強く生きることの哀しさ

September 24 [Fri], 2004, 19:04
最近読んで、いちばん印象に残ってるのは
ピーコの「片目を失って見えてきたもの」というエッセイ。
何年か前に、紀伊国屋で本を物色していた時に
ハードカバー版の方にもお目にかかっていたのだけれど、
そのときはパラパラめくって読んだものの、買うには及ばず。
それが先日、本屋でピンと来て、文庫版をついに購入。
内容は、ピーコがガンの宣告を受けてから、左目を摘出し、
その後10年をどう生きてきたか、何を思ったか、ということなんだけれど。

人が何かを失うとき、その速度は、目にもとまらないほど速い。
どんなに長い間、努力して積み上げてきたものでも、
たとえば、生まれた時から平等に与えられているものだって。
そしてそれに対して、人ができることは何もなくて。
わたしたちは機械ではないから、バックアップだって取れない。
失ったら、それでおしまい。
わたしがこの本を読んで一番感銘を受けたのは、
何よりも、ピーコの自分の生に対する謙虚さ。
「自分の身の丈を知る」
「見返りを求めない」
「されるよりしてあげる」

人より多くのものを差し引かれてなお、自分は「与える」だけ。
とても強い人。
ただその強さは、単純な強さではなくて、
彼(彼女?)のただならぬ努力によってもたらされている。
そのことがもう、ひしひしと伝わってくる。
才能だ何だとよく言うけれど、そういう人に限って、いや、
そういう人ほど、ただならぬ努力をしているってこと。
当たり前といえば当たり前だけど…。
そこには悲壮な決意があって、それは誰もができることじゃない。
もちろん、ピーコという人は、何かを失ったから強いわけでも、
強くなったわけでもないと思うし、
もとから「強い人」の素質を持っていた部分もあるのだろうけど。
それでも、わたしは、そんな彼の生き様を垣間見て
素直に自分も頑張ってみようかなって思った。
強く生きれるかは分からない。ましてや、生きる意味なんて。
たとえば、誰もが何らかの使命を背負っているとして
いまのわたしには、自分のそれを知る由もないけれど
彼を見習って、背筋をピンと伸ばして、あくまで背伸びせず。

そう。この本を通して浮かんでくるピーコという人のイメージは、
誰よりも凛として、背筋をピン伸ばしている、そんな姿なのです。
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