普段着のデンマーク vol.45
「同性愛者の権利について」
こんにちは、西村美紀です。寒くなって参りました。前回総選挙のことを書きましたが、その9月15日の総選挙後、ヘレ・トーニング・シュミット氏は組閣に時間をかけること2週間半、10月3日に再び女王陛下のもとを訪れ、晴れて公式にデンマーク首相に任命されました。欧州経済も大変なときですし、その後の政権運営はなかなか大変そうです。
今回は同性愛者のことについて。デンマークは世界で初めて登録パートナーシップを認めた国です。1989年に登録パートナーシップ法という法律が制定されました。「登録パートナーシップ」とは、同性のカップルがパートナーであるということを法的に登録することです。同性愛者のカップルがこの登録パートナーシップを結ぶと、お互いの財産や遺産、扶養に関することなどで、結婚しているのと同じような権利を得られます。私の職場にも、登録パートナーシップを結んでパートナーと一緒に暮らす同僚がいます。
デンマーク統計局の世帯調査を見ると、2010年に、結婚している男女の夫婦の世帯(子持ち世帯も含む)は103万3402世帯で、登録パートナーシップを結んでいるカップルの世帯は3763世帯となっています。また、2010年には、男性163組、女性247組が登録パートナーシップを結んだそうです。
なお今回のテーマと関係ありませんが、結婚していないものの男女で一緒に暮らしておりかつその男女間の子どももいるという世帯は10万6949世帯あります。
異性間の結婚と同性間の登録パートナーシップには少し違いがあります。登録パートナーシップでは、教会で結婚ができません。デンマークでは、国教会の牧師あるいは、その他の宗教の認定された牧師が結婚式を執り行うことができ、ここで結婚式をした場合には同時に法的にも結婚したことになります。日本では宗教的儀式である結婚式と、お役所で婚姻届を出すことは別物で、神社で結婚式を挙げても法的にはまだ独身ということがありえますが、デンマークの場合は、牧師に法的な結婚を認める権限が与えられているのです。しかし、牧師には登録パートナーシップを法的に認める権限はありません。そのようなわけで同性カップルは教会で法的に有効な結婚を行うことはできないのです。ですが、教会にて、法的効力のない祝福の儀式を受けることはできます。内容は結婚式と似たようなものに出来るそうです。
法律制定当初は出来なかったけれど、後に出来るようになったこともあります。例えば1999年には登録パートナーシップを結んだ同性カップルは、パートナーの子どもと養子縁組をすることができるようになりました。
さらに養子縁組にまつわる同性愛者の権利に関していうと、2010年7月には同性カップルおよび単身の同性愛者も外国から養子を迎える形の養子縁組ができるようになりました。皆さんもハリウッドスターが外国から養子を迎えて養育していることを見聞きしたことがあると思いますが、デンマークでも同じように、外国で身寄りがなく施設で育てられている子どもを養子に迎えているカップルがたくさんいます。以前は結婚した男女のみがこのような養子縁組をすることが出来ましたが、その権利が同性愛者にも与えられたのです。ただし、実際には養子となる子どもを送り出す側の国が同性愛者が引き取り手となることを許可していない場合がほとんどで、同性愛者が外国からの養子をもらった実例はまだないそうです。
不妊治療においても、2007年より同性愛者および単身の異性愛者が、異性愛者のカップルと同じように健康保険からの補助を受けながら治療が行えるようになりました。
このように、デンマークでは、性的指向に関わらず人を平等に扱おうという志で法律が変わってきています。上でご紹介したように現在のところ同性愛者は国教会で結婚をすることができませんが、この点においても法を改正して異性愛者と平等にという政治的議論・準備が行われています。
現在の法律の下で行うことの出来る教会での同性愛者の祝福の儀式ですが、国教会の多くの牧師がそれを行っていますが、宗教的な理由からそれをしたくないという牧師は、儀式を行うことを拒否をすることができることになっています(同様に離婚経験者が再婚する際の結婚式を行うことも拒否することが出来ます)。今後同性愛者の教会での結婚が可能となっても、牧師側の拒否する権利は残される模様です。国教会の牧師は、教会税から収入を得る「公務員」ですが、個々の牧師の宗教的解釈を尊重する余地も残そうという考えです。
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