お題07. 笑いあう夢を見た 後記 

December 11 [Tue], 2007, 1:24
ずっと温めていた妄想をお題と絡ませたら、無理矢理感が募るモノになりました・・・・。
精進が必要ですね。

お題07. 笑いあう夢を見た 

December 10 [Mon], 2007, 22:45
僕に対峙するのは、愛しい君の10年後の姿。



急にボンという爆発音とともに現れたのは、山本武…であると思う。
断定出来ないのは、先程まで屈託のない笑みを浮かべて僕に話しかけてきた山本とは違い、ニヒルに笑い、背丈の伸びた男の姿を認めたからだ。


「・・・・君は、山本武で合っているのかな?」


不審に見つめる僕がおかしかったのか、男はフッと笑って「そうだぜ」という。
にわかに信じられないが、紛れもなく彼は山本武のようだ。


「説明してくれる?僕、全く分からない」


思ったことを告げれば、男は信じてもらえねぇかもしんねぇけど…と、頭をボリボリ掻きながら話始めた。どうやら、彼は10年後の山本らしい。何かの拍子で、此処にいた僕の知っているアイツ、男からみれば10年前の山本と入れ替わったそうだ。

山本は今どこにいるの?と聞けば、森にとんだはずだと言われた。そこには最近見ないと思っていたあの草食動物たちも一緒らしい。そして、5分経てば元の山本に戻るとも言った。


幾分か安堵すれば、絡めとるような男の視線を感じ、僕はむず痒くなって背を向けた。
窓の外を見るけれど、情景の認知などできず、ただ今の状況を頭の中で整理しようと努力した。

すると、突然背後からの衝撃を感じ、耐え切れず視界がグラりと歪んだ。後ろからギュっと抱き締められていたのだ。男との体のリーチがこんなにもあるなんて・・・・・。

僕の知っている山本というのは、少し僕より背が高いのだけど、まだ身体が完成されておらず、野球少年であるにもかかわらず、優男のイメージであった。
だけど、この男は違う。がっしりとした大きな身体。すっぽりと彼の腕の中に収まれば、もう身動きがとれない。力が、強い。


「なっ…止めて」


「止めない。せっかくヒバリに会えたんだぜ?易々と離すかよ。」


山本はさらに強く僕を締め付け、顔を僕の肩に埋め、すぅっと息を吸った。


「あー、ヒバリの臭いがする。懐かしい。」


僕の胸が一度大きく鳴った。何だって?彼に直接問うことに躊躇いがあったが、聞き捨てならない台詞。


「ねえ、10年後の僕は、君と一緒じゃないの?」


「・・・一緒じゃないって言ったら、アンタどーする?」


にわかに信じがたい。僕と君が、離れるなんて。
僕の疑問を読み取ったように、男は辛辣な顔で向き合った。


「ヒバリ、アンタは」


「っ!?やめて。」


「ヒバリ?」


「知りたくない。だから言うな。」


自分でも驚いた。子供のようにいやいや、と顔を左右に振り、彼の腕を払い除けようとしたのだ。
なんて様だ。そんな僕を見兼ねてか何かは知らないけれど、「ヒバリ」と男は少し強い口調で僕を呼び、酷く抵抗する僕の腕を掴み、そっと額に唇を押し当てた。


男は哀しい表情を隠すことなくじっと僕を射抜いている。僕はそんな男の瞳をきつく睨むことしか、出来なかった。


僕の顔はどうなっているのだろう。もしかすると、この男のように、崩れた顔になってるのかもしれない。はたまた、上手く睨むことに成功しているのかもしれない。ただ、心臓は潰れるようにぎゅっと音を立てて、とても痛いのだけれども。痛い、何故か?分からない感情に戸惑っていると、男はより一層苦しげな表情をつくって、この僕でも分かるくらい哀しい笑みを浮かべた。


「ヒバリ、ごめんな。ほんと、ごめんな」


何がごめん、なのだ。
どうして謝る?こんな顔を見たいわけじゃなかった。
何がなんだか、さっぱり分からない。


「・・・理由も知らないのに謝られたくない。」


「ヒバリ」


「もう何も聞きたくないよ。はやく消えて。」


喉が渇いて、唇もかさかさもだ。上手く言葉も紡げなくて、自分でも驚いた。
苦し紛れに、早口で彼を拒絶したけれど、ちゃんときつく言えたのだろうか。



それっきり、沈黙が続いている。
だけど、男は僕の両手を開放してはくれなかった。


どれだけ時間が経ったのか。
一刻も早く、元の屈託のない笑みを浮かべて、ヒバリと呼ぶ、彼に会いたかった。
山本なら、今のこのどうしようもなく痛い心臓を、僕を、解放してくれる。
早く、戻ってきて・・・・そう懇願していたけれど、何かおかしい。
5分?いや、それ以上、時間は経っているはず。
同じことを男は考えたのか、急に左右をきょろきょろ見渡した。


「あれ?戻らないな・・・。そーいや、ツナたちもずっと戻んなかった」


「…!どういうこと??じゃあ山本はどうなるの!」


「んー、分かんねぇ。」


「答えになってないよ!」


自分でも驚くほど、動揺している。しかし男は焦るどころか、寧ろ喜んでいるようで、目が細くなり口元が緩んでいて、なんだか僕を狼狽させた。

はぁ、と溜め息をつき、再びきつく睨みつけると、あろうことか山本が「はは。」と笑った。


「何でそんなに喜んでいるのかな」


「んー、不謹慎かもしんねぇけど、俺、ヒバリに愛されてんのな!って思ってさ」



「…君、じゃないよ」


「いや、俺だよ」


「違う!」


「まーまー」


そう言って、男は両腕を挙げ、降参ポーズをとって見せた。
山本と全く同じ仕草や口調をしてみせた彼を見て、やはりここにいる男と、僕の知っている山本が同じ人物であることを確信してしまう。男は戸惑いを隠しきれない僕の頭に手を置き、くしゃりと髪を乱した。
その不規則に動く手が心地よくて、迂闊にも目を閉じた。




「ヒバリ、何でかな。何で…俺たち一緒にいれなくなったのかな。」


急に男はあーあ、と言い、また笑った。
悲痛の混じる、歪んだ顔で。
見るに耐えないその顔をみて、僕の瞳から薄い膜が覆うのを感じた。
熱い何かが、湧き上がる。
唇が震えて、止めようととっさに両手で口を塞いだのだけれど、嗚咽が漏れ、その途端瞳から熱いモノが噴出した。



「…そんなこと、僕には分からないよ。」


自分でも驚愕している。自分が自分でなくなるような、そんな暴走。
それを止める術を僕は知らなかった。
男にこんな恥ずかしい姿を晒してはいけないと、それだけを考え、俯くと、男はそっと僕の顎に手をやり、ぐいっと顔を押し上げた。
見られたくないのに、僕はされるがままに顔ををあげた。



「あのな、ヒバリこれだけは聞いて。・・・俺は今でもアンタを愛してるから」



掠れた声で囁かれた言葉を反芻していると、また瞳から何かが噴出した。
歪む視界の中、男は始めて、本当に優しく穏やかな笑みを浮かべた。



笑いあう夢をみた。
5年後も、10年後も共に居て、笑いあう夢を―・・・・・・

君を失くした僕に何が残るの 2 

December 03 [Mon], 2007, 22:21
ディーノ編

山本が恭弥の前からいなくなった日、俺の中で何かがが変わるのだと感じた。
やっと巡ってきたチャンスだ。

恭弥を知って、側に置きたいと思ったときには、すでに恭弥は山本に全てを委ねていた。
表面上では二人の間にあるものなど、何もないように感じた。
しかし、それは違っていて、恭弥が山本を必要としていることなど、関わりを持てば持つほど、嫌でも思い知ったのだ。

恭弥は自覚していないのだろうが、山本の姿を認めると、それは穏やかに彼を見つめていたし、その山本に連れが居ると知れば、柔和な表情が一転し、とても見ていられなくなる。
切ない表情をして、下唇をギュっと咬むのだ。あの、恭弥が。
その仕草に魅了されるのは、恭弥に愛を注ぐ人間の正直な反応ではあるが、それをさせた相手が自分でなく、あの山本だと思うと、耐えがたい怒りを覚える。 自らの感情を押さえきれない子供のように、嫉妬で手が震えていた。

だが、もう大丈夫だ。
一番厄介なヤツがどういう訳か、恭弥から離れたのだ。


あぁ、やっと―・・・・・・

君を失くした僕に何が残るの 1 

December 03 [Mon], 2007, 21:13
「恭弥、お前いい加減観念しろよ」

「何のこと?」

ディーノがはぁと溜め息をつき、全くお前はさ…と、呟き困った顔をしたけれど、僕はこの話には深く突っ込まないと決めていた。

ディーノが僕の家に来ることは珍しいことではない。
もちろん、こちらから呼んだわけではないし、来てもらってもいつも説教ばかりで、いい加減うんざりくるのだ。

「アイツ、もう恭弥には会いに来ないぜ。」

「あなたには関係ないことだ。」

ディーノに言われなくたって、そんなこと百も承知。だって紛れもなく僕が、彼を遠ざけたのだから。
僕と山本の関係は本当に脆いもので、詰まるところはっきりしないのだ。
お互い求め合ってはいたけれど、それを言葉にしたことはなかったし、されたこともなかった。
ただ、時に欲望に飲まれ、互いの体を求めては、その温もりに甘えていただけ。
でも、僕はそれでよかった。虚しいものと分かっていたけど、この関係に安堵を覚えていたから。

だけどあの日、山本がその関係を終りにしたのだ。
この先の未知の領域に踏み込んできたのだ。


「ヒバリ、愛してる」


愛してる…。その言葉を聞いて、何故だろう・・・・酷く興ざめした。
あぁ、ついにきたか、と。
何を今更。

山本は僕の反応をよそに、とても焦っていた。
彼なりに、悩んだ結果の告白だったのだろうが、なぜ進まなくてはいけないのか。
なぜ、言葉にしてしまったのか。

「そう。」

彼が望んだ回答でないことぐらい、僕にも分かっている。だけど、それ以上は言葉に出来きなかった。
黙って俯く。こんな僕を見て、山本はふぅと大きな深呼吸をして見せた。
彼はこれ以上の返事を追及しては来なかったけれど、うん好きだと、もう一度だけ、いつものはにかんだ笑顔を僕に向け、言った。

その後のことは正直よく覚えていない。
僕もかなり感情的になっていたから。

お題01. 傷跡を自覚した朝 後記 

November 28 [Wed], 2007, 22:54
ヒバリ側の話ばっかり書いてる。

ヒバリがどんどん恋に溺れていく。
こんなに弱かないよ!
スミマセン

お題01. 傷跡を自覚した朝 

November 28 [Wed], 2007, 21:42
僕が悪いのかと言えば、そうだと誰もが言うだろう。



僕はあの時、行かないと言った。


昼食を手早く済ませ、講義の時間まで誰も来ない教室の日の当たる窓辺に突っ伏せるのが僕の日課。ザワザワと群れる声を遠くから聞き、僕は眉間にしわがよるのを自覚していた。

このようなざわめきを聞くたび、僕にしつこく付き纏った男のことを考えずには居られなくなる。


中学を卒業したと同時にイタリアに飛んだ彼とは、その後音信が途絶えている。
いや、正確に言うと、相手が気を遣って連絡をよこさないだけだ。
僕を執拗に追いかけたアイツは、幼い表情が抜けない、ただのガキだった。
笑うときは大口開けて懸命に笑い、悔しいときはその感情をもろに表情に出すヤツだった。
それが今ではれっきとしたマフィアになっている。

そう、離れてからもう5年。
僕の知らない彼が、遠くイタリアに居る。
いや、もしかしたらもう死んでるのかもしれない。
それは、もう僕には知る由もないこと。
関係のないことなのだ。

なのに、こうして1人物思いに耽っているときに、思い出すのはアイツのことばかり。



「ヒバリは行かねぇの?」

「アンタは行くと思ってた。」

「なぁ、本当に行かねぇの?」

「俺はヒバリと一緒に居たい。」



「・・・・・じゃあ、君も此処に残ればよかったんじゃないか・・・・・」
思わず出た言葉にびっくりした。

そもそもどうして僕が此処に残ったのか。
山本だけじゃない、誰もが僕はマフィアになるだろうと思っていた筈だ。
正直、僕もそう思う。

では何故?


答えは分かっている。


ただ、認めることが出来ないだけ。
5年経った今でも、それは出来なかった。



講義が全て終わり、家に帰ってシャワーを浴びる。
食事をとる気分にはなれなかった。
もう、寝たい。

こんなにも山本を思い出した日は、なかった。

・・・・なかった?
違う。いつもこうして引きずっているじゃないか。

そう、引きずっている。
山本がイタリアに発ったあの日からずっと。


「や・・・・まもと・・。」


ベッドにヘタりと横たわって愛おしい名前を呟けば、もう、次に目を開けたときには

忘れられる筈―・・・・



朝、目を覚ませば頬をつっぱる感触。
シーツが顔の辺りだけ湿って、あたる頬がねっとりとしていた。


僕が悪いのだ。


そう、君から逃げていたんだ。
幸せになることに、臆病になっていた。

だから、意地でも君と一緒には居られなかった。

これに挑戦する。 

November 28 [Wed], 2007, 21:23
色々書きたいシュチュエーションはあるけど、なにぶん素人ゆえ、題名を考えるのが相当ツライ。
こうなったらお題に頼ろうと思います。
まずはこちらの10のお題で進めていこうかと・・・・。


忘れられない君へのお題

01. 傷跡を自覚した朝
02. あるはずのない温もり
03. ただ偶然を待つ
04. 君が残した忘れ物
05. 似た後ろ姿を目で追って
06. あなたが好きなもの
07. 笑いあう夢を見た
08. ふと真似てみた君の癖
09. さよならの場所で
10. いつか、思い出に変わるまで


恋したくなるお題 (配布)/管理人 : ひなた様

決して戻ることはないのだけれど 後記 

November 28 [Wed], 2007, 21:07
時間が経つにつれ、きっと山ヒバの関係も変貌していくのかな、という妄想。
悲恋系好み故、暗い話になりました。
未消化。

決して戻ることはないのだけれど 

November 28 [Wed], 2007, 19:40
戻れない何かがあるとすれば、それは過去の2人の関係。



「ん?ヒバリ、どした?」

「ん・・・・。ああ・・・・・・・・いや、何でもない。」


山本の腕の中で考え事をしていたのだろうか。
白い天井のある一点を見つめたまま動かない僕を不審に思い、山本は僕と天井の間に割って入った。僕の体はおのずと彼の体に覆いつくされている。
静かな視線を浴びつつ、彼の体格の良い体を視線でなぞる。
最後にじっと山本の瞳を見つめ、感情を読み取ることに失敗した僕がフッと彼から視線を外せば、山本は一言、そっかと告げ、元の体勢に戻った。

2人して天井を仰ぐ形となる。

この白い上空に何があるわけでもないのだけど、ただじっと、仰ぎ見た。
山本は何を思って、今僕とこの時を過ごしているのだろうか。



山本武の存在を知ったのは、きっと山本が僕の存在を認めた随分後のことになる。
何人たりとも無断で入ることを許さなかった僕の応接室に、彼は突然足を踏み入れてきた。
そう、土足で、僕の中に入ってきたのだ。

その時の山本ときたら、本当に鬱陶しくて。
僕の何から何まで知ろうと必死だった。

ガッコウには何時に来てんの?
応接室で1日、何して過ごしてんの?
アンタの好きな食べ物って何?
アンタにとって俺はどんな人間に見える?

全て質問形式で、僕が参って無視を決め込んでも、ひたすら問い続けてきた。
そして忘れず自分のことも、彼は僕に話していった。

俺、野球しか取り得ねぇのな。
ヒバリヒバリ!俺、次赤点取ったら野球お預けになるんだって!
俺の家、寿司屋やってんだ。また食いに来いよ、奢るぜ?

そして・・・・


俺さ、アンタのこと、好きなんだ。


今思えば、僕はどうして山本に全てを許しているのだろう。
こんな淡い山本の感情を、どうして受け入れてしまったのだろう。
一線を越えた2人になったのは、いつからだったか。
何度も思い返してみたが、明確なことは分からなかった。
でも確実に、今こうやって同じ時を、同じベッドで過ごしている。

身体の繋がりもより深く、深く・・・・今も尚、ひどく求め合っている。


なのに、この虚無感を拭いきれないのだ。
求め合って得るモノが、以前のモノとは違うことに、山本は気づいているのだろうか。

強いて言えば情熱?
感情的な愛情?

相手を欲しいと思う、ひどく貪欲な欲望?



いつからだろう。
彼は僕から何も聞き出そうとはしなくなった。
知りたい筈なのに、知っていたい筈なのに・・・・。


どうして聞かないの。


過去に僕の中に土足で踏み入れたその情熱を、君は忘れてしまったの?




アナタが変わってしまうことが、こんなにも、
苦しいだなんて―・・・・。




突然、視界が暗くなり、僕はハッとした。
再び山本が僕を組み敷いていて、そっと僕の頬に口付けを落としたのだ。
瞬きをすることも忘れていたのだろう。
大きく見開いた目に、滲んだ山本の静かな眼差しが映る。
触れたいと思い手を伸ばすが、視界がはっきりせず、山本の頬にうまく届かない。
行き場を失くした右手がたどり着いたのは山本の黒いシャツ。
ギュッと握るが、これが限界。


あぁ、なんだ。


僕は泣いているのか。



彼の前で泣いたことなんて、一度もなかった。
なのに山本は戸惑うどころか、伝う熱い筋を追うように、黙って何度も何度も僕の頬に触れた。

覚書 

November 28 [Wed], 2007, 2:03
君は気づいていないんだろうな。

時々、君が酷く僕に冷たくするのを。

・・・殺意の眼差しを向けていることを。

愛してると言って、抱え込む腕の異常に激しい力を。


愛してると、冷たい声で発するのを―・・・。


本当は君、僕を殺したいんじゃないの?