これまでは手帳に関する使い方や選び方をお伝えしてきたが、その中から、手帳やメモを使う上でのキーワードが見えてきた。それが「情報生態系」だ。
【拡大画像や他の紹介画像】 情報生態系は、定型業務や習慣とともに日々発生する割り込みの仕事や情報収集して入手した情報、あるいはタスクなどを、手帳やPC、スマートフォンなどを使ってどこに保存し、あるいは見直していくか――、そうしたツールの集合と運用のルールのことである。今回は、わたしのツール群を例として考えてみたい。
●わたしが使うツール群(手帳、ノート、メモ帳)
まず押さえておきたいのは、ツールとその役割だ。
・手帳:ネクサス バーチカル1392(能率手帳)
・メモ:バイブルサイズバインダー+各種リフィル
・ノート:カバーノート システミックA5+エッジタイトル(A5サイズ、いずれもコクヨ)+ツイストリング・ノート(A5、リヒトラブ)
もちろんPC、iPhoneも使っている。これらは情報の最終的な蓄積場所である。ただし最近はローカルのHDDというよりクラウド上に保管することが多くなってきた。これについては別途触れる。
まず手帳はスケジュールの記入と管理だ。見開き1週間で予定やタスクをシャープペンで時間軸に沿って記入。実際にどうだったかは赤ペンで記入している。この手帳の特徴は月間記入欄が分冊になっていることだ。完全な綴じ手帳とは違い適宜両方を同時に見られるのは、便利だ。
バイブルサイズバインダーはToDoリスト、メモ用紙のリフィルを入れている。読書メモや日記などもここだ。要するに綴じ手帳ではフォローできないものがこのバインダーに収まっている。各種専用フォーマットのリフィルが用意されているものは、システム手帳が便利だ。
●メモやToDoリストは専用リフィルでバインダーにまとめる
ToDoリストは、専用のリフィルをプロジェクトごとに1枚をあてて複数枚使っている。ToDoは一時期「Remember The Milk」を利用していたが、やや不便に感じだして紙に戻した。ToDoリストは1回限りのことや、ほかのタスクから独立したものならばそういう形式でもいいのだが、プロジェクトの一環となる小タスクの場合、ほかのタスクとともに列挙しておくことはあまり意味がない。それよりもプロジェクトごとに1枚の紙にまとめてどんどん列記しておき、切り替えて確認する方が便利だ。プロジェクトは進行していくたびに、見落とした小タスクが見つかったり、新たな作業が必要になる。バイブルサイズのリフィルならそれらを追記していくのはさほど難しくないのだ。
タスク全体の一覧性よりはプロジェクトごとに何がどうなっているのかを見られた方が、例えば関連する割り込みタスクを付け加えたり、優先順位を入れ替えたりするのになにかと都合がいい。プロジェクトが終わればバインダーから外し、スキャナーでスキャンしてから捨ててしまう。書き終わったらスキャンして捨てるのはほかのリフィルも同じだ。日記などは1カ月分たまったらバインダーから外してスキャン。こちらもリフィルは捨ててしまう。メモリフィルも同様だ。アイデアを思いついたらまずここにメモすることが多い。横罫、方眼の2種類のリフィルを入れてあるので適宜使い分けている。これも抜き出すのが前提になっている。ここから後述するノートに貼ったり、あるいはテキストとしてPCに入力すれば、バインダー内に保持する必要はない。メモリフィルはまた、タブレット代わりのような使い方もされている。方眼リフィルにPowerPointスライドの下書きを手書きで書いて、iPhoneのEvernoteを起動。カメラで撮影してEvernoteに保存する。これなら出先の喫茶店で片付けられる。わざわざPCにつないだスキャナーでスキャンしなくてもあっという間に処理される。
●時系列と一時記録で記録媒体を変える
そしてノートだ。これにはエッジタイトルとツイストリング・ノートの2つのノートにそれぞれ役割を持たせてある。
まずツイストリング・ノートは各種プロジェクトの暫定的な管理だ。アイデアを製品に昇華するために、製品イメージや展開、マーケティングプランなどを思いつくままに書き込む。システム手帳と同じで、中身をどんどん入れ替えられるのもメリット。とっくに終わったものや中止になったものは、ノスタルジーに浸るのでもなければほとんど邪魔だからだ。
そしてカバーノートに入れたもう1冊のノート、エッジタイトルは打ち合わせの議事録専用だ。綴じたノートの最大のメリットはページをめくる方向と時系列が一致していること。日付が大きなファクターとなる記録に向いているのだ。そしてエッジタイトルはページのノドに工夫があり、日付と項目を記入して複数項目の情報を管理するのに向いている。
ここまで読んでくれた人には、上記の手帳とノートの運用方法に共通のルールが見えるのが分かるはず。すなわち、
・時系列を重視した記録には綴じられた手帳やノートを利用
・複数項目を管理したり、どんどん入れ替えたりするメモ・記録には差し替え可能なシステム手帳やルーズリーフタイプを利用することだ。
わたしは、形態に合わせてこのようにノート・手帳を使い分けている。なお、同じことはPCに入力しても構わない。だが、ノートとペンの組み合わせにしかないメリットは多々ある。例えば、複数色のペンを使い分けながらアイデアを展開することだったり、フリーハンドで自由にイメージを展開することだったりする(わたしはやっていないが人によっては、ノートとペンでマインドマップを書いたりするのだろう)。
●多ノート派が普通になっている
手帳に関しては、以前から1冊にすべてを集約すべきである旨のことが言われてきた。曰く「2冊だとダブルブッキングが起こる」「1カ所に集約することで情報同士のつながりが分かる」――。確かにその通りだし、原則としては無視できない。ただし本当にすべてのことを1冊に集めるのはあまり現実的ではないとも考えている。例えば議事録やToDoリスト、それに仕事のメモなどをすべて1冊のノートに集約すると後から探すのに大変そうだ。インデックスをつけてPCで管理する方法や、インデックスを付けやすいノートなども出ているが、面倒くさがりのわたしには向かなさそうなため、手を出さずに今に至っている。
わたしの知り合いなどを見ていると、現実的には多ノート派が解になりそうだ。多ノート派とは、目的ごとに別々のノートを使うという考え方だ。信頼文具舗を運営する文具評論家・和田哲哉氏がその著書『文房具を楽しく使う(ノート・手帳編)』(早川書房)において提唱した。現在は文庫版も刊行されている同書中から引用しよう。
同じ時期に二冊以上のノートを並行して使う人、そういった人たちをわたしは「多ノート派」と呼称しています。(中略)付け加えるならば、複数のノートは同じものではなくて、書かれる内容や使われる場面に合わせて異なったタイプやサイズであると、なおよろしいかと思います。(同書66ページ)
またこんな記述もある
こんな考え方はいかがでしょう。パソコン、PDA、携帯電話、これらも情報をストックする「一種のノート」と考えれば、すでに三冊と数えることができます。ここにブロックメモとダイアリーの二冊が加わっただけで合計五冊のノートをハンドリングしていることになります。「一か多か」を議論するまでもなく、情報の所在は今のところ着実に分散化しているようです。(同書68ページ)
上記のPDAをスマートフォンに置き換えれば、このとらえ方は今でもそのまま通用するだろう。『文房具を〜』が刊行されたのは2004年だったが、気がつけばみな多ノート派になっているのではないか。ノート的な情報記録媒体を複数使い分けるのはめずらしくないのではないだろうか。違う点があるとすれば、それはEvernoteやDropboxのようなクラウドツールの存在だろう。これらは、PCやiPhoneを入力/閲覧の手段としつつも情報の事実上の一元化に役立っている。だがこれらに入らない情報があるのも事実だ。なんでも、1カ所に集めるのも1つの方法だ。だが目的とツールが適切に関係付けられていて重複がなければ、そして無理のない運用ができれば、複数冊のノートを使うことにはほとんど問題がないと考える。
念のために断っておくと以上のツール群の組み合わせ、使い方はあくまでわたしの実例である。もし、ほかにも面白いツールや活用方法をご存じなら、はてなブックマークやトラックバックなどを通じてぜひ教えてほしい。【舘神龍彦】
【4月27日23時44分配信
誠 Biz.IDhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100427-00000064-zdn_b-sci