もののけ考〜子泣き爺〜

2010年04月12日(月) 18時13分
今回のお題は、みなさんご存知の『子泣き爺』です。





前回も述べた通り、子泣き爺は、伝承をもとに水木先生がデザインした妖怪なのですが。

では、その「伝承」とはいかなるものなのか。


ざっと確認したところ、核となるのは、民俗学者・柳田國男の著書『妖怪談義』のようですね。

この『妖怪談義』に掲載された文章から、水木先生がイメージをふくらませて、自分の解釈をくわえて、絵にする。

それが王道のパターンのようですが。




ここで問題となるのは、

「子泣き爺の伝承」というものが、実は、

「古来より語りつがれてきた怪異譚」

ではなく、

「ちょっと風変わりなおじいさんの噂話」

でしかなかった、ということです。



説明いたしますと。

徳山県の、山村部にて、

赤んぼうの泣きマネがうまい、変わり者のおじいさんがいて。

山の中を、泣き声をあげながら、徘徊していた、と。

で、

「悪いことをすると、あのおじいさんが来るよ!」と、

子どものしつけに使われていたそうなのですね。


いわゆる、ただの名物おじさんです。


その情報が、全国各地から集められた怪異譚のなかにまぎれこんでいて、

うっかり、「その地方に伝わる怪異な伝承」として、

『妖怪談義』に記されてしまった、と。



・・・なんと心あたたまるお話でしょう。


そんなこととはつゆ知らず、水木先生は、そのほかの妖怪たちと同じように「子泣き爺」に「かたち」をあたえ、

しかも、主役・鬼太郎の大事な仲間、という重要な役どころをあたえてしまったのです。



かくして、「子泣き爺」は誕生し、

日本で有名な妖怪ベスト10にはいるぐらいの大メジャー妖怪となりおおせてしまいました。



めでたしめでたし。

もののけ考〜水木御大〜

2010年04月10日(土) 20時38分
ものすごく大雑把なわけかたですが、

現在知られている妖怪のデザインは、2種類にわけられると思います。


それは、鳥山石燕を始めとする、江戸時代の絵師たちが作ったモノと、

水木しげる先生が作ったモノ、です。



鬼太郎の味方である妖怪は、水木先生のデザインが多く、

敵側の妖怪は、古来よりのデザインが多いようです。



たとえば、敵側の総大将である、ぬらりひょん。

これは、江戸時代からすでに描かれております。






鬼太郎に出てくる姿と、大差ありませんね。

この妖怪画をもとに、水木先生がデザインしなおしたのでしょう。





では、水木先生のデザインした妖怪、ですが。


ねずみ男、猫娘、砂かけ婆、子泣き爺。

このあたりは、「そりゃそうだろ」という感じですね。


では、一反もめんに、ぬりかべ。

このあたりはどうでしょう。


なんとなく、彼らにはぬらりひょんと同じように、古来よりの元デザインがある気はしませんか?

自分は、そんな気がしてました。

しかし、ないのです。


一反もめんも、ぬりかべも、

砂かけ婆や、子泣き爺と同じように、100%、水木先生のオリジナルデザインであるらしいのです。



もっとも、「水木先生がゼロから作りあげた独自の創作物である」というわけでは、ありません。


伝承は、残っているのです。


「歩いていたら、突然目の前に壁が立ちはだかる怪異」という伝承は、

あやかしの記録として、きちんと残っているのです。


その「怪異」に姿をあたえたのが、水木先生なのですね。


それは、まったくのゼロからデザインするより、ある意味すごいことではないでしょうか?


それは、つまり、

江戸時代の絵師たちが、この世のあやかしに姿をあたえ、血肉をあたえたのと、まったく同じことを、昭和の時代にやってのけた、ということなのですから。



余談ですが。なんと2007年に「ぬりかべ」の妖怪画が発見されたそうです。







こわっ!

そして、イメージと全然ちがう!


この妖怪は、たしかに「ぬりかべ」という名前であるらしいですが、

伝承として残っている「塗り壁」とは違うものなのではないか、という説もあるらしいです。

さもありなん。



さて、話をもどしますが。


古来よりの伝承をもとに、

姿かたちの無かった「怪異」に姿をあたえた、

水木先生の筆力はすさまじい、と思うのです。


ぬりかべや一反もめんでは、見慣れすぎててちょっとピンとこない、という方のために、

さらに一例をあげますならば、

やはり、「油すまし」でございましょう。







これも、水木先生のオリジナルデザインです。

どうでしょう、この説得力。


ぬらりひょんや、火車や、うぶめなど、

江戸時代から伝わる妖怪たちとくらべて、まさりおとりがありましょうか。



水木先生には、やはり、

「妖怪を視る目」がそなわっているとしか、思えません。







妖怪神社

もののけ考〜序文〜

2010年04月09日(金) 23時07分
妖怪について、つれづれなるままに語っていきたいと思います。


みんな好きでしょう、妖怪?

わたくしは、大好きです。


もっとも、そんな想いが再燃したのは、ここ数年で。

京極夏彦先生の作品に出会ったのが、そのきっかけだったわけですが。



子どものころは、やっぱりなんといっても『ゲゲゲの鬼太郎』の影響でしょうね。

大好きでした。

もともと、怪獣とかロボットとかが大好きな子どもだったので。

その延長上として、普通に妖怪も好きでしたね。



傾向としては、作品そのものよりも、図鑑などが好きで。

たとえば、かの『機動戦士ガンダム』なども、アニメはほとんど観たこともないぐらいだったのに、モビルスーツの名前は全部言える、みたいな。


だから、妖怪にかんしても、思い出として強く残っているのは『ゲゲゲの鬼太郎』そのものではなく、

水木しげる先生の著書である『妖怪なんでも入門』のほうなのですよね。







復刻してるんですよね。

いつか買ってしまいそうです。



しかし、いま思うと、水木しげる先生のほかに、妖怪を主題にした作品を描いているひとは、あまりいなかったように思えます。

『すくらっぷブック』という青春コメディマンガで、登場人物が妖怪に変身するぐらいしか記憶にありません。







拾いものの色紙画像。

油すましに、ぬりかべ電卓、土ころび。

・・・あぁ懐かしひ。



平成ベイベにとっては、『地獄先生ぬ〜べ〜』が妖怪マンガの筆頭になるのでしょうか。

現在進行形では、『ぬらりひょんの孫』というのもありますね。


しかし、

それらの作品は、ただ妖怪を怪獣の代用品として使っているだけで、

おどろおどろしさのカケラも見受けられません。



平成の世に、妖怪は似合わないのでしょう。

都会の夜に、妖怪はなじまない。


だから、平成版の『ゲゲゲの鬼太郎』にも興味はもてません。

ウェンツの実写映画なんて、もってのほか。



あ、ちょっと前に『墓場の鬼太郎』が深夜アニメでやってましたね。

アレはもう、まったく別の作品なのでしょうけれども。

鬼太郎が、性格悪すぎて面白いですね。



あと、いま朝の連ドラで、『ゲゲゲの女房』という、水木しげる先生の奥様を主役にした作品がオンエアされているとか。

・・・いい時代になったものです。



とりあえず、次回からは、

京極夏彦先生の著書から授かった妖怪の雑学などをつらつら書いていこうかなぁと目論んでおります。


抗生物質の影響か、夜更かしできない体調なので、今日はこれにて!

ドロン。






『墓場の鬼太郎』OP









『ゲゲゲの女房』OP
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ひぐるまというチームでベースを弾いています。
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好きな作家:京極夏彦、栗本薫、有栖川有栖、D[die]、江戸川乱歩、夢野久作、etc...

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