2009年上半期観劇記録

2009年08月08日(土) 12時55分
 上半期ゆうてもすでに8月ですが、最近まともに感想も書いて
いないので、せめてリストアップぐらいは・・・

<1月>
 01/11 「鉄人28号」 押井守初舞台演出作品。
      実物大の鉄人が立ち上がる姿に感動。
 01/12 赤堤ビンケ「四日目」 牛水里美さん出演。
      感想はこちら
 01/17 桑島法子朗読夜「鬼神の宴〜キシンノエン〜」
      宮沢賢治の詩の朗読。エレキベースとのセッションが新鮮でかっこ良い。
 01/18 3LDK「僕たちの町は一ヵ月後ダムに沈む」
 01/31 FuncAScamperS009「君の先」井上優さん、平瀬美紀さん出演
      青春の想い出に捧げられる生贄の様に掲げられた平瀬さんが
      美しくも切なく、でもあの結末で良かった。

<2月>
 02/14 空中回路「光の中の小林くん」 小林貴祐さん出演
      やはり小林さんはうまい。脚本も巧みでした。
 02/21 廻天百眼「鬼姫」 牛水里美さん出演
      黒色綺譚とは一味違う耽美な世界。でもやっぱり和装の牛水さんはきれい。
 02/28 モトプラ「さぁそろそろ行きますか!」
      茶谷英司朗さん、矢羽々昭幸さん出演
      徹底的に作りこんだキャラの矢羽々さんと始めて見る素に近い感じの茶谷さん。
      対照的なふたりが面白いお芝居でした。

<3月>
 03/01 LIVEDOG Produce「DOG'S」
      山田とゐちさんプロデュース、佐藤沙予さん出演。
      ワイルドで武闘派な佐藤さんが新鮮。
 03/08 グリング「吸血鬼」
      主演の高橋理恵子さんはザ・女優の佇まい。

<4月>
 04/11 はなムスび「腹腹ボレロ」 矢羽々昭幸さん演出・出演
      感想はこちら
 04/12 黒色綺譚カナリア派「義弟の井戸」 牛水里美さん出演
      井戸にするりと落ちていく牛水さんに背筋がゾクリ。
 04/18 *pnish*「リバース・ヒストリカ」 井上優さん出演
      ブサイクだけど美少年 森蘭丸の魂が取り付くという井上さんの
      変貌ぶりが面白い。
 04/18 プロペラ☆サーカス「烈〜双頭の幻〜」 田中精さん出演。
      悪役をやるときの田中さんの眼は結構怖いのです。
 04/25 劇団6番シード「テンリロ・インディアン」 佐藤沙予さん出演。
      佐藤さん大活躍で大満足。
 04/25 BLUE COVER ACTORS「GOOD MAN」 高島広芳さん出演。

<5月>
 05/02 シアターキューブリック「ベイクド・マンション」
 05/19 ルナ・パンク・ヴァリエーション「ジャンクヤード・エンジェル」
      茶谷英司朗さん、矢羽々昭幸さん出演。
      サイバーパンクな雰囲気が大好き。
 05/24 渋谷ハチ公前「咲かせつづける花」 平田裕香さん出演。
      涙涙涙。平田さんの健気な姿に涙。
 05/25 梶組ワンナイトシアター・リボーン「帰れない三人〜完全版」 
      平瀬美紀さん出演。
      感想はこちら
 05/26 Theatre劇団子「東京のオトコ」
      この素敵なキャラクター達を作り出すために役者さんたちが
      費やした時間と汗を思うと・・・これはスゴイことですよ。

<6月>
 06/06 津田記念日プロデュース「炭酸の空」 牛水里美さん出演。
      人類の滅亡、人心の荒廃、裏切り、対立。背景が暗ければ暗いほど
      牛水さんの輝きは増すような気がします。
 06/14 カプセル兵団「ココロコロガシ」 田中精さん出演
      恥ずかしい過去の個人情報を漏洩されて焦る田中さんに(笑)
      でも電話で能登麻美子さんと話せたとはうらやましい。

<7月>
 07/14 FuncAScamperS009「突然3号」 井上優さん出演。
      どこまでが現実でどこからが違うのか。世界がじわじわと崩れていく
      感じが不気味で心地良かったのです。

<8月>
 08/01 劇団クラゲ荘「デスペラードを知ってるか」 茶谷英司朗さん出演
      目的のためには手段を選ばない非情の刑事。
      この人の存在感が大きければ大きいほど物語はもり上がります。


 [改:2009.08.13]
 [新:2009.08.08]

平瀬美紀さん出演の「帰れない三人〜完全版」観劇感想

2009年05月26日(火) 23時53分
 5/25(月)に池袋GEKIBAで、梶組ワンナイトシアター・リボーン
第一夜『帰れない三人〜完全版』を観てまいりました。

 平瀬美紀さんが出演されたお芝居です。

 人里離れた山荘に集った、男ふたりとひとりの女。
 そこで初めて本名を名乗り合った三人は自殺サイトで知り合い
今夜この場所で集団自殺を行うために集ったのでした。

 ところがその時ラジオが伝えるニュースによって本来のメンバが
既に自殺をはかって病院に担ぎ込まれていることが判明します。

 三人の中にひとり、ウソをつきメンバになりすましているヤツがいる!
 誰が?
 何の目的で?
 疑心暗鬼の中、互いの正体の探りあいが始まるのでした。


 三人だけの登場人物が出ずっぱりでミステリアスな物語が展開
して行く、全部で1時間ほどの作品です。

 星新一のショートショートのような、よくできた短編小説を舞台化
したみたいな感じでした。

 みっちょり。さんはもちろん山荘へやって来た三人の内のひとりで
家族を失い自分にはもう何も残っていないと嘆く女性なのですが
果たして・・・?

 そのー方で回想シーンでは妙に明るく男を振り回す女の子に
なったりと、明に暗に舞台いっぱいフルタイムの大活擢でした。

 そんなみっちょり。さんは顔を合わせる度に二割増しづつキレイに
なっているので、「デビルマン」の頃から数えるともう二倍以上
美人度が上がっていますね。

 この夏には今回の舞台を演出された梶氏が監督し
みっちょり。さんも出演している映画「サムライプリンセス」が
公開されるそうなので、次はスクリーンで暴れるみっちょり。だ!!

「サムライプリンセス」予告編
※注)スプラッタ満載なので血に弱い方は要注意。


 [2009.05.26]

矢羽々さん演出・出演の「腹腹ボレロ」観劇感想

2009年04月13日(月) 23時23分
 劇団はなムスび第3回公演「腹腹ボレロ」を観てまいりました。
 矢羽々昭幸さんが出演、そして初演出をされたお芝居です。

 なんだかすごく楽しい心持ちにさせてくれたお芝居でした。

 背景となっている社会情勢は結構深刻なものですし、どう
解釈するべきなのか色々な寓意を含んでいそうな部分も
沢山あったのですが、観終った後で自分の中に残っている
のはなんだろうと振り返ってみたら、ー番最初に浮かんだのが
「楽しかった」でした。

 こういうお芝居はいいですねえ。

 [2009.04.13]

牛水里美さんご出演の「四日目」

2009年01月23日(金) 1時16分
 赤堤ビンケ第4回公演「四日目」、1月12日(月)
14時の回を見てまいりました。

 牛水里美さんが出演されたお芝居です。

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 風呂なし、六畳一間のボロアパートで大村兄弟は
肩を寄せ合うようにして暮らしていました。

 父はなく、母は何度目かの家出で行方不明となって
いました。

 高校生の弟 宣雄は家でゴロゴロとマンガを読んで
ばかり、兄の芳典は弁護士を目指していましたが
ロースクールへ進学する金がなく、幼い頃から
なじみのケースワーカー福島に相談していました。

 福島から死んだ父に金持ちの弟がいることを
知らされますが、会ったことも無い叔父に学費を
無心する訳にもいかず途方にくれるばかりでした。

 ところがそんな事情を宣雄が友人にもらしたことから
事態が急変します。

 検事になるために完全犯罪を勉強しているという井伊と
コンピュータークラッキングが趣味の関により、芳典の
知らないところで叔父の殺害計画が始まります。

 さらに叔父の愛人が現れたことにより計画は更に
暴走して行きます。

 そして計画開始から四日目、何も知らない叔父が
愛人と共に芳典たちの部屋に乗り込んで来ます。

 果たして事の顛末は・・・
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 赤堤ビンケのお芝居には話がどこに納まるのかわからない
不思議な緊張感があって、そこが結構好きです。

 そして今回の牛水さんは悪い女です。

 尤もどこまでが本気でどこからがウソなのか
見えた部分からだけでは推し量り難い女性だった
のも確かです。

 関に刺された愛人に思わずすがりつく姿からは
簡単に切り捨ることのできない想いのカケラが
見えたように感じられました。

 [2009.01.23]

あけましておめでとうございます

2009年01月18日(日) 0時08分
 大分遅くなりすでに松も取れてしまいましたが
年の初めということで明けましておめでとうございます。

 昨年後半は上演情報のアップばかりになって
しまったので、今年はもうちょい頑張って観劇の
感想を書いて行きたいと思います。

 ちょっと簡易版になるかも知れませんが。


 と言う訳で1月12日には牛水里美さんが出演
された「四日目」というお芝居を観て来たのですが
その前に昨年のけりをつけるため、駆け足で振り
返っておきます。

<真田風雲録 2008.10.12>
 宇治川まさなりさん率いるスタソン初の原作ものは
ごぞんじ真田幸村と真田十勇士の活濯を描く時代劇です。
 高島広芳さんと茶谷英司朗さんが出演されました。

 茶谷さんは十勇士のひとり由利鎌之助、高島さんは
大阪城執権の大野修理です。
 ふたりとも同じ豊臣軍として、大阪冬の陣、夏の陣を戦うの
ですが、戦術をめぐって修理と真田軍とは終始対立といった
関係です。

 茶谷さんの由利鎌之助は亙版屋に化けて市井で情報を
集め、戦の場にあっては大槍(長刀だったかな)を振り回して
活擢する猛者のひとりです。

 殺陣をやったり、ダンスをしている若者達の後ろでリズムを
とっている茶谷さんというのもなんか新鮮でした。

 そして高島さんの大野修理は心情的には強く十勇士達に
共感しながらも、立場上戦の方針について幸村と対立する
こととなってしまうという、中々複雑で難しそうな役でした。

<YooSoRo!〜日本を変えたヤツらを変えたヤツら〜2008.10.25>
 幕末を舞台に軍艦の機関室で働く若者達と艦を訪れた
実在の人物達との物語です。

 井上優さんが坂本龍馬と行動を共にしていた望月亀弥太役で
出演です。
 土佐弁丸出しで無闇に血気盛んな望月は今までの井上さんとは
ちょっと違う感じがしました。

<ソバにいて欲しい2008.11.01>
 山田とゐちさんが設立に奔走した、劇団元気エンターテインメント
シアターの旗上げ公演です。
 とゐちさんのプロデュースで、以前上演された「透明人間レディ」と
同じく石山英憲さん作・演出の舞台です。
 とゐちさんは石山作品では最初とてつもなくイヤなヤツだったのが
後半になってその行動の後ろに隠されていたものが明らかになり
評価が変わってくるといったキャラクターをやることが多かったの
ですが今回は最後まで悪でした。

 一方の金子拓矢さんは正反対の熱皿ヒーロー系です。
 昔クラスの友人をイジメていたことを深く後悔していて、悪徳宗教
もどき(=とゐちさん)に取り込まれそうな、その友達を必死になって
助けようと奔走します。

<賊 2008.11.16>
 佐藤沙予さんが所属する劇団6番シードの15周年を記念する
出演者総勢40名強、上演時間3時間、舞台上に巨大な海賊船を
組み上げたという大作です。

 待が勢力を延ばし始めた時代、瀬戸内海では三つの海賊集団が
覇を競い合っていました。
 その渦中に公家の権威挽回のための政略結婚をさせられる若君と
姫様が迷い込んで来ます。
 それぞれの思惑を腹に抱えて海の戦が始まります。

 沙予さんは姫君御付の侍女役で、周り全部が敵の中、必死で
姫様を守ったり、時にはちょっと世間とズレた言動で笑わせたりと
大活擢でした。

<MOON 2008.11.22>
 学生時代の仲間が集って、再び映画を撮ることに。
 かつてチームを解散した時のわだかまり、再結成のきっかけと
なったメンバの秘密、どうしようもなく自己中心的で、たまらない
孤独に震える若者達の痛くて、痛くて、なおまだ痛い青春群像劇です。

 牛水さんはチームの看板女優であり、今でも芸能界で頑張っている
女の子役です。
 自尊心とコンプレックスが複雑に絡み合った自分自身を、美しい
仮面の下に押し込んでいるような役は牛水さんの本領発揮という
感じでした。
 石沢美和さんとの女同士の取っ組み合いのケンカは、演劇って
からだで語るものなんだなあと改めて思ってしまいました。

<星ぬすんだ男 2008.12.20>
 作・演の本多英一郎さんと歌手エコツミさんのコラボレートに
茶谷英司朗さんがナレーターとして参加しているというちょっと
面白いスタイルのお芝居でした。

 本多さんのー人芝居で物語が進行し、合間にエコツミさんの
生歌が入ってくるのですが、茶谷さんもピシッとしたスーツ姿で
登場し舞台上でナレーションを語るのです。
 なのでナレーターという役を演じているという感じがしました。

 物語後半に歌とナレーションが同時に進行する場面が
あったのですが、それが圧巻でした。
 男声と女声、歌を奏でる声と物語を導く声、プロの語り部と
プロの歌い手、二つの力が混じり合い、刺激し合いながら
高い場所へと昇って行くような迫力の舞台でした。


<臥龍頂上伝〜ドラゴンロード〜 2008.12.13>
<幽玄夢想〜臥龍頂上伝2〜 2008.12.14>
<双龍無影伝〜臥龍頂上伝3〜 2008.12.28>

 この作品はドラゴンロード・トリロジーと銘打たれた三部作の
最後の作品になるわけですが、第一作目の「臥龍頂上伝」、
二作目の「幽玄夢想」もこの12月に連続上演されたので
観てきました。

 カプセル兵団のお芝居は今年7月の「タオの月」を観たのが
最初でしたが、その独特な表現方法に衝撃を受けてしまい
ました。

 ビジュアルイマジネーションと名付けられたそれは
カッコ良く言えば、演者と観客の協同作業により
イマジネーションの力であるはずのないビジュアルを
舞台上に出現させるものと言えるのかも知れませんが
どこか古い記憶に引っかかるものを感じて堀り返して
みれば、幼い項にやっていたヒーローごっこに他ならない
ことに気付くのです。

 空地や放課後の校庭で、「スペシュウム光線!ビビビビ・・・」と
やっていたアレを大のおとな達が舞台の上で繰り広げ、更に
それを金を払って観に行っている訳ですが、ただのノスタルジィや
酔狂だけでそれが支持されるはずがありません。

 大人になった空地のヒーロー達はより美しく、より面白く、そして
他に類を見ないオンリーワンを目指しその表現法をみがくことを
怠たらなかったのでしょう。

 それが人間ワイヤーアクション、スピーディな場面転換、カメラ
アングルの転換といった様々な手法を生み出していったのでは
ないのでしょうか。

 映画はCGの発達により、あるはずのないもの、見えるはずの
ないものをどんどんリアルに描き出している訳ですが、カプセル
兵団はあくまで生の舞台の上で、光と音と身体と想像力でそれ
以上のものを見せていって欲しいのです。


 [2008.01.18]

牛水里美さん出演の「そまりえ」観劇感想

2008年10月23日(木) 21時40分
 黒色綺譚カナリア派第九回公演「そまりえ〜或る模倣画家の苦悩〜」
10月11日(土)14時の回を観てまいりました。

 牛水里美さんが出演された舞台です。

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 新進気鋭の美人画家 赤熊百合の行方が知れない。

 消息を尋ねる弟子の青木がやってきたのは赤熊の
精巧な贋作を描いている模倣画家 満作あけびの家
でした。

 あけびとその兄 大介は、赤熊が何度か訪ねてきた
ことは認めたものの、失踪については何も知らないと
突っぱねます。

 そして、あけびに贋作を描かせて売りさばいていた
画商の矢車は、赤熊の新作が発表されない以上、
贋作の需要もないと言いあけびに自分自身の
作品を描くよう薦めます。

 しかし、優れた才能を持ちながら、赤熊の絵を崇拝し
その模写の作成に心血を注いできたあけびは自分の
絵を産み出すことに戸惑い、迷います。

 本物と偽物、男と女、虚と実、夫と妻...etc

 いくつもの対立や反転、逆転を繰り返しながら
物語は思いも寄らぬ暗い淵へと迷い込んで
行くのでした。
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 黒色綺譚カナリア派の舞台には毎回驚かされるの
ですが、今回もやられました。

 すべてのキャストが女は男を、男は女を演じるという
奇抜なスタイルだったので、正直どうなるものかと
思っていました。

 面白いのは男女が逆転しているのですから服装や
言葉遣いも変えているのですが、完全な女もしくは
男になりきろうとはしていないと思えるのです。

 ちょっとした所作、特に座り姿に男っぽさ女っぽさを
残しているのはきっと確信犯です。

 そうすることで男女の逆転と言うよりむしろ、性別不問の
どこかこの世にあらざる不思議の世界ができあがって
いました。

 特に芝原弘さんが演じたあけびは小柄な体に少女らしい
ワンピース姿ながらも、暗い穴蔵の底から響いて来るような
怪しい台詞廻しで、忘れがたい印象の模倣画家を創り
上げていました。

 もうひとり印象に残ったのが、あけびの兄 大介です。
 徹底的に妻につらく当たるこの男の陰湿さは嫌悪感を
通り越して、段々可笑しくなってくるものがありました。

 強権的でも暴力的でもないけれど、ああ言えばこう言い
論理で黙らせて常に相手に負荷を与え続ける話術は
見習いたくは無いけれど、ちょっと研究してみたい気にも
なりました。

 さてそして牛水さんの役はあけびの幼なじみで彼女に
ほのかな恋心を寄せている侘助という少年でした。

 やはり男装なわけですが、あの牛水さんが白シャツ、
黒ズボンに学生帽、帆布のカバンをたすきに掛けた
少年に扮するのですから、これはもうとびきり可愛らしい
中一男子、いえ中一美少年が出来上っていました。

 侘助のあけびに対するー途な姿を見ていると
あのあけびにも笑顔で侘助と遊んだ幼少期が
あったのだろうと想像できて、どこかホッとする
ものがありました。


 [2008.10.23]

矢羽々昭幸さん出演の「近松ジュリエット女庭訓」観劇感想

2008年10月08日(水) 0時15分
 劇団アニマル王子第10回公演「近松ジュリエット女庭訓」
9月27日(土)14時の回を観てまいりました。

 矢羽々昭幸さんが出演された舞台です。

 ## ## ##
 元録時代。
 徳川の覇道によりもたらされた長き太平の時代は都市の
発展をうながし、そこに町人を中心とした新たな文化の花が
開いたのでした。

 その−方で権力の頂天にあった武士達は、平和な時代に
あって自らの存在価値を再定義できぬまま支配者の座に
留まり続けておりました。

 それがためサムライ達は戦の世において機能していた
システムをそのまま盲目的に信じ継承することを権威の
証しとしたのです。

 それすなわち忠義。

 その時代に一人の天才劇作家が現れます。
 近松門左ェ門。
 「曽根崎心中」で当代一の劇作家と呼ばれるようになった
近松でしたが、そのためかえって次の作品をどうしたものか
頭を悩ます日々を送っておりました。

 更に女だてらに戯作者になろうとしている不肖の弟子
菊菜は近松の元へ届いた−通の文を読んでしまった
ことから、武士達の妄執の争いの中へ踏み込んで
しまっていました。

 文にしたためられていたのは悲しき姫の切なる願い。
 近江藩主 火戸家の家督をめぐり親兄弟が殺し合った
非道と現藩主 火戸入鹿の悪逆の真相。

 それらの陰謀によって引き離された、先藩主が遺子 淡海と
入鹿の妹 橘姫との悲恋。誰あろう橘姫こそがこの文の送り主
だったのです。

 そして橘姫が憂えるのは、今また自分達と同じ悲劇が繰り
返されようとしていること。

 同じ火戸の家臣でありながら長きに渡り確執を続けてきた
山野、海道の両家にあって、御仏の導きか悪霊の誘いか
山野の嫡子 久我乃助と海道の姫 雛鳥が恋する仲となって
しまったのです。

 しかもそれを知った入鹿は、両家が仲違いを続けることこそ
我が身の安寧につながると、二人の仲を引き裂く策を講じ
ようとしているのです。

 ことの仔細を探ろうと単身橘姫の下へ向かう菊菜。

 しかし、橘姫の身にも淡海の潜伏場所を見つけ出そうと
する入鹿の罠が迫っていたのです。

 運命に遮二無二抗おうと走る菊菜。
 菊菜の身を案じながらも大きな時代の流れの前で
たたずむ事しかできない近松。

 そして悲劇の恋人たちがたどる運命はいずこへと
向かうのか?
 ## ## ##

 ラストシーンに目を潤ませながら、しみじみと自分は
こういうお話が好きなんだなあと再確認しました。

 ドラマチックな展開といい、時代掛かった台詞回しと
いい、演劇のスタイルとしては古典的な部類に入るの
かも知れませんが、実に好みに合っていました。

 特に菊菜の存在はとても興味を引くものがありました。

 親からも奉公先からも疎まれて、ずっと居場所の
なかった菊菜。

 近松のような劇作家を目指し、芝居小屋の内外を
飛び回る彼女が抱える途切れた未来。

 太く短く二十七の年にアヘン中毒で死ぬんだと
近松に語った時の菊菜の暗い眼が、久我乃輔と雛鳥の
未来を見据えた時、光を宿すことができたと思いたい
のです。

 そして矢羽々さんが演じたのは江戸の大劇作家
近松門左衛門です。

 人気の絶頂にありながら自分の作品が持つ影響力の
大きさにビビッていたり、口の悪さとは裏腹に菊菜の
将来を案じていたりと実に人間クサイ、魅力的な
オヤジでした。

 近松は劇作家だけあって、どこぞの前首相では
ないですが、自分を含んだ世界を客観的に俯瞰から
見る事ができるのでしょう。

 それ故に歴史の流れに対してあまりにちっぽけな
人間の姿にどうしようもない無力感を持っていたのかも
知れません。

 それは天才であるが故の苦しみだったのでしょうか。


 [2008.10.08]

平田裕香さん出演の「FABRICA[11.0.1]LOST GARDEN」観劇感想

2008年10月07日(火) 2時52分
 「FABRICA[11.0.1]LOST GARDEN」、
9月23日(火)の千秋楽公演を観て参りました。

 平田裕香さんが出演されたお芝居です。

 ## ## ##
 とある小劇団の今日は公演初日、ステージの上では
最後のゲネプロが行なわれています。

 演目は父親と四人の子供達を中心に、父の病気や
再婚をめぐりゆれ動く家族の関係を描いたオリジナル
作品です。

 ゲネを終えて後は数時間後の開演を待つばかり、
緊張感が少しずつ高まる中、役者に演出家、制作の
裏方さん、この公演にたずさわる人達は思い思いの
時間を過ごします。

 彼らは皆この舞台を成功させるため一丸となって・・・
と言いたい所ですがそうとも言い切れないのです。

 学生気分が抜けきらない劇団員達と外から招いた
演出家、役者陣との意識のギャップがあったり、
脚本が大幅に変わったことを知った作家があちこちで
怒りをぶつけていたり、舞台裏では様々な不満や
グチや陰口が乱れ飛んでいるのでした。

 それでも時間になれば客が入場し、幕が開き、
お芝居が始まる・・・ハズでした。

 ところがそんな彼らの上に思いもしなかった事件が
降りかかってきたのです。

 果たして彼らの芝居は幕を開けることができるのか?
 そして−体どんなラストを迎えることになるのでしょう。
 ## ## ##

 この作品は舞台の楽屋裏を描いたバックステージもの
なのですが、舞台の表側で進行している劇中劇への
力の入れ方もハンパでなく、ものすごく完成度の高い
ものになっていました。

 チェーホフの「三人姉妹」へのオマージュをちりばめた
この劇中劇を観ていると、二役を演じている役者さん達が
本当に底力のある方々が集っているのだということを
実感しました。

 悲しみを押し殺しながらひとり黙々とブラブラ体操を
する良樹の姿に胸がしめつけられました。

 黒田と西のあまりに自然で流麗な中華屋漫才に
爆笑しました。

 鏡前で繰り広げられる薫と遥の毒舌女の陰口トークに
背筋が凍りました。

 犬がじゃれ合っているみたいなジュンペイと工藤の友情、
そして工藤が後半で見せた純粋さに心暖まりました。

 雅美が見せてくれた裏でも表でもない、人の心の
透明な部分の有り様にホッとしました。

 新城のキャラ大ドンデン返しに腹を抱えて笑って
いました。

 劇中劇のラストシーンで愛理が「三人姉妹」の
台詞を暗唱している途中に涙で言葉をつまらして
しまう場面は何度観ても目頭が熱くなってしまい
ました。

 そして、平田さんが演じたのがその愛理です

 愛理の印象を一言で表すなら、その瞬間毎の
直感で動いている娘といった感じでしょうか。

 しかもその直感がかなり鋭くて正確なので、
舞台女優には向いていそうなのですが、一方で
自分の知らないこと分からないことには率直に
反応してしまうため、若干空気の読めないヤツと
思われていそうです。

 そんな愛理も黒い面を見せることがあるのですが
彼女の場合それもー種の脊髄反射でやっているような
そんなくるくると目まぐるしく表情が変わっていく女の子
でした。

 さて、このお芝居では人の表と裏、本音と建前の
対比が繰り返し描かれています。

 それを象徴するかのようにステージ上には舞台表と
楽屋裏が背中合わせになった廻り舞台が据え付け
られ、表と裏とが切り替わりながらお芝居が進行
してゆきます。

 もっとも裏だ表だと言っても廻り舞台にしてみれば
裏が廻れば表となり、表が返れば裏になってしまう
訳であり、裏も表も同等というのが本来です。

 では仮初めの表か裏かを規定しているものは
何なのかといえば、それは観客の存在に他なり
ません。

 いつでも人に見せる側が表側。

 ならば人間の裏と表は?
 とそんなことを考えました。


 [2008.10.07]

茶谷英司朗さん出演の「授業」観劇感想

2008年09月15日(月) 13時46分
 演劇ユニット堤組 第三回公演「授業 2008」
9月14日(日)14時の回を観てまいりました。

 茶谷英司朗さんが出演されたお芝居です。

 ## ## ##
 トン  トントントン
 金槌の音が響いてくる田舎の一軒家にひとりの若い娘が
訪ねてきます。

 その家に住んでいるのは年老いた教授とお手伝いの女の子。

 教授は家で個人授業を行っていて、訪ねてきた娘は博士に
なるため教授の授業を受けに来た金持ちの令嬢でした。

 早速授業が始まり最初は順調に進んでいましたが、いつの
間にか少しずつ会話はすれ違い、問いかけは詰問となり
敬意は不信に変わり互いの感情はささくれ立って
行きます。

 売り言葉に買い言葉、意味を共有できなくなった言語は
ただ相手にぶつけるだけのツブテと成り果てます。

 そして・・・

 トン  トントントン
 教授の家にまた金槌の音が冷たく響くのでした。
 ## ## ##

 茶谷さんは教授の役だったのですが、口髭あご鬚を
蓄えての老人姿で登場したのにはびっくりでした。

 ですがさすがは茶谷さん、時に弱々しく時に居丈高に
この不思議なお芝居の中で様々に変化を見せる老教授を
見事に演じていました。

 さて、この「授業」という戯曲は60年余り前に書かれた
不条理劇の先駆的作品なのだそうです。

 世代、貧富、男女、身分、理と惰、様々な対立を描いて
いるとも見えますし、言語の限界、コミュニケーションの
崩壊を扱かっているようにも思えます。

 ようは観る人次第ということなのでしょう。

 私はと言えば、少しずつ高まってゆく教授と生徒の
言い争いがどんな結末をむかえるのか、ヒッチコックの
サイコサスペンスのようにハラハラしながら観ていました。

 [2008.09.15]

佐藤沙予さん出演の「飛行機雲」観劇感想

2008年09月07日(日) 23時36分
 演劇集団アトリエッジ「飛行機雲〜DJから特攻隊へ
愛を込めて〜」、9月7日(日)14時の回を観て参り
ました。

 佐藤沙予さんが出演された舞台です。

 太平洋戦争末期、特攻隊の出撃基地となった鹿児島の
飛行場で、整備兵が持ち込んだラジオが奇妙な電波を
受信しました。

 戦時下らしからぬ音楽や新型爆弾投下の予言めいたことを
流すそのラジオ放送は未来からの電波だったのです。

 そして、数日後に日本が降伏し戦争が終わることを知るのと
機を同じくして、特攻隊に出撃命令が下されたのでした・・・。


 佐藤沙予さんの役は飛行場の少年整備兵の母親役でした。

 息子の好物を土産に飛行場をたずねた母親が息子の死を知り
物陰で泣きくずれる姿は今回一番目頭が熱くなったシーンでした。

 [2008.09.07]
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