《青年オスカーはドラッグのディーラーをして稼いだ金で妹リンダを日本に呼び寄せ一緒に暮らしていた。が、ある晩友人に呼び出されたバーで警察に踏み込まれ、銃で撃たれて死んでしまう。オスカーの魂は肉体から離脱し、リンダの周辺を浮遊する…。》
「アレックス」以来7年ぶりの
ギャスパー・ノエの新作。
友人である
塚本晋也監督の新作と公開時期が重なるのも何かの巡り合わせのような気がしてならない。
チカチカしたフラッシュ映像が映し出される挑発的なオープニング。
さすが一筋縄では行かないなぁとこれからの展開に興奮が高まる。
物語は終始主人公オスカーの主観で進行し、観客は目の前の出来事を直視するのを強いられる。
思わず躊躇するのは、紛れもない現実(人間の本質)がそこに描かれてるからだろう。
肉欲に溺れる男女の姿。普段は見えない人間の裏側が露にされる。
そして、くぐもった不穏なBGMがより一層不安感を煽る。
フワフワ揺らぐ
俯瞰映像はまるで夢を見てるようなトリップ感があり
臨死状態を擬似体験させてくれる。
ビールでも飲みながらまどろんだ状態で観るとより陶酔出来て気持ちいいかもw
サイケデリックな
ネオンの輝く新宿の街並が妖しく美しい。
映画館を出ると目の前では客引きのホストや露出度の高い女の子がウヨウヨ。
まさに舞台となった
歌舞伎町で観たのでまだ物語の中にいるような錯覚を覚えた。
今回
輪廻転生を取り上げてたけど、仏教国に生まれた自分にとってはこの思想は昔から聞かされてる事で普通に受け入れられるけど、キリスト教圏の人達にとってはエキセントリックに感じるのかなぁ。
延々続く生々しいセ●クスシーンを他人と共有するのは気まずくて正直辛かった。。
やっぱ一人自宅に篭って観るのが一番かな、この人の作品は。
確実に観る人を選ぶ映画なので、ご注意を。。
観終わった後、何とも形容し難い感情に襲われる事必至。
でも、決してつまらなかった訳じゃなく、むしろこういうディープで妖しい作品は好きだ。
非日常的空間へ誘ってくれる彼の刺激的な作風は
デヴィッド・リンチ、
デヴィッド・クローネンバーグと並び麻薬のような中毒性がある。
今回も期待を裏切らず脳髄に深く響くトラウマにも似た強烈なインパクトを与えてくれた。
音響効果は前作「アレックス」に続き
ダフト・パンクのトーマが参加。美術監修に「デリカテッセン」の
マルク・キャロの名も。
一体どうやって撮影したの?と不思議でならないカメラワークは要注目。
※ 評価 ★★★★★★★☆☆☆ 7点(10点満点)
[エンター・ザ・ボイド]
http://www.enter-the-void.jp/