黒とゼロの日常会話 

March 11 [Sat], 2006, 22:38
ここは昼下がりの喫茶店。ピークは既に過ぎ、客足は疎らだがその客の視線の殆どは一人の客に注がれている。髪色は銀、紅玉色に揺れる穏やかな瞳。切り取った一枚の絵の様にその客は優雅にカップに口を付ける。と、来客を告げるベルの音がもう一人の麗人を招き入れる。金の髪に青玉色の鋭い瞳。その面立ちは先客と同じ癖に、対照的にも見て取れるその来客は辺りを見回すと目当ての者を見つけたのか、ウェイトレスの言葉も聞かずに店内を歩き出した。
それに気付いたのか、銀の髪の麗人は顔を上げると金の髪の麗人に微笑みかけた。
「お久しぶりです」
それに応え、金は軽く手を上げ笑う。
「よう、調子は?」
「あぁ――・・・・兄さんに撃たれた足の古傷が痛む以外は概ね良好ですよ?」
「んな事言ったら、お前に持ってかれた腕がまだ痛むッつーの。」
「取り替えて、もう傷もないのに、ですか?」
「お互いに、だろ?」
椅子を引き、席に座る。ウェイトレスは何とも笑えない挨拶を聞き流す事にし、兄と呼ばれた客に注文を訊ねる。去っていくウェイトレスを見ながら、銀はころころと鈴が鳴る様に笑った。
「そうですねぇ・・・・・あ、今日はどうしたんですか?」
情報なら安くしておきますが?と首を傾げた銀に、金はただおどけた様に首を傾げそれにつられて金の光が揺れる。
「うーん?単に顔見に来ただけだ」
「あれ、珍しいですね」
素っ頓狂、と言う言葉が似合った声に金はただ眉を寄せた。言葉を選ぶような顔つきの銀は、ややあって口を開いた。
「余りそんな事する人だと思っていなかったので。」
「うん、・・・・ま、ね。」
運ばれてきたカップに金が口を付けると、二人の会話は途切れる。暫く喫茶店に流れるレトロな音楽だけが、辺りを支配する。
「実の処――」
突然の金の言葉に、銀は危うく聞き漏らしそうになり、慌てて意識を目の前の兄に戻す。はにかむ様な、挑む様な、曖昧な笑みを浮かべた金は、続く言葉を口にした。
「末っ子だったんで、弟が出来て浮かれてる所、だ。」
予想だにしていなかった言葉に銀は笑うと、一言付け加えた。
「一番弟っぽい兄、ですけどね。」
「放っとけ」
銀の言い得て妙な物言いに、金はふて腐れた様に呟いた後、お互い顔を見合わせ可笑しそうに笑った。

―――
設定書いたのに全然出さなかったから、クロとゼロ。
一悶着の一寸後位。そこ書いてないのにこっちやる。・・・・単に思いついたからね。

大きな木の下で 

January 16 [Mon], 2006, 18:20
ある天気の良い、午後。いつもと同じ様にアイリスはお気に入りの木の下で目を閉じた。
さわさわと木の葉が奏でる音に耳を澄ませ、静かに時を過ごす。
「・・・・?」
かさり、と言う聞きなれない音に上を見上げると、葉が遮る光とは別の影がそこにあった。
その影がくらりと傾いたと同時に、アイリスは咄嗟に身を引いた。
間髪入れず、アイリスの座っていた場所に何かが落下した。
どたん、と言う派手な音に身を竦ませた後、アイリスはおずおずとそれに手を伸ばした。
紅いアーマーに、アイリスと同じ位長い金の髪。レプリフォースではこんな型をしたレプリは見た事がなかった。
「あの、大丈夫?」
軽く揺すると、そのレプリはゆっくりと起き上がって頭を振る。寝惚け眼でアイリスを見る目は、深海よりも深く、空よりも明るい不思議な色をしていた。
「大丈夫?」
再度訊ねると、レプリは漸くアイリスを認識したようだ。そして上を見上げると、肩を竦めた。
「落ちたか」
「えぇ、落ちてきたわ。・・・・危うく潰されてしまう所だったのよ」
「えぇと、・・・・そりゃ、すまなかった・・・・」
アイリスの笑いを含んだ声に、レプリは驚いたような顔をして、カリカリと頭を掻いた。その仕草にまた可笑しそうに口元を隠し笑うアイリスに、レプリは視線を逸らした。
「天使かと思ったのよ」
「天使?」
驚いたようにアイリスを見詰めるレプリに、愛らしい笑みを浮かべ、頷く。レプリは答えに窮したような顔をして、ただ、肩を竦めた。
「天使な訳ないだろ」
「じゃあ、アナタは何?」
にこりと笑ったアイリスに、ゼロは少し沈黙した後皮肉気に笑った。
「死神、かな」

それが、殺戮兵器と呼ばれたゼロと、聖母と呼ばれるアイリスの出会いだった。

―――
ちょっと書きたくなって。

歪曲恋愛論 

January 10 [Tue], 2006, 23:08
その言葉に、ゼロは虚を突かれた顔をして
「・・・・ッく、あっはっはっはっは!!!」
珍しく人目も憚らずに声を立てて笑った。その笑いがどうやら普段の不の感情を込めた物ではないようで、エックスは普段とは違うゼロに驚きながらも、何故自分が笑われたのかが分からずに首を傾げた。
涙を拭く真似をしながら一頻り笑い終えると、ゼロはにやりと唇を歪めてエックスを指さした。
「馬ッ鹿だなぁ、お前。恋愛なんて、自己満足と自己犠牲の賜物でしかないだろ。」
窓に背を凭れさせ、くるくる、と中空に指で円を描いた。断定とも言える言葉に、エックスは曲がっていた首を更に傾がせ、可笑しそうに笑うゼロを見詰めた。
「そんなもの?恋愛ってもっと、キラキラしたものじゃない?」
その言葉にゼロは肩を竦めた。その姿は、幻想だよ、と言っているようなものだ。エックスは眉を寄せる。
「人を好きになるって言うのは、素敵な事だろう?」
腹を立てたその口調に、ゼロは目を瞬くと、小さく笑う。
「誰も好きになるのが悪いなんて言ってないぞ?」
「じゃあ君は何が言いたいんだ?」
むくれた顔をしてゼロを見る。ゼロの方はといえば、意地悪っぽく笑っている。
この表情のまま、アブソリュートに変身したら、本当に小悪魔だ、とエックスは不機嫌なまま思った。
「恋愛、てのは、相手を束縛し、また、相手に束縛される事さ。つまり自己満足と、自己犠牲の元に成り立ってる訳。」
「・・・・・・・・いつもそんな事思ってるわけ?」
エックスの最もな問いに、ゼロは肩を竦めて事も無げに答えた。
「大方。」
涼しい顔をしたゼロにエックスは盛大に溜息を吐いた。
「大分前から思ってたんだけどね、ゼロってかなり変だよ。」
「ま、その前に大体諦めるけどな。」
「え?考えるのを?」
考えても見なかった言葉に、きょとんとしたエックスに、ゼロは驚いたように目を瞬かせ、首を振った。
「まさか!恋愛をだよ」
笑った顔に、エックスは金輪際こいつに恋愛話をしないで置こうと誓った。

―――
何と無く2。ゼロに自己満足〜を言わせたかっただけの物。しかも半端。
ゼロには人が好き好むような恋愛論は入って無い気が。そんだけ。

Mission Lost 

January 06 [Fri], 2006, 22:04
初めて会ったのは、戦場だった。
未だ燻る火を一心に見詰める姿に時が止まる。
神とも女神とも取れる、その麗姿は、この場所に相応しくなかったが、良く似合っていた。
無音の世界で、彼は炎を、おれは彼を――ゼロを、見詰めていた。
その時、おれは彼に惚れていたかも知れない。

「―――!!」
叫ぶ。一拍置いて、手を伸ばす。駄目か、と思ったが、がくん、と言う衝撃におれは安堵を覚える。
眼下には何の感慨も無いままぶら下がっているゼロ。惚けたまま、動かない。
早く登って来て、と言うおれの叫びは、遠くで起こる爆音と地響きに呑まれる。
正直焦っていた。早くしないとここも危ない。
そんなおれの焦りを無視し、ゼロは至極落ち着いた声で、おれに言葉を投げる。
「――おれとゼロ、どっちが好き?」
何をそんな馬鹿な事を、とは言えなかった。おれには彼の言わんとする事を理解した。
彼は正確に言うなら、”ゼロ”じゃない。
殺戮兵器だったゼロに上書きされた、正常なAIプログラム。それが彼だ。
突然の事で、言葉に詰まる。・・・・・それだけの理由では、無いのだけれど。
おれを見る冬空色の瞳は、あの時と同じ筈なのに、違っていた。
拒絶と絶望。負の感情を孕んだ冬空色の瞳。それが、彼だった。
今、おれを見上げるのは、まるで何も映さない、虚無を抱えた冬空色の瞳。
「―――・・・・・・君、だよ」
心の裡を悟られないように、手を強く握り締め、そっと呟く。
うっすらと淡い笑みを浮かべ、ゼロはおれを見上げ、口を開く。
「嘘つき」
その言葉に動揺したのか、それともゼロがそうさせたのか、二人を繋いでいた手が離れる。
中空に放り出された彼は、おれを見上げ、ゆっくりと目を閉じ、微笑む。
まるでスローモーションのような、その現実に、おれは手を伸ばすが、届くはずも無い。
暗い海に消えたゼロを暫く見詰めた後、俺はのろのろと走り出した。

あの時の表情はまるで、泣いているように見えたな、なんて
少しずれた事を考えながら。

―――
何と無く。ミッション中になんかヘマしたのかなー。
でもゼロがどうこうなるのはなさそうだなぁ。
取り敢えずゼロに嘘つきと言わせて見たかっただけ。それだけ。

Murder game 

November 21 [Mon], 2005, 19:10
「あーあ失敗、これじゃあ焼きすぎだ。」
その声と共にどさり、と上から降ってきたものに、エックスは息を呑んだ。隣に立っているゼロはと言えば、表情の少ない顔でそのまま無感動にその黒い物体を見詰める。
「ねー、アンタはミディアム、レア、ウェルダン、どれが好き?」
その場に相応しくない底抜けな明るい声に、エックスは言葉を返せずにいた。いや、寧ろ言葉など耳に入っていないのだろう。エックスの瞳は、一抹の希望とほんの少しの好奇心でその黒く――炭化した物を見詰めた。
かなり高い所から落とされたであろうそれは、衝撃でボロボロと崩れ落ち、今や丸い物体と化している。
所々亀裂が入り、中の方まで炭化している事が窺える。その間からチューブなどが出ていたら――不謹慎な話だが――少しは安堵出来たかも知れない。
だが、これはどう見ても、正真正銘の人―――
「―――・・・・・・・ッ」
「ねー、ミディアム、レア、ウェルダン、どれが好きかって訊いてんの」
いつまでも返事を返さない二人に痺れを切らしたのか、声はまるで地団太を踏み拗ねている子供そのものだ。エックスは驚いて視線を上げると声の主は軽い音と共に焼死体の隣に着地する。
外見からして、若干10歳。焦げ茶の短い髪に、同じ色をした瞳。そして信じられないが――人間。
噤んでいた口を開けずに、エックスは目の前の少年を凝視する。そうしなければ、今にも叫ぶか、悪くて気を失いそうだった。

「レアが好きだな。」

その声にエックスははっとしてゼロの方を向いた。口調としてはまるで今日の天気の話をしているかのような気安さだ。
「内臓が良く見える方が、良いだろ」
その言葉に、エックスは顔を引き攣らせ、反対に少年の顔がぱっと明るくなる。
「うわぁ!おじさん僕と一緒だねぇ!!」
少年の歓喜に満ちた声に、ゼロの口許が引き攣った。エックスも今の状況を忘れ、小さく吹き出す。
「――・・・・・外見年齢なら、お兄さんが嬉しいが、単なる稼動年数なら、曾が三つ位付く爺さんだ。」
おどけたゼロの声に、少年は笑顔で頷いた。
「おにーさんで!」
二人は頷くと、徐に体勢を低くした。
「じゃあ・・・・はじめようか」
少年の声が、狩をする獣のように嗜虐に満ちる。それを受けて、ゼロは心底楽しそうに目を細めた。

―――
形にならない物。いつかやってみたいな、と思うんだけど。
思うものはこう言う物ばっか。ブラックジョーク的な物を。

霧中の暗闇 

November 14 [Mon], 2005, 20:32
「――そういやお前、いつタバコ止めた?」
唐突なダグラス声に、書類を漁っていたゼロの手が止まる。うんともおんとも取れる言葉を零したゼロを見詰める興味深々なアクセルの目。
「え!?ゼロタバコなんて吸ってたの!?不っ良〜」
煙草=不良かよ、と手にした書類で軽くアクセルの顔を叩く。その言葉に笑いながら、エックスもそういえば、と言葉を漏らした。
「・・・・・昔、見たことある・・・・・かも」
「えぇーっ!?ずるーい!何で今吸わないの?」
何がずるいのかは分からなかったが、ゼロは肩を竦め、独特の笑みで答える。
「肺癌になるからな」
「機械がガンになるの、聞いたこと無いよぉ」
「は・・・・違いない」
自分をからかっていると言う事が丸分かりのゼロの態度にアクセルは頬を膨らませ、
隣で事の成り行きを見ていたエックスに過去の状況を聞いている。
その横では、声を潜めたゼロが、アクセル達の様子を傍観していたダグラスに呟く。
「全く・・・・お前が変な事言うからだぞ」
その表情は苦々しく、その顔から見て取れる過去の疵を見たような気がして、ダグラスは大人しく頭を下げた。
「悪ィ。今回は俺が悪かった」
「・・・・・・いや、悪いのは未だ引き摺ってる俺か。」
傍目から見ても泣いているかのような笑みは、エックス達には背になっていて見えなかった。ダグラスが口を開いた刹那、それはアクセルの発した声に遮られる。
「ねーぜろぉ」
ねだるような声に、ゼロは呆れたように肩を竦めると、アクセルの頭に手を乗せる。
「跳び付いても、強請られても、この話は終わり。」
そのままアクセルを引き剥がすと軽い足取りでゼロは部屋を出て行く。
扉が閉まった後、我に返ったかのようにエックスが声にならない声を発する。
「―――・・・・っ」
「止めときな、アイツはそれを望んでいない」
ダグラスの静かな静止に、エックスは伸ばした手を下ろし、自嘲の笑みを浮かべる。
「・・・・・分かっている」
ここで追って行っても、なんでもないかのように笑みを浮かべ、首を傾げるだけだ。なんて自分は無力なのだろう、とエックスはただただ分かっている、と呟いた。
それに付いて行けないのか、アクセルはきょとんとして首を傾げる。
「何の話?」
その言葉に、ダグラスは微苦笑を浮かべ、呟いた。
「――昔の話さ」

―――
昔の話を書きたくなった。全然纏まらないけど。(昔じゃないしコレ)
ダグの口調が全然分からないや。

金木犀と恋の香り 

October 17 [Mon], 2005, 13:42
「お疲れ様です」
何時もと同じ声に軽く手を上げ隣を過ぎようとした時、ふわりと何かの匂いが鼻先を掠めた。
ゼロは足を止め、振り返ると丁度目が合い気まずそうに頬を赤らめるレイヤーに近付いた。
「あの・・・・何か」
少し震えるような声は、怯えではなく緊張だろう。前髪に隠れた瞳が、ゼロの仏頂面を見詰めている。
暫し無言で見詰めあった後――レイヤーにはある意味拷問に近い行為だったが――ゼロはポツリと呟いた。
「香水でも、つけているのか?」
その言葉にきょとんとしたレイヤーは、自分の纏っていた香りに気付き、赤らめていた顔が、更に赤くなる。
「あ・・・・・・いえ、違うんです。その・・・・・さっきベースの中庭でちょっと転寝を・・・・・・」
消え入りそうに弁解するレイヤーの言葉に、ゼロは納得したように頷いた。
確かにベースの中庭には様々な樹木が植わっている。
もちろん、金木犀も。
「成程、それでこの匂いか」
ゼロの声が、無機質な物から少しだけ柔らかな物になった事に、気付いただろうか。そんな事にも気付けずにレイヤーは恥ずかしそうに下を向いたまま頷いた。
そんなレイヤーの長いラヴェンダー色の髪を一房すくうと、そっと口付けるようにゼロは唇を寄せた。
驚いたように目を見開くレイヤーに、ゼロは柔らかな笑みを浮かべて笑った。
「好きだな、この匂い」
そう一言だけ言葉を漏らすと、ゼロは何事もなかったかのように司令室の扉をくぐって行く。
「・・・・・・・・・・」
レイヤーぱくぱくと口を金魚のように開閉させた後、今自分の置かれている状況を把握し
「・・・・・・ッッ!!!」
ぼっ、と言う音が聞こえる位に顔を赤らめると、そのまま机に突っ伏した。
「ゼロさんって案外天然ですね」
隣で一部始終を見ていたパレットが、ポツリと感心したように呟いたが、レイヤーには全くと言って良いほど、聞こえていなかった。


―――
ちょっとノーマルなのも書きたくなって。ん?取り敢えずノーマルだよな。
本人自覚なし。天然のタラシみたいなので。
そんな感じで素直に物を言うのでついつい女にも男にも好かれがち。
レイヤーとは恋人とか関係無しに良い友達とかだと面白いのに。

てかレイヤーよりもゼロって背、低いのかな。
エイリアよりも低いのは、公然だっけ?(サントラ集でそんな感じだったし

快楽連鎖 

October 01 [Sat], 2005, 21:33
別に今はこの紅の液体を見て、安堵を覚えている訳ではなく。
もっと根本的なものに、踊らされているだけなんだと思う。
「あ――・・・・・またぁ」
その声とほぼ同時に、俺の左手は虚しく空を掻いた。
途切れた感覚に、俺は苛々と左手を掴んだ男を見上げる。
困っている様なそれで居て怒っている様にも取れる、翡翠の瞳。
「放せ」
冷淡に吐かれた言葉に、男は眉を寄せた。外面だけは、哀れんでいる様な、その顔が俺は嫌いだ。
案の定、男は首を振って、俺の言葉を拒否する。
「駄目だよ、自分の腕、良く見て。酷い有様だよ」
ちらり、と右腕に視線を移すと、爪で掻かれた様な跡が、腕に奇妙な蚯蚓腫れを作っている。
所々人工皮膚が捲れ、循環駅が滲み出ている。
だが、それは結果でしかない。
「どうして・・・・――普通やら無いよ、こんな事。」
その言葉に、不快感が込み上げる。理解しようとする振りだけをした、偽善的な面持ち。
「それは、お前の中の、常識だ。俺の中の常識とは、違う」
手を振り解こうとするが、強く掴まれた手は外れる事が無い。
苛々とした感情と共に、酷く寒々とした風が、胸の中に蟠る。
「違うよ、これは、正しくない。」
頑なに俺を否定する男に、俺は唇を噛む。
言葉は、中空で浮かんでは消える。互いの中に入る事など、無い。
その、閉ざされた言葉に、ただ俺はどうしようもなく目を伏せた。
何も言えずに居る俺に、男は諦めたのか、一言言い放つと、静かに部屋を出て行く。
「もういい、勝手にしたら・・・・?」
俺は、俺を理解しようともしない男に腹を立てたが、それは俺も同じだ。
俺にはあの男の言っている事が、理解できない。しようと、しない。
溜息をついて、疼く右腕に爪を立てる。鈍い痛みと、続く快楽。
波のようなその感覚に、更に、更にと俺はのめり込む。
自分の異常さは、判っているつもりだ。だから、言わない。
ただ、快楽を追っているだけなんだ。
―――そう言ったって、お前はきっと、理解できないだろう?


―――

他人を理解するなんて、そう容易い事じゃないもんです。
取り敢えずは、ゼロを理解しないエックス、見たいなノリ。
理解できないんじゃなくて、しないんです。全てを否定するって言うか。
やられるとかなり精神的なダメージが来ます。実証済み。(痛
まぁ、理解したくないならしゃー無いんだけどさ。

パラレルゼロックス?(ry 

September 28 [Wed], 2005, 21:53
罠の森、と呼ばれているここは、蝶や空を飛ぶ者達にとっては、一番通りたくない所だ、と言われている。何故なら、この森は、捕食者である蜘蛛の巣窟だからだ。ここを通るのは、気ばかりが大きい馬鹿者か、迷い込んでしまった愚か者のどちらかだった。この蝶は、馬鹿者と言うにはあまりにも・・・・・
「カケ、って・・・・・・捕まっちゃってゲームオーバーって事は考えなかったんですか?」
真剣な表情の蜘蛛に、蝶はクックと咽喉の奥で笑いながら目を細めた。その瞳は、空のように虚ろで綺麗だった。蝶の声は、長く生きてきた老人のような、諦めにも似た響きが滲んでいた。
「捕まったら、そこまでだった、って話だ。なぁ?捕食者。」
その言葉に、蜘蛛は蝶に絡まっていた糸を懇切丁寧に外していく。何をされるのか分からない蝶は、じいと黙ったまま、蜘蛛の動作を目で追った。最後の一本が外され、蝶はふわりと宙に舞った。
「な・・・・・おい、餌を逃がしてどうする。」
「何か気に食わないし、君を食べたらおなか壊しそうだからいらない。」
ぷい、とそっぽを向いた蜘蛛に、蝶は呆れて肩を竦めた。その後蜘蛛は、月の光に照らされて綺麗に光る漆黒の翅を見ながら、蝶を指差した。
「君の命、おれが助けたんだからね!?もう二度と蜘蛛の巣に引っ掛からないでよ!」
その言葉に目を見開いたのは蝶だった。ぽかんとしたまま蜘蛛を見下ろすが、蜘蛛は真っ赤になって下を向いたままだった。その仕草に可笑しさが込み上げて来て、蝶は肩を揺らして静かに笑った。くるり、と一回転すると、蝶は意地の悪そうな笑みを浮かべて蜘蛛の目の前で止まる。
「・・・・・考えておこう。」
それだけを呟くと、蝶は漆黒の闇の中に溶けるようにして消えて行った。一瞬幻かとも思った蜘蛛だったが、ボロボロになってしまった自分の巣を見、溜息半分笑い半分で、ふと、あの綺麗な蝶の名前を聞き忘れた事を、残念に思った。


―――
続くような、続かないような。ってか。名前出てこないジャン。アホー。
てか蜘蛛なら、やっぱりスパイダーでやるべきだったか・・・・・。(有り勝ち?

パラレルゼロックス?(ry) 

September 14 [Wed], 2005, 17:44
唐突な言葉に、蝶は理解不能、と言いたげに目を細めた。
「そりゃあ、死んでるのに喋ってちゃ世話無いわな。」
「いや、そうじゃなくて・・・・そうなんですがぁ・・・・っ」
うぅ、としょ気て肩を落とす蜘蛛に、呆れざるを得ない蝶は、この臆病なくもの巣に引っかかった間抜け極まりない自分を軽く呪った。他の巣に引っ掛かっていれば、今頃は頭からバリバリと食われていても良い筈なのに、こうして月を見上げているのは、一体何の因縁か。
「俺、屍骸しか食べられないんです。」
「―――・・・・・そりゃまた、何で?」
「怖いじゃないですか、喚くし暴れるし、すっごい大声で罵られた日には、食欲失くしますよ」
「まー、そりゃ嫌だわなァ。」
深々と溜息をつく蜘蛛に、ふむ、と蝶は頷いた。自分の糧である花の蜜は泣き叫ばないので想像でしかないが、それでも良い気分ではない事だけは確かだった。
「普通なら声がしなくなるまで放っとくはずだったのに!なのにっ!!」
泣きも騒ぎもしなかった為、もう死んでいるものと思って出て来たらしい、と漸く理解した蝶は、何の悪気も無く謝る。その途端、蜘蛛はたかが外れたように泣き喚く。
「ああぁあアナタが悪いんですよう!!ち・・・・ちゃんと生きているなら生きているって一言そう言ってくれれば放って置いたのにぃッッ!!!!」
呆然を通り越して、いっそ申し訳無ささえも覚えるような、そんな泣きっぷりに、蝶は慌てて――とは言うが未だ雁字搦めのままなので、動く事は出来ないが――蜘蛛に向かって半ば叫ぶように謝った。
「悪かった!悪かったよ!!仕様が無いからこのまま俺をここに括り付けて死ぬまで放っとけば良いだろうが!!!」
その言葉に、蜘蛛は泣くのを止め、きょとん、として蝶を見下ろした。よくよく見る事が無かった為気付かなかったが、目の前の蝶々は、蒼い目をして、とても綺麗な夜色の翅を持っていた。そして、月と同じ様な色をした、長い長い、金色の髪。まじまじと見詰められて、蝶は不思議そうに眉を寄せた。
「そう言えば、何でアナタは罠の森なんて呼ばれるところを飛んでるんですか?」
「一寸した賭けをしててね。」
不思議そうに首を傾げた蜘蛛に、蝶は何の感情も抱かない蒼い瞳を向け、小さく笑った。
「それにここを抜けた方が、音鳴りの森を回るより家が近いんだ。」


―――
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