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【オピニオン】総需要の不足が問題、思い切った政策を期待=ライシュ元労働長官 / 2010年08月04日(水)
 今秋の中間選挙の結果に関らず、オバマ政権の「実践家」としての段階は終わりを迎えたようだ。大統領にとって、これまでの成果を維持することでさえ容易ではないかもしれない。彼の立法上の成功は強い反対を巻き起こしたが、支持強化につながるほどではなかった。こうした状況は、彼と議会民主党にとって破滅的な結果を招く可能性もある。

 景気対策について考えてみるといい。財政、金融どちらの政策がもたらしたのか区別するのは難しいものの、大半の有識者は、景気対策が効果を示した、と結論付けている。実質ベースの国内総生産(GDP)は現在、年率2.4%の伸びを示しており、回復力に弱さが残るとはいえ、本格的な景気後退に逆戻りするとは考えにくい。

 しかし、公式な失業率は9%を上回っている。この数字には、職探しをあきらめてしまった人や、フルタイムを希望しているにもかかわらずパートタイムで働いている人は含まれていない。失業者数の約半分が6カ月以上仕事をみつけられないでいる――これは世界大恐慌以来の水準だ。

 問題の核心は、依然として総需要が不足していることだ。そもそも政府の間違いは、不十分な支出と、雇用創出に的をしぼった対策を取っていないことだ。

 公正を期すならば、議会が最初の景気対策を可決した2009年2月時点で、景気の深刻さを知っていた者はいなかった。しかし、09年春を過ぎて、政府は深刻さの度合いを知った。彼らはもっと積極的に支出を増やすべきだった。さらに、景気対策の3分の1程度が「一時的な減税」という形を取っていたが、これは需要を喚起するうえで比較的効果が薄いと、08年のブッシュ大統領による試みですでに証明済みだった。

 一方で、多くの州が景気刺激とは逆行する政策、支出削減や増税に踏み切った。オバマ政権は、景気対策がほとんど効かないとわかった。

 それでも、最初の景気対策は、「連邦財政赤字を不必要に拡大するもの」だとする保守派の批判者を刺激した。失業削減に明らかに失敗したことがわかると、火に油を注ぐがごとく批判をさらに強めた。

 このようなパターン、つまり、反対派を勢いづかせるには十分だが、多くの人々に明らかに恩恵をもたらす、または有権者や民主党の票田の熱狂的な支持を得るには不十分、というパターンは、主要な景気対策にほとんどつきものだ。

 不良資産救済プログラム(TARP)は金融上、明白な成功だった。ウォール・ストリートを破たんの淵から引き戻し、納税者負担を1000億ドル(約8兆6000億円)を大幅に下回る額に抑えることができそうだ。しかしながら、広い意味では、TARPは失敗だ。

 ウォール・ストリートの救済は、メイン・ストリート(実体経済)の復活と住宅保有者・雇用の保護を目的として、ブッシュ、そしてオバマ政権により米国民に売り込まれた。TARPは、これらのより大きい目的を果たしていない。零細事業は融資を受けるのが困難となっている。TARP特別監察長官の最近のリポートによると、住宅ローンの条件変更は、支援対象とみられる300万-400万人の住宅の借り手うち、わずか34万人にとどまっている。

 ウォール・ストリートの利益が回復する中、TARPは政府による巨額の金融支援だったとみる向きが多くなった。09年9月に実施したハート・アソシエーションの世論調査によると、大手銀行が政府の経済政策で恩恵を「かなり」または「相当程度」受けているとの回答は60%を上回ったが、「平均的な勤労者」が恩恵を受けたとの回答は13%にとどまった。TARPは、右派においては茶会党の怒りを買い、左派からは失望を、「メイン・ストリート」からは冷めた見方を頂戴したのだ。

 最近成立した金融規制改革法は、もうひとつの良い例だ。ウォール・ストリートは同法に神経を尖らせ、共和党から反対意見が続出しているが、それでも、改革者が求める「大胆な改革」の多くを欠いている。たとえば、同法は、大手銀行の規模を制限していないし、銀行家の報酬と長期的な業績を連動させることもしていない。ポール・ボルカー元連邦準備理事会(FRB)議長の懇願にもかかわらず、多くの危険な取引が、政府が商業銀行業務に認める保護によって支援され、続けられることだろう。簡単に言えば、この金融改革は、将来のさらなる銀行救済を排除していないのだ。

 医療保険改革法も、医療関連業界の「乗っ取り」との猛烈な批判を巻き起こすに十分な大きさだ。しかし、多くの人々に将来、本当に「手に届く」医療を得られる実感を与えるほど大規模で大胆といえるものではない。確かに、既往症のある人々は保険のカバー範囲が広くなるし、深刻な病に冒されている人が保険から漏れるということはない。しかしなお、大半の米国人は、強大な市場のパワーを持つ保険会社と契約を結ばざるを得ない。

 力強さに欠け、失業を解決できない景気対策。実体経済に恩恵のないTARP、ウォール・ストリートを抜本改革しない金融改革、医療費の引き下げを約束できない医療保険改革――これらすべてが「情熱の温度差」を生んでいる。右派を熱くし、左派の士気を低下させ、一般の人々に不安を抱かせている。

 これにより、民主党の立場は難しくなっている。民主党は「否定命題」を証明しなければならないのだ。「景気対策には多額の費用がかかり、新たな規制も必要だが、対策を講じなければ、ますます状況は悪化する」と。

 現政権は高い評価に値する。統制の取れた共和党の反対に直面しながら、上下院の現有勢力で、できるかぎりのことは成し遂げた。しかし、ビスマルク宰相の名言「政治とは可能性の芸術である」が正しいとは限らない。

 現実は、「政治の範囲内で可能なことを成し遂げる」か、「政治を変えて範囲を広げることで、目標をより確実に遂行する」のどちらを選ぶかだ。リンドン・ジョンソン大統領とロナルド・レーガン大統領が示したように、後者はよりリスクが伴うが、得られるものは永続的で、より力強い機能が付与される。

 今のところ、オバマ大統領は前者のコースを選択してきた。08年の大統領選挙戦で見せた、人々を鼓舞して先頭に立つ類まれな能力にもかかわらず、大統領としてはほとんど、インサイド・ゲームに終始してきた。

 おそらく大統領は、政治取引で実現可能なことをぶちこわすようなまねはしたくなかったのだろう。彼の性質・傾向からいって、対立より譲歩の方が心地よいのかもしれない。もっと野心的な国内課題を、外交政策での共和党支持と引き換えにあきらめた、との解釈も可能だ。あるいは、有権者の二極化の高まりを感じ、エスカレートさせることを嫌ったのかもしれない。

 このような仮説はさておき、大統領と彼の党がさらに多くのことを成し遂げる能力が蝕まれているのは、否定できない事実となっている。とはいえ、「オバマの時代」の墓碑銘を刻むのはかなり時期尚早だ。彼はまだ驚かせてくれる。彼は、いつもわれわれに気づかせてくれるように、最も想像を超えた大統領なのだ。

(ロバート・ライシュ元労働長官は現在、カリフォルニア大学バークレー校の公共政策大学院の教授)

【8月4日8時52分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100804-00000001-wsj-int
 
   
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