女優誕生秘話 

2006年09月05日(火) 18時01分
― それはまだ短大生になったばかりの頃・・・

彼との初めてのデート。
田舎育ちの私の前に外車に乗って颯爽と現れた彼は、青山の某レストランへ連れていってくれた。
遊び慣れた感じの彼は何もかもがスマートで、私はオドオドとした自分を悟られまいと必死に背伸びし
クールな女を装った。
アルコールを頼む時もドキドキが止まらない。気取って選んだカクテルが、間の抜けた花火付きの
トロピカルなものだったらどうしよう・・・。
メニューを見ても何を頼めばいいのかさえ分からない。
一通りオーダーするものを決めたところで、
「ちょっとお手洗い」
と、彼は席を外した。
普通なら「すみませーん。お願いします。」と注文を済ませておけば済むことだけれど、ロボットほどに
緊張し気後れしている女には、店員を呼び止める勇気さえない。

それなのに・・・。
「もう、頼んどいてくれた?」と戻ってきた彼に向かって、私は驚くほど冷静に
「私がそんなに気の利く女だと思う?」とぬかしたのでした。

だってこの日の私は『クールな女』の役だったから――。
彼が引いたのは言うまでもありません。

ぶりっ子したり、猫かぶったり、気取ったり・・・。
女性はときどき“女優”になるのです。

あれから数年・・・、私は今も女優です。
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