タイトル ロシア革命アニメーション 1924-1979
ロシアアヴァンギャルドからプロパガンダへ
観覧日 2009年6月30日
会場 渋谷・UPLINKX
そこそこ入ってのだが、自分の場合は「ロシア革命アニメーション」という表題の「ロシア革命」の方に気がいってしまったのだが、多くの客にとっては「ロシアアニメーション」の方に関心があったのではないだろうか。ロシアというよりはアニメという感じの若い人が多かった。
プログラムはAプロ、Bプロの2本立て、それぞれ80分だったが、続けて見た。年寄りには連チャンはきつかったのだが、なかなか見応えがあったし、面白かった。全体を通していえるのは、実に個性的なアニメ作家がソ連時代にいたということだ。アメリカ産のアニメしか知らないということがあるのかもしれないが、手法にせよ、絵のタッチにしても、個性豊かなものが多かった。そしてプロパガンダだから、なにをしてもいいかといわんばかりに、かなり大胆な実験をしている。印象に残った作品をいくつかとりあげたい。まずは「前進せよ、今がその時だ」。1977年に製作されたウラジーミル・タラソフのこの作品は、同名のマヤコフスキイの詩をベースにしたポップスアニメ。ロドチェンコの撮ったあのふてぶてしいマヤコフスキイの写真をつかって、マヤコフスキイの詩をリフレインさせ、アンディーウォホールばりのポップアニメをスピーディーに展開していく。マヤコフスキイという存在がもつ本質としての前衛性がモロに出ていて気持ちよかった。マヤコフスキイの詩が読みたくなった。タラソフのもう一本の作品「射撃場」(1979)もアメリカンポップ調で、全編フリージャズが流れるという意欲作である。この人かなりただ者ではないのでは。
ヴェルトフの「ソヴィエトのおもちゃ」(1924)も面白かった。これはおそらくソ連最初のアニメということになるのだろうが、素朴で一筆書きで描いたような人物のゆっくりした動きが新鮮だった。「百万長者」(1967)は、ブルドック犬が遺産を相続して大金持ちになるという馬鹿馬鹿しい話なのだが、キャバレーぽっいシーンは、当時のことを考えれば、欧米の頽廃した文化と見られていたものを、アニメにすることによってその羨望を描いたともいえる。怖かったのは「狼に気をつけろ」(1970)。戦後ヨーロッパの山中で発見された野生の狼少年の話を、ナチ復興とかけてかなり暗く描いていく。黒い絵のタッチが暗く、動きもすくないので逆に恐怖感が浮き上がってくる。「予言者と教訓」など実写を交えたアニメがたくさんあった。「株主」(1963)で描かれていることは、ローン生活にまみれたアメリカ人労働者が、金融破綻とともになにもかも失うという、まさにサブプライム問題を予言するような作品だった。
ソ連時代にアニメという抜け道を見つけ、前衛を指向する映像作家たちは、実験を繰り返していたということが言えるのではないだろうか?その意味でも大変意義のある企画だったと思う。
ロシアアヴァンギャルドからプロパガンダへ
観覧日 2009年6月30日
会場 渋谷・UPLINKX
そこそこ入ってのだが、自分の場合は「ロシア革命アニメーション」という表題の「ロシア革命」の方に気がいってしまったのだが、多くの客にとっては「ロシアアニメーション」の方に関心があったのではないだろうか。ロシアというよりはアニメという感じの若い人が多かった。
プログラムはAプロ、Bプロの2本立て、それぞれ80分だったが、続けて見た。年寄りには連チャンはきつかったのだが、なかなか見応えがあったし、面白かった。全体を通していえるのは、実に個性的なアニメ作家がソ連時代にいたということだ。アメリカ産のアニメしか知らないということがあるのかもしれないが、手法にせよ、絵のタッチにしても、個性豊かなものが多かった。そしてプロパガンダだから、なにをしてもいいかといわんばかりに、かなり大胆な実験をしている。印象に残った作品をいくつかとりあげたい。まずは「前進せよ、今がその時だ」。1977年に製作されたウラジーミル・タラソフのこの作品は、同名のマヤコフスキイの詩をベースにしたポップスアニメ。ロドチェンコの撮ったあのふてぶてしいマヤコフスキイの写真をつかって、マヤコフスキイの詩をリフレインさせ、アンディーウォホールばりのポップアニメをスピーディーに展開していく。マヤコフスキイという存在がもつ本質としての前衛性がモロに出ていて気持ちよかった。マヤコフスキイの詩が読みたくなった。タラソフのもう一本の作品「射撃場」(1979)もアメリカンポップ調で、全編フリージャズが流れるという意欲作である。この人かなりただ者ではないのでは。
ヴェルトフの「ソヴィエトのおもちゃ」(1924)も面白かった。これはおそらくソ連最初のアニメということになるのだろうが、素朴で一筆書きで描いたような人物のゆっくりした動きが新鮮だった。「百万長者」(1967)は、ブルドック犬が遺産を相続して大金持ちになるという馬鹿馬鹿しい話なのだが、キャバレーぽっいシーンは、当時のことを考えれば、欧米の頽廃した文化と見られていたものを、アニメにすることによってその羨望を描いたともいえる。怖かったのは「狼に気をつけろ」(1970)。戦後ヨーロッパの山中で発見された野生の狼少年の話を、ナチ復興とかけてかなり暗く描いていく。黒い絵のタッチが暗く、動きもすくないので逆に恐怖感が浮き上がってくる。「予言者と教訓」など実写を交えたアニメがたくさんあった。「株主」(1963)で描かれていることは、ローン生活にまみれたアメリカ人労働者が、金融破綻とともになにもかも失うという、まさにサブプライム問題を予言するような作品だった。
ソ連時代にアニメという抜け道を見つけ、前衛を指向する映像作家たちは、実験を繰り返していたということが言えるのではないだろうか?その意味でも大変意義のある企画だったと思う。
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