第4章 おわりに 

December 03 [Sun], 2006, 1:53
第4章 おわりに
 本論文では、再販制度に焦点を当て、再販制度が出版流通に必要とされるのか、現代の読者が求める出版業界を考察した。当面の継続が決定し、廃止されるということは考えにくい状況だろう。この再販制度をめぐっては、それぞれの国が固有の歴史を持ち、その時々、様々な意見を戦わせ、選択を行って、今日に至っていることがわかった。再販制度は必要か、必要でないのか、再販制度は常に、それを守ろうとする者と反対する勢力の価値観が異なったまま力のぶつかる場所であり、脆い基盤の上に立っている。本というメディアの再評価、その価格政策を含めた出版ビジネスに新時代の尺度を作り出す必要性を迫っていると考える。
 老舗の出版社が低迷し、書籍販売の売上が落ち込んでいる出版業界は今後どう切り開いていくべきなのか。読者の欲しい本が手に入って、読者にとって理想の環境づくりをするという出版流通の改革が出版業界を活性化させることができるのかもしれない。



■参考文献
[1]卒業論文:出版動向の分析
http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/sotsuron02/nakayama02.pdf
[2]卒業論文:読者から見た書店
http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/sotsuron05/05nagatsu.pdf
[3]日本出版学会:アメリカの書店事情
http://www.shuppan.jp/houkoku/ryutu.html#051024
[4]『欧米のブックビジネス』 著者:竹内和芳
[5]『出版年鑑2006』 著者:出版ニュース社
[6] 『日経 市場占有率(2007年度版)』 著者:日経産業新聞
[7] 『出版界はどうなるのか』  著者:出版教育研究所
[8]『出版流通ビックバン 21世紀の出版業界を読む』 著者:畠山貞
[9] 『再販売価格維持制度』 著者:辻吉彦
[10] 出版産業の現状と課題
http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/downloadfiles/0313shuppan.pdf
[11]日本出版販売株式会社HP
http://www.nippan.co.jp/
[12]日本の出版取次構造の歴史的変遷と現状
http://www.info.sophia.ac.jp/sophiaj/Communications/CR-no35-che.pdf
[13] アメリカの出版・書店事情を考察する
http://www.shuppan.jp/event/event06S.html#006
[14] 著作物再販制度の取り扱いについて
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/01.march/010323.pdf

第3章 考察 

December 03 [Sun], 2006, 1:44
3−1 考察
 前章では日本とアメリカの出版流通の違いを説明した。大きく分けて2つあることが分かった。一つ目に、アメリカには再販制度はない。二つ目に、書籍と雑誌は別メディアであり、流通も小売も完全に別なシステムである。再販制度がある国とない国では、出版物を売る為の販売戦略が異なるということだ。そこで、本章では日本の出版業界が出版大国アメリカの非再販制度の下での出版流通を検討していく。
そもそも再販制度が根底にあり、委託制、取次が成り立っているといえるだろう。日本の出版流通は書店ルートが全体の65.9%を占め、過去5年間においてこの主要ルートの変動はないと第1章で説明した。日本の出版業界は書籍販売の売上が落ち込み、不況といわれている中で、公正かつ自由な競争を促進することが求められている今日、競争政策という観点から、再販制度は本当に必要であるのだろうか。自由競争の下で、書籍の定価が安くなれば、読者の利益になるのではないだろうか。また、書店が個性を持ってサービスを充実させることが重要ではないだろうか。
読者の書店への要望としては、注文にかかる日数、書店に個性がないといったことが挙げられる。つまり、書店に欲しい本が置いてなく、注文による取り寄せを行う場合、2週間前後もしくは1ヶ月近くという日数が必要である流通の問題、そして、「本屋に本がない」「どこの本屋も同じような品揃えだ」という書店における在庫・品揃えの問題といったことであり、読者にとって一番関わりがあるといえるだろう。表5、表6はジャンルごとに在庫の有無に偏りがあるかどうかの調査である。10個のジャンルに分けている。なお、この調査は2005年3月〜10月まで駅から徒歩7分ほどの大型駐車場有のチェーン店にて、353件のデータ(@性別:男性194件、女性159件A年代:30代89件、40代63件、10代61件と続く)の結果である。


表5 ジャンル別在庫「あり」の割合

出典:http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/sotsuron05/05nagatsu.pdfより掲載



表6 ジャンル別在庫「なし」の割合

出典:http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/sotsuron05/05nagatsu.pdfより掲載


 表5にて、在庫「あり」の割合が最も多かったジャンルが「旅」の10件中8件(80%)であり、次いで「児童」の17件中12件(70.6%)、「ゲーム」の39件中26件(66.7%)となった。表6にて、在庫「なし」の割合が最も多かったジャンルは「その他」の14件中10件(71.4%)であり、次いで「文庫」の10件中7件(70%)、「コミック」の71件中48件(67.6%)となった。「その他」は手帳や文具といった書籍・雑誌のような出版物ではないものや、本の形態をとっているが書店に取り扱いのない商品であることがあり、書店の在庫がない場合が多い。
 店頭に在庫がなかった場合、出版社や取次、チェーン店の場合には他の店から取り寄せをすることができる。また発売前のものであれば、予約注文もできる。在庫「なし」だった178件のうち、取り寄せ注文は46件、予約注文は4件、合計50件であった。つまり、3、4人のうち1人は取り寄せ・予約を利用していることになる。そして、残り128件は在庫が「なし」にも関わらず、注文をしていないことになる。その理由として、取り寄せにかかる日数や他書店の存在が挙げられる。取り寄せの日数を聞いて注文を取り消すケースや他の店に行って探してみるという場合が多いようだ。本屋に欲しい本が置いていない、取り寄せ日数等の問題が明確化されていることがわかる。
 ここで、バーンズ&ノーブルについて、もう一度例として説明する。チェーン書店最大手のバーンズ&ノーブルがスーパーストアの展開に力を入れていると先述した。店内は、広い通路に、落ち着いた陳列棚、多くのコーナーに椅子、ソファーがあり、棚周りはカーペットが敷き詰めてある。照明は程よい明るさで、色彩は木調が主とこだわっている。本を探したり、調べ物をしたり、読書をしたりに専念できる環境である。暖かく、心地のいい空間と雰囲気を演出する。音楽、マルチメディアセクションも併設、子供のコーナー、雑誌のコーナーも設ける。CD、CD−ROMなどを置くことで、これまで本にあまり縁のなかった人も客となり、書籍の売上も上昇、相乗効果も現れた。また、雑誌はマージン が低いので利益を上げられないが、毎週、毎月のサイクルで常に新しいものが入ってくるので、客寄せに重要である。お客が長く留まれば留まるほど、買う量が増えるという信念があるからこそ、ここまで徹底するのだろう。
フランスの再販制度について紹介しよう。フランスの再販制度をめぐる動向は、日本の再販制度論議の中でよく紹介されてきた。業界慣行としての書籍定価推奨制が行われていたが、1979年、自由価格制に移行する。この時書店への優遇策もいくつか出たが、十分機能しなかった。それから1981年、書籍定価法が導入され、5%の値幅再販が可能、また、発行後2年を過ぎ、書店が最終仕入れから6ヶ月経過した在庫品は値引きができるというものであり、書店や店頭商品の多様化と質の向上を求めた。
 こうした背景から、再販制度により書籍の値段が決められ、取次によって書店への配本が決められてしまうという日本の主要ルートでは、書店に個性を求めるのは難しいと考えられる。そこで、流通ルートの多様化や著作物の割引制度の導入等が求められるのではないだろうか。本研究では、再販制度において海外との比較をしてきたが、今後は、アメリカのように非再販制度の下でスーパーストアを活性化させる、またフランスのように柔軟性のある再販制度を採用する、このような海外の出版流通を参考にすることは、不況といわれる日本の出版業界にとって打開策となりえるだろう。


第2章 出版流通の現状 2-2 

November 29 [Wed], 2006, 0:39
2−2 アメリカの出版流通との相違
 本節では、日本の出版流通と比較することを目的に、アメリカの出版業界について論じていく。表2はアメリカで書籍が売られているルートとそのシェアを示したものである。古い資料ではあるが、94年の数字から読み取れる大きな特徴は、チェーン店が初めて独立系書店を押さえてトップになったこと、一方で独立系書店の大きな落ち込みである。その原因は、チェーン書店の活発なスーパーストア展開による。スーパーストアとは、広い売り場面積に豊富な在庫を持ち、きめ細かい顧客サービスを行う。営業時間も長いのも特徴である。90年代に入り、大手チェーンの出店が目立ち始めた。アメリカ出版業界にとって大きな構造変化を迎えたといえよう。



表2 書籍販売マーケットシェア
出典:『欧米のブックビジネス』P5より掲載

 表3はチェーン書店大手4社スーパーストアの売上高・店舗数の実態である。全体で93年から94年の売上高の伸びは65.6%、店舗数で37.1%の伸びを示している。中でも、バーンズ&ノーブル(B&N)は1873年にニューヨークに誕生し、90年までに名門及び老舗書店を次々に買収、90年代に入るとスーパーストアの新規開店に力を入れ、95年にはアメリカ48州に966の店(うちスーパーストア268店、モール店698点)を展開するアメリカ最大の書店に成長した。立ち読み、座っての拾い読み、書き写しを推奨し、心地よく長時間過ごしてもらうことをコンセプトにする店作りである。具体的には、店内の随所にソファやテーブルに椅子を配し、スターバックスを導入してエスプレッソを飲みながら買い上げる前の本を読めるようにしたのだが、これはそれまでの書店のあり方を根本から破壊するものであり、きわめて斬新で、挑戦的な店作りであった。顧客の反応も予想をはるかに超えるもので、以前に比べて入店客数、売り上げ、坪効率、どれをとっても大幅に上昇するという状況になった。


表3 スーパーストア型書店の売上高  (単位:百万ドル)
出典:『欧米のブックビジネス』P6より掲載


 まず、大きな相違点としてアメリカには再販制度はない。アメリカでは1975年、再販制度が廃止された。表4はその他の国の再販制度有無を示している。多くの国の出版業界で出版の業としての存立に影響を与えかねない、書籍再販制度、是非の議論が続いている。その運用をめぐる意見の対立は、それぞれの国で繰り返され、制度改革を加えながら、廃止・新規採用を選択しながら今日に至るのである。
再販制度は出版社が自社商品の価格を決めて、それを小売店に守らせる制度であると先述したが、アメリカのように再販制度がないということは、出版物の販売価格は小売店が決めることができるということだ。この為、巨大チェーン書店では、ベストセラーを大量に仕入れ、値引き販売本(出版社の小売希望価格の5〜20%引き)を店頭に山積みし、顧客誘引効果を狙っている光景は日常的である。アメリカでは再販制度がない為、仕入れが書店経営の最重要ポイントである。より条件のよい仕入れをするために,出版社との直接交渉を含め,数箇所の仕入れルートをもたなければ十全な書店経営はできない。仕入れの個性と能力が,その書店の個性と魅力につながり,顧客はそれぞれの書店のそのような個性の違いを楽しみながら,自分好みの書店を選び出版物を購入している。


表4 諸外国における著作物再販制度の状況
出典:http://www.zenshoren.or.jp/siries/wadai/wadai4.htmより掲載


 また、書籍は書店、雑誌は通信販売やドラッグストアやスタンド販売が主流である。これは、日本を除くほとんどの先進国で書籍と雑誌は別ルートである。アメリカの雑誌は、広告を載せた通販カタログのようなスタイルである。大手チェーン書店以外では、ほぼ雑誌は扱っていない。最低の保障部数を安定させるためには、店頭の一部売りに頼るのではなく、定期購読者を確保することが重要な販売戦略になる。定期購読料金は、値引きされるのが通例で、購読期間の長短で25〜50%オフ以上に値引きされる。通常、アメリカの雑誌の購読者は80%は定期購読といわれている。
 以上の比較から、アメリカは日本のように“本は本屋で買う”という状況とは異なっていると考えられる。この意識の違いこそが出版流通における違いといっていいだろう。アメリカは多様な出版ルートがあり、独自の顧客サービスに力を入れており、日本とは異なると言える。


第2章 出版流通の現状 2-1 

November 29 [Wed], 2006, 0:29
第2章 出版流通の現状
 2−1 日本の出版流通
 現在の出版流通は出版社から取次、そして書店という書店ルートが主流であると前章で先述した。『出版年鑑2006』によると、2004年のルート別構成比は書店ルートが全体の65.9%を占め、次いでコンビニルートが21.9%であることが図2を見てわかる。図3の5年間の構成比を見ても、主流である書店ルートが65%以上をずっと占めていることがわかる。近年ではルート構成比の割合に大きな変化がないと言える。


図2 ルート別構成比(%)2004年
出典:『出版年鑑2006』ルート別実販売額及び構成比一覧表より作成



図3 ルート別構成比 2000−2004
出典:『出版年鑑2006』ルート別実販売額及び構成比一覧表より作成


その流通過程を形成する仕組みとして、以下の3つの特徴が挙げられる。
1) 再販売維持価格制度(再販制度)
再販制度とは、生産者が自分で決めた価格(定価)で販売することを問屋と小売店に守らせる制度である。出版物や音楽ソフト、新聞(正確には書籍・雑誌・新聞・音楽CD・音楽テープ・レコードの6品目)が対象とされる。つまり、出版社が販売価格を決め、読者は全国どこの書店に行っても同じ価格で本を購入できるということである。再販制度は1953年に独占禁止法の一部改正とともに導入された。出版物は独占禁止法の適用が除外され、この再販制度が認められている。それは、出版物が単なる商品としてではなく、文化性の高い商品として保護されているためである。

2)委託制
委託制とは出版社が取次や書店に対し出版物を配本して販売を委託し、書店は委託された出版物を販売、一定期間内であれば返品できる制度である。他業界では商品をメーカーから買い取り、売り捌かれなければ自店の負担になり、基本的に商品の返品は考えられない。しかし出版業界では、情報の偏在、商品販売に伴うサービス提供の重要性という点に当たって、出版物の特徴上委託販売制度は合理的である。

3)取次
 取次は、出版社からの仕入れと書店への配達、他にも毎日発売される雑誌の配本調整や、書店からの「注文」品の受注、出版社への発注、商品の調達、在庫商品の倉庫管理といった、あらゆる面での書店・出版社へのサポートを行っている。出版社と書店をつなぐ取次の役割は大きく、欠かせない存在である。全国に約31社の取次業者があり、(2005年10月1日現在、日本出版取次協会加盟)国内の取次大手はトーハン、日本出版販売(日販)が挙げられる。この2大取次は取次業者全体の70%のシェアを占めている。図4は一例として日販の出版物の流れを示したものである。


図4 出版物の流れ
出典:日本出版販売株式会社HPより掲載


 以上が出版流通の特徴である。ここからは、一つ目に挙げた再販制度について焦点を当てる。再販制度における問題は、市場原理である価格競争を妨げているということが挙げられる。これに関して再販制度の廃止を求める意見として、再販制度を廃止して市場原理に任せれば、優れた内容のものを含めたより多様な書籍・雑誌が発行され、市場の活性化につながる、また、低価格販売を行う書店や価格以外の工夫をする書店等消費者のニーズに対した魅力ある書店がぞうかするなどの指摘がある。
オンライン書店の利用が伸びないといったことやブックオフなどの出現により、いつまでも下がらない正規価格を払う消費者が減少したということが引き起こされている。また、取次においては弱小出版社や小さな書店は冷遇され、消費者の欲する出版物が利用する店頭に並ばないといった事態も起こっている。これらを受け、2001年にはこの再販制度を廃止する動きも広まった。再販制度が適用されているものは値引き販売ができないので、それに代わるものとして発売価格に応じてポイントを発行し、ポイントが貯まると商品と引き換えられるといったポイントサービスにより、実質的な販売競争が行われている。また、大学生協などでは、再販商品でも1割程度の値引きが行われている。
 一方で再販制度が廃止された場合の問題も懸念されている。価格競争が激化すると、書店の品揃えが売れ筋のみに偏り、出版社は売れ筋のみを発行するようになる。
著作物の再販制度は、国民生活に不可欠な多種多様な著作物を、国民のだれもが、全国どこにいても同一の価格で、容易に確実に入手することを可能にしているものであり、我が国の文化政策上の意義は極めて大きく、その維持は不可欠である。著作物の再販制度は、表現の自由、国民の知る権利を保障する基盤そのものであり、我が国民主主義の維持・発展の根幹にかかわる高い公共性を有し、その社会的使命は極めて大きい。
 なぜ再販制度の是非がここまでの議論を呼んでいるのだろうか。これについて、公正取引委員会が平成12年12月に再販制度の存廃等の問題について国民各層から意見を求めた。表1はそれらの意見照会、意見聴取等に基づく意見の状況を示したものである。再販制度の維持を求める意見が28,048件、廃止を求める意見は338件とこの調査によると、圧倒的に国民は再販制度維持を望んでいると受け止められる。利益を追求する価格競争からの観点と出版物の文化的な観点のぶつかり合いが再販制度の是非に及んでいると考える。再販制度においては、日本のみならず、欧米でも長い歴史を遡って続いている。次節では欧米の再販制度の現状について論じていきたい。



表1 公正取引委員会に提出された意見の件数
出典:http://www.jftc.go.jp/pressrelease/01.march/010323.pdfより掲載

英文と翻訳 

November 20 [Mon], 2006, 17:39
Recently, Publishing circles have problems which recession and revision of a resale price maintenance contract. The main marketing distribution channel is from a publishing company to 取次 bookstore. So I think a resale price maintenance contract.
The paper is about a resale price maintenance contract compare Japan with USA by a marketing distribution channel and think out new system.

…取次って英語でなんて言うのでしょうか?

現在、出版業界は業界の不況と再販制度の見直しが問題視されている。出版業界の流通過程は出版社から取次、そして書店という過程が主流である。そこで、再販制度について考えていきたい。本論文では、流通においてアメリカと比較し、新たなシステムを考察していく。

a resale price maintenance contract=再販売価格維持契約
a marketing distribution channel=流通経路
a publishing company=出版社


本文では、再販売価格維持制度としているのですが、英訳だと再販売価格維持契約になってしまうのはダメでしょうか?

第1章 はじめに 

November 13 [Mon], 2006, 17:03
1−1 研究目的
 出版業界は、2005年出版市場(書籍販売額と雑誌・インターネット広告の累計 )は前年比1.8%増の2兆8717億円であった。図1は市場シェアを表している。上位2位は情報サービス企業(リクナビや紙媒体に留まらずネットと連動したホットペッパー等)として前年比プラスで好調であるが、老舗の出版社は前年比はいずれもマイナスで奮わない。書籍販売や雑誌広告は落ち込みがとまらないが、ネット広告市場が大幅に伸びた。つまり、ネットに進出して拡大を続ける情報サービス企業とネット事業の占める割合が少ない従来型の出版社の差は広がりつつあると言える。いずれも書籍販売が減少基調を続けている為だ。これにより、今後ネット広告が書籍販売の不振をカバーする可能性もある。
出版物とは、書籍(一般書、実用書、専門書、学習書)と雑誌(月刊、週刊、不定期)に分類される。現在の出版流通は出版社から取次、そして書店という過程が主流である。この書店ルートのほかに、次いでコンビニルートや卸売ルート、生協ルートなどがある。出版ニュース社調べによると2006年3月現在、全国の出版社数は4,229、うち東京都が3,285と大半を占めている。また、2005年10月現在、書籍を扱う小売店数は7,005である。2004年度の書店の売上高では、第1位が紀伊國屋書店で1,184億900万円、第2位が丸善で992億3,400万円、第3位が文教堂で534億4,100万円と続く。いずれも売上高で前年度よりマイナス0.6〜1.7%であった。
 出版業界の問題として、先述した書籍販売の不況の他に再販売維持価格制度(再販制度)の見直しがよく論じられる。次章で出版流通の特徴であるこの再販制度の、他委託制、取次の3つについて述べることにする。本研究では、その中からこの再販制度に焦点を当てたい。問題を具体化するために、海外の事例として出版流通の異なるアメリカと比較することによって、新たな流通システムの検討を考察していくことを目的とする。



図1 市場シェア(%) ※日経推定
出展:『日経 市場占有率(2007年度版)』


図には書き込めなかったのですが、ちなみに市場シェアの前年比はリクルート(0.9)、ベネッセコーポレーション(0.5)、講談社(-0.3)、小学館(-0.3)、集英社(-0.1)でした。本文ではちゃんと載せます。

アウトライン 

July 03 [Mon], 2006, 17:35
研究テーマ:出版業界の流通過程における問題  
   〜日米比較による新たな出版流通システムの検討〜

1、はじめに
 1−1 研究目的
2、出版流通の現状
 2−1 日本の出版流通の仕組みと問題点
 2−2 アメリカの出版流通との相違
3、考察
 3−1 日米比較による新たな出版流通システムの検討
4、おわりに
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