「人民元切り上げ」で日本投資家は儲けられるのか 

March 26 [Fri], 2010, 0:58
 中国の通貨「人民元」が、2008年夏以降続いてきた「米ドルペッグ制」を近々取りやめ、同国が人民元の実質的な切り上げを実施するとの予測が為替市場で広がっている。

 中国は他の先進国と異なり、「管理変動相場制」を採用している。これは中国人民銀行が通貨の変動幅を管理できる仕組みだ。経済成長にしたがって通貨の価値は徐々に高くなっていくのが一般的だが、中国は元の通貨価値を低く抑えてきた。一部の専門家は実質的な人民元の価値は現在の1.5倍以上とも分析する。

 中国が頑なに人民元の切り上げを拒んできたのは、中国経済をけん引してきたのが、国内の人件費の安さと好調な輸出だったからだ。「世界の工場」と呼ばれる中国は、安い労働力と物価を武器に世界中の企業を誘致し、経済成長をはたしてきた。また輸出には自国通貨の価値が低い方が有利で、そのため中国政府は、経済成長しながらも人民元の価値を極力切り上げずに進めてきた。

 しかし世界経済に不均衡が生じてきたため、近年では人民元の切り上げを求める圧力が米国を中心に他国から強まっており、そろそろ人民元の切り上げが実施されるのではないかと市場は予測している。

 このような中、いま人民元を買っておけば、切り上げ実施された後に「一儲けできる」と一部の投資家の期待も高まっている。日本で人民元に投資するには、両替所で現物紙幣を購入したり、FX(外国為替証拠金取引)などの方法があるが、そんなに簡単に為替差益を得られるものなのだろうか。

 為替市場に詳しい専門家は「人民元の切り上げは、あくまで米ドルに対して通貨価値が高くなることを意味するもので、日本円に対して価値が高くなるとは限らない」と警鐘を鳴らす。「人民元高・米ドル安」となれば、為替市場では米ドルの影響力が大きいことから相対的に、「円高・米ドル安」に動き、その結果、「人民元高・円高」となって、人民元の切り上げ前と両通貨の価値がそれほど変わらない可能性もある。

 また外貨両替所などで人民元紙幣を購入する場合には、手数料や買値と売値の価格差が発生するので、たとえ人民元が円に対して高くなっても、思うように収益を上げられないケースも想定される。またFXでも人民元を購入する際には、両通貨の金利差分による「マイナススワップ」というものが日々発生してしまう業者が多く、長期投資には向いていない。

 人民元の切り上げは以前から予想されているものの、実際にいつ実施されるかは不明だ。なのでFXで元を短期保有で購入したつもりが長期保有せざるおえないケースも考えられ、人民元の切り上げの際に資産運用を狙うのは、投資初心者には難しいのが現状だ。

【3月22日14時40分配信 MONEYzine
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100322-00000000-sh_mon-bus_all