速水 敏彦著 「他人を見下す若者たち」講談社現代新書 

2006年09月24日(日) 4時46分
ネット上ではときどき「この人はなぜこんなに自信満々に相手をこき下ろせるのだろう?」と
思うような言動に出会うことがある。
筆者はでは”仮想的有能感”という言葉を使ってこの心理をうまく説明している。簡単に言えば
なんら実質的な根拠もなく自分が他者に対して秀でていると考えることである。しかし誰しもこういう
心理は大なり小なり持っているし、とくに中学生くらいの時期はそういう有能感でいっぱいだったなあと
私も思い出したりして。
この本ではそういう誰しも思い当たるような、「そういうのってあるなあ」な”若い・青い”心理を
統計を駆使して、”厨房”的人間観社会観を持った青年が増えてることを示していて面白かった。

別冊宝島編集部「格闘技 最強リングの裏事情」 (文庫) 

2006年09月18日(月) 0時48分
長時間フライトの飛行機内では肩がこらない(あまり後に引かない)本を読むようにしている。
それが今回はこの本であった。以前読んだ「続・プロレススキャンダル事件史 」なんかは
一種の戦後テレビ・興行史としても面白かったので、それなりに期待して読んだが
やはりいろいろ闇の部分はあるとはいえ、プロレスに比べてスポーツ的な総合格闘技の世界は
ファンタジーに欠けるようでさほど読み応えはなかった。
いろいろ言われてる暴力団との関係については、予想通り一切触れられていなかったが
仮に取り上げたとしても、究極的に金の話だからまとまったレポートとなっても
門外漢にはさほどおもしろいものではないだろう。
唯一面白かったのがアキレス腱固めをとりあげた技術解説のレポート。

総格系の記事を書くライターは多いけど、本当に総格が好きで好きでたまらない人は少ない
なんかそんな読後感を抱いた本であった。

新田次郎「武田信玄」 

2006年09月10日(日) 22時28分
20年ほど前の人気NHK大河ドラマ「武田信玄」の原作、ということで有名、かつ新田次郎さんの代表作でもある本作品。
ドラマと同じような内容かと思って今まで読んでなかったんだけど、相当違ってる。というか信玄含むメインキャラの性格設定そのものが違ってたりする。
特に信玄自体、死因とも言われる結核の影にいつも付きまとわれてる感じで、独特のムードをかもし出すことに成功してる。(映像だと画面が辛気臭くなってちとツライと思われる)
正室+側室の計5人の女も、ツンデレ・巫女・男勝り・庶民派・忍者とそれぞれ恋愛RPGのヒロイン並みにキャラが立ってて嬉しい。
予想以上に娯楽性があり、かつ性格描写は重厚、戦闘シーンは取材が行き届いた綿密さ、やはり名作ですねえ。
信玄が主役ゆえか、謙信はあまりカリスマっぽく描かれてないので謙信スキーには不満でしょうが、それ以外には文句のつけようの無い戦国時代小説の傑作だと思いました。

大沢 在昌「氷の森」 

2006年08月22日(火) 18時39分
新装刊、なんですが、どの辺が新装されたのかはあとがきにもありません。
この作品が発表されたのは89年で、作中の時代設定もその頃。
したがってバブル当時の六本木が舞台で、街の描写がその時代の空気をうまくあらわしてます。
ちょうど時代が一回りしたせいか、あまり古さを感じないですな。
謎解きの部分では途中でだいたい読み手に予測がつくような話運びになってるんで
関心はいかに犯人にたどり着くかということが焦点になるあたり
新宿鮫と共通してますね。

猪俣謙次・加藤智 共著「ガンプラ開発真話」 (つづき) 

2006年08月13日(日) 22時50分
確かに秘話は入ってる。よく知られているように、機動戦士ガンダムの放映時スポンサーはバンダイではなくクローバーでありバンダイは後からプラモデルの商品化権を取ったのだが、その辺の裏話も書かれているのだ。担当者がいろんな障壁を乗り越えて、最終的には独断で予算を超える商品権料を提示して獲得、というよくあるビジネス手柄話っぽくまとめられている。
が、このエピソード行間を読むと創通エージェンシーがバンダイの足元を見て料金を吊り上げているようにw読めなくもなく、これ読む人が読めば
「ここまで書かなくてもいいだろう」
と憤慨しそうな話ですw
あと1/144スケール表示導入の話も定説になっていたエピソードとは違う視点からの証言も記されている。当の作者加藤智氏が定番エピソードの方の主役だったりするんだけど、この異なるサイドからの主張については、どういう感想を持ったんだろうw
残念ながらそれには触れていませんw

ま、こういう話もあるんですが、全体的にプロX風にまとめられており、そんなに物騒な話はないです。とくに生産現場や物流営業の苦闘を描いた章など、ガンプラ世代の現役リーマンからすれば
「こんなこと(人)べつに珍しい話じゃないよ」
であり、あまり面白くないです。
(なぜこんなエピソードが入ったかについては、あとがきで書かれている。ま、こういう風にきちんと書き物として残るのは無意味ではないと思います。)

私自身は、柿沼秀樹さんのホビージャパン時代の話が面白かった。佐藤電ホ編集長のは自画自賛臭くてどうもね、それにこの本のテーマの時代からズレてたし。もし文庫化する際には外したほうがいいですな。

猪俣謙次・加藤智 共著「ガンプラ開発真話」 

2006年08月13日(日) 22時44分
世代論というのはとかく胡散臭いものだが、しかしその世代ごとに同じ視座からでも、見えている 景色 が違っている、ということは確かによくある。
例えば今、20代以下の人々にプラモデルといえば?と問えば
有効回答のほぼ99%がガンプラ・バンダイとなるのではないだろうか。
(全回答の半分くらいは「よくわからない」なのかもしれないが)

しかし肝心のブーム直撃世代の30代中盤の人々にとってバンダイやガンプラがプラモの代名詞的存在である、という現状は若干違和感があるだろう。
ガンプラブーム前、当時の少年におけるバンダイのブランドイメージは2流プラモメーカーというものだった。
玩具では超合金があったが、当時別会社であったポピーのブランドであり、資本系列などということを知らない少年にとってポピーはポピーであり製品化するキャラクターがかぶってるからなんかバンダイと関係あるんだろうなというレベルで、あくまでバンダイはプラモという印象だった。
それがまさにガンプラ一発でまさに景色が一変してしまったわけで…
(30前後の世代にはファミコンブーム前と以降の任天堂をイメージして
もらえばわかり易いだろう。20代中頃の人には食玩ブームの海洋堂〜
ってちょっとくどい)

そんな2〜3流プラモ会社のバンダイ模型の、プレガンプラ時代の苦闘とガンプラブーム期の知られざるバンダイ社員達の奮闘を描いたのがこの本ということだが…

(つづく)

船戸与一「三都物語」  

2006年08月09日(水) 22時11分
この作者の本はほとんど読んでるけど、今回のこれは異色といっていい作品。
導入部のエピソードを読んでるときは、元プロ野球選手を主人公にしたノワールもの(馳星周wみたいな)かと
思ったら、そうじゃなくて全編、日台韓のプロ野球がテーマだった。

短編連作だけど、大きな流れとしては繋がっているので、読み足りない感じはしない。
印象に残ったのは、プロ野球に詳しい人間ならどの事件・人物をモデルにしているか
すぐわかるエピソードがたくさん詰め込まれた、老スカウトの話。

でも、この作者の文体が鼻につく人にはおすすめできない作品。

仁義なき戦い<死闘篇>、<死闘篇> 

2006年08月06日(日) 23時25分
とりあえず備忘録的に、読んだ本の感想などを書いていくブログです。

第1回は、飯干晃一さんの「仁義なき戦い」です。この映画は超有名で、私の心のベストテン第一位を占めてきていたわけですが、この原作は読んでいませんでした。(ムックまでとかは読んでるのに)
たまたま入った本屋で適当に棚を探していたら、たまたま目についたので購入となりました。
よく行く本屋なら、目当ての棚に直行するから目につかなかっただろうと思うと、これも縁ですなあ。

「どうせ、あの映画の面白さにはかなわんだろ〜」と先入観で思い込んで敬遠していたのですが
さにあらず、強烈なオモシロさでした。

とくに印象にのこったのは<死闘篇>の最後です。
映画第1作では最後、刑務所から出てきた広能昌三が坂井鉄也の葬式で
親分、山守義雄の欺瞞を文字通り撃つかのように棺桶に銃撃をして終わるという
ある意味映画的なドラマティックな終わり方なのですが
それに相当する原作<死闘篇>ラストでは、親分山村辰雄(山守のモデル)が刑務所から出てきて
飯のタネを探して奔走している美能幸三(広能のモデル)の仕事を
ことごとくを邪魔して自分が得をする。という非常に後味の悪いw結末になっています。

この後味の悪さ、登場人物のタチの悪さ、まさにこれぞ「仁義〜」の真髄ではないでしょうかw
2006年09月
« 前の月  |  次の月 »
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
メールフォーム

TITLE


MESSAGE

プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:dejan
読者になる
Yapme!一覧
読者になる