あんにょん由美香

2010年02月 07日 (日) 0:29
作品名 「あんにょん由美香」
演出・構成 松江哲明 出演 林由美香 ユ・シンソン 他
制作年 2009 119分

いつも通訳してくれるKさんから面白い映画ですよと教えてもらってから、半年あまり、やっと見ることができた。教えてもらった時は東中野のポレポレでやっていたのだが、タイミングが合わず、姫路にいる時に大阪でやっていたのだがやはり行けず、やっと横浜のジャック&ベティにかかったので見に行ってきた。なぜこんなに執念をもやしたかというと、なにより大好きな女優林由美香をめぐる映画だったからだ。あまりにも早い急な死により女優として名を残すことになったといえるかもしれないが、この世にいないということは事実。この映画は韓国でつくられた林が主演したエロ映画『東京の人妻』の関係者をたどりながら、彼女と深い関係にあった男たちも登場、彼女について語ったり思い出ある場所を訪ねたりと、林由美香への慕情を昇華させている。面白い手法だった。男たちが語っていく林由美香のなかに、林という女性がもしかしたら空虚をかかえ生きていて、男たちの関係性のなかに生きるすべを見出していたのではと思うようになってきた。林を失ったという喪失感を男たちはみんな抱えている。そのなんともいえないむなしさがにじみ出ている。それはきっとこの映画に関わった人たちの思いなのだろう。もうひとつ面白かったのは、この映画の縦糸となっている『東京の人妻』という映画に携わった人たちの物語である。この映画に出演し、林と絡みを演じた日韓の若い俳優さんがちょうどこの時子供が生まれ生活のために出演していたこと、この映画への出演がきっかけとなって韓国の俳優さんはこれ以上俳優として生きることができなかった。それは韓国ではそれだけエロ映画に出ること自体が、恥だったということだ。監督がかなりいい加減な人ぽっかったなあ。とてもいい映画だと思うし、演出した松江も才能があると思う。ただシナリオにはなかったラストシーンを撮りなおすというのはどうだったのだろう。別に無理やり美談に仕立てなくてもよかったのではないだろうか。これがなくても十分に林への思いは画面からにじみ出ている。
ラストシーンがとても好きだったし、この映画に携わった人たちの映画への思いを感じた。沖縄首里の本当に壊れそうな古い映画館で林の3本立てをやっているシーンなのだが、映写機がカラカラと音を立ててまわり、狭い通路、壊れかけて椅子、この雰囲気いいよなあ。いまはなきかもめ座を思い出した。 
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