第一章 

February 10 [Fri], 2006, 23:13
「ピンポーン」
ドアのベルが鳴る。
女の子は真っ先に玄関に走り、高ぶる気持ちを抑えながら、ゆっくりとドアをあけた。
「お届け物です。」
宅配便のおじさんはニッコリと笑い、女の子に小包を渡した。
震える手でそれを受け取った女の子は、小包に書いてある文字を見た。
「〜Livly Island〜」
そう、これは女の子が望んでいた、素敵な贈り物。
リヴリー。
「宅配便屋さん、ありがとう!」
女の子はそういうと小さな顔を精一杯上に向けて、おじさんにニッコリと微笑んだ。
宅配便のおじさんは、女の子と同じく、微笑み、
「大事に育ててあげるんだよ。」
と、優しく女の子に言った。
そして、女の子にさよならを言うと、背を向け、小走りで、車に乗っていった。
女の子は、車の中にいるおじさんに手を振り、駆け足で家の中に入っていった。
そして、女の子は階段を一生懸命、できるだけ早く、上っていった。
いつもなら、お母さんに、こけるからゆっくり上りなさいと言われるが、
今はそんなことは関係ない。
早く、早くこの小包を開けたい気持ちでいっぱいなのだ。
自分の部屋に駆け込んだ女の子は、床にそっと小包を置き、
木箱の上につつんである包装紙をはずし始めた。
胸が高鳴る・・・。
包装紙を取り終え、ゆっくりと木箱のふたを開けた。
「わぁ・・・・・・・!!!」
箱の中には、ピクピクと動く耳が見えた。
女の子は、そっとそのリヴリーを箱からだそうとした。
しかし、緊張してか、なかなか触ることができない。
だが、思い切って、体の部分をつかんだ。
すると、リヴリーは驚いたようだ、ピクッと体を震わせた。
女の子も少し驚いたが、ゆっくりとその体を持ち上げていった。

「・・・・・・・・・・・!?何これ?」
そのリヴリーは何故か真っ黒だった。
オレンジ色のはずなのに、なぜだろう。
リヴリーは、周りをきょろきょろと見回し、やっと飼い主を見つけると、
にこっと微笑み言った。
「僕、ライロ!!」

第二章 

February 10 [Fri], 2006, 23:15
「・・・・・・・・・。」
女の子は無言だ。
ただ、じっとラルスのことを見つめている。
ライロは、自分に微笑んでくれなかった飼い主に少しがっくりしたような困った顔をしている。
「・・・・・、あの、ぼ、僕ライロ!!」
ラルスはもう一度、女の子に向かって言った。
心臓の音は、高鳴る・・・・・・。
女の子が口をゆっくり開いた。
「あなた、何故?何故そんな色なの?ねぇ、どうして?」
女の子は、少し大きめの声で言った。
この色のことが、本当に気にくわないらしい。
少し表情がきつくなった。
ライロは、このとき感じた。
自分はどこかが違う、
飼い主に認められていないのだと。
ラルスは、しゃべることができなくなってしまった。
女の子は、なにやらガサゴソと音を立てながら、包装紙を扱っている。
ライロにはその行動がよく分からなかった。
そこで、女の子に、
「飼い主さん、何をしようとしているの?」
と訪ねた。
女の子は、ライロの顔を見ずに言った。
「悪い物みたい、捨てるの。」

「・・・・・・・・・・・・?」
ライロには、よく意味が分からなかった。
「ワルイモノ?僕、ワルイモノ?」
女の子は、ライロの質問には答えず、包装紙を扱っていた。
そして、木箱のふたを開けると、ラルスの体をきつくつかんだ。
「痛いよ!!」
しかし、女の子はライロの言葉なんて気にしていない。
そして、ライロを箱の中に入れると、急いでふたをしめた。
ライロは、泣き出した。
小さな小さな鳴き声を出しながら。
女の子は包装紙でつつまずに、お道具箱に入っているガムテープでぐるぐるまきにした。
そして、かいだんを小走りで下りていく。
「出して・・・!」
ライロの叫び声はもう聞こえない。
女の子は玄関にでて、ゴミ捨て場へと歩いていった。
ゴミ捨て場は、沢山のゴミが積まれていた。
荒っぽく木箱を置くと、女の子はライロにさよならも言わずに、小走りで家のほうへ帰っていった。

ライロはひとり、箱の中で泣いていた。

第三章 

February 10 [Fri], 2006, 23:18
夜になった・・・・・。
空には月も星もでていない。
ただ、ぼんやりと街灯がともっているだけだった。
遠くの方では、フクロウの鳴き声がする。
ライロは泣いている。
ただ一人、泣いている。
どうして、自分がこんなところにほったらかしにしてあるのだろう。
どうして・・・・
ライロは身を縮めて、震えていた。
僕の何がおかしいの?
すると、だんだん目が重たくなってきた。
そして、ライロはゆっくりと目を閉じ、眠りに入った。

「プップー・・・・・・」
夢でも見ているのだろうか。
何か不思議な音を聞いた。
その音は何故かこちらに近づいてきているような気がした。
「何だろう・・・?」
ライロは不安になった。
音はどんどん近づいてきて、やがてゆっくりと消えていった。
すると、なにやら人間の声が聞こえた。
「よし、始めるぞ。」
かすかに声が聞こえた。
そして、いきなりあたりが動いた。
いや、箱が動いたのだ。
ラルスは驚きすぎて、動けなかった。
外では人間の声・・。
この箱は人間が持っているのだと、今やっと気づいた。
「誰?誰なの?どうするの?」
すると箱はいきなりどこかの上に乗せられて、急に安定した。
あたりには、まだ人間の声がいくつか聞こえる。
「よぉし、全部積んだぞ。出発だ。」
急に大きな声がして、その後さっきのものすごい音がした。
「プップー・・・・・・」
すると急に箱が揺れだした。
ライロはもう訳が分からなくなった。
ただ、揺れに自分の身を任せていた。

女の子は朝の日差しが入る窓から、じっとその光景をのぞいていた。
そしてその視線の先には、ゴミ収集車があった。
ライロは処分されるのだ・・・・・・。
女の子はゴミ収集車が出発するのを見ると、安心したかのように窓から消えていった。

まだ、朝はやってきたばかりだった・・・・・・

第四章 

February 10 [Fri], 2006, 23:22
「た、助けて!!!」
ものすごい音ともにライロは叫んだ。
ここはゴミ収集車の中。
箱の中に入っていて外のことがわからないライロには、
怪物か何かが襲ってきているよな音にしか聞こえなかった。
凄まじい音のたびに、振動が箱を揺らす。
ライロは身を縮め、震えていた。すると、箱が急に傾き、何かにはさまれたようになった。
「・・・・え・・・?何?」
すると、箱はきしむような音がしだし、やがて箱にはひびが入っていった。
ライロはもう我慢しきれなくなって、思い切ってそのひびから勢いよく、箱の外へ飛び出した。
そのあと、箱が大きな音の持ち主に、つぶされてこっぱみじんになるところを見た。
恐ろしい光景だった。
音の持ち主は何本もの大きな歯をもつ怪物だった。
ライロから見ては。
これはごみをつぶすためにある機械だった。
「・・・・うわぁ!?」
ライロは必死に端によけた。
大きな歯を持つ怪物は近づいてくる様子がなく、ただぐるぐる回っているだけだった。
だけど、いつ襲い掛かってくるかわからない。
だから、ライロはじっとその怪物を見張っていた。
襲ってくるときに備えて。

一つの光が射し込んだ。
まぶしい・・・
「あ・・・・・・・・、外が見える!!」
この中から出られる!
ライロは怪物のことなど忘れて、光に向かって踏み出した。
すると、大きな黒い影が、前にあらわれて、ゆっくりと手を差し伸べてきた。
ライロは逃げるまもなく、その手につかまれ、外に出された。


第五章 

February 13 [Mon], 2006, 20:33
「離して!!」
ライロは大きな声で叫んだ。
大きな手でライロを掴んだのは、まぎれもなく人間だった。
人間はあの女の子とは違う、男で、厳つい顔をしていた。
その男は、ライロを高く持ち上げると
「オーイ、犯人はコイツだ!コイツの声だろう。」
と、仲間の男達に大きな声で伝えた。
「ハンニン・・・?」
「そうだよ、オマエこん中で叫びまくってただろう?
俺達は、気味悪くなってなぁ。車止めて中見てみたら、オマエがいたのさ。
オマエ、リヴリーとかいう奴やろ?何で、捨てられてんの?」
・・・・・。
理由が言えなかった。
ライロは、何故、此処にいるのかさえも、忘れてしまった。
男はそのままライロを掴んだままで、扉を開けこの建物の中へと入っていった。
ライロは周りをきょろきょろと見る。
たびたび聞こえてくるガシャンという音。
窓から入る、強い日差し。
反対側の窓からは、灰色の世界が見える。
「どこ・・・・?」
ライロが訪ねると、男は言った。
「此処はなぁ、ゴミ工場だよ。知らない?
捨てられた物を焼いたり潰したりするところだよ。
って君も捨てられてるから・・・。」
ライロは自分の手が勝手に耳をふさいだのに驚いた。
これ以上聞きたくないと言う気持ちが高ぶったのだろう。

ライロは走った。
捕まれていた男の手から、スルリと抜け出して。
全力で走った。
怖さと恐怖が、後ろから襲いかかってきているかのように、必死で。
後ろからは、実際に男が追いかけてくる。
「こら〜!まてって!」
ライロは後ろを振り向かずに、走り続けた。
しかし、小さなライロには、大変体力を消耗することで、どんどんスピードが落ちていった。
男がドンドン追いついてくる。
(どうしよう・・・!)
男の手がライロを掴みそうになったときだった。
横から小さな手がでてきて、ライロをしっかりと掴んだ。
そして、横の道に引きずり込み、ライロの手をしっかり握って走った。
ライロは一体誰なのか、走るのに必死すぎて、考えなかった。
ただただ走り続けた。
道が細すぎて、男はもう、追ってこない。

不思議に、速く走れている気がした。

第六章 

February 13 [Mon], 2006, 23:04
ギュッと握られた手はライロを決して離さなかった。
ライロも、その手をしっかりと握りしめ、ただ、ひたすら走り続けた。

明るい道にでた。
まばゆいばかりの太陽の日差しが真っ黒なライロの体を温めた。
ライロ達はスピードを徐々に落とし、そして止まった。
生まれて初めて、ライロは、沢山走った。
なんだか初めての気分だった。
ライロはすぐさま顔を上げて手を握っていたのは誰なのか確かめようとした。
しかし、何故か不安な気持ちになり、顔を上げることができない。
一体、誰なんだろう・・・・
「大丈夫?」
暖かい声が、急にライロに話しかけてきた。
そういわれたとたん何故かライロの顔がふっとあがった。
手を握っていたのは、ライロと同じ、リヴリーの仲間だった。
体は真っ白な毛で覆われていて、顔の両端にはクルクルと角が生えている。
ユキムグリという種類だ。
ライロは、ユキムグリをじっと見つめた。
ユキムグリもライロをじっと見つめて、もう一度訪ねた。
「大丈夫?」
ライロはあわあてて
「えっ・・・・あっ、はい!」
と少し変な答え方をした。
ユキムグリは、それを聞いてニッコリと微笑んだ。
その微笑みは本当に優しい物だった。
ライロは、その笑顔で少し気持ちが安らいだような感じがした。
そして、そのユキムグリに、と訪ねた。
「あの・・・、どうして、どうして僕を・・・・?」
「ライロ君の、逃亡のお手伝いだよ。」
ユキムグリは微笑みながら言った。
「何故僕が逃亡していると知ってるの?それに、僕の名前まで・・・」
ライロは、知りたかった。
だけど、ユキムグリはそれには答えなかった。

第七章 

February 13 [Mon], 2006, 23:41
「ねぇ、ライロ君。自己紹介って知ってる?」
ユキムグリは訪ねてきた。
ジコショーカイ・・・?
ライロは自己紹介を知らなかった。
「う・・・、ううん、知らないよ。」
「そっか、じゃぁ僕が最初にお手本見せるから、その後にマネしてね。」
「え・・・・あ、う、うん。」
ライロはドキドキしながらユキムグリのお手本を聞いた。
「僕は、ユキムグリのシオン。こんな名前でも男の子だよ。
好きなものは、わた雲。・・・宜しく! っと、こんな感じだよ〜。」
シオン・・・・。このユキムグリの名前・・・。
ライロは、何だか、自己紹介で、もうシオンの友達になれたような気がした。
「次は、ライロ君の番!」
シオンは微笑みながら、そういった。
ライロの胸は高鳴る・・・。
「ぼ、僕ライロ!」
そういった瞬間、記憶がよみがえってきて、ライロの頭は真っ白になった。
前の景色がぼやけていく。
シオンも、太陽の光も・・・。

何が起こったのだろう。
頭が真っ白になったのは何でだっけ・・・・。
ライロは訳が分からなかった。
ようやくピントが合った視界には、シオンの姿が映し出された。
「大丈夫?」
出会ったときと同じようにシオンは訪ねた。
だけど1度目より少しあわてているような気がした。
「・・・うん。」
僕は、起きあがろうとした瞬間、自分の頬に涙が流れてきたのを感じた。
「僕、どうしちゃったの?」
ライロは訪ねた。
「ライロ君、自己紹介を初めて、自分の名前を言い出したとたん、泣き崩れちゃって、
そのまま倒れちゃったんだよ・・・。」
倒れた・・・・。
ライロはこれで頭の中の整理がついた。
あの時の記憶が戻ってきたんだ。
最初の自己紹介の時の。

第八章 

February 14 [Tue], 2006, 17:55
「ライロ君、あの・・・・ごめんね。僕がおせっかいすぎたんだね。
自己紹介なんかさせなかったら、あんな風にはならなかったんだもんね・・・。
本当、ごめん。」
シオンはしょんぼりとした顔で言った。
ライロは何だかすごく気の毒な気分になった。
「シオンは、悪くなんか無いよ!
シオンは僕のことを助けてくれたんだもん!」
ライロは必死にシオンにそのことを伝えた。
シオンは悪くないんだから。
「・・・・・そっか!よかった〜w 安心したよ。
それに、僕のことシオンって呼んでくれて嬉しいな〜w
僕もライロ君のことライロって呼んでもいいかな?
うわ〜w、なんかもう、すっかり友達じゃない?」
シオンには再びあの笑顔が戻ってきた。
友達・・・・・・。
ライロはこの言葉に、なぜだか分からないが、暖かみがあるような感じがした。
「友達だよ、ライロ!」
シオンの手がライロに差し出される。
ライロは迷うことなくその手を握った。
そして、ライロも微笑みながらこういった。
「うん、友達だよ!シオン!」

シオンは近くにある時計台を見た。
時間は10:20をさしている。
「おっと、少し遅れ気味かな〜。急いで出発しないと。」
・・・・・出発?
シオンはどこかへ行くのだろうか・・・。
「ねぇ、シオン。出発って?」
ライロはシオンに言った。
シオンは、少し目を閉じて、心を落ち着かせるような仕草をした。
そして、目を開いた。
さっきとは違う、真剣な目でシオンは言った。
「帰るんだ、僕らのふるさとへ。
これから、逃亡劇が始まるんだよ、ライロ。」

ライロの胸は高鳴る。
ふるさとって、ふるさとって・・・・・。
「リヴリーアイランドなの、シオン・・・・?」

第九章 

February 18 [Sat], 2006, 21:00
「さぁ、急ごう。なにしろ、時間が迫ってるからね。」
シオンはライロをせかすようにそういった。
二人は、リヴリーアイランドへ戻るのだ。
ライロが生まれた、故郷。
シオンが生まれた、故郷。
リヴリーアイランド。

シオンは言った。
「まだ、走れる? ゴメンネ。せかしてばっかで;」
「ううん、大丈夫。それに、まだ走れるよ!
リヴリーアイランドに戻れるって思うと、頑張れるよ!」
ライロは一生懸命に言った。
うれしさを隠しきれないようだ。
「クスクス・・・・・」
シオンは少し笑っていた。
ライロの子供らしい発言が気に入ったのだろう。
「ライロはまだ可愛いなぁw さ、じゃぁ出発するよ。」
本当の逃亡劇が始まるんだと思うと、ライロは、なんだかドキドキしてきた。
「・・・うん!」
ライロとシオンは大きく息を吸った。
そして、お互いの手をギュッと握りしめ、走りだした。
さぁ、逃亡劇の幕開けだ・・・・・。

トラックは揺れている。
心地よいほどの小さな揺れだった。
あの後、二人はトラック会社に入り込み、
ソネット行きのトラックへと乗り込んだのだった。
ソネットはリヴリーアイランドを管理するところでもあり、
また、そこから、リヴリーアイランドへと入国することができる所である。
そこの入国検査をクリアすれば、リヴリーアイランドへと入国ができるという。
その後に、シオンは自分の島へと案内してくれると言った。
ライロは本当に楽しみでならなかった。

これから起こることも知らずに。

第十章 

February 23 [Thu], 2006, 15:50
トラックは静かに揺れをとめた。
かすかな光が射し込む。
ライロは視界がぼやけているのが分かった。
まぶたはまだ重い。
起きているのか、寝ているのか分からない・・・・・・・・・・

「ライロ〜、おはよっ。よく眠れた?w」
シオンの顔がはっきりとライロの視界に入った。
ライロは目をこすり、辺りを見回した。
そこには、小さなリヴリーや大きなリヴリーが沢山の列を作っていた。
一体此処は・・・・・・?
「シオン、此処ドコ?」
シオンはクスクス笑いながら、言った。
「ライロったら、寝ぼけちゃってw ソネットだよ、ここ。」
どうやら、ライロはトラックの中で、寝てしまっていたようだ。
「ソネット?」
「うん!いよいよ、入国検査だよw」
・・・・入国?
あ、そっか・・・・・・。
「行くんだよね・・・・・・・リヴリーアイランドに!」
ライロはこう言った。
すると、シオンが
「違うよライロ、帰るんだ、リヴリーアイランドに。」
と言った。
すると、シオンはライロの手をギュッと握ると、こう言った。
「成功率は、100%!まかしておいて!」
するとシオンは、僕の手を握り、歩き始めた。
ライロ達の影は、沢山のリヴリーを避けるかのように、
端の方へと消えていった。
P R
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