書名 「打ちのめされるようなすごい本」
著者 米原万里 出版社 文藝春秋(文春文庫) 出版年 2009年
まさに打ちのめされるような書評集であった。これは週刊文春に連載されていた書評を中心に、1995年から2006年まで新聞や雑誌、また文庫本の解説のために書かれた米原万里の書評を集大成したものである。通訳という仕事がら、その守備範囲の広さに驚かされる。また1日7冊読むというその読書量が物語る、読書好きだけでは説明できない、読書熱が底流にある。ひとつ興味深かったのは、時代背景。ブッシュのアメリカが、ニューヨークのトレードセンタービルが襲撃された報復としてイラク戦争を仕掛け、国内では小泉が郵政民営化か否かという、国民を愚弄するような選択を迫り、しかもそれに大勝してしまった時代。その愚かな行為に対する嫌悪感、しかしそれを支えている民衆がいるということへの危機意識が随所に顔を出していた。そしてなにより胸が痛くなったのは、自分自身が子宮ガンが発覚、さらにそれが転移が発覚したとき、まるですがるように手当たりしだい癌の本を漁り、なんとかその治療法を求めようとするその必死な姿である。転移という死までのカウントダウンが現実になっているときに、米原は自分の読んだ経験のなかで、病院を渡り歩く。その姿を医者や病院を実名入りで書き続けている。確かに死は身近に迫ってきているとしても、どうしても自分は生きたい、癌と闘いたいというその姿を書評をしながら書く。そこから生きることへの希求、さらには必死に何かを伝えようとする姿が浮かんでくる。それに圧倒された。
姫野カオルコ、斉藤美奈子、田丸公美子などぜったい自分には縁がないと思っていた作家の本を読みたいと思った。この女性作家の本を紹介するときの米原の軽妙な文章を読んで、なんど電車の中で大笑いしたことか。
満足度 ★★★
著者 米原万里 出版社 文藝春秋(文春文庫) 出版年 2009年
まさに打ちのめされるような書評集であった。これは週刊文春に連載されていた書評を中心に、1995年から2006年まで新聞や雑誌、また文庫本の解説のために書かれた米原万里の書評を集大成したものである。通訳という仕事がら、その守備範囲の広さに驚かされる。また1日7冊読むというその読書量が物語る、読書好きだけでは説明できない、読書熱が底流にある。ひとつ興味深かったのは、時代背景。ブッシュのアメリカが、ニューヨークのトレードセンタービルが襲撃された報復としてイラク戦争を仕掛け、国内では小泉が郵政民営化か否かという、国民を愚弄するような選択を迫り、しかもそれに大勝してしまった時代。その愚かな行為に対する嫌悪感、しかしそれを支えている民衆がいるということへの危機意識が随所に顔を出していた。そしてなにより胸が痛くなったのは、自分自身が子宮ガンが発覚、さらにそれが転移が発覚したとき、まるですがるように手当たりしだい癌の本を漁り、なんとかその治療法を求めようとするその必死な姿である。転移という死までのカウントダウンが現実になっているときに、米原は自分の読んだ経験のなかで、病院を渡り歩く。その姿を医者や病院を実名入りで書き続けている。確かに死は身近に迫ってきているとしても、どうしても自分は生きたい、癌と闘いたいというその姿を書評をしながら書く。そこから生きることへの希求、さらには必死に何かを伝えようとする姿が浮かんでくる。それに圧倒された。
姫野カオルコ、斉藤美奈子、田丸公美子などぜったい自分には縁がないと思っていた作家の本を読みたいと思った。この女性作家の本を紹介するときの米原の軽妙な文章を読んで、なんど電車の中で大笑いしたことか。
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