寝癖 

May 12 [Sat], 2007, 4:56
暑かったり寒かったり過ごしにくくなってきた6月の半ば、まさに梅雨の季節。
連日雨ばかりでじめじめとしている。雨のなか傘をさして歩くのも好きだけど、こうも続くと晴れてほしいと思う。
鈴太は窓の外をぼんやりと眺める。
今日は日曜日。いつもよりのんびりとした朝。
ぼんやりとした頭で歯を磨き、冷たい水で顔を洗う。
そしてそのまま寝癖を直しもせず、同室の理晶に声を掛けると隣室の唯人のもとへと向かった。

コンコンコンとノックをする。
返事はない。
毎朝のことだ、もうわかっている。唯人は寝起きが悪い。なかなか起きないし、起きてからも眠そうにぼーっとしている。
しかも彼は一人部屋だ。休日なんか放っておくと部屋から出てこないこともめずらしくない。
毎朝遅刻では唯人本人だけでなく寮側も困るし、わざわざ唯人をたたき起こすためだけに管理人さんや寮長に断って鍵をあけてもらうのは大変だ。
だからといって部屋の鍵を掛けずにいるのも無用心だし…と話し合った結果、鈴太と理晶の202号室にも203号室の鍵がひとつ渡された。

鈴太はその鍵で部屋の中へと入る。
ベッドで眠る唯人のからだを揺すりながら耳元で言う。
「ゆい、ゆいとーっ朝だよー」
まったく反応しない唯人にももう慣れた。それに今日は日曜日で予定もなにもない。
う〜ん、もうちょっと寝かせててもいいか、と思い鍵を掛けて自室に戻るとちょうど来客がいた。

部屋の中央に置かれたテーブルでなにやら書類らしきものを広げている。
たしか、先輩。寮長とも仲のいい2年生の…えっと、そう晴野さん。
鈴太はほとんど顔を合わせたことがないのだが以前に何度か理晶を訪れてやって来たことがあったので覚えていた。
そのときもたいした話もせず理晶に取り次いだだけなのでたぶん向こうは覚えていないだろうけど。
やわらかい物腰なのになにかがひっかかるような曲者な気がしている。とは言ってもその確証も害もないのでただの優しい先輩だ。
人を疑ってかかってはいけない。とはおもっているのだがどうしても悪い癖がでてしまう。

「あ、おかえりー」
理晶が入ってきた鈴太に目をやる。
「ただいまーあ、おはようございます」
鈴太は笑顔で晴野に挨拶する。
「あぁ、おはよう、えーっと…」
彼はやわらかい笑顔で鈴太に応え、すこし悩んだような顔をした。
「あ、同室の花村くんです。鈴太、こちら2年の晴野先輩。」
そんな様子を見て理晶が紹介する。
「はじめまして、晴野先輩。」
なんとなく、今初めて知った風に振舞う。
「はじめまして。あ、そういえば何度かここへ来たときに会ったことあるか」
「ん?あぁ、そうでしたねぇーなんか委員会関係ですか?」
「あぁちょっとね」
「そうですか、じゃあおれ隣に行ってきますね」
「え?いま行ってきたばっかじゃないの?」
理晶が聞く。たしかに帰ってきたばかりだ。
「や、邪魔になったらわるいし」
「そんなことないよ」
「俺もいてくれてかまわないけど…」
晴野も理晶もそう言ってくれたがひとりでここにいるのもつまらない。
「いや、まだ唯人おきてないから。もういっかい起こしてくるー」
「そっか、そんじゃあ」
「うんじゃあー」

鶯谷 

May 12 [Sat], 2007, 4:14
あめがふる。きょうも、またあめ。



野中は予報外れの思いがけない雨にふられバイト先のコンビニへすこし早足で向かう。
電車がとおりすぎる音を聞きいて、雨にうたれる小さな駅をすこしだけ振り返った。


店に着き雨を適当に払ってからなかへ入る。
「おはよーございまーす」
「はよーございまーす」
野中が扉を開けながらあいさつをするといまいち覇気のない声が返ってきた。
今日は渡瀬と一緒か、とロッカーへ荷物をしまいながら思うともなしに認識する。
渡瀬は野中よりひとつ年下で、まじめだが少々無愛想でぼんやりした男だ。
普段ぼんやりしているわりにたまに喋ればサメに勝つ方法だの発光体がどうのだのを一方的に熱弁してくる。
そんな男にも関わらずなぜか彼を目当てに来る女性客もすくなくない。
たしかに容姿はいいほうかもしれないけど……と、彼のまわりの友人は常々不思議におもっている。


「さみー急にふってくんだもん。けっこう濡れちゃったなー」
上着をぬぎながらひとりごとくらいのトーンで言う。


上着を脱いだはいいが、困った。
私服の上に一枚羽織るタイプの制服なのでひどく濡れているわけではなくてもこのままでは寒い。


「う〜ん……」
ロッカーのうえに未使用のタオルが入ったダンボールが積んである。
本当は清掃用だが、一枚くらい拝借してもかまわないだろう、と思い手を伸ばす。
しかしそこまで届かず、しかたないので近くにあった椅子を台にしようとガタガタと動かしかけたところ、身支度を終えた渡瀬がすっとロッカーの上へと手をのばした。
そして下ろした箱から一枚タオルをとりだし野中にさしだす。
「あ、ありがとう」
「いーえ、たいへんそうだったんで」
「おまえ、かわいくないな」
「べつにいいし」

野中は普段、自分がずいぶんと小柄なことをコンプレックスとまではおもってはいないが、こういうとき、ほかの男性スタッフとの視界の高さやリーチの長さのちがいに打ちひしがれてしまう。

「あ、そのままじゃ寒くない?それ脱いでこれ着る?」
とTシャツの上に羽織ってきたらしい自分のシャツをロッカーから取り出した。
「あ、う、うん。ありがとう」
突然の妙なやさしさに野中はとまどってしまったがその厚意を感謝してうけとることにし、濡れてしまった服を脱ぎ髪やからだの水滴を拭った。
ある程度そうしたあと、渡瀬のシャツを着てボタンをひとつずつとめていく。
その姿をみて渡瀬は吹き出すようにすこしわらった。
なんとなく、その理由がわかってしまった野中はにらむように問う。
「……ん?なに?」
「いやーやっぱねー袖折るの手伝おーか?」
「そこまでじゃないわ!」
やっぱり。そうだとはおもったけど、借りた服は肩幅も袖も裾もたしかにおおきいし、自分が小さいことも自覚はちゃんとあるけど。
と野中はおもいながらも、それでも面と向かってそんな風に言われたらおもわず声が荒くなってしまった。
「や、そのままじゃやりづらいしょ、バイト」
「う〜んまぁねぇ……」
と、鈍い反応をみせる野中に渡瀬は、ほら、といいながらやさしく手をとり丁寧に袖を捲り上げていく。
その様子をとくに反論することもなく野中は見つめた。そして渡瀬は両腕を終えると はい、と野中の制服を無造作に渡してから時計に目をやった。
「もう時間じゃん。行かなきゃ。だりーなー」
そう言って二人分のタイムカードを押し、店へと出た。
あとを追うように野中も店に出て前の時間のスタッフと交代する。


「あの、渡瀬、ありがとうな、いろいろ」
「いーえ、かわいそうな子供がいたら手助けしたくなるのがひとってもんでしょ」
「おまえほんっとうにかわいくないな」
「いやー野中さんはかわいーからねー」
「べつにうれしくないし」
そう言った渡瀬の顔は、からかうものではなくふわりとやさしい微笑みで、苛立ちながらも内心、普段あまりみたことのなかった表情におどろいていた。
「いやほんとに褒めてんだけど」
と、追い討ちをかけるようなそのやさしい声に不思議と怒る気がなくなってしまった。


「あぁ……これか……」
渡瀬がモテる理由がわかったな、と野中はちいさくつぶやいた。

天使 

May 11 [Fri], 2007, 3:55
空から舞い降りてくるでもなく、とりたてて特別なところなどなく、だけどあきらかにちがう、
天使はごく自然に、生活にはいりこんでくる。


たとえばこどものころ、理科の授業でならった雲について。
あれが水だとおしえられたときはほんのすこしショックだった。
こうしておとなになっていくものなのだ。
などとおもったわけではないが、がっこう帰りの公園でブランコにゆられながら、なんとなく空をみあげる。
そこにはもう夢はないようにみえた。
きょうの空はすこし雲があつく、よりさみしくなった。


「あれって、なにか知ってる?」
横をみればおなじ歳くらいの少年がおなじようにブランコにのりながら問いかけている。
その目線のさきは空、たぶん正確には雲。

ぼくはおどろいて不思議そうな表情でもしていたのだろう、少年の髪がすこし、ふわりとゆれたあとその少年も不思議そうな表情をつくりながらもういちど言った。
「雲って、なにか知ってる?」

「くもはくもだろ?」
「そうじゃなくて。あれのうえって天使の棲家なんだよ。」
「あ、そう」

目のまえの少年はぼくの返事が気にくわなかったらしく、それを隠そうともせず、表情をゆがめた。
「ひとのはなしはちゃんと聞けよ。」
声こそ荒げてはいないが、正直にことばでもせめてくる。
「聞いてるし。てゆうかそもそもおまえ誰だよ」
「ん?天使」
そういって少年は微笑んだ。
それはぼくの短い人生のなかではいちどもみたことのないような綺麗な表情だった。

「あ、そう」
なんだかばからしくなってきてしまい、またぼんやりと空をみる。
「信じてないんだろ」
「んーん、信じてる信じてる。ちょーしんじてる」
「ほんとうにあの上って天使が住んでるんだって」
「へーそりゃ形がかわって天使さんはたいへんですね」
「……じゃあさ、きみはあれがなにか知ってるの?」
「雲?水でできてんだろ。がっこでならった」
「ふーん、それ信じてんだ?」
「信じるも信じないもねぇじゃん」
「……まぁ、そのうちわかるよ」
少年はまた、ゆっくりと微笑んだ。

「あ、そう」
ぼくは空をみあげたまま、隣の少年が苛立ちの表情をみせる三度めのこの返事をした。


「じゃあ、またね」
少年がそう言うと、雲が途切れその間から太陽の光がさしこんだ。突然のまぶしさに目を細めると同時に強い風が吹いた。おもわずぼくは強く目を閉じた。


ぼくがつぎに目をあけたとき、少年のすがたはもうなかった。

萩尾望都 

December 04 [Mon], 2006, 2:33
こないだ眠るまえにひっさびさに11人いる!をよんだ。
やっぱ萩尾望都すごいなー3年ぶりくらいに読んだからお話わすれてて、四世がかっこいいとかみてたら…続編が…泣いた
あと本編と続編とかの長編はもちろん短編もおもしろいんだよな〜
ポーの一族はすごくすきで定期的によみかえしてるからどのお話もおぼえてるけど、それでも何回読んでもすごいとおもう

自分語り笑 

December 04 [Mon], 2006, 2:14
なんとなくプロフィールのとこつくってみましたいまさら。

eri 

December 03 [Sun], 2006, 3:04
いま女子萌え期間突入っぽいです。あほみたいに戸田恵梨香と沢尻エリカの画像あつめてました。おもわず女子フォルダをつくりました。あと佐藤江梨子の写真集ひっぱりだしてます。エリだらけだ笑 いま、いちばんもえつぼをおしてくるのは沢尻エリカたんです。お顔ももちろんかわいいけど、からだがすごく好み。

R25の 

November 10 [Fri], 2006, 2:34
…てゆか…しょこたんぶろぐみてるんじゃぼーいずらぶとかやおいとか二次同人とかしってるだろうけど、まさかじぶんたちのがあるとはおもうまい。てゆか電波とかおたくとかみたいなにおいはもうたかふみがいるからいいじゃん…かぶるからやめなよ…!しょこたん経由でヴぃpとか…いやしってたらおもしろいけど笑!あののりはすきそうだけど…ぼんやりでうっかりでしっかりでほわんとしててつっこみでえすなみためはしょうねんじっさいはおとななままでいいじゃんか…というきもち

baby 

October 18 [Wed], 2006, 23:49
日付は詐称で。
きょうはなちゅんのあかちゃんに会いに行ったちっちゃくってかわいくて生命ってすげぇっておもった
ぷーさんのナイトシアターみたいなのをあげた電池のいれるとこのふたをあけるのに苦労したでもかわいかったしよろこんでもらえたみたいでよかった
それからみどりがきてぐだぐだしたあと、3人でカラオケ行ったふるいうたいれまくっておもしろかった深夜帰宅

ひとりごと 

September 28 [Thu], 2006, 9:30
うさまるのまんがでおもいだしたけど、わたし昔はいろいろと物知らずだったな〜とおもう。
そりゃあ高校生とか中学生くらいの子になんでもかんでも理解できるような単純なものごとばっかではないけど、本とかから得られる知識や感情もかみくだけきれないから今読んだら違うんだろうな、とおもう。知らないから正面きって見れたものもあるけど。でも、本とか映画とかそうゆうものを取り入れることが確実に、量や時間ってゆう目に見えるものとして減ったけど、それでもあのころよりは吸収率がいいとおもう。理解力とか視野の問題というか、すこしはまわりがみえてる気がする。気がする。でも数年後のあたしはいまのあたしをくだらなくおもうんだろうな。
わたしが、意味を求めるのはかわいくない とおもうのも瞬時の理解力とか吸収力とか判断力がかわったからかんじることなのかな。それがいいか悪いかはべつとして。

吐き出し 

September 26 [Tue], 2006, 2:34
きょうのあたしは情緒不安定すぎる。自分で自覚しているだけましなのか、たちがわるいのか。気づいているのにどうにもできなくて、とにかく涙がでる。

人の生死に関わっていることに口出しできるような人間ではないけど、どうして世の中暗い事件であふれているんだろう。もちろん素敵な出来事もたくさんおきてるけど。どうしてひとがこんなに亡くならなくてはならないんだろう。それなのにどうして私はこうしてのうのうと生きているんだろう。

つま恋での吉田拓郎さんとかぐや姫のライブをニュースで見て泣いた。単純にノスタルジックさと青春のにおいやオーラや存在のすごさに心動かされたってのも大きくある。それに、自分の小ささにも泣いた。30年後のあたしは、ステージの上下関わらずあの場にいた方々のようにあんな素敵な輝いた表情でいるだろうか。とか。30年前の、今をどうおもってるのかな。とか。あたしの青春はなんなのだろうか。とか。青春の確認、できるかな?とか。


愛されたいなら、他人を、まずは隣人を愛するとか、そのひとたちに愛されるようにするとかしないと。いまのあたしはそういうあたりまえのことができていない。
それどころか弱すぎて、自分に過保護で甘いくせに、じぶんをきちんと愛するということはできていない。
こうこく
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とりせつ
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ポルノとON/OFFとまんがとおわらいがすき。さいきんはぷらすテニミュ(黄金ちゃんもえの青学贔屓、みゅにおいては仁王とやぎゅとユキチャン跡部も萌え)と特撮(ゲキとゴーオンとボウケンとキバとでけーど!もちろん風魔の小次郎も!)です。きほん二次元ろりしょたぷにっこ萌えでなま百合萌えのいいとししたおたくじょし。信条はかわいいは正義!で美羽とアナちゃんがすき。Doping Bunnyは完全にDoping Pandaからとりましたロックスターすきです。あとさいきんお洋服はエミリーテンプルキュートしか着ないくらいのいきおいです。
ちなみにここはサイトでかいてるメインのブログで書くにはちょっとなーみたいなものをたれながしなのでびみょうに前後のつながりとかあれかもです。
サイトのほうで書きにくいってのと、おたく話をせいせいできるおたくなおともだちがいないのでひとりごとてきに。
ただいまブログをおためし移転ちぅにつきここはちょっとほうちです。要約すると、いたって普通のおんなのこです。
おてがみ

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