花梨の実膨らむ

April 22 [Sun], 2018, 23:11
四月も後半となった。連日の陽気で向かいの花水木はすっかりと花びらを落とし若葉が日毎伸びる。通勤路の街路樹は清々しい青葉が目に飛び込んでくる。白々とした日差しは明る過ぎて全てをさらけ出してしまう。


こんな昼間の明るさの下で、まじまじと顔を見られたらどうしよう、後ずさりしてしまいそうだ。


夏の暑さが応える体質、ここから数ヶ月はひたすらその日その日を乗り切る。


四月は仕事が立て込んだ。淡々と向き合う。経験値がある人ならばら幾らでも知恵が浮かぶのだろう、私にはその経験値が無い。真っ直ぐに進むしか無い。


やってもやっても辿り着けない山、一足飛びは無理だから一歩一歩と経験を積む。


山の頂きからはどんな景色が見えるだろう、更に高い山々か、お花畑か。。とりあえず登ってみなくちゃと仕切り直す。

所詮、仕事が忙しいなど、つまらぬ事である。

ふと見上げた長女の記念樹、花梨の花後に実が付いている。なかなか実が成らなかったのに。生まれた年、成人の年、結婚式の年に実が成るとは不思議な樹、長女の生き方に思いが至る。

人は誰もが師である。








医師の分別

April 17 [Tue], 2018, 6:56
その日、私の担当するその方は往診日であった。お目に掛かる機会の無かった往診の先生にご挨拶をさせていただきたいと、事前に電話を入れ了承を得た。


少し早めに利用者様宅に着き、談笑しながらお待ち申し上げたのである。


往診にお見えになったお医者さま。年の頃は40代か、太い声で豪快と言えなくもない印象、それが元来のものか、作られたイメージかは分からない。


ポイントを押さえ無駄のない問診、いきなり「ウン◯は?」「おしっこは?」と大声でお訊ねになる。80代の男性にである。


少々驚き「お通じやお小水」と言って何の支障もないだろうにと思うのだ。


私がもし、自分の親に、あのような大声で、まるで幼児に訊くように、「ウンチは?」「しっこは?」と高らかな声で問診されたとしたら、少々驚き一言申し上げるかも知れない。


父や母もこの地でこつこつと全うに生きてきた人間でございます。尊厳がございます。幼児に掛けるような言葉遣いはやめて頂きたい、と。

玉子焼き

April 08 [Sun], 2018, 22:16
息子の卒業式に出席、晴れやかな息子の姿を目に焼き付け、次に向かった先は宮交シティ、慌てて熊本行きの高速バス南風号に飛び乗った。


四時間後に熊本着、母の待つ天草までは、更に二時間バスに乗る。ちょうど出たばかりで次は一時間後との事、仕方なく待合室にいたら仕事先の事業所から電話が入った。携帯の電池が切れそうで冷や冷やした。コンビニで乾電池式の充電器を買ったついでに、昨夜からまともな食事をしてない、おにぎり二個とバナナ一本、R1ドリンク低糖を買った。


昨夜、息子から連絡を貰った時は日付が変わっていた。引き渡し間近の息子の部屋には布団が無かった。慌てて近くの宿に電話をしタクシーで向かった。合宿所みたいな宿であった。窓の外では犬が吠えていた。しーんとしており寂しくもあり、長女に気持ちが通じたか電話を掛けてきた。


「部屋にいていいよ」と言ったから、来てみると布団一枚無いのだと、ひとしきり話し終え、まぁそんなことは想定内かと二人で笑うしか無い。

宿の旦那さんが「風呂は9時までだから入って」とドアを叩いた。今夜は温泉気分でも無く、入らないとお断りした。それまで、宿で風呂に入れとドアを叩かれた経験は無かった。

寒かった。暖房をつけても寒かった。なのに蚊が二匹居た。部屋で冬越ししたのだと思った。

整髪料の匂いのする毛布が気になり上下を入れ替えたが変わらなかった。布団で寝られるのだから良しとした。カーテン越しに見た外は真っ暗、息子と食べようと買ったお菓子が夕飯となった。お湯と茶器は旦那さんが持ってきた。

言っておくが、私は寂しがり屋だがこれ位は凌げる人である。

翌朝の卒業式の朝に、式用の黒のワンピースをハンガーから外したら、勢い背中のボタンが弾け飛んだ。針も無し糸も無し、上着を着れば良いかと思いながら、ダメ元でカウンターの女将さんに針と糸があれば貸して欲しいと頼んだ。

「あらあら、出針は良くないので私が縫いますからボタンを持ってきて下さい。」
そう言って、脱いだつもりの着針で縫い付けて下さった。「はい出来ました。今日はこれで大丈夫でしょ。」嬉しくなって今日は良い日になりそうな予感がした。

話しを元に戻そう。天草に着いたら陽はとっぷりと昏れ10時を回っていた。実家は電気も点いてなくて母は寝てしまったのだ。メールは送ったが読んでないかも知れない。手探りでスイッチを探し母の寝ている部屋に行き「帰ったよ、私、私だよ」母はびっくりして飛び起きた。「え〜今日帰るんだったと?」「ごめんね、起こしちゃったね」「お腹空いたからなんか食べるね」「何もないよ、あるもので食べてはいよ」「はいはい」

起きてきた母は「なんだかはっきりしないメールで、意味が分からなかったもんね」等と言いながら台所に立ち玉子焼きを作ってくれた。

温かな白いご飯と卵焼きがほかほかと美味しくて長々と今日の事を母に聞いて貰ったその夜、私は娘に戻った。

来客用の布団を出し、三月というのに寒いからとアンカを入れてくれた。昨日の夜は寒くて寂しかったから、頑張って乗り継いで母のところに帰って良かった。やっぱり今日は良い日だったよ。





桜花の候 結婚式 【Photo】

April 07 [Sat], 2018, 12:17
【花嫁と弟と妹】


三月後半は暖かな日が続いた。花が咲けば大体桜雨となるのに一度も花弁を濡らす日がなかった。

殆ど同時期に各地で満開となり、後に結婚式を控えた長女は「あと少し持っていてほしい、散らないで」とラインを送ってきた。私も同様であった。

庭の記念樹、花梨の一番花が咲いた4月1日、川越氷川神社にて長女の結婚式があった。


桜吹雪となった花弁は、神社の裏を流れる新河岸川の川面をピンク色に埋め尽くし花筏となった。


春の舟遊が行われ、お客を乗せた舟は船頭さんが漕ぐたびに花びらをかき分け進む。川岸の野花は萌え出で春の光が嬉しいか、ちらちらと揺れ風に戯れる。長閑な春日である。

控え室に白無垢に綿帽子の娘がやってきた。花嫁の仕上げに母は紅を引かせて頂いた。


娘は清らかな美しさを湛え、凜とした強さをも持ち合わせているように思えた。弟と妹は花嫁の姉を笑顔で祝福した。

支度を整えた花婿花嫁の一行は境内を歩き神殿に向かうのだが、良縁を願い老若男女が集う川越氷川神社の境内は、その日も大勢の参拝者で賑わっていた。

楽人が奏でる笛の音色が響く中、花嫁の白い手に母の手を添え、赤い毛氈を静かに参進すれば、白い装束に緋袴の巫女さんがお迎えして下さり、神前までを先導して頂く。

たまたま、その日、その時間に居合わせた参拝者の方々が暖かな笑顔を向けて下さり、しみじみと嬉しく幸せな気持ちになる。

結い紐の儀で、巫女さんが水引で編まれたという赤い結い紐をお互いの左手の小指に結び合う。

結婚とはご縁なのだと改めて思う。辿れば、何処かで一つ違う道を選んでいたら違った人生を歩いているはず、出会うべくして出会う、つまりご縁というものは神様に導かれるものである。

私は、花びら舞う麗らかな今日の佳き日を生涯忘れないだろう。

板さん、娘をどうかよろしくお願い申し上げます。皆がお幸せでありますように



卒業おめでとう!

March 26 [Mon], 2018, 12:25
平成30年3月23日 、宮崎にて

25歳の春に長男は大学を卒業した。

部活の一年生部員は卒業生を会場まで送迎するお役目を担うのが慣例だとか、私も有り難く便乗させて頂いた。

会場のシーガイアは入学式以来だ、豪華なシャンデリアはおぼろげながら記憶にあるが、窓の向こう洋々たる太平洋のパノラマは記憶に無い。記憶を辿ればそうそう、あの日あの時の入学式は嵐であったのだ。

長男はそれまでも、よくよくの雨男で節目には雨か嵐か雪、はてまた台風がやってきた。

大学卒業の日、桜咲き海は輝いている。ようやくの雨男返上となるか、とにかく天晴れなくらい美しい春日であった。

華やかな袴姿のお嬢さん達は南国らしい鮮やかな彩りがとても似合う、朗らかな笑顔が弾けどの人にも勢いを感じた。よく学び、よく喋り、よく遊び、そして時々に悩み苦しまれたことだろうか。

ご卒業おめでとう!いつの時も、宮崎の空と海のようきらりと輝いて、そして温かな人でいてほしい。6年間よく頑張ったね。






















覚醒

March 17 [Sat], 2018, 9:08
きらきらした朝陽が薄地のカーテンから差し込む。小枝で休む小鳥の柄がくっきりと可愛い。3月の土曜の朝は柔らかだ。


レオの抜毛が片隅でゆらゆら。無事に春を迎えたねと拾いゴミ箱に移す。冬毛、夏毛と生きている証のよう季節と共に在る。


ぽわんとした三月の空気、レオは大した事はないさと言わんばかりに、ありのままの命を紡ぐ。


弥生三月の光が万物を覚醒させる。

弥生の朝

March 13 [Tue], 2018, 7:01
弥生の朝はキュンとする。


遥か昔、子供の節目節目に母は着物を着た。微かに残るナフタリン香、和ダンスのある仄暗い部屋で自ら着付けていた。学校までは、さして遠くもなかった、皆歩きで向かった。隣近所にも同級生がいて知ったお母さん達は井戸端会議に興じた。


特別なあの日その時であったのだ。

黒の絵羽織で写真に収まる母の若いこと、忙しい毎日だったことだね、としみじみ眺める。


やわらかな春日、弥生の朝はキュンとする。

3月9日

March 09 [Fri], 2018, 7:03
〜せわしく過ぎる日々の中に〜

月初めに実績入力という仕事がある。予定と実際に利用した実績という書類をサービス事業者から頂くのだが、突合し変更箇所を直していく。間違いは無いはずなのに合わない。1円の誤差が生じている。自動計算の合わない理由を探す。あちらこちらにお訊ねするが、不確かな応えが返ってくる。

一円の誤差ならば切り捨てか四捨五入かのソフトの設定によるものだと察しはつくが、ではどちらが正しいのか。孤独な謎解き、もしくは巨大迷路の道中にいるような気分をすっきりしたくて答えを探す。


〜上手くはいかぬこともあるけれど
天を仰げばそれさえ小さくて〜

3月9日、花びらをしとりぬらす春の雨

春の嵐

March 04 [Sun], 2018, 1:01
弥生三月、長男は大学最後の春休みに帰省し、10日程を自宅で過ごした。よくよくの雨男である。宮崎に戻るその日は、春の嵐が吹き荒れた。飛行機が飛ぶかどうかと案じたが、さほど揺れもせず、宮崎空港に着陸したと報せがあった。


その日、宮崎、鹿児島の新燃岳の噴火をニュースで知った。


悪天候であったので、出勤を1時間ずらし駅まで車で送った。そのまま出勤し仕事に追われた。帰宅してみれば、長男は居らず次女もバイトで不在であった。


しんみりと寂しさを覚えたが、仕方ないと振り切った。猫が階下に降りてきて、私を気遣うよう黙って側にいる。


トイレに行きたいと合図をしたレオを外に出し、ふと見上げた月のなんと美しいことか、宮崎の地で見る月も美しいに違いない。


卒業なのだからスーツを新調しようと再三言ったが、要らないとお断りされた。仕方ないのでスーツ用の靴とネクタイを卒業の記念に新調した。姉には割と素直であるのは助かる。


一年の内、実家に居るのは帰省する数日間のみであるのに、居たら居たで昨日も今日も明日もずっと居るような気がしてくる。


髪を整えようかと言えば、切り方を教えてくれと言う。何だかよく分からないのだけど、ああそうなのね、と思うことにしている。


スーツを新調しなかったのだからダイエットしなくちゃ入らないかも?とりあえず70キロ台に。。









映画を観る

February 27 [Tue], 2018, 7:19
「前回観た映画はなんだったっけ」「岡田くんの永遠のゼロかアナ雪?」


随分と前であるのは確かだ。


久しぶりに次女と映画を観た。徒歩圏の映画館ではなく買い物もしたいとの事で、少し先まで電車に乗った。




数日前の新聞広告に載っていた『空海』割と好きな阿部寛さんは阿倍仲麻呂役。日中合作と聞いて『レッドクリフ』のような感じを期待していたら、あれま、なんだこれ、最悪、閉所恐怖症の私には酷である、案の定その夜の夢に出てきてうなされた。


コンピュータを駆使した映像にボンとかヒューとか擬音ばかりが頭に残る。ストーリーを重視したい私には理解不能。 そこそこお客は入っていたけど。。白居易の声優担当の高橋一生さんや阿倍仲麻呂役の阿部寛さんが名前を連ねてはいるけれど。。それだけである。


「低迷期の二月に観る映画はこんなもんだよ」次女と笑いながらブラブラ歩いた。帰省中の息子も誘ったが映画はいいやとお断わり、もし観ていたらどんな感想を持つのかちょっと聞いてみたかった、いやお昼寝タイムだったかな。。


二月もあと二日、息子のいる生活が馴染んできて、臆病な猫がようやく懐いてきたこの頃である。寒さ緩み、菜の花揺れる宮崎の地に戻る日はもう間もなくであるのだなぁ。



P R
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