日は「まともな子ども」の話を書きたいと思う。
宣言どおり私は地域のカミナリジジイを目指して日々精進している
のであるが、うちの近辺に住んでいる子どもたちは意外と(?)
まともな子どもが多いように思う。

公園の柵を越えてしまったサッカーボールを拾って投げてやると、
にっこり笑って「ありがとうございました!」と頭を下げる
小学校低学年ぐらいの男の子たち。
ボールを拾いに来た子どもだけじゃなく、遊んでいた子どもの
全員がこっちに頭を下げてくれた。

「どういたしまして、反対側に飛ばしたら危ないから気をつけて遊びや」
「はーい、わかりました。ありがとうございます」
こうした子どもたちと触れ合うと、本当にほのぼのとした気分になる。
彼らの地元のサッカーチームの大人や、親たちがまともなのだろう。

昨年の冬頃、こんなこともあった。
よそ見しながら道路わきを歩いている小学校低学年ぐらいの女の子に
「ちゃんと前を見て歩かないと、危ないよ」と注意したら、
「あのおじさん、あそこに置いてあった自転車を倒しちゃったから」
と、道を挟んだ反対側の歩道に倒れている自転車の方へと走ってゆく。
おお、偉いなと思った私も自転車を押しながらついていった。

「ああ、さっきのおじさんが歩きながら引っ掛けて倒したんやな。
 危ないなぁー、こんな歩道の真ん中に自転車を倒して放っとくなんて。
 あなたはそれによく気づいたね。とっても偉いね。」
そんな私を見上げてニコニコと嬉しそうにしている女の子。

そうして二人で自転車を立て直していたら、今度は私の自転車が
倒れてしまった。あわわ、となっていたら、彼女は笑いながら
一生懸命に私の自転車を立てようとしてくれた。
「ありがとう。ほんまにあなたは優しい子やね。」
「ううん、だってお姉さんも優しいもの」
「そうかな? ありがとう。でもこの辺りは車が多いから気をつけてね」
「はい、気をつけます。」

小学校低学年なのに、きちんと敬語・標準語が使えるというのは
まさに親の躾の賜物であろう。これには本当に感服した。
と同時に、倒した自転車を無視して去っていったおっさんの
後頭部にきっちり5秒ほど、「禿げろ視線」を送っておいた。

さらにこんなこともあった。
なんだか思い出すときりがない。

坂道をぼーっと歩いていたら、私の落としたマフラーを
「すいませーん!」と息を切らして届けてくれた中学生の女の子。
私が「わぁ、ありがとう。これ大事にしてたものなんよー。
 本当に助かったわ。こんな坂道やのに届けてくれて。」すると彼女は
「いいえ、お互い様ですから」と言ってにこやかに一礼して走っていった。

このように「お互い様ですから」と言える子どもはどれぐらいいるのだろう。
私が、他人のために何かをする時に「お互い様ですから」と思えるように
なったのは、彼女よりもっともっと大人になってからだったと思う。
きっと普段から、お互いを思いやる家庭環境、学校の環境などに恵まれて
いるのだろうな、と本当に嬉しく思った。

子どもは「親以外の大人」もよく見ている。
そして、周りのあらゆる大人の影響を受けて育つ。
こうした「まともな子どもたち」も、腐った大人たちを見ていると
彼らに失望して「腐った子どもたち」になってしまうかもしれない。

電車で2人分の席を取ってふんぞり返っているおっさんたち。
きゃあきゃあとかまびすしい声をあげているおばさんたち。
音漏れ甚だしいヘッドホンをつけている青年たち。
自転車を倒しても、そのままで逃げるおっさん。

子どもたちはお前らを「見ている」ぞ。
たとえ未成年であっても、子どもから常に「見られている」自覚を持とう。
「しない善よりする偽善」だ。子どもの前では良い顔をしておこう。
「まともな子ども」たちの希望を失わせないためにも。

危機感を持たせてみた(1)

July 14 [Sat], 2007, 11:25
今日は子どもとの『距離感』(2007/7/10)の続報をお届けしたい。

私、山口ツトム(仮名)は、これから受験が終わるまでの間
90分間の授業に集中して自発的に真剣に取り組み、トイレ
以外の時間に席を立ったり、落書きをしたり、上の空で過
ごしたりしないことを誓います。
また、担当講師の指導に従わなかったり、問題が解けたり、
解けなかったりして時間ができた場合、すみやかに担当講
師にその旨を伝えることを誓います。
以上の誓いを破った場合は、担当講師にすみやかに謝罪した
上で、みずから退塾を申し出ます。

2007年 7月12日 ○○中学3年 山口ツトム
見届け人 三宅 偲 (印) ←私
       諸星 中 (印) ←上司
(もちろん両方とも仮名。由来がわかった方は…同志である)

これは先日の日記で書いた「彼」に書かせた
念書もどきである。2枚書かせて、私と本人に持たせてある。
その時の授業については後に詳しく触れる。

今回、彼は期末テストの数学で4点、という
絶好調時の私のγ-GTPの数値より低い得点を叩き出してきた。
それも、「たまたま○×問題があったから取れた」点数らしい。

さすがにこの「4点」の報告書を見たとき、上司の諸星はキレた。
「偲先生があんだけやってくれたのに! どういうつもり?
 あんたもう、高校行く気ないんやな!?」
「あん(ニヤニヤ)」
「それやったらもう、中学出て一人暮らしして働け! 親に申し訳ないわ」
「そうする。もう勉強すんの嫌やし高校行くんやめるわ(ヘラヘラ)」
「ほんまにあんたはー!!以下罵詈雑言と魑魅魍魎が跳梁跋扈」

私はとりあえず、その時間はそいつの担当ではなかったので、
無言でブースの壁ごしに、脳天へ全力の一撃を与えておいた。
やはりあのやる気は「見せかけ」だけだったか……
私のやり方は間違っていたのだろうか……

「もうあいつはどうしようもないわ。親も親やし、
 本人も単に勉強がいや、っていう目先のことしか考えてないもん」
上司もあきらめたように吐き捨てた。

次の日、ヤツはいつもの半笑いで私の英語の授業にやってきた。
正直なところ、怒り心頭である。
上司には、山口の処遇は任せてもいい、と許可をいただいた。

私、山口、それに前回も出てきた野球少年、仮にとしておこう。
今回の出演者はこの3人だ。
なんせ2:1の個別指導だから会話形式にするとわかりにくい。
ついでなんで色分けしておく。

私「……(まったく目を合わせない)」
山「……こんにちは(薄笑い)」
蟹「あ、偲先生こんにちは!」
私「ああ、蟹くん、こんにちはー。宿題してきた?」
蟹「やってきた。…(山口を私が完全に無視しているのを見て)
  ……どうしたん? 何? 何なん?」
私「何もないねんで。今日は期末の復習やなー。ほんならここからやな。
  じゃあテキストの44ページ、5番の(10)から(17)までやってみよか。」
山「……先生、宿題やってきた。(ヘラヘラ)」

隣のブースから壁越しにノートを差し出される。とりあえずチラ見して返す。
そして、蟹と解き方の復習を終えた後、ようやく立ち上がって
山口のブースの講師椅子にドスリと腰掛けた。

危機感を持たせてみた(2)

July 14 [Sat], 2007, 11:17
私「で? なんやお前。今日は何をしに来てん。」
山「……え?」
私「高校に進学する気のない奴が、いったいここに何の用があるんや。」
山「……え。」
私「ここは塾やわなぁ? 塾は自分で勉強するための場所や。みんな一生懸命
  高校や中学やらに受かりたくて勉強しに来てるんやわな。
  いやいや来てる子もそらおるけど、それなりに勉強する態度でやってるわ。」
山「……はい」
私「で、今までに一度もまじめに授業を受けたこともなく、
 しかも昨日、中学を卒業したら働くと言うたお前は
 いったいここに何しに来たんや?」
山「勉強しに来ました!」
私「へえ。勉強するのがいややから働くって言うてたのに勉強するんか。
  いったい何のために。勉強する必要ないと思ってたんやろ?
  なぁ? つい昨日までヘラヘラしてなぁ。そういう態度やったわなぁ。」
山「やっぱり高校行きたいと思って」
私「へぇ〜え。高校に何しに行くねん? 勉強したくないんやろ?」
山「……なんか新聞の求人見ても働くとこないし、親父みたいになりたくないから」
私「どういう意味や?」
山「あの親父でも一応高校出てるし」
私「……要は、そのお父さんを見返してやりたいってことか?」
山「うん。だから勉強します」
私「男に二言はないな?」
山「ないです。」
私「じゃあ、絶対に引き下がれないようにしたるわ。念書書いてもらおうか」
山「ねんしょ?」
私「今言った約束を破ったら退塾します、っていう契約書や。
  正直、信用できへんわけや。前もまじめにやるふりしたもんな?」
山「……わかりました。」
蟹「先生、問題解けました。」(また敬語に戻っている 笑)
私「はい、そしたら答え合わせをしましょうか。」

その日は一日、山口は罰として放置して、徹底的に復習をさせた。
結局いじめに近いような説教をしただけである。が、
「それでいい」がうちの塾のモットーなので怒られることもない。

その後、帰り間際に冒頭の「念書ともいえないような念書」を書かせて、
私と上司のサインと捺印をして、1枚は「これは机にでも貼っとけ」と渡した。

上司は、サインするときに
「アンタ、偲先生にこんなものまで書かされて〜〜……情けない!!」
と嘆いていた……。

しかし、生徒を退塾させる権限など、じつは私にはないのである(笑)
まぁ、それでも彼の「高校へ行く動機」は聞き出せた。十分な収穫だ。

これでも彼がやる気を見せなかったら、もう見放してしまうしかない。
私以外の講師は、すでに彼を見放していたのだ。
どれだけ周りの大人が自分のためにいろんなことをしてくれていたか、
それに気づくには彼には相当な時間を要することだろう。
自己紹介
  • ニックネーム:偲
読者になる
「自分にできることを自由にコツコツやって、日本を普通の国にしよう。本当にそうなったら、潔く解散しよう」という主旨でできた「虹の会」の会員。(虹の会公式サイトはこちら

現在の生業は個別指導塾講師。主な担当科目は、 中学入試:国・理・たまに算 中学1~3年:英・理・国・数 高校:生物I・II・小論・現文
・・・だったんですが、ちょっと今はお休み中。

ブログの主な内容
(*カッコ内はカテゴリ名)
子供の教育・塾ネタ(子供たち)
食の安全性(電凸・自然科学)
似非科学への警告(自然科学)
中学理科・科学ネタ(自然科学)


社会・政治ネタは「お気に入り」の皆さんに任せてます。私には語るほどの知識がないので。

人生の当面の目標
1.読解力・理解力・思考力のある子供の育成
2.子供の中に自然な愛国心を育てること
3.飢えている子供たちにおなかいっぱい食べさせること
4.地域のカミナリジジイになること
5.夫の仕事を支える妻になること

メールこちらから。

宮沢賢治に人生の半分を影響され、国際語Esperantoを学び始めたところだが語彙が足りなくて読み書きするにも辞書と首っ引き。

英語は学生時代に読まざるを得なかったので論文英語なら読めるけど、根本的には苦手。なんとか書けるようになりたいところ。

学生時代に幅広い意味での分子生物学を専攻し、自然科学全般に興味津々。ひっそりと修士号持ってます。
アホゆえに生かせてませんが。
病気で自宅療養中の28歳。

果てしない専門バカで社会科学全般の教養が足りなさ過ぎるため、虹の会諸兄のブログやニュース、書籍で勉強中……。
最近のコメント
tanuki
» 農業体験 in 亀岡 (2008年11月08日)
ヴェスパ
» ほのぼの精神科。 (2008年10月09日)
憂国者
» 農業体験 in 亀岡 (2008年10月05日)

» 農業体験 in 亀岡 (2008年09月25日)
某後輩
» 農業体験 in 亀岡 (2008年09月25日)

» 懐かしの、セアカゴケグモ (2008年09月22日)

» キョウチクトウの花 (2008年09月22日)
矢口ノ一木
» 懐かしの、セアカゴケグモ (2008年08月10日)

» キョウチクトウの花 (2008年07月04日)
憂国者
» キョウチクトウの花 (2008年06月28日)