書名 「火を熾す」 著者 ジャック・ロンドン 翻訳 柴田元幸
出版年 2008 出版社 スイッチ・パブリッング
自分が好きそうな作家なのに゛たぶんいままで読んでいなかったと思う。なぜだったのか。買う動機を与えてくれたのは、朝日の土曜版で書店で働く人が推奨する本を紹介で、この著作がでていたからだ。そこで敗け続けた男たちの世界を見事に描くというような感じで書いていたので、これは読まなければと思ったわけだ。それ以前にも本屋で見かけて気にはなっていたのだが、この書店の一押しが効いたといえる。感謝しないと。ここには9篇の短編小説が収められている。アラスカを舞台にした厳しい自然の前で屈する男たちの姿を描いた作品「火を熾す」や「生の掟」は、バイコフの自然観に共通するものがある。メキシコ革命の時に革命のためにかませ犬のようにリングにあがっていたボクサーと白人ボクサーとの熾烈な闘いを描いた「メキシコ人」はファイティングシーンが、フラッシュバックの手法を見事に駆使、あきさせない、そして見事にボクサーの内面まで描く。また中年のこれもかませ犬に落ちぶれたボクサーが伸び盛りの若いボクサーと空腹のなかで闘うさまを描いた『一枚のステーキ』の切ないことよ。ミッキー・ルークの「レスラー」を思い出してしまった。この他にも生まれた時からお互いに勝つことだけしか考えていないふたりの男が、いかにして存在を不可視にするかという命題に向かい、まったく違うやり方で解決するという「影と閃光」は、マレービッチの晩年の冒険「黒の上の黒」「白の上の白」を思い起こさせる。これとアイルランドの野人と成功したビジネスマンを両方に重ねもつ男の生活を追った「世界が若かったとき」は、ホフマン風のゴシック小説となっている。なかなか達者な作家だったようだ。長谷川濬がきっと愛してやまない作家だったのではないだろうか。
出版年 2008 出版社 スイッチ・パブリッング
自分が好きそうな作家なのに゛たぶんいままで読んでいなかったと思う。なぜだったのか。買う動機を与えてくれたのは、朝日の土曜版で書店で働く人が推奨する本を紹介で、この著作がでていたからだ。そこで敗け続けた男たちの世界を見事に描くというような感じで書いていたので、これは読まなければと思ったわけだ。それ以前にも本屋で見かけて気にはなっていたのだが、この書店の一押しが効いたといえる。感謝しないと。ここには9篇の短編小説が収められている。アラスカを舞台にした厳しい自然の前で屈する男たちの姿を描いた作品「火を熾す」や「生の掟」は、バイコフの自然観に共通するものがある。メキシコ革命の時に革命のためにかませ犬のようにリングにあがっていたボクサーと白人ボクサーとの熾烈な闘いを描いた「メキシコ人」はファイティングシーンが、フラッシュバックの手法を見事に駆使、あきさせない、そして見事にボクサーの内面まで描く。また中年のこれもかませ犬に落ちぶれたボクサーが伸び盛りの若いボクサーと空腹のなかで闘うさまを描いた『一枚のステーキ』の切ないことよ。ミッキー・ルークの「レスラー」を思い出してしまった。この他にも生まれた時からお互いに勝つことだけしか考えていないふたりの男が、いかにして存在を不可視にするかという命題に向かい、まったく違うやり方で解決するという「影と閃光」は、マレービッチの晩年の冒険「黒の上の黒」「白の上の白」を思い起こさせる。これとアイルランドの野人と成功したビジネスマンを両方に重ねもつ男の生活を追った「世界が若かったとき」は、ホフマン風のゴシック小説となっている。なかなか達者な作家だったようだ。長谷川濬がきっと愛してやまない作家だったのではないだろうか。
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