story 

September 24 [Mon], 2007, 1:53
感慨のわかない自分にはっとする瞬間がある。
寂しさや悲しみはストーリーの主人公にとって
なくてはならない要素だから
平穏すぎる 満たされすぎる水面の上で
事態はちっともドラマチックなんかでない

強烈に目に焼きついているのは
誰かの伏せられた瞳
それを目にした瞬間
私はその光景を忘れないだろうと予感した

思い出している、今夜も
幸福なさざ波に漂っているべき時間も
死んでもよみがえることのない
あの熱を思い出している

不器用で 自分の思うように行かず
だから 美しかった日々
何もなくて けれどすべてが在った

今はすべて在るけど 何もない
私は幸福であることを恐れて
逃げ惑っているカワイソウなヒーローだから。

Ring 

September 06 [Thu], 2007, 2:29
数字のゼロを、執拗に見つめる。
街や世の中にあふれるゼロや丸ばかりが目に付く。
あの、出口も切れ目もない形態。
それが重い意味を持って私の眼前にあふれ出す。

可愛そうな奴。
まだ咲きそうにない桜の園を歩いていた
そのぼんやりとした空気感を思い出して私は思わずそう口にする。
君の背を見ていた。
空が青かった。

無言のまま、花の名がついた紅茶をすする。
私は会話の糸口を探してちらちらとあなたを見ていた。
その頬に射す光の角度。
思わぬ記憶がよみがえり、私はますます口を閉ざす。
言葉の行き着けない境地があることを私は知る。
カップの底で雪のように積もる甘い角砂糖。
あなたの手が春の陽に透けてゆくのを見た。

私を甘い気持ちにさせるのは、声と言葉。
受話器の向こうから今、聞こえるのは誰の声なのだろう。
ためらいなく私に言葉と息遣いを与える、
あなたはだあれ。

途切れることのない円。
それは永遠を意味するループ。
私がこの人生できっと得られないもの。
そのことをあなたは私に教えた。
声にも言葉にもならない方法で私に刻んだ。

この街に、世の中にあふれる永遠を車窓から数える。
私の祈りを聞いて欲しい。
途切れることのない完璧なリングを、
この手のひらの上に、私は欲しい、ひたすら,それだけ。

nameless feelings 

August 25 [Sat], 2007, 0:24
発生して然るべき感情に、
無理やり蓋をして、
私は保身のために計算する。

慣れない損得勘定。
感性で回答を導くだけでは、
生き残れないことをなんとなく学んでいる。

軽蔑してしまえたらいいのに。
そう哀願して、惨めな気持ちになる。
執着しない。嫉妬もしない。
けれど何も望まないことが出来るなら、最初から生まれるものなどない。

理解しようという大仰な志は捨てる。
いかに遠目に、すべてを見るか。
まさしくそれは、「とても難しいゲーム」。

今、どんな夢の中で、誰に語りかけているの。
感情を置いて、関連のない回想と共に問う。

思い出は私の深い親友。
私を抱いて、ときどきひどく裏切る。

one ordinary day 

August 05 [Sun], 2007, 0:52
すべてのことに無関心に生きれば、
悲しみも喜びもなく平穏。
人に興味を持つこともなければ、
むやみ傷つくこともない。
「まあ、いいか」
そう思ってやり過ごせないことなど、
人生にはない。

そう語る人を前にして、
今、きっと私は諌められているわけでも
諭されているわけでもなく、
慰められているのだ、と気づく。
きっとこの人なりのやり方で、
私は気遣われている。

どうでもいい、と、
どのようにしたら思えるのか。
しかも、捨て鉢ではなくごく自然に。
きっと私には一生かかってもできない。
どうでもよくないことが多すぎるのが、
私の人生だから。

愛する人から愛されたい。
欲望は限りなくシンプルで痛々しい。
空に回帰し、海へ消える水。
心はそんなふうにめぐって、
永遠に果てしなく、その過程を繰り返す。

感動もあり、焦燥もあり。
私は、ただずっと、
愛の言葉が語られる日を待っている。

moon shine 

July 20 [Fri], 2007, 2:54
回るミラーボールを見つめている。
月のようだ、と私は思い、
初めて抱いたその感慨を抱き寄せる。

幾多の細かな光を撒き散らしながら、
室内で回転する月は熱狂を見守る。
私も従順な天体の一つとしてそこに在り、
宇宙の果てから続いているような喧騒に、
全身を預けている。

煙草を吸えない私は手持ち無沙汰で、
頬杖をつき、目を閉じて時間を潰している。
大音量の下で、私の思考は水を打ったように静かだ。
昨日の夢。
私は何度も再生ボタンを押して、繰り返し浸る。

グラスの底に沈んだレモンの切れ端。
私は指でそれを弄び、甘い気持ちを確かめる。
数え切れない夜が過ぎた。
笑い転げる夜。涙を抑えられない夜。
故郷の夜。異国の夜。東京の夜。
一人の夜。二人の夜。何もなく、ただ、明けてゆく夜。
そのあらゆる瞬間に同じ夢を見ていたこと。
私は間近でゆっくりと回る月に問う。
歌声も言葉も届かない、
夢の彼方に貫く光を、心で強く、イメージして。

あなたを、喧騒と沈黙の間で、思う。

never is A promise 

July 12 [Thu], 2007, 2:14
多くのことは矛盾している。
説明の出来ない、名前のない感情と衝動が、
私の中でいつも、生まれるから。

頬杖をつき、目の前に置かれたグラスの中を見ている。
結露し、テーブルをだらしなく濡らしてゆく冷たい飲み物。
退屈な時間は次第に底に溜まって沈殿を重ね、
ストローによってぐるぐるとかき混ぜられる時を待っている。

猛スピードで小さな駅を黙殺し、過ぎてゆく電車。
その車窓から見えるのは簡素な街。
君と私が作り上げた寂しげな街。

記憶という名のついた塔。
時を正確に刻む為ではなく、鐘は突然、鳴り響く。
静寂に満たされていた広場の鳩が、一斉に飛び立つとき。
振り返る私は、その塔が崩れ落ちてゆく光景に出会う。

私は矛盾を是正することが出来ない。
ただ、頬杖をついたままの視線で見つめ続ける。
氷が溶けて、グラスの中の液体はかさを増す。
私の心は、透明な膜に覆われてすべての光を歪めている。

哀しく澄んだ鐘の音。
私が欲しいのは抱擁ではなく言葉とまなざし。
今、目の前を電車が通り過ぎる。

君の眼前にある車窓から、今、何が見えるの。
きっと私は、遠く小さく消え去って、君はまた、他の街に行き着く。
塔が朽ちてもなおこの街は、
住むべき人を、きっと、待ち続けている。

Tuesday's park 

July 04 [Wed], 2007, 2:45
小さな歓声とともに、白く発光し、火花が散る。
白からオレンジ、オレンジから緑に色を変え、
花火は勢いよく燃える。

やがて突然、力尽きて火は消え去り、
あたりはまた、元通りの暗闇に沈む。
固い火薬のにおいが、微風に乗って私のところにまで届く。

少年たちの行う連続した遊びを、
私は離れた場所にあるベンチに腰掛け、
ただ呆然と見ていた。
光と声にあふれ、その次に暗闇と沈黙が訪れる。
交互に、規則正しくそれらは繰り返され、
私は周囲を満たすにおいの底で、
無抵抗なまま煙に巻かれている。

薄い白煙に混じる夏のにおい。
空気はどっしりと重く、蒸している。
湿気が土を濡らし、香りだたせる。
風のゆくスピードを遅くさせ、月をも曇らせる。

私のドアを、いくつもの事象が、感情がノックする。
恐れや悲しみ、憤りや不安。
そして、きらきらと輝く、花火のような喜びと希望。

私はこんなにも切実に、すべての事柄と向き合っている。
何も手を抜いたりはしていない。
この目の前を通り過ぎてゆく感慨に、全身を預け、心を委ねる。
そんなふうにしか、私は生き方を知らない。
半ば賛美のように、半ば自棄のように、そう考える。

愛がある日々、
愛のない日々。
どちらも私には、空虚に見える。
少年たちの足元を明るく照らし出す花火の光が、
私には砂漠の果てに沈む夕景のように映る。
遠い遠い、憧れのように映る。

結局、誰の心にも近づけないまま。
私は恐ろしく絶望的な結論に接近しかけて空を仰ぐ。
喉の奥には塩のような味が残っている。

降り注ぐ、色とりどりの光と歓声。
私も、一瞬に咲く花火になりたい。
そして、その後にやってくる不意の闇の中で、
そっと静かに、愛を知りたい。

june 

June 15 [Fri], 2007, 0:39
雨の夜は、なぜ、あなたに近い気がするのだろう。
窓から吹き込んでくる冷気。
この部屋に、私以外の体温などないのに。
今、すぐとなりに、あなたが座り、
私に無言で語りかけてくれている気がする。

いや、語りかけているのは私か。
いつもそうだ。
あなたは私に何も問わない。
自由を奪わない代わりに、約束もくれない。
透明な影のよう。
あなたはいつだってそうだ。

滴れ落ちた水が地面に弾けて、
可憐な音を響かせる。
涙にも、足音にも、歌声にも似ている。
私は傘をさして歩いた日を思い出す。
あなたが私にくれた、言葉が夜の底で光っている。

風に押されて、ひるがえるカーテン。
こんなふうにはかなく、もし、命絶えたら。
最期に見るシネマに、
あなたの名前は消えずに残るでしょう。
哀しく、私らしいエンドロール。
あなたに次に会うときのために、
温めていた言葉が胸にある。
永遠にあなたに届くことなく、
私は雨音にすべてを託す。
もし今、あなたも窓を開けて、
同じ雨を聞いているのなら。

どうか、私のことを、忘れないで欲しい。

sunday park 

June 03 [Sun], 2007, 2:44
ベッドに横たわって、部屋を見渡す。
ある一点で、私の視線は止まる。
座りなれたソファ。
それを執拗に見つめ続ける。
あなたがいない。
その事実を確かめるように。

記憶はシネマのように目の前で始まり、
気まぐれに幕を引いて絶望だけが残る。
まるで至近距離でストロボが光ったよう。
残像が舞っている。
決してつかまえられない影。

あなたがいた街。
私は一人で歩いて、一人で考える。
一人で空を見上げて、風にあたる。
綺麗だね。気持ちいいね。
たったそれだけのことを、今は伝えられない。

誰も腰掛けていないソファが、
こんなにも寂しそうに映ることを、
私はある悟りの中で知る。
平凡な風景も、額縁をなくした絵画のように、
ただ、むなしく晒されているだけ。

ごめんね。
美しく澄んだ風に包まれて思う。
木々の若い緑の間から、ちらちらと漏れてくる光。
私の膝の上でそれらは飛び交い、
格子模様のシルエットを作る。
鈴の音のような子供の声。
水を飲む人。

さようなら。
心の中でその五文字を書いてみる。
違う。私が告げたいのはそれではない。
だけど、ごめんね。
どんな言葉よりも先に、その言葉が、泉のようにあふれ出す。
誰もいないソファに。
私は、眠りに落ちるまで語りかける。
もっともっと、もっと、あなたと話したかった。

a final certain 

May 28 [Mon], 2007, 3:32
目の前で大きく、手をたたかれて、
縮み上がるように目を覚ます。

そんなふうに物事の終わりを迎えたことは、
未だかつてない。

私にとっての「終わり」は、
もっと曖昧でゆるやかなものだ。

実体がなくて、私自身、明確に点として表すことが出来ない。
しかしそれは大きな口を開けたまま確実に存在し、
排水溝に向かって水が流れゆくように、
すべては、大きな渦に巻き込まれ、ゆっくりと視界から去る。

私は、それを沈黙したまま見送る。

夢がないわけではない。
私に足りていないのは火だ。
才能のなさは並大抵。
土壌となるスタートラインは同じでも、
私はいつまでも着火せずにくすぶり続ける。

雨のあとの、手持ち花火のように。
湿ったまま、美しく光り輝く瞬間は永遠に来ない。
火薬の気配と白い煙、
楽しげな歓声に包まれて、
私は水気を含んで重みを増す。


永遠と名のついたリングを、私は欲して、ため息をついた。
ものを食べ、本のページをめくり、文字を書くためにあるこの指に、
永遠を宿すことの出来る人々が、
この世には沢山いる。

わがままを言い、不機嫌になり、あなたを困らせる。
私が、他人の中に生きる「私」を確認できるのは、
その手段が最も手っ取り早い。
だけど、あなたに憎まれたくはない。

朝方の鳥が鳴く。風も泣いている。
これから始まる一日、
あなたは何を見て、何を思うの。
私は、永遠も刹那も宿らない、
この指を噛んであの感触を思い出す。

あなたに口に、触れた瞬間。
私に火がつき、すべては燃え、すでに焦げつくした。

P R
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