悲しくなった

September 24 [Tue], 2013, 16:40
「なんで怒ってるのさ?」


 わたしが、仕事は何でも大変と言ったことに母が腹を立てていることはわかっていたが、それが納得できずに口をとがらせた。


「何で?もないでしょ、まったく、、、。お前はまだ子供なんだよ、仕事大変だねって言われたら、“はい”と言っておけば良いものを」


 余程わたしの言動に腹をすえかねたのか、母は興奮の面持ちでわたしを睨んだ。


「だって間違ったことは言ってないじゃないか、仕事はなんでも大変だよって自分だって言ってたくせに!」


 

 新聞配達を始めてすぐの頃、いくらか賃金の良い牛乳配達に変わろうかと思っていたとき、母は確かにこう言ったのだ。


「何の仕事も楽じゃないよ、隣の芝は青く見えると言ってね、慣れれば新聞配達も、そんなに大変だとは思わなくなるから、今少し辛抱なさい」



 わたしは幼い頃から母親っ子で、始終頭を叩かれたり叱られたりしてたけど母が好きだった。

 反対に父は、わたしに一度も手を上げたことの無い人だったのになぜか煙たい存在だった。

 日頃無口温厚で、めったに声を荒げない父は、その分怒りを溜め込むせいか、ほんの些細な事に腹を立てたが最後、怒りは止まることを知らなかった。

 まさにそれは怒髪天を突くといった有様で、ときに卓袱台が引っくり返ったりもした。

 そんな時、父の怒りの原因がどこにあるのかがわからず、わたしは耳を閉ざし嵐の止むのをじっと待った。

 母には年中行事のように叱られ叩かれていたが、なぜか叩かれても仕方ないとおもえるような時に叩かれ叱られた


 その母が、わたしが正しいとおもって使った言葉に怒った。

 わたしはなんだか、悲しくなった。
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