ひのえ 

October 02 [Sun], 2005, 19:42



ただ、頷いてくれれば、望むモノなんて全部差し出すよ。

…なんだけど聞いてみても曖昧に首を振って笑うだけ。

言っただろう?お前が欲しがるなら星だって月だって

手に入れてやるよ。俺を誰だと思っているんだい?姫君。





『ないものねだり、ここにあり』


十六夜 

September 24 [Sat], 2005, 20:33


銀BADエンド前提の話です

ぼくわた 

September 20 [Tue], 2005, 12:33

(ベンちゃんと鬼司祭)


失ってみて、気付く事があった。

肩から無くなったマントの重みと同時に消えた存在は
もう悪しき力を行使しても、またこの月が満ちるのを待っても
帰ってこない。僅かばかりに残るのは指先の熱。
こっちはいつもの状態を崩さないように必死だったのに、
なんで泣きそうな顔をしたんだ。
いつもみたいに、大嫌いだと、
強い瞳で見返してくれれば、いっそ、よかった。

自分から突き放したのに、この空虚はなんだ。



『結末の結末』



司祭の微笑みで、小さく首を傾げ、呟く。
「容赦なくヌッ殺してあげますよ、ウ゛ェンツェル」
眼鏡を放り投げたら、現れる、血の色。
自分と同じ色のそれで、彼も同じ少年を見つめていた。

「あなたが救われるなんておこがましい。
僕たちは一生縛られて地面にへばりついて生きていれば良かった」
目を細めて見せた笑みは決してアダムの息子の前では出さない
獰猛な、残虐なもので、背筋がぞっとした。
それでも、目の前の男の皮を破ったのがいっそ清々しかった。


気晴らしに 

August 26 [Fri], 2005, 15:56


夷澤とのメールのやりとりを妄想しました
夷澤と葉佩


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11/26(金)08:10
いざわ
[おはようございます]
いいかげん起きていますよね?
遅刻ばかりはよくないと思います。
校門で待っていますので。それじゃ
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11/26(金)09:00
いざわ
[まったく]
ギリギリまで待ってたんスよ。(-_-#)
来ないならそれで連絡下さい。
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11/26(金)10:33
いざわ
[大丈夫ですか?]
…もしかして本当に病気ですか?
ひどいなら何か持っていきますし、
連絡下さい。
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11/26(金)12:09
葉佩さん
[Re:いまれんらくできない]
このメールに本文はありません
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11/26(金)12:10
いざわ
[わかりました]
なにか出来る事あったら言って下さいね。
勘違いしないでください。あんたを倒す
のは俺ッスから。o(`ロ')<〇>
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11/26(金)13:50
いざわ
[無理しないで下さい]
保険医に薬貰って帰ります。
部活もないんで持っていきます。
保健室にようがあったんでついで
です。(`ー´)
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11/26(金)16:14
葉佩さん
[Re:絢爛舞踏とれたから]
今から学校行く
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おわり。
学校終わってるよ。ガンパレかよ。
夷澤がかわいそうなだけ。
このあと夷澤はメアド変えます

はがねのとろい 

August 26 [Fri], 2005, 10:48

(あっちでいってた十二鋼記…もどき)
(エドが麒麟)




ブーツにまで染み込む程の寒気ももう感じなく
なった。待ちくたびれてそんなのは忘れてしまった。
かじかんだ指でマッチを擦るが、上手くいかず、
だからといって錬金術を封印した私にどうする事もできず
冷えきった床にしかたなく座り込んだ。

等価交換の世界にあって、私はこんなに沢山のものを
失ったというのに、最期の最期の、願いさえ、失った。
それとも残った右目を差し出せば、再び会えるのだろうかと
思った事はなくもない。

しかし、私はすべてに疲れていた。

私がいなくてもこの世界は、国は十分良い方に向かっている。
私はもう、必要ないのだなと感じてこちらに異動したのが暫く前だ。

ただ無彩色が包む世界で毎日それでも呼吸をようやく
続けているだけで、このまま冷たく朽ちるのだろうと感じていた。



「…巡回の時間か」
誰に言うでもなく防寒具を着込み、重いコートをひきずるように
外に出た。途端、雪が飛沫のように吹き付けてくる。
白と灰色、黒の素っ気ない世界。
自分の髪も、コートも真っ黒で無彩色に見事に溶け込んだ。
春はまだまだ先であり、この地方の夏は随分短い。
それでも冬の終わりに金色の光に包まれた時は涙が出そうになる。
時折堰を切ったように彼の事を思い出し、ぼんやりと一日中
川に反射する春の光を見ていた。


今は、無彩色の世界。
無慈悲で、感情もない、ここでなら静かに逝けるだろうと。


「……ん」

残っている右目に一瞬眩しさを感じた。
目を細め、凝らしてみると、数十メートル先に、いたのは、

「子供…?」
腹のあたりまで雪に埋もれ、ぼんやりと宙を見上げていた。
まとわりつく雪を蹴り上げそちらに向かった。
「どうした、君、こんなところで…!」
コートも着ず、来ているのは異国の服装で、鮮やかな
蔓や子細な華の模様が輝いている。たっぷりとした布だが、
どう見ても防寒具ではなく、たとえば王族が着るようなものだ。
自分が来ていたコートを、重いかもしれないが、掛けてやると、
ようやくこちらに気付いたように、瞳を向ける。


取手と葉佩 

May 29 [Sun], 2005, 0:21



昇降口で二人が見上げたのは雨雲。
傘もあったがばしゃばしゃ蹴り上げて下校する生徒を見て
ひとこと、葉佩はつぶやいた。



「時間つぶしてやむの待ってようか」






激しく降り続ける雨から逃れて下校時間の過ぎた音楽室に
忍び込んだ。カーテンは当然閉めてあり、わずかばかり隙間
からまた弱い光が入ってくるのみで、おおっぴらに電気を灯す
のも気が引けて、蛍光灯はピアノの上の一つだけだ。

「これは聞いた事ある。サッカーの時のやつ」
「そうだね。日本代表のテーマ曲につかわれてた、
ヴェルディの凱旋行進曲って言うんだけど」
「べるでぃ?」
「…まぁそんなことはいいんだけれど」


音楽の成績が彼の親友と同じく地面を這ってる彼は
音楽家の名前など知らないらしい。

横で黙って聞いていたが、演奏が終わって取手の肩から
力が完全に抜けきったのを見て、指を鍵盤に伸ばした。

「僕に音楽はサッパリだけど鎌治の弾く曲は好きだ」
「本当?」
「困ったねそんな信用無いの」

溜息をこれ見よがしについた葉佩に慌てて首を振りいやあの
うれしくてそのという言葉をもごもご零すと、そっかそっか
といってご機嫌でどれみどれみと鍵盤を叩いた。

箱の中 

May 26 [Thu], 2005, 23:53
小さい頃から殆ど村から出た事の無い天戒はよく龍麻から
話を聞く。それは外部の事であったり、大陸の歴史であったり、
子供のお伽噺であったり、異国の神話だったりした。
小さな世界で、縛り付けられるよう生きてきた鬼道衆頭領は
子供じみた話でもさも嬉しそうに目を輝かせて聞くので
龍麻も得意げになって寝床の中で時には手を振って話した。
天戒は彼の腕を枕にしてにこにこと笑う龍麻を見て、
目を細めながら夜の薄闇と蝋燭の光の中過ごした。
それが繰り返される日常のひとつでもあった。

「今日は何の話にしようか、天戒」
「ふむ、そうだな」

投げ出されたままの天戒の赤い髪を掬い取りながら、龍麻は
上機嫌に呟いた。リクエストを乞い、髪を引っ張る様子を
幼子のようだと苦笑しつつも、天戒は自分の腕を枕にした
彼の瞳に自分が映るのを見ていた。
と、ゆるく笑っていたがふと思い出したように指を顎に当てた。

「ああ、そういえば俺も桔梗に聞いたものを知っている」
「今日は天戒の話か。こういうのも悪くないなぁ」

「ふふ、そうだな。西洋の話らしいのだが『パンドラの匣』と」
「どんな話?」


続きを強請る目は好奇心で薄闇の中でもきらりきらりと輝いていた。
自分も龍麻の話を聞く時はこういう顔をしていたのだろうか?
彼の黒く短い髪を梳きながら桔梗の話を反芻する。


「東の島国にいた女神が持っていたパンドラの箱の話だ」

「あ」

実は龍麻はその話を知っていたが、気を取りなおして天戒の目を
覗き込んだ。いつも聞く側の彼が実に嬉しそうに見えたので
小さく笑った後、そのまま聞く事にした。

「ごめん、続けて」
「どうした龍麻、寒いのか」
「うんちょっと」
もそもそと天戒の方に移動してさらに暖を取る龍麻の
頭を一度撫で、口を開いた。



神から貰った決して開けてはいけない箱をつい開けてしまった青年。
その中から飛び出した絶望は彼を傷つけてしまった事。
それだけではなく世界に飛び散ってしまった災い。

外法 

May 16 [Mon], 2005, 3:15



「だめだよ、」

頭の上から聞こえた声はひどく痛々しかった。
確かにそこには同情もあったかもしれないがきっとそこには
誠実さとか思いやりがこめられていた。




『ボーダー』



捨てられた記憶は最早遠く、
勿論忘れはしない刻まれた傷だ。
一人で歩いた雪景色を覚えている。
誰もいない白の世界にあるのは唯、絶望だった。
でも、いまが不幸せなわけではない。
出会った人得たものつよい絆。
彼等を変えた大きな力。存在。想い。
そして自分の変化。
全てひっくるめて受け止める事が出来たからこそ
お前に話した。
自分で選んだ。
自分の中で整理出来ている、筈だ。
ただ、聞いて欲しいと、思った。

「春を待たずに、俺は村を出る」
ぽつんと言った時に龍麻の腕がのびた。




鬼を屠るしなやかな腕が首と頭に触れて擦れる。
力がこめられているのに想いひとつでここまでも
優しく、暖かい。



なにするんだ、と言おうと口を開いたが
喉が情けなく震えた。
目の奥が灼熱したのでよく分からなくなり額を龍斗の
肩に押し付ける。 ひだまりのにおいがした。


「いかないで、燠継」
声音は頭の奥がぐらぐらする程に染み渡った。


外法 

May 10 [Tue], 2005, 2:27
『…す…い…』


「…」
聞こえない。
聞き慣れた声が何かを呟いたのに。
最後には耳障りなノイズでかき消された。
それから来るのはただひたすら、静寂。



りぃん、りぃん、

「……ァ…」


喉が痛い。
澄んだ音は鈴の音か。




頬を付けた地面は深い蒼。
身体と密着したそれはひどく心地よい。
ひんやりと冷たく頼りなく上下に呼吸するように揺れていた。
海は見た事無いけれど、きっとこういうものかもしれない。
全てが終わった後というのもきっとこういうものかもしれない。


この海に流されるのも悪くはない。


(りゅうとさん)



りぃん、りぃん、

「…だれ…」
掠れた喉は二文字絞り出すので精いっぱいだった。


(りゅうとさん、あなたはまだここにくるべきではない)

白い指が閃くように動いた瞬間、ふ、と喉が楽になった。
掠れて焼けるまで名前を呼び続けたのが嘘のように空気を通し、
糸が切れていた手足にも芯が戻った。
ぴくりと動かしたがそれ以上の動きはしない。



「俺は死んだのか」


(…いいえ。あなたの宿星はまだおわっていないわ)


「終わっていない?いや、終わった。
天戒も、桔梗も、燠継もみんな、…たすけられなかった」

まだ覚えている。
顔にかかった血飛沫の匂いを、暖かさを。
剣を支えになおも立ち上がり、皆を庇う姿を。
助け起こしたら、あんたはにげな、と言って細めた瞳を。


気の迷いで幻水4です 

April 24 [Sun], 2005, 20:54

4主=クロウ で 笑



あちらへ向かったと思ったらエレベーターを使ったのか逆の方へ
駆け抜けて、今度は甲板へ向かう階段を蹴り上げる。
その後を慌てて追う、人。


壁にもたれかかって腕を組んでいたハーウ゛ェイは眉根を寄せ、
その隣で目を閉じていたシグルドはそれに気付き小さく笑う。
「んだよ」
「いや別に」
口元を押さえて首を振った仲間を半眼で睨み、壁に背を滑らせ
ずるずると下に座り込んだ。いい大人が、とシグルドが
小さくつぶやいたのに気付かない振りでまた前を通る
クロウの姿を見送った。
彼の眼球が彼を追っているのを微笑ましく見て、
顎を掌で撫でた。
大股の早歩きで今度は作戦室に入って行く。

ギィと軋みを上げて船が揺れた。


「シグルド」
「ああ」
「暇だな」
「…まぁ…そうだな」
「よし」

何が「よし」なのかさっぱり不明だったのだがスーハー深呼吸する
彼を見て、そういうときはヒッヒッフーだ、と言ったら「そうか」
と疑わずに真剣な目でラマーズ法を実行していた。
えーとどこから突っ込んだらいいのかと考えていると
がばさとハーウ゛ェイは立ち上がった。

「クロウ!」
「うおびっくりした。ハーウ゛ェイさんそんなとこ
座っちゃだめですよ。ヤンキーじゃあるまいし」
足を止めて本を抱えてこちらに顔を向けた。
「あ、えーとオレ暇なんだ、シグルドも」
「今日はいい天気ですから釣りでもどうですか」
「いやそうじゃなくて」
「それじゃあ」
独特の古い本の匂いがするそれを抱えなおし、階段を降りようと
つま先をそちらに向けた。お疲れですーと言って。

「待てよ!」
「そうだ、お部屋ちゃんと片さなきゃ駄目ですよ」
「何で知ってるんだよていうかそんな事」
「閉め切った空間ですからこまめに掃除お願いします」
「それキカ様も言ってるんですよ実は」
「あはは シグルドさんちゃんとさせといて下さいね」
じゃあ、と言って今度こそ階段を駆け降りた。

あっ、と間抜けな声を出して固まったハーウ゛ェイを
横目で見て、こっそりと笑った。
彼の行動はあまりに分かりやすく、また何年も傍で戦ってきた
自分であったら手に取るように分かった。

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