はじめに 

1995年09月16日(土) 22時37分
 どうでもいいと思っているはずなのに、
 昔の事だと割り切っているはずなのに、
 どうしても忘れられない昔話を綴っていきます。

 読みやすいように、古い記事から表示しています。

はじまり 

2007年11月08日(木) 22時44分
もういい加減時効だろ。
Tのことを書いておこうと思う。

最初は、「友人Eの知り合い」として会った。
以前から、Eを通して話は聞いていて、「面白そうな女の子だな」と思ってはいたのだけど。
ある日、Eと電話で話していて、「明日Tと会うんだけど、お前も来るか?」と誘われた。
一人きりの暇な休日をすごすよりはと、僕は待ち合わせの喫茶店に行く事にした。

第一印象は「かわいいじゃん」。
僕好みの丸顔と、キツい感じの目。
待ち合わせの時間に大幅に遅れていった僕を責めるEを適当にあしらいながら、僕は持参したホチキスとじの冊子を二人に渡した。
この駄文を読んでくれてる人には冗談としか思えないだろうけど、当時の僕はまだ、文章で食っていく事を夢見ていたのだ。
サラリーマン生活に飽き飽きし、いい加減夢の実現に向けて本腰を入れようかと思った、その立場宣言として、僕はその冊子を、知人という知人に配りまくっていたのだった。
彼女が趣味で絵を描くと知っていた僕は、「良かったら、子の文章に絵をつけてくれないか」と頼み、連絡先として電話番号を教えた。

そのあとは、ゲーセンとかを適当にぶらぶらした後、3人で飲みにいった。
友人も一緒とはいえ、ちょっと好みだな、と思える女の子と酒を飲むのは楽しかった。
戯れにTの目をじーっと見つめると、彼女は「なんだか怖い」とか、言っていたな。
話がシモに流れそうになるのを必死で止めるEが、なんだか可笑しかったっけ。

もちろん、その後はみんなそれぞれの家に帰った。
Tは旦那のまつ家に。
僕とEはそれぞれ一人きりの汚い部屋に。

その時は、まだ、それが当たり前だと思っていた。

はじめて 

2007年11月19日(月) 21時38分
 Tが電話をくれたのは、それから数日たってからだったろうか。
 僕の書いたものをとても気に入り、早速絵も描いてくれた、という。
 正直なところ、すごく期待していたというわけでもなかった僕は、ちょっと驚き、どぎまぎしてしまった。
 渡したいのだけどどうすればいいか、と聞かれて、次の休みの日はどうかというと、大丈夫との事。
 僕らは、初めてのとき同じ喫茶店で、会う約束をした。
 既婚者と二人きりで会う、という事に、特に抵抗や気負いは感じなかった。ただ、おもしろがって、予定表に「○月×日 人妻と密会」なんて書き込んだのを覚えている。

 そして当日、絵を貰い、それなりに気に入って、しばらく話をしたり、本屋に行ったり、ゲーセンに行ったり。
 そのうち日も暮れてきて、Tも今日は旦那さんがいない日だというので、一緒に飲みにいく事になった。

 本の話をした、映画の話もした、それから絵の話も。
 酔うに連れて気が大きくなってきて、この前はEに遮られてできなかった、かなりきわどい話もした。
 それでも、僕は、少なくとも自覚はしていなかった。
 僕が彼女と、寝たい、と思っているとは。

 好感は持っていた。
 好意、といってもいいくらいには。
 ただ、それが恋愛感情だったかと聞かれると、僕は首を傾げざるを得ない。
 恋愛の萌芽みたいなものではあったのかもしれないけれど。

 欲情していたか、と聞かれても、どうもピンとこない。
 カノジョはいたけどそう多くは会えずにいたし、毎回応じてくれるわけでもなかったので、限りなく「右手が恋人」に近い生活を送ってはいた。まだやりたい盛りの年だったから、ほとんど「誰でもいい」みたいな感じは、少しあったかもしれない。
 ただ、飲んでる間は、目の前の女となんとかしてやってやろうとは思っていなかったのは確かで、Tと寝る、というのは、一言で言うと、リアリティのない選択肢だったのだ。

 まあそれでも、なんとなく、「できたらラッキー」ぐらいの事は思ってたんだろうな。
 「結婚してない人は普段どこでしているのか」なんてことを真顔で聞くT。
 「ラブホとかだよ」と答えたときには、まだ何も考えてなかったんだけど。
 「ふーん。あたし行った事ないんだよねー。どういうとこなの?」と言われて、とっさに僕はこう答えてたんだ。
 「じゃあさ、何にもしないから、行ってみる?」

 信じてもらえないとは思うんだけど、「何にもしないから」って言ったのは、決して嘘のつもりじゃなかった。
 成り行きに期待する気持ちは、もちろんあったと思う。
 でも、本当に何もなかったらそれはそれでいいや、と思っていたのも本当だった。
 強引になれるほど自信を持ってなかったし、テクニックとしてこういう言い方ができるほど遊び人でもなかったんだよ。
 そんな僕だから、「なにいってんのよ、やだあ」みたいに返されるだろうという想像の方が大きかった。

 でも、彼女は「いいよ」って言ったんだ。

 その後、僕がどんな事を感じ、考え、欲し、恐れながらラブホまで彼女を連れて行ったのか。
 それはよく覚えていない。というより、当時もはっきり自覚できていなかったんだと思う。
 「あー、もう家帰って風呂ためんのめんどくさい(シャワーがなかったんだ)から、ここでシャワー浴びちゃお」というと、「あたしもー」といって、僕の後でシャワーを使った彼女。
 「明日遅番なんだよねー。もう酔っぱらったしだりいからここ泊まっていっちゃおうかなー」と言うと、「あたしもそうしよっかなー」と言った彼女。
 そんな彼女が一体何を考えていたのか、女慣れいていたとは言えない当時の僕に想像がつくわけもなかった。
 今だって、はっきりとはわからない。
 多分、彼女も期待してたんだろうなあとは思うけど。
 その期待が、どこまで確信犯的な物だったのかまでは、自信を持って断言する事ができずにいる。
 要するに、僕はいいようにあしらわれたのか。
 それとも、僕の欲求が漠然とした期待、というくらいの物でしかなかったのと同じように、彼女もそういう感じで、いわばノリで、ここまで来てしまったのか。
 きっと、両方なのかもしれないな、という気はする。

 そして、僕らは、いや、少なくとも僕は、生まれて初めて、不倫って物を経験する事になった。

それから 

2008年03月14日(金) 16時21分
 はっきり言ってしまえば、彼女とのセックスはとても良かった。
 大きな胸は心地よかったし、反応は良かったし、声は可愛かったし。
 でも、だからといって、このときはまだ、夢中、とか、溺れる、とか、そう言う感じはなかったと思う。
 そのかわり、罪悪感も、驚くほど、希薄だった。
 おもったのは、「あー、やっちまったよ」って、それくらいで。
 それすら、どこか楽しんでいるようなところがあった。

 彼女もそうだったんだと思う。
 少なくとも僕の方はそう思っていた。 だから、早朝の駅で、それぞれの家に帰る僕らは、「やっちまった友達」程度の関係でしかなかったし、次の機会なんか、想定も期待もしていなかった。

 いや、ちょっとは期待してたかな。
 だってすごく良かったんだから。

 その少し後。
 貰ったイラストについて彼女に電話した僕は、「こないだのこと」を軽く笑い話にしながら、数日後地元(それは彼女の地元でもあったんだけど)に帰省する、なんてことを、何の気なしに話していた。
 早朝の飛行機とっちゃったから早起きしなきゃならないんだよね、と言うと、彼女はまるで当たり前のように、「じゃあウチにくる? 少しは空港近いし、ダンナいないし」と返してきた。
 正直、ちょっとびっくりした。
 繰り返すけど、僕はそんなに経験豊富じゃなかったし、それどころか、女性に過度な期待をしない、という態度がしっかり身に付くほどに、モテない人生を送ってきたのだ。
 一度やったからって次を当たり前だとは思わない、それは僕の基本的な防衛本能だった。
 だから、「やりたい」というきもちはあったにせよ、それをあからさまに認めたり、要求したりすることは、僕にはできなかったし、相手のそんな反応すら、予想できずにいたのだ。
 だからって、断る理由はなかった。
 それでも、「本当に泊まるだけってことかもなあ」とつい思ってしまうほど、当時の僕は、女ってやつに慣れてなかったのだけど。

 もちろん泊まるだけってことはなく。
 僕は狭い浴室で彼女の体を初めてまじまじと眺め、夫婦の寝室で彼女と抱き合った。

 翌朝、僕を起こし、それなりに手のかかった朝食を出して、送り出してくれた時。
 はじめて、「ああ、これはヤバいかもな」と思ったのだった。
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