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「目的」と「時間」からつかみ取るIT投資のベストプラクティス / 2010年07月18日(日)
 前回の連載「実践! 中堅・中小企業のための賢いIT投資」では、「中堅・中小企業の現場にとっての現実的な投資対効果」という点を踏まえて、政府やベンダーによる支援制度やリース/レンタルの活用方法を紹介したり、SaaS(Software as a Service)と自社内運用のどちらが投資対効果の観点で有効かといった比較を行った。

 その続編となる本連載では、中堅・中小企業にとって今後有効と思われるIT投資のトピックを具体的に取り上げ、「実際問題として何をしたらいいのか?」というテーマでさらに深く切り込んでいく。各回で取り上げる主なトピックとして、

・IPテレフォニー
・サーバ仮想化
・クライアントPC管理
・複合機活用

を予定している。いずれもコスト削減と業績改善の双方に有効な手段であるが、それを認識して実践している場合とそうでない場合とでユーザー企業の業績差が大きいソリューションでもある。つまり、IT投資の実践的なノウハウを示す上では最適な題材といえる。

 早速、具体的なトピックの解説に入りたいところだが、第1回となる今回は、連載の大きな前提として読者に常に意識しておいていただきたい事柄について説明する。これは、各回に共通するテーマである。

●混同される「by ITの投資」と「for ITの投資」

 ITに対して投資をする場合、その理由(目的)は大きく2つに分けられる(図1)。1つは、「自社の本業に寄与するIT活用」だ。CRM(顧客関係管理)を導入して顧客応対の品質を向上させたり、商談の成約率を高めたりといったものはこれに相当する。ITが本業改善の手段であるという意味合いから、ここでは「by ITの投資」と呼ぶことにする。そして2つ目は、「ITのためのIT投資」である。ITを安全かつ効果的に活用するためには、それを補助する仕組みが必要になることが多い。PCからの情報漏えいを防止するためのセキュリティ対策がその一例だ。「ITのための」という意味合いから、ここでは「for ITの投資」と呼ぶことにする。

 ユーザー企業は誰しも「もっと本業の役に立つIT投資をしたい」と考えている。だが、実際には現時点で保持しているIT資産の維持に多くのコストを費やし、新しい活用方法へと踏み出せないでいる。そうなってしまった要因の1つが、この「by ITの投資」と「for ITの投資」の混同にある。言い換えると、自社が行おうとするIT投資がどちらなのかをきちんと把握することが大変重要になる。

 ここで注意していただきたいのは、ある1つのIT活用トピックが必ず「by ITの投資」と「for ITの投資」のいずれかに分類されるとは限らないという点だ。先のセキュリティ対策についていうと、「for ITの投資」ととらえられることが一般的である。しかし、取引先の信用調査を本業とする企業にとっては、セキュリティ対策を厳格に実施し、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証を得ることが本業における信頼向上に直結する。同じIT導入トピックであっても、自社の業種・業態によって意味合いが大きく変わってくるのである。

●情報処理システムにはライフサイクルがある

 IT投資を考える上で欠かせないもう1つの大きなポイント、それは「情報処理システムのライフサイクル」だ。CRMであれ、PCのセキュリティ対策であれ、どのようなIT活用にも“成長の過程”が存在する。検討段階から始まり、構築作業を実施し、本番運用に入る。そして、他システムとの連携など活発な利用が進み、次第に運用状態が落ち着いてくる。その後数年たち、機器の老朽化やビジネス方針の変更などによって大幅な刷新や廃棄を迎え、再び新たな検討段階が始まる。このように情報処理システムも、生まれ変わりながら成長過程を繰り返している。それをここでは「ライフサイクル」と表現している。

 どのようにIT投資をすべきかを考える上で、このライフサイクルの把握は大変重要だ。構築したばかりのシステムと何年も使い込んでいるシステムとでは今後の投資方針も大きく異なってくる。言われてみれば当然のことではあるが、ライフサイクルを終えようとしているシステムを無理に延命させ、多額の維持費をつぎ込んでしまっている例も実際に少なくない。具体的なIT投資ノウハウをつかむ上で、投資対象となる情報処理システムがライフサイクルのどの位置にあるかを把握するのは、実は極めて重要だ。

 CRMを例に取って、情報処理システムのライフサイクルをもう少し詳説してみよう。ライフサイクルには大きく分けて、「構築期」「発展期」「安定期」の3つの時期が存在する(図2)。

構築期

 情報処理システム活用の初期に相当する。どんなシステムにするかを検討する段階や策定された仕様に基づいて導入/実装を行う段階が含まれる。ここで重要なことは、

1. 「対象となるIT活用トピックの性質を把握する」
2. 「自社の現状を把握する」
3. 「次のステップ(「発展期」)のあるべき姿を描く」

の3点だ。

 ここで「CRMを活用して営業マンの案件成約率を向上させたい」といったケースを考えてみよう。

 「IT活用トピックの性質把握」では、CRMの特性を理解するのが大切だ。案件成約率を向上させるには、営業マン同士のノウハウ共有が欠かせない。従って、個々の営業マンに日々の営業日報をきちんと書いてもらう必要がある。だが、営業マンは商談の途中経過をあまり報告したがらないケースが多い。そのため、CRMに十分な情報が入力されるような営業文化を醸成する必要がある。「CRMは効果を得るまでに時間がかかる」といわれるのは、こうした背景があるわけだ。

 そして、これを踏まえて「自社の現状を把握」しなければならない。営業部門における統制が強く、新しい文化を築き上げやすい体質か、それとも個々の営業マンが独自性を発揮している組織なのか、それに応じて構築すべきシステムにも違いが出てくる。さらに、「発展期に向けての検討」も同時に進めなければいけない。会計システムや販売システムとの連携も考慮に入れるか、それとも営業部門内での効率改善にとどめるのかといった選択だ。

 総じて、構築期の判断はその後のステップにも大きな影響を与えるので、特に慎重な取り組みが求められる。例えば、「営業マンの独自性が強く、案件の成否のノウハウが共有されていないため、営業部門内での情報共有で案件成約率を上げなければならない」という課題を抱えていたとしよう。ここで、多額の費用を掛けて自社内運用型のCRMを導入するのはあまり適切ではない。むしろ、個々の営業マンの働き方に合わせて社外でも利用が可能であり、情報共有文化の醸成に万一失敗しても余計な資産を残さずに済むという点で、SaaS型のCRMサービスを採用してみるのが賢明だろう。逆に、営業部門にとどまらず、企業全体での業務プロセスを最適化することが課題なのであれば、システム間の連携という観点でまずは自社内運用を選択した方がいい場合もある。構築期に考慮すべきことは多いが、逆にいえば自由度が高い。IT投資の観点では、構築期から開始することができれば、それだけ成功の確率は高くなるといえる。

発展期

 次のステップである発展期は、ユーザー企業が情報処理システムの初歩的な利用に慣れ、さらに発展的な活用を開始する時期に相当する。他システムとの連携やオプション追加など、システムに対する後からの変更が多い時期でもある。この段階で意識したいのは、「システムの最終的な運用状態を想定する」ことだ。

 CRM部分をアウトソースすることで運用管理コスト削減しようとしたが、多くのシステムと密に連携してしまっているため、外に切り出すことができないといった事態を避けなければならない。営業部門内に閉じた情報共有の仕組みととらえて、将来的には運用管理の手間が掛からない状態を目指すのか、それとも他システムとしっかり連携し、社内基幹系システムの一部ととらえるのかといった選択を、早期に行っておく必要がある。最終ステップである安定期に向けた準備といってもよい。もちろん、「最終的な運用状態など現時点では分からない」「既にいろいろなシステムと密に連携してしまい、どうしようもない」こともあるだろう。

 発展期のポイントは、対象となる情報処理システムに関して「運用状態はまだ不明である」あるいは「ほかのシステムと密連携した状態となっている」といった現状を把握することだ。前者であれば、現在利用しているCRM製品/サービスが提供する運用形態にはどんなものがあるかを確認した上で、場合によってはリプレースも視野に入れる。後者において密連携が好ましくないのであれば、何らかのシステム連携プラットフォームを導入するという対策が有効かもしれない。

 このように発展期におけるIT投資は、過去の投資に必要以上にとらわれず、現状の延長線上に固執しない対策を講じるという思い切った考え方も求められる。

安定期

 発展期を過ぎると情報処理システムに対する要件も一通り出尽くし、費用や手間をかけずに現状維持するのが重要な安定期へと入ってくる。ここでは「現状の情報処理システムをいつまで使い続けるか」を考慮すべきだろう。

 もうすぐ新しいシステムに入れ替えることが決まっているのであれば、下手に運用・保守コストを軽減するための施策を講じるよりは、新たな構築期へとスムーズに進めるようにシステムの現状把握に労力を割いた方がいいかもしれない。逆に現状のシステムを今後も利用し続けるのであれば、ハードウェアの老朽化によって物理サーバを交換するといった場合でも、システム全体が影響を受けないためには何をすべきかを検討しておくことが重要になってくる。

 安定期においては、現在の情報処理システムの残り寿命をユーザー企業側がしっかりと定めることが、さまざまな検討事項の出発点なのである。

●“羅針盤”が必要な理由

 経済環境の変化が著しい昨今、将来も見据えたIT投資を検討することは容易ではない。それはあたかも道しるべのない大海を進むようなものだ。そこで「自分がどこを目指し、今はどこにいるのか?」を見失えば、たちまち漂流することになる。「どこを目指すか」に相当するのはIT投資の方向、つまりは「by ITの投資」と「for ITの投資」を意識することに相当する。そして、「どこにいるのか」に当たるのはIT投資の位置、つまりは「情報処理システムのライフサイクル」を把握することにほかならない。

 IT投資を検討する際には、それがどんなトピックであったとしても、常にこの「方向」と「位置」を意識することが欠かせない。それを意識しないままでは、どんなに多くの情報量を集めたとしても、自社が今求める最適なIT投資を導き出すのは難しい。本連載のタイトルを「IT投資羅針盤」としたのはこうした理由からだ。読者の皆さんには、この羅針盤を使いこなしていただければと考えている。 7月18日0時17分配信 TechTargetジャパン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100718-00000003-zdn_tt-sci
 
   
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