「異郷に生きるV−来日ロシア人の足跡」

2010年08月 11日 (水) 23:24
書名 「異郷に生きるV−来日ロシア人の足跡」
編者  中村喜和・長縄光男・ポダルコ・ピョートル
発行年 2010  出版社 成文社

「来日ロシア人」会の発表を中心にしてまとめられているこの本もこれが5冊目となる。ロシア以外の他の国でこれだけ関係史について語られる国はないのではないかと思う。それだけ日本とロシアの関係は深く、また広いということなのだろう。
それを来日ロシア人の会の皆さんが、さまざまなアプローチからせまり、そこから見えてくる日露関係の意外な一面、それがこの書の読み所といっていいだろう。今回もまたいろいろな発見、教えてもらったことがたくさんあったのだが、なかでも一番興味深かったのは小山内道子の『月刊ロシア」を渉猟してだった。何故ならアートタイムス最新号に発表した『ロシア放浪−追跡のヤマダサーカスの謎』でも書いたが、戦前ロシアに渡ったサーカス団員のなかで、革命後もソ連に残り、革命の混乱の中まさに命からがら帰国した女芸人山根の回想録が、この雑誌に掲載されていたからなのだが、1934年からおよそ10年にわたって、対ソ研究誌として出されていたこの雑誌の沿革についてかなり詳しく知ることができた。このヤマダサーカス絡みでいうと、彼らがロシアに渡ったのは、1908年。ここに集められているいくつかの論考「日露関係の黄金時代を構築して」とか「日露戦争後のロシアの新聞に見る日露関係と日本」などを読むことで、日露戦争後のあと、平和条約を結んだ後の数年が、一番日本とロシアが接近した年だったということもわかった。
また自分が調べていることに関連すると、バイコフは1956年にオーストラリアに移住しているが、「オーストラリアのロシア人」という論考によって、こうした背景にあったオーストラリアの思惑、その移住のシステムのことについても知ることができた。
この一書でずいぶん自分が調べていることの奥行きを広げてもらったような気がする。

  • URL:http://yaplog.jp/deracine/archive/2310
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