アオと好き。

April 25 [Wed], 2012, 3:23


「あー、アオちょっと。今ヒマ?」

昼休み、購買帰りに
あくびの彼に引きとめられた。



「先生、またなんか手伝わす気でしょ
。いーよ、何?」


2歩、近づく。


「補習のプリント、
ホッチキスで止めるん手伝って。」


1歩、今度は彼が近づく。
そのまま並んで司書室まで歩く。


彼だけはいつも優しい。
彼だけはあたしの心に
入ってきてくれる。


司書室は少し埃っぽい。
光に差される塵のキラキラ。

「今日先生さ、あくびをして歩いてたの見た。」

さっそく座ってホッチキスを動かす。

「うるせーよ。観察禁止。」

「先生も退屈だったりする?」

「お前ほどじゃない。」

「じゃあ、楽しいって思うのはどんな時?」





「アオは卒業したら本当に外に出る気?」

「どう考えても、ここは肌に合わないもん。」

生まれ育った街。
彼に出会えた街。
でも大っ嫌いだった。




彼はあまり返答をくれない。
それが好きだったりする。


「あー俺もどっか行こっかなー!」


ホッチキスは机に投げ出された。
塵のキラキラが彼の後ろを通り過ぎる。


「先生、一緒にどっか行こうよ。」









彼は返答をくれない。
いつもの事。




"手伝いのお礼に、これ。"



桃色のしおりをくれた。
終礼の時、カバンにしまった。

自転車をこいでこいでこいで。
見慣れた帰り道。
涙が止まらない。



司書室を出る時、
彼は一瞬あたしの腕を掴んだ。
でもすぐ放した。

「心配だ。ごめん。」

「何が?何で謝るの?」

「俺は何もしてやれないんだ。」

「そんな事ないよ。じゃあ、戻るね。」


曲がり角で急ブレーキをかけて
そのまま止まってしまった。


彼が下を向いた。
そんな彼は嫌いだ。
嫌いだ。嫌いだ。嫌いだ。


何故今こんなに泣いてるのか
全然よくわからない。


でも一つわかった事があった。
彼の事は好きだけど
そういうんじゃなかった。
じゃあどういうのかと言うと
それはわからない。


一緒に遠くに行きたかったのは
本当だった。
でも、


泣きじゃくりながら
自転車をこぐことに疲れてしまって
歩いて帰った。


耳元だけで流れるbjork。
彼くらい優しいんだ。






















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