八甲田山の噂

November 04 [Sun], 2012, 17:19
物に耽る正反対の私の性格はどこから来たものか。父にも母にもその傾向はない。これは父が幼い時から養子となって、すべてを養父の前に控え目にしなければならなかったのに反し私は父母の寵児としてわがまま勝手にふるまって育った勢ではないかと思う。私に節約の風がなく浪費的なのもその勢であろう。
 私は父から美しい感情上の教育は十分に受けた。しかし実務上、処世上の実行教育は少しも受けなかった。父は世の風波は自分で受けて、子供にはふれさせなかった。それは父の弱い性格からの寵愛であって却って、一生を通じて私の負い目となってしまったのであった。
 この父は角力を見に行っても、田舎まわりの角力がよく八百長にたぶさを掴んで、投げたり、面をはり合ったりするのを見ても、胸がドキドキして見ていられず、あれは八百長だとつれが言って聞かせても、不安がやまないような人間であった。
「父のように弱気でなく」
 というのは、一生私の鍛錬の課題であった。
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