『g2』創刊号
出版社 講談社 出版年 2009
数多くのノンフィクションが掲載された月刊『現代』の休刊にともない、新たに立ち上がったノンフィクション専門の雑誌、力作を集め、ここで発表された作品を単行本にし、さらにはウェブでも掲載していこうといういまどきの出版状況に敢えて背を向けた、かなり気合の入った雑誌となっている。
若手、ベテランまで網羅し、ノンフィクョンファンをがっちり掴もうということなのだろう。力作揃いで久しぶりにまとめてノンフィクションものを読んだという気にはなった。
以下それぞれの作品についての短評を。
矢野絢也 「池田大作と私」 意外な池田像というのは出てこなかった。大体想像通りの男がそこにいた。
諸永祐司 「沖縄密約事件−西山太吉の妻−37年目の初告白」 力作ではあるし、初めて明らかにされたことも多いだろう、その意味では発掘という点でおおいに評価されると思う。ただこれは筆者には関係のないことだろうが、密約が実在したことがわかって初めて西山氏もそして奥さんもやっといま名誉回復させられたわけだが、その結果が出る前にマスコミ側から、西山氏を救う作業があっても良かったのではと痛切に思った。
会津泰成 「永井秀樹独白録」虫明さんの『朽ちない冠』を読んだあとなので、甘さが目立つ。
柳美里 「ドキュメント『児童虐待』」 ある意味衝撃の作品。告白ものが多い作家であるが、自らの子供に対する虐待をテーマに、カウンセリングまですべて発表するそのやりかたが、どうもなじめなかった。
石井光太 「感染宣告」いまや死の病ではなくなったエイズに感染した人たちを克明に取材したレポート。これだけ重いテーマに読んだあとは、しばし放心状態になっていた。
高山文彦 「リッダ!奥平剛士の『愛と革命』」北条民雄の評伝『花火』で心底から揺さぶられたものだが、この前のジョセフィン・ベーカーの孤児院で育った人たちのルポもそうだが、なにか切れ味がなくなったような気がする。実際に海外にこのために取材に行くなかで、かえって集中力が散漫になってしまったのではないだろうか。選んだ題材はいいと思うのだが。
トニー・パーカー『殺人者の午後 神様と一緒に』
単行本を買おうかどうか迷って、そのままになっているのだが、この短編を読んで買う決意がついた。
沢木耕太郎 『耳を澄ます』
トニー・パーカーの翻訳をした沢木によるトニー・パーカーのインタビュー論を紹介しながら、自分のインタビュー論も披瀝している。あまりに期待せずに読んだのだが、なかなかふに落ちるところが多々あったインタビュー論であった。
すでにもう2号も出ているようだが、これだけいっぺんに読んでしまうと、しばらくインターバルをおいてから読んだほうがいいだろうなあ。こうした場ができたことでノンフィクションも死なずに残るようにがんばってもらいたいものである。
出版社 講談社 出版年 2009
数多くのノンフィクションが掲載された月刊『現代』の休刊にともない、新たに立ち上がったノンフィクション専門の雑誌、力作を集め、ここで発表された作品を単行本にし、さらにはウェブでも掲載していこうといういまどきの出版状況に敢えて背を向けた、かなり気合の入った雑誌となっている。
若手、ベテランまで網羅し、ノンフィクョンファンをがっちり掴もうということなのだろう。力作揃いで久しぶりにまとめてノンフィクションものを読んだという気にはなった。
以下それぞれの作品についての短評を。
矢野絢也 「池田大作と私」 意外な池田像というのは出てこなかった。大体想像通りの男がそこにいた。
諸永祐司 「沖縄密約事件−西山太吉の妻−37年目の初告白」 力作ではあるし、初めて明らかにされたことも多いだろう、その意味では発掘という点でおおいに評価されると思う。ただこれは筆者には関係のないことだろうが、密約が実在したことがわかって初めて西山氏もそして奥さんもやっといま名誉回復させられたわけだが、その結果が出る前にマスコミ側から、西山氏を救う作業があっても良かったのではと痛切に思った。
会津泰成 「永井秀樹独白録」虫明さんの『朽ちない冠』を読んだあとなので、甘さが目立つ。
柳美里 「ドキュメント『児童虐待』」 ある意味衝撃の作品。告白ものが多い作家であるが、自らの子供に対する虐待をテーマに、カウンセリングまですべて発表するそのやりかたが、どうもなじめなかった。
石井光太 「感染宣告」いまや死の病ではなくなったエイズに感染した人たちを克明に取材したレポート。これだけ重いテーマに読んだあとは、しばし放心状態になっていた。
高山文彦 「リッダ!奥平剛士の『愛と革命』」北条民雄の評伝『花火』で心底から揺さぶられたものだが、この前のジョセフィン・ベーカーの孤児院で育った人たちのルポもそうだが、なにか切れ味がなくなったような気がする。実際に海外にこのために取材に行くなかで、かえって集中力が散漫になってしまったのではないだろうか。選んだ題材はいいと思うのだが。
トニー・パーカー『殺人者の午後 神様と一緒に』
単行本を買おうかどうか迷って、そのままになっているのだが、この短編を読んで買う決意がついた。
沢木耕太郎 『耳を澄ます』
トニー・パーカーの翻訳をした沢木によるトニー・パーカーのインタビュー論を紹介しながら、自分のインタビュー論も披瀝している。あまりに期待せずに読んだのだが、なかなかふに落ちるところが多々あったインタビュー論であった。
すでにもう2号も出ているようだが、これだけいっぺんに読んでしまうと、しばらくインターバルをおいてから読んだほうがいいだろうなあ。こうした場ができたことでノンフィクションも死なずに残るようにがんばってもらいたいものである。
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