警察署内でも鼻まみもの扱いの、〈駄目な方のトクソウ〉特殊相談対策室、まりはリピーター的苦情相談に対応するための部署が難事件に挑むというといかにも、なケイゾク的な落ちこぼれ刑事ドラマだが、それが牧野修の手にかかると、こんなにホラーテイスト溢れる、いやなお話になるとは。宇宙人が周りの人間に入れ替わってるだのといった相談を大真面目に持ちかけてくる市民の皆様のデンパ描写が堂に入りすぎているし、それを受けてたトクソウの面々も曲者ぞろい。しかも西部警察ばりにザックザク殉死していくし閑職だと思って異動願い出した定年前の老刑事がまっさきに死んでいくが救われなくって酷い。うらぶれた下町の隠々滅々たる雰囲気も、誰にも話が通じないような閉塞感も、なにもかもがどんよりとうら黒い。そんな作風なのに、たまに読まずにはいられないのが牧野修作品の魅力ではある。