私が上野の背中を優しく撫でていたら

November 14 [Thu], 2013, 15:22
音。
鈍い音が部屋に広がる。
直後、泣き叫ぶ子ども。

 これって、虐待? 
気が付けば、恐怖のあまりに部屋の隅で脅えている私がいる。
これは実際に起きた出来事なの?

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「箒の柄が首に当たっただけで、泣くな! 首を押さえて、可愛い子ぶるな!」

 箒の柄が首に? 
直後、物を吐く音。
すぐに女の怒り声。

「何してるの、バカ! 汚いじゃない! もう、嫌! 私は外で寝るから、明日までには綺麗にしときなさい!」

 乱暴に人が歩く音、遠ざかって行く足音。
ドアが開いて、すぐに閉まる。
女が出て行った? 
私の足元で、人が動く気配。三度程、小さく咳き込み……ドサリと倒れる。
こうして、部屋に訪れたのは音のない世界。

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 事の成り行きに茫然としていたら、押し入れの中から小音が聞こえてくる。
そういえば、上野は……。
押し入れに駆けより、ゆっくりと襖を開く。
下段の隅で小さくなりながら、身体を震わしているのは現実の上野。

 だけど、どうも様子が変。
目の焦点が合わずに、呼吸が浅い。その上、酷い冷や汗。
必死に喘ぐ上野を見て、戸惑う私。
どうすればいいの!? 何をすればいいのかわからない。

 そもそも、上野がこうなった原因は何? 
やっぱり先程の音かしら? 
あれで昔を思い出して、恐怖心で発作が……。
きっとそう。そんな気がする。
上野に抱きついて、背中をさする。
落ち着いた声で、上野に話しかける。
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「大丈夫よ。今はもう……怖い人はいないわ。ほら、深呼吸をしましょ。吸って……吐いて……」

 私が上野の背中を優しく撫でていたら、不意に上野が手を伸ばしてくる。
私に抱きついて、深呼吸を始める。何とか呼吸を整えて、落ち着きを取り戻す。
頼りない程に弱々しい声で話し出す。

「ごめんね……。君を守るどころか……僕がこんな調子で……」
「誰にだって怖い事はあるわ。私だって、怖かったもの……」
「…………」
「少し……落ち着いた?」
「うん……」

 上野が返事をした瞬間に、先程のような乱暴な音が聞こえてくる。
すぐにビクつく上野。そんな上野を強く抱きしめて、口を開く。

「少しお喋りしましょ。私の声だけ聞いて。わかった?」
P R
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