DVD通販販壳た友人が

July 22 [Fri], 2011, 12:23
私――木塚東吾《きづかとうご》がその館を訪れたのは、八月十四日のことだった。
 湖の畔《ほとり》に佇《たたず》む館の姿を初めて眼にしたとき、ゆくりなくも私の脳裏にある一文が想起された。
「……そして、なぜかは判らぬけれどもDVD通販販壳――その建物を一瞥《いちべつ》したとたん、耐えがたいほどの憂愁《ゆうしゅう》が心に迫ったのである……」
 どこに登場する文章であるのか、咄嗟《とっさ》には思い出せなかった。
「ポオだよ」
 私の傍らに立つ男、遠路|遥々《はるばる》この地まで私を引きずってき言った。
「何を鳩《はと》が豆鉄砲を食ったような顔をしているんだ。君は自分が心の内にある言葉をついつい口に出してしまう癖《くせ》があることを、まだ自覚していないようだな」
「私が? 喋《しゃべ》っていたというのか」
「そのとおりだ。それに、君は大きな勘違いをしているぞ木塚君。あの屋敷はアッシャー家の館などではない。たしかに主《あるじ》は小説の中の人物に匹敵するほどの変人で頽廃《たいはい》しきっていたが、建物のほうはいたって健全だ。なにせ、主人が死んでも崩れ落ちたりはしなかったのだからな」
「この屋敷の主は、もう死んでいるのか」
「ああ、辻宮俊憲《つじみやとしのり》という、業突張《ごうつくば》りの守銭奴だ。そのくせ自分の趣味に関しては金に糸目をつけない所業で同好の士からも忌み嫌われる存在だった。あの世に行ってもおそらく友人ひとりいない寂しい暮らしを送っているだろうよ」
 辻宮という名前には記憶があった。化学工業製品の開発で富を成した人物だ。
「あそこは、辻宮俊憲の家なのか」
「なんだ、そんなことも知らずに付いてきたのかい?」
「付いてきたんじゃない。君が強引に僕を連れてきたんだ。しかも事情ひとつ説明せずにな」
 いつもそうだった。彼は自分勝手に私を引きずり回し、飛び込みたくもない厄介事《やっかいごと》の中心に放り込むのだ。今回も締め切り目前の原稿書きに勤《いそ通販販壳DVD番機は戦》しんでいる私の襟首《えりくび》を引っ掴《つか》んで、何の説明もせずにここまで連れてきた。事情を知らないからといって彼に責められる謂《いわ》れはない。
「事情は、おいおいわかるさ」
 彼はしれっとした口調で言う。
「さあ、辻宮俊憲が遺《のこ》したお宝とやらを拝みに行こう」
「それが目的だったのか」
「それも、ある」
「それもって……まさか、また――」
 その先を言うことはできなかった。彼がさっさと歩きだしてしまったからだ。私は黙って付いていくしかなかった。
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