(36) 

December 15 [Fri], 2006, 18:30
検診の日がやってきた。子宮がんの検診が終わり乳がんの検診が始まった。名前を呼ばれて医者の前に座った。医者が顔色を変えたのは、左の乳房の触診を始めた時だった。「再検査します」医者はそう言い何か書き始めた。「‥あの再検査って‥?あの‥」「少し気になるしこりがありますので、触診だけでなくもう少し詳しい検査をしたほうがいいと思います。これを持って病院の外科へ行って下さい。」産婦人科じゃないんだ外科なんだとカナコは思った。外科ってどんな病気の人が行くんだろう‥

(無題) 

September 12 [Tue], 2006, 19:31
明くる朝サトルが出かけたのを見計らったように電話がかかって来た。「早く逢いたいよ」「僕を助けると思って」とトモは言い続けた。カナコはもう逢わないほうがいいと思っていた。今なら引き返せる、忘れることが出来ると。「私‥今週忙しいの」「何?」「えっあの‥検診」「何の?」「婦人科検診」「大丈夫?」「普通の定期検診よ」「そうかじゃあ大丈夫だ」また連絡すると言って電話は切れた。市民が受けられるようにと、市が行っている子宮がんと乳がんの検診だった。前に胸にしこりを感じて医者に診てもらっていたが、良い機会なので受ける事にしたのだ。

(34) 

September 06 [Wed], 2006, 22:01
「ちゃんと会えた?どんな人だった?(^^)」少し考えて「会えたけどもう会わないと思う(^^ゞ」 と返信した。「ね?なかなかいい人とめぐりあえないでしょ?また一緒にプロフィール送ろうね(^.^)b」そうね、とカナコはつぶやき夕食作りに没頭した。没頭してるはずの頭の中で色々考えた。私はサトルのように謝ったりしない。今日の出来事はなかった事にする。私の心の片隅にだけ残しておく。まるでヒトゴトに思えてきた。サトルが帰ってきてもいつも通りの態度でいられる。カナコは静かに笑った。

(33) 

September 01 [Fri], 2006, 22:00
「これっきりなんてだめだよ」「‥」車に乗って送りながらもトモはカナコに、また逢いたい、と話し続けた。カナコは、でも、とか、むり、とか言い続け別れた。最寄りの駅で降りたカナコにメールが来た。「早く逢いたい」なぜか泣けてきた。早く子供を迎えに行かなきゃ、夕食の用意しなくっちゃ、と頭を働かせてたのについさっきの出来事を思い出して切なくなった。「私も」と送信し、そして消去した。夕食の支度をしている時、イズミからメールが来た。

(32) 

August 26 [Sat], 2006, 13:43
その吐息をカナコが自分を受け入れてくれるんだと思ったのか、トモの抱きしめる力は更に強くなった。それから‥自分が自分でなくなる時間が過ぎていった。「これは‥?」カナコの背中にある薄茶色の痣にくちづけながらトモは聞いた。「‥生まれた時からあるらしいわ」カナコは満たされていた。ずっと前からこの日が来ることは決まってたんだわ、と思うくらいに。だが満たされた気持ちはいつまでも保つ事ができなかった。「やっぱり帰らないと」「また逢うんだよ僕たちは」「‥」「カナコ」「‥でも」

(31) 

August 23 [Wed], 2006, 22:43
カナコが黙ってしまい、しばらく沈黙が続いた。トモは静かに車を発進させた。30分程経った。「ありがとう」カナコは送ってくれると思いそう言った。「このまま送るともう二度とカナコに会えないな」思いつめたようにトモは言い国道沿いのホテルへ車を入れた。カナコはといえば自分でも不思議なくらい冷静だった。帰りたいのも本当のはずだが、トモとこうなるのも電話で話した時からわかってた気がしたのだ。トモと共に車を降り部屋に入った。トモに抱きすくめられカナコは吐息をついた。

(30) 

August 13 [Sun], 2006, 8:36
「帰りたい」「どこへ?」「‥家」「でもここへ来た‥なぜ?」「‥」「僕はカナコに会いたくてここに来た。カナコは?」「‥」だんだん訳がわからなくなってきた。トモに会ってみたいと思ったのは確かだが、まさかこんな展開になるとは思っていなかった。「会いたいとは思ってたけどただ話をしてそれから」「惹かれあう」「違うわだって私には」「ご主人とかわいい子ども」「そうよ」「でも惹かれあう」「勝手な事言わないで!」「今僕のカナコで居てくれたらいい」「私の話聞いてる?」「カナコは僕の話聞いてる?」キリがなかった。

(29) 

August 11 [Fri], 2006, 16:36
暑かった。しばらくふたりはあたりを散策し、ジュースを買ってベンチで飲んだ。視線を感じた。ジュースを飲むカナコをトモは見ていた。何故か急に怖くなって「もう帰ります」とカナコは立ち上がった。「わかりました」トモはゆっくり立ち上がり車へと向かった。車に入るとトモは車を発進させることなく「でも僕はまだ帰りたくないです。一緒に居たい」とカナコの手を握った。カナコが驚いてる間に抱きしめ唇を合わせてきた。カナコは必死で顔を振りトモから逃れようとした。ほんの数分の出来事が何時間にも思えた。「‥ごめん」カナコのかたくなな抵抗にあいトモは放心したように言った。

(28) 

August 07 [Mon], 2006, 1:10
だからかもしれないがトモの行動ひとつひとつが新鮮に感じられた。コーヒーも、サトルはブラックだが、トモはミルクも砂糖もかなり入れていた。トモとカナコはひたすらコーヒーを飲んでいた。「出ましょうか」結局ろくにしゃべらず店を出て、そのまま車に乗る事になった。「右行きますか左行きますか」交差点でトモは聞いてきた。「えっあの‥じゃ右で」今、どこを走ってるのかよくわかってないのに、カナコはそう言った。右は山へと向かっていた。車が山道を登りきると山頂公園に出た。

(27) 

August 02 [Wed], 2006, 19:37
15人ほどで満席になりそうな店内は、カナコたちと、母と娘と思われる女性二人、あとは若いサラリーマンがモーニングのサンドイッチを食べていた。「コーヒーを。カナコさんは?」「あ、同じで」しばらく沈黙が続いた。カナコは落ち着かなかった。そうか座る場所が違うんだわ‥トモは壁を背に座っていた。サトルと出かける時はカナコは必ず壁を背に座った。サトルが促してくれるのだ。カナコはそれが当然だと思っていた。サトルしか知らなかったのだから。
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