めぐりまわり系

May 23 [Sun], 2010, 20:57

5月のやかましを作る時に、村長が@食品添加物をやりたい、A農場の循環をみたい、B発酵食品を作りたい、という事でプログラム作りをした。
(やかましイベントはやりたい事がある人が村長となってコンセプトを出し、それを一緒に作りたい人が集まって内容を詰めていく、という手法でやっている)

最初の打ち合わせで、ボクにとっては添加物系はあんまり関心がないテーマで、村長はオーガニック食品商社で働いているから関心が高いのだろうけど、ボクは細部はこだわらないというか、まぁそういうタイプなので、「そこは村長にお任せ」と思っていたのだけど、深く突き詰めていくと、一つのストーリーになっていくひらめきがあった。

それは少しおいといて、僕はAを担当して、参加者にどう見せるかーと考えた結果(実はこれは7年前の研修生時代に企画した子どもキャンプでもこのテーマをやった)、「ぐるぐるオリエンテーリングる」というのを考えて、(これがとっても面白かった!)それは、農場内に鶏舎、豚舎、畑、田んぼの4つのポイントを設けて各ポイントにいくと、例えば、鶏舎に行くと、鶏糞だしができる。鶏糞だしをすると鶏糞が貰えて、その鶏糞を持って畑に行くと、畑で鶏糞がまける。鶏糞をまくと野菜の収穫ができる。最初に鶏舎ではなくて畑に行った人は鶏糞を持っていないので、その場合は雑草取りができる。その雑草を持って豚舎に行くと、豚に雑草をあげられて、その交換で豚肉がもらえる・・・、みたいにして農場内の家畜と畑や田んぼのつながりを体験できるようにした。

農業を有畜複合で(豚も含めて)やっているところって全国探してもほどんどなくて、だからこそこの農場の価値があると僕は思っている。別に、畑農家、豚農家、養鶏農家と日本全体(社会)で分業していてもそれはいいけど、一つにまとまっていると距離の制約がないから見やすいモデルだという意味で。

それで、ひらめきの話で。仏教とかでは(ボクは詳しくないけど)命は巡りまわっているって聞きますよね。日本に住んでいると季節が廻っているという感覚は誰しも理解できる。仮にそういうのを「めぐりまわり系」と呼ぶとすると(なんじゃそら!)、食べ物や、世に売られている全ての商品もめぐりまわり系な訳だ。誰かがどこかで作り、それが誰かの手によって運ばれ、僕たちの元へと運ばれてくる。僕らはそれを食べ物なら食べたり、それ以外のものなら使ったり、捨てたり、或いは別のものに加工してまた誰かに渡したりする。

よく時間の捉え方をする時に、昔は時間は回っていた(循環)が、現代は直線だと言ったりする。
確かに、誰が考えたか、過去や未来という観念が存在して、それが飛躍して過去に戻ったり、未来に行ったりそんなSFもあるけど、そんなもの実際には存在しない。農業をやっていれば、季節は廻り廻り、春の次に夏が来、(中略)そしてまた春がやってくるだけだ。

しかし、現代社会の問題を捉える時には循環の反対語は間違いなく「分断」だろう。
循環というのは経済合理性がない。だからいったん全てをバラバラにしてそれぞれのパーツをそれぞれの場所で、それぞれの人が担うようにする。一人の人間が一つの職業をもっているのも分断思考(=経済合理性)。一つの会社が一つの分野を扱っているのもそう。分断は人の思考を低下させる。特定の分野においては詳しくなるが、分断されすぎていて、いちいち全体を見るのが億劫になる。食べ物で言えば添加物とはまさにそういうものだろうと思う。より安い素材を使って商品を作る。すると安い素材はマズイ。だから添加物で味をごまかす。多くの消費者は知らないうちにそういうものを食べて、それがおいしいと感じるようになる。どこで誰がどういう思いで作ったか、という事はそこでは問題にならない。

そういう思想でやっていると社会は全体として疲弊していく気がする(あくまで気ですが)。


今、農場で田んぼをやっていて、それとは別に農場でやってるツリーハウスのワークショップを聞いていて、そういう事を本当に深く考えさせられる。
田んぼにウンカ(害虫)が発生した時に、普通農薬を使って殺すけど、そうするとウンカを食べる益虫も死んでしまう。すると翌年、またウンカが発生した時にそれを食べる益虫がいない、なんて事があるんですね。だから田んぼはお米を育てるんじゃなくて、生き物を育てるという発想で、僕らは無農薬でやっているけど、そういう化成肥料頼みの農業のあり方も今更ながらそう。昔は「山付きの田んぼ」と言って、田んぼをやる人は冬の間山に入って落ち葉を集めてそれを肥やしにしていた。だから山に適度に手が入っていたし、旱魃などもされていたのだろう。今、田んぼは化成肥料を使ってればそれでいいかもしれないけど、経済合理性だけでやっていると、「山」は本当にもうぼろぼろになっている。
今度、今やっている田んぼの川を上ってみたいと思っている。水が生まれる場所をちゃんと知っておかないと、と思う。

ボクは、みんなが昔みたいに薪を拾って、無農薬で農業をやって、服も手作りで、とかそういう暮らしに戻ろう、とは呼びかけないし、それは社会全体としては不可能だと思っている。だから個人としては循環思考を深めていきたいと思っているけど、社会全体としては分断社会でも仕方ないと思っている。だけどだからこそ言いたい事がある。

分断は悪くはないが、社会全体として緻密にデザインされなければならない。
それがボクの今の意見。(そんな事どうやったらできんの?って話だけど。)
今まで繋がっていたものをバラバラにして、後は勝手にどうぞじゃ「市場の失敗」は起きる。


さて、僕らには何ができるんだろうかと思う。

こうなったらいいなーって思う事はいっぱいある。
基本的には次の世代につながる事。地域の子どもたちともっとがっつり田んぼをやりたい(校庭にある田んぼの先生は昨年やらせてもらった)し、山に入って旱魃もやりたい。やさとはそういう事ができる環境が整っているのにそういう事をやらないのは本当にもったいない。給食で食べているものは一体どこからくるんだろう?地元のものがどのくらい使われていないか。一つのモデル地区の成功を起こせれば、それが他の地域(地域ごとの条件はあるだろうけど)に元気をあたえるだろうとは思う。ボクは28才にもなって、学校の先生でもないし、無責任にそんな事を言える立場ではないけれど、そんな事を思う。

暮らしの実験室は今はそれなりにお金が必要でボランタリーな事はあまりできないし、水稲部や大豆部、やかまし村、つくいち等々僕らが描いてきた事が軌道に乗りつつあって面白くなってきている。
いや、これは自分の仕事の話としてではなく、地域行政に自分がどう関わるかというコンテクストの方がよいのかな?
2011年に選挙もあることだし、やさとに口出ししたいなら、やさとの現状を知って、そこから口出すべきだ。
そうでなければ、ここで信用を築いて自力でやれる範囲の事をやるしかないのだから。


なんの話だっけ?
そうそう、最近、添加物でも旱魃でも口蹄疫でも、それ単体でそれをどうすべきか考えても何も答えが見つからなくって、その循環思考で見れば何でも分かりやすくなる。けど実際にそれを現場に落とし込むとなると、たちまちリアルな自分の人生の問題が絡んできて、何ができるんだろう、と思う事が多いのです。

以上。
  • URL:http://yaplog.jp/donkey/archive/258
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yejin
ものごとがつながっているということを想像する力が大事だと、わたしは常々思っている。でもその想像力を育てたり、拡げたりするのは実はけっこう個人のセンスに任されているんだよね。

ぐるぐるオリエンテーリングるみたいなことが、想像力を育てる一助になると思うし、水稲部の部歌だっていのちのつながりを語っているよね。

場を作り、機会を提供する。

その先にもっと決定的なものが必要なのか?
ということが今問われているのかなーーー??
May 25 [Tue], 2010, 22:07
こうこく
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