【DB-RCT】侵襲性カンジダ感染症に対してフルコナゾールよりアニデュラファンギンは臨床経過を改善(N Engl J Med 2007; 356: 2472)

April 26 [Wed], 2017, 17:43
Anidulafungin versus Fluconazole for Invasive Candidiasis

【DB-RCT】侵襲性カンジダ感染症に対してフルコナゾールよりアニデュラファンギンは臨床経過を改善(N Engl J Med 2007; 356: 2472)

侵襲性カンジダ感染症に対する治療としてフルコナゾールとアニデュラファンギンを比較した二重盲検RCT。非劣性試験。

対象は血液もしくは無菌検体からカンジダが検出され侵襲性カンジダ感染症と診断された245人で、アニデュラファンギン群(n=127)とフルコナゾール群(n=118)にランダム割付された。
割付時点で48時間以上の抗真菌薬治療を受けている症例や7日以上のアゾールの予防投薬を受けている症例は除外された。

年齢は平均60歳弱でAPACHE IIは15点くらい。
リスク因子としてはCVC留置が8割弱、広域抗菌薬投与が約7割、最近の手術が約4割、高カロリー輸液が2-3割だった。ほとんど全例好中球減少がなかった。
血液培養で陽性だったのが9割強。
検出菌としてはCandida albicansが6割、C. glabrataが2割くらい、C. parapsilosisが1割強、C. tropicalisが1割程度だった。

フルコナゾール群では800mgのローディングののち400mg/dayの投与がおこなわれた。
試験薬は血液培養陰性化後少なくとも14日間は投与された。また、経過が良ければフルコナゾール経口投与への切り替えは許可された。

プライマリアウトカムは経静脈治療終了時点における臨床的かつ微生物学的な改善で、前者は感染によると思われる症状の改善で抗真菌薬の追加治療を必要としないことと定義、後者はフォローアップの培養で陰性化を確認できていることと定義した。
すると、改善率はアニデュラファンギン群とフルコナゾール群で75.6% vs. 60.2%(difference 15.4%; 3.9 to 27.0)だった。

菌種ごとにみてみると、C. albicansではアニデュラファンギン群で有意に良好、C. glabrata, tropicalisではアニデュラファンギンにfavorな傾向だった。
一方、C. parapsilosisではフルコナゾールにfavorな傾向を認めていたのが興味深い。

有害事象発生率も両群で差はなかった。
全死亡率は31% vs. 23%(p=0.13)とアニデュラファンギン群で低めだが有意な差を認めなかった。

結論。侵襲性カンジダ感染症の治療においてアニデュラファンギンはフルコナゾールよりも非劣性である。

【前向?観察】日本でのカンジダ血症に対するACTIONバンドル遵守率と予後の関連(J Antimicrob Chemothe 2015; 70: 587)

April 26 [Wed], 2017, 10:02
Management bundles for candidaemia: the impact of compliance on clinical outcomes

【前向?観察】日本でのカンジダ血症に対するACTIONバンドル遵守率と予後の関連(J Antimicrob Chemothe 2015; 70: 587)

日本におけるカンジダ血症の多施設(たぶん)前向き(たぶん)観察研究
(*何施設が参加した研究かとか、前向きかどうかなど研究デザインに関する記載がどこにあるか見つけられなかったので、「たぶん」です)

対象は好中球減少のないカンジダ血症で抗真菌薬の投与をうけた症例の609例。
Candida albicansが46.4%、C. parapsilosisが18.4%、C. glabrataが16.0%、C. tropicalisが7.6%、C. kruseiが4.6%、C. guillermondiiが3.5%、その他が3.3%だった。
死亡率は26.5%だった。

(*どのような患者群が組み込まれていたのか(年齢?性別?重症度?主病名?並存疾患?ICU?実際のどの抗真菌薬が投与されたのか?などなどなど)の記載がどこにあるかわからなかったので、僕がみているICU患者さんにこの結果をあてはめて良いのかどうかはわからなかったです)

これらの患者に関してACTIONバンドルの遵守の有無と予後との関連を検討している。
バンドルの項目と遵守率は以下の通り。

初期治療バンドル
1. カンジダ血症の診断がついてから24時間以内にCVC抜去(81.2%)
2. 初期の適切な抗真菌薬の選択(菌種不明で重症ならL-AMBかキャンディン、重症でなければFLCZ、菌種がわかっていればそれに応じて選択)(87.8%)
3. 適切な投与量(特にFLCZであれば800mgのローディングして400mg/day)(76.3%)

その後のマネジメントバンドル
4. 眼科コンサルト(53.6%)
5. 血液培養フォローで陰性化確認(60.5%)
6. 3-5日で治療効果を判定する(84.5%)
7. 治療経過が不良なら他の抗真菌薬に変更(78.0%)
8. 血液培養陰性化から少なくとも2週間投与(53.8%)
9. 経過が良ければ経口治療へ変更(24.3%)

バンドルをすべて遵守していたのが6.9%、遵守率の低かった経口治療への変更を除けば21.4%だった。
(*ただし、血液培養フォローや2週間投与の項目は、早期死亡した症例がどのような扱いになるのかの記載は見つけられなかった。もし早期死亡の症例が自動的に非遵守になるのだとすれば、バンドルに予後改善効果があろうとなかろうとバンドル非遵守と予後不良が関連することになる)

予後の評価として採用したのが「臨床的に有効であること」であり、カンジダ血症によると思われる症状が観察時点ですべて消失していること、と定義した。
(*ただし、カンジダ血症によると思われる症状とは何だったのか?誰が判定したのか?の記載を探しても見つけることはできず、バイアスが加わったアウトカム評価である可能性がある)

すると、バンドル遵守群と非遵守群での臨床的有効率は92.9% vs. 75.8%(p=0.011)だった。
経口治療への変更を除いて評価すると、バンドル遵守は臨床経過不良率の低下(OR 4.42; 2.05-9.52)と死亡率低下(OR 0.27; 0.13-0.57)と関連していた。

個々のバンドル項目の遵守の有無における死亡率をみてみると、
1. CVCカテーテル抜去(21.9% vs. 42.7%; aOR 0.41)
8. 2週間以上の治療期間(12.5% vs. 42.6%; aOR 0.23)
9. 経口治療へのステップダウン(12.0% vs. 30.7%; aOR 0.34)
では有意差を認めたものの他の項目ではほとんど差を認めない項目があった。

たとえば
2. 適切な抗真菌薬選択(26.4% vs. 27.3%)
3. 抗真菌薬の投与量(26.3% vs. 27.1%)
など。

一方、早期死亡した患者において評価ができず、非遵守になってしまうであろう項目については、遵守群で予後が改善する傾向にあった。
たとえば
4. 眼科コンサルト(18.1% vs. 36.4%)
5. 血液培養陰性化確認(20.5% vs. 35.8%)
6. 3-5日での治療効果判定(22.7% vs. 47.9%)
など。
これらの項目のうち、たとえば眼科コンサルトについては視力予後に大きな影響を与える可能性があるものの、死亡率に影響を与える機序はあまり想定しにくい。なので、この項目を遵守することが予後に影響するというよりも、重症群では遵守と判定されにくいという因子が影響している可能性が高そうだ。

結論。カンジダ血症のバンドルの遵守は予後の改善と関連していた。
このバンドルを広めることで臨床現場のプラクティスを改善させることにつながるだろう。


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もし、バンドル遵守率が経年的に改善していて、死亡率もそれに伴って改善しているのであればバンドルを遵守することの効果がある、と考えられるが、そのデータが示されていないのであれば、どちらかというと前述のバイアスが結果に影響を与えている可能性が高そうだ。

なので、全体としてのバンドル遵守と予後の関連については判断が難しいが、個々の遵守項目については割と面白い。
CVC抜去は予後と関連してそうだけれど、抗菌薬の種類や投与量はあまり関連なさそう、とか。

(全文通読してませんので、間違いあればお教えください)

【RCT】デング熱での血小板減少に対する予防的血小板輸血は出血を減少せず有害事象増やす(Lancet 2017; 389: 1611)

April 22 [Sat], 2017, 16:32
Prophylactic platelet transfusion plus supportive care versus supportive care alone in adults with dengue and thrombocytopenia: a multicentre, open-label, randomised, superiority trial

【RCT】デング熱での血小板減少に対する予防的血小板輸血は出血を減少せず有害事象増やす(Lancet 2017; 389: 1611)

デング熱ではほぼ全例で血小板減少が出現し、22-50%で血小板輸血がおこなわれている。
しかし、予防的な血小板輸血で出血が本当に減るかどうかはよくわからないし、血小板輸血による副作用(fluid overloadなど)で入院期間が延長するという報告もある。

そこで、デング熱での血小板減少に予防的な血小板輸血をおこなうかどうかで比較したRCTがおこなわれた。
シンガポールとマレーシアから。

対象はデング熱と診断され血小板が2万以下に低下しており明らかな出血がない患者372人。
血小板輸血群(n=188)と対照群(n=184)にランダム割付した。
血小板輸血群では2万を保つように4単位ずつ血小板輸血をおこなった。

プライマリアウトカムは7日目もしくは退院までにおける点状出血を除く臨床的な出血の発生と定義したところ、血小板輸血群と対照群では21% vs. 26%と差を認めなかった(risk difference -4.98%; -15.08 to 5.4)。
一方、有害事象は13例vs. 2例と血小板輸血群で多く発生していた(p=0.0064)。
これらの有害事象のうち血小板輸血と関連すると考えられたのが蕁麻疹3例、他の皮疹が1例、搔痒感が1例、胸痛が1例、重篤なものではアナフィラキシー1例、輸血関連肺障害1例、fluid overloadが1例だった。
死亡は両群で発生しなかった。

結論。血小板減少をおこしたデング熱での予防的血小板輸血は出血を予防せず、有害事象の増加と関連するだろう。


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surrogateでも大した差をつけられず、死亡にも差がないことから有用性は低そう。
一方、有害事象はやはり高頻度に起こりそう。

【RCTのサブ解析】院外心停止での早期に評価可能な予後予測因子を用いたスコアリングシステムのAUCは0.842(TTM)(Crit Care 2017; 21: 96)

April 22 [Sat], 2017, 16:31
Early predictors of poor outcome after out-of-hospital cardiac arrest

【RCTのサブ解析】院外心停止での早期に評価可能な予後予測因子を用いたスコアリングシステムのAUCは0.842(TTM)(Crit Care 2017; 21: 96)

院外心停止の蘇生後早期で長期予後を予想できないか、TTM trialのデータベースを用いてスコアリングシステムを作ってみた、という探索的リスク因子研究。

対象は院外心停止蘇生後に意識がなく、心原性が疑われる933人。
6ヶ月時点の機能予後不良もしくは死亡をアウトカムとしてリスク因子を抽出。backward stepwiseを用いてロジスティック回帰により独立予後予測因子を選び、さらにスコアリングシステムを作成した。

抽出された独立予後不良の予測因子は以下の10個
・高齢
・自宅での心停止発症(目撃の有無などが関わるのだと思われる)
・初期波形がVF/VT以外
・心停止からCPRまでの時間が長い(OR 1.06)
・CPR時間が長い(OR 1.28)
・アドレナリン投与
・対光反射もしくは角膜反射の消失
・pHが低い
・GCSでM1
・PaCO2が約35以下(挿管の有無と関わるのだと思われる)

スコアリングシステムのAUCは0.842(0.840-0.845)で、Bootstrapでinternal validation後のAUCは0.818(0.816-0.821)だった。

結論。院外心停止の蘇生後の患者においてICU入室までに評価可能な情報からは10個の予後予測因子が見出された。
ここから作成したスコアリングシステムにより早期の予後予測が可能となる。


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この研究では以下の二つに注意して解釈すべきと考えます。
・external validationされてないので、スコアリングシステムの性能は過大評価されている可能性が高い(bootstrapをおこなっているとしても)。external validationを経る必要がある
・臨床的にこのような状況での予後予測に期待される性能は「(ほぼ)絶対に予後良好が期待できない患者を見出すこと」かつ「予後良好な患者の割合を極めて低くすること」。その意味では感度、特異度のバランスをとるのではなく、特異度を極めて高く保つ必要がある。そのような検討は今回されていない。

【後向観察】ショックでデブリされた壊死性筋膜炎でのIVIGは生存率改善と関連しない(Clin Infect Dis 2017; 64: 877)

April 22 [Sat], 2017, 16:30
Impact of Intravenous Immunoglobulin on Survival in Necrotizing Fasciitis With Vasopressor-Dependent Shock: A Propensity Score–Matched Analysis From 130 US Hospitals

【後向観察】ショックでデブリされた壊死性筋膜炎でのIVIGは生存率改善と関連しない(Clin Infect Dis 2017; 64: 877)

壊死性筋膜炎に対するIVIG(免疫グロブリン)は死亡の低下とは関連しないという後ろ向き観察研究。
複数の前向き観察研究ではIVIGは死亡率低下と関連しており、それと相反する結果ではある。
この試験だけだと、データの粗い後ろ向き観察研究(例えば詳しい重症度スコアや治療の詳細に関するデータはない)なので参考程度の結果かなーと思うけれど、こないだon lineで出たINSTINCT(IVIGの効果がなさそうなRCT)とconsistentな結果なのを考えると。。

USの130病院でのデータベースを用いた後ろ向き観察研究。
2010年から2014年にかけて診療コードで壊死性筋膜炎とつけられており、昇圧薬が投与されデブリドマンが施行された成人患者4127人を対象とした。
本当に壊死性筋膜炎か?とか、本当にデブリされたのか?についても少数例を抜き出して検討すると、それぞれ97%, 89%は本当だと判定された。(こんな検討を行わなければならないくらいの粗いデータベースということの裏返しであるが。。)

これらの患者のうちIVIGの投与を受けたのは164人(4%)と少数だった。
IVIGの投与を受けたのはより若年で並存疾患が少ないが、より重症度が高かった。
治療としてはクリンダマイシンが併用されることが多く、昇圧薬を複数種類投与されることが多かった。

プライマリアウトカムの院内死亡についてIVIG群とnon-IVIG群を単純比較すると26.8% vs. 19.4%(p=0.02)とIVIG群で有意に高かった。
プロペンシティマッチさせた161例ずつで比較すると27.3% vs. 23.6%(p=0.44)と有意差は消失。
さらに多変量で調整したり(aOR 0.99)、IVIGの早期投与を受けたサブグループ(p=0.99)やTSSやGAS, Staph aureusなどの診断を受けたサブグループ(p=0.63)を抜き出して感度解析をおこなってみたが、やはりいずれも有意差はなかった。

セカンダリアウトカムの入院期間については26日vs. 26日と差がなかった。

結論。ショックでデブリされた壊死性筋膜炎でのIVIGは使用されることが少なく、院内死亡の改善とも関連していなかった。


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TSSは僕のなかでのIVIGの数少ない(唯一の?)適用疾患だったのだけれど。
INSTINCTとあわせると、あんまり重症でないTSSだとIVIGはいらないのかなー、となんとなく思います。
またINSTINCTが紙でpublishされたら詳しく読んで考えてみます。

【DB-RCT】経管栄養できる人工呼吸患者ではパントプラゾールを投与してもしなくても出血ほとんどおこらない(POP-UP)(Crit Care Med 2016; 44: 1842)

April 20 [Thu], 2017, 20:31
Pantoprazole or Placebo for Stress Ulcer Prophylaxis (POP-UP): Randomized Double-Blind Exploratory Study

【DB-RCT】経管栄養できる人工呼吸患者ではパントプラゾールを投与してもしなくても出血ほとんどおこらない(POP-UP)(Crit Care Med 2016; 44: 1842)

PPIのパントプラゾールはICU患者のストレス潰瘍予防において利益があるのか?不利益があるのか?
オーストラリアの単独施設でpilot的におこなわれたDB-RCT

ICU入室し24時間以上の人工呼吸管理が必要で48時間以内に経腸栄養が開始できることが見込まれる214人を対象に、パントプラゾール群(n=107)とプラセボ群(n=109)にランダム割付した。
パントプラゾール群では静注で抜管もしくは14日経過まで投与した。

患者群は70歳くらいで外傷が3割程度と最も多く、神経疾患、呼吸疾患と続いた。敗血症はほとんど含まれない。

重要なoutcomeとして設定したのが臨床的に意味のある消化管出血(血行動態が悪化したり、貧血が進行したり、侵襲的な治療介入が必要だったり)、肺炎、CDIとした。

結果、臨床的に意味のある出血は両群ともに発生しなかった。
肺炎はパントプラゾール群とプラセボ群で2例vs. 1例、CDIは1例 vs. 0例だった。
明らかな出血は3例vs. 6例(p=0.5)と差がなく、ヘモグロビンの推移も明らかな差を認めなかった。

90日死亡は28.3% vs. 23.1%(p=0.33 by log-rank)でCoxで調整するとHR 1.68 (0.97-2.90; p=0.06)とパントプラゾール群でややリスクが上昇する傾向を認めた。

結論。経管栄養のできる人工呼吸患者に対するパントプラゾールは明らかな利益も不利益も認めなかった。
現在のルーチンでの胃薬使用は今後の検討を加えるべき課題である。


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デザイン時にアウトカム発生率の推定や必要症例数の計算もおこなっていないpilot研究であり、実際のアウトカム発生率に対してNが全然足りなかった、という結果。
ただ、差があるとしても、200例を組み込んで全然差を検出できないくらいの小さな差であるだろう、という事実は面白い。
現在のPPI投与が「やりすぎ」である、というのは言えそうだ。
今後どの程度のところに落ち着くのかは、いくつかの試験結果を待つ必要がある。

死亡率に関しては、肺炎やCDIなどの想定される有害事象にほとんど差がないことからαエラーの可能性がありそうだが、気になるところではある。

あと、対象患者に敗血症がほとんどいないなど、当院ICUのpopulationと結構異なってそうなので、その意味でも解釈に注意が必要。

【後向観察】カンジダ血症3666例の疫学: 悪性腫瘍の有無、ICU or non-ICUに焦点を当てて(Intensive Care Med 2017; 43: 652)

April 19 [Wed], 2017, 16:07
The risk and clinical outcome of candidemia depending on underlying malignancy

【後向観察】カンジダ血症3666例の疫学: 悪性腫瘍の有無、ICU or non-ICUに焦点を当てて(Intensive Care Med 2017; 43: 652)

フランスのパリの26急性期病院が参加する真菌血症のサーベイランスシステム(YEASTS program)の’02から’14のデータを用いた疫学研究。
悪性腫瘍の有無にフォーカスをあてて解析をおこなっている。

対象はカンジダ血症の3417人、3666株。
基礎疾患として34.1%で固形腫瘍(うち45.7%は消化器系癌)、17.1%で血液悪性腫瘍(うち41.8%はリンパ腫、33.5%は急性白血病)を有していた。
約半数がICU患者だった。
30日死亡率はICU患者で772/1539(50.2%)にも及び、ICU外の患者でも495/1666(29.7%)と高率だった。
non-ICU患者では悪性腫瘍がない方が予後がよかったが、ICU患者では悪性腫瘍があってもなくても予後は変わらず悪かった。

血液悪性腫瘍の患者は若年者が多く、抗真菌薬の前投薬を受けている患者が多く、種としてはC. tropicalis, C. krusei, C. kefyrが比較的多かった。
これらの患者はキャンディン系抗真菌薬で治療されるケースが多かった。

ICU患者とnon-ICU患者を比べると、ICU患者においてはC. parapsilosisが少なく(p<0.02)、術後患者が多く(p<0.03)、8日、30日死亡が明らかに多かった(p<0.0001)。
やはりICU患者ではもともとの臓器障害が多いことが予後増悪と関連していたのではないかと考察されている。

初期抗真菌薬の選択と予後の関連は見出されなかったが、血液培養が陽性になったにもかかわらず抗真菌薬を投与しないことは予後増悪と明らかに関連していた(8日死亡でOR 10.96、30日死亡でOR 4.94)。

菌種と予後に関する検討では、C. albicansに比べてC. glabrata(OR 0.69)、C. parapsilosis(OR 0.49)では死亡率低下と関連するという結果が得られた。
C. glabrataについては予後悪化と関連するという報告が多いが、過去の研究においては予後が悪い患者がC. glabrataの感染を起こすことが多いという関連をみているだけで、C. glabrata自体が悪いわけではないのでは、という考察がおこなわれている。

結論。カンジダ血症において悪性腫瘍の有無、ICU or non-ICUは病像や予後と大きく関連するため、初期治療において大きな影響を与える因子であろう。

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データ盛りだくさん。

【DB-RCT】咽頭炎に対するステロイド内服は24時間後の症状改善率を増やさない(JAMA 2017; 317: 1535)

April 19 [Wed], 2017, 7:16
Effect of Oral Dexamethasone Without Immediate Antibiotics vs Placebo on Acute Sore Throat in Adults
A Randomized Clinical Trial


【DB-RCT】咽頭炎に対するステロイド内服は24時間後の症状改善率を増やさない(JAMA 2017; 317: 1535)

咽頭炎の症状改善のためにステロイドを処方したらどう?というなかなかアグレッシブな研究
UKの42施設でおこなわれた多施設二重盲検RCT

成人咽頭炎ですぐに抗菌薬処方が必要ないと考えられる565人を対象にデキサメサゾン群(n=288)とプラセボ群(n=277)にランダム割付した。
デキサメサゾン群ではデキサメサゾン10mgの単回投与がおこなわれた。

患者の年令は中央値34歳、男性が4割弱。
咽頭痛が出現してから4日くらいの受信が多く、膿性の扁桃が認められたのが1割程度だった。体温は平均36.8度。
Centor基準は3項目以上を満たしたのが14.2%で咽頭培養でレンサ球菌(多くはGAS)が検出されたのが14.6%だった。

プライマリアウトカムは24時間以内に症状が完全に消失することとしたところ、デキサメサゾン群とプラセボ群で22.6% vs. 17.7%(p=0.14)と有意差を認めなかった。
ただ、48時間以内に症状が完全に消失する割合は35.4% vs. 27.1%(p=0.03)と有意にデキサメサゾン群で改善を認めた。

重篤な有害事象としては2例と3例で発生した。
デキサメサゾン群の2例のうち1例は扁桃周囲膿瘍による入院でステロイドと関連があると考えられた。
ただ、プラセボ群の3例においても1例は扁桃周囲膿瘍による入院、1例は咽頭炎の増悪による入院、1例は肺炎を発症しての入院で退院後に死亡、と同様(むしろ多く)に有害事象は発生していた。

結論。急性の咽頭炎においてデキサメサゾンは24時間以内の症状改善率を増やさなかったが、48時間以内においては増やした。


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咽頭炎に対するステロイドの症状改善効果はありそうだが、劇的な効果ではないようである。
症状改善率が5-8%しか違わないのであれば、あえて副作用など懸念のあるステロイドを処方しようとは思わない気がします。
アセトアミノフェン、NSAIDs、桔梗湯あたりで頑張るという現在のプラクティスは変わらないかもしれません。

【前向観察】自発呼吸の強すぎるARDSにおいて筋弛緩薬で部分的に筋弛緩をかけると肺保護換気が可能となる(Am J Respir Crit Care Med 2017; 195: 1033)

April 18 [Tue], 2017, 15:31
Partial Neuromuscular Blockade during Partial Ventilatory Support in Sedated Patients with High Tidal Volumes

【前向観察】自発呼吸の強すぎるARDSにおいて筋弛緩薬で部分的に筋弛緩をかけると肺保護換気が可能となる(Am J Respir Crit Care Med 2017; 195: 1033)

呼吸不全でlow tidalにしたいのに自発呼吸が強くて一回換気量がたくさん入ってしまう。
そんな時に筋弛緩を少しだけ用いて自発呼吸を落としてやれば。。
という発想を検証するためにおこなった小規模な前向き観察研究。

ARDSで人工呼吸管理中にPSVで一回換気量が8ml/kgを超えてしまう10人を対象とした。
ロクロニウムを投与してNAVAをもちいて一回換気量が6ml/kgとなるように調整し、以後ロクロニウムの持続投与で2時間維持した。

結果、一回換気量は9.3から5.6ml/kgへ、経肺圧は26.7から10.7 cmH2Oへ、横隔膜の電気活動は17.4から4.5μVへ低下し、持続投与で維持することができた。
この間、pHは7.42から7.35へ低下、平均動脈圧は84から99 mmHgへ増加、心拍数は83から93へ増加した。

結論。肺障害で鎮静されている患者に対し、筋弛緩薬で部分的に筋弛緩をかけることで肺保護換気が可能となった。

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自発呼吸が強くて肺保護換気が保てない場合、鎮静薬を増量し、だめなら筋弛緩をかけてしまうのが一般的な戦略だと思うけど、鎮静薬の増量だけでは対応できないことが多い。
また、筋弛緩薬をやめるとまた強い自発呼吸が戻ってきて、いつまで深鎮静&筋弛緩を続けるの、と迷うケースもある。

それに対し、ある程度初期から少量の筋弛緩薬をtitrateして自発呼吸を適正範囲に抑えてしまう戦略だと、深鎮静せずに起こしておけるし、なかなか魅力的。
ただ、あんまり使いたくない筋弛緩薬の使用量は増えてしまうし、あくまで理論では、というところも気にかかる。

臨床的予後についてはどうなんだろ。興味深い。

【前向観察】IVC, SVCの呼吸性変動などエコーでの動的指標がどの程度輸液反応性を予測するか(Am J Respir Crit Care Med 2017; 195: 1022)

April 17 [Mon], 2017, 21:50
Comparison of Echocardiographic Indices Used to Predict Fluid Responsiveness in Ventilated Patients

【前向観察】IVC, SVCの呼吸性変動などエコーでの動的指標がどの程度輸液反応性を予測するか(Am J Respir Crit Care Med 2017; 195: 1022)

エコーで計測できる輸液反応性の動的指標の性能を評価した大規模な前向き観察研究。
フランスの多施設でおこなわれた。

鎮静された人工呼吸患者で循環不全に対してエコーの評価が必要と考えられた540人を対象とした。
全例で人工呼吸器に完全に同調した状態にあった。

エコーでは動的指標として上大静脈の呼吸性変動(ΔSVC: TEEで評価)、下大静脈の呼吸性変動(ΔIVC: TTEで評価)、左室流出路の流速の呼吸性変動(ΔVmaxAo)を測定した。
同時にpulse pressure variation(PPV)も測定した。

Passive leg raiseにより大動脈流速で測定した心拍出量が10%以上増加することをfluid responsiveありと定義した。

対象患者540人の平均年令は65歳、SAPS IIは59点、SOFAは10点だった。
うち、229人(42%)でfluid responsivenessが認められた。
ΔVmaxAo, ΔSVC、ΔIVCは78.0%, 99.6%, 78.1%で測定可能だった。

fluid responsiveness予測の感度としてはΔSVC ≥ 21%が61%、ΔVmaxAo ≥ 10%が79%、ΔIVC ≥ 8%が55%だった。
特異度としてはそれぞれ84%, 64%, 70%だった。
ROC-AUCはΔSVCがΔIVCより有意に優れていた。

結論。ΔVmaxAoが最も感度に優れ、ΔSVCが最も特異度に優れる検査だった。
ΔSVCの診断性能はΔIVCより優れていたが、経食道心エコーが必要である。


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IVCの呼吸性変動の感度はたったの55%。
呼吸性変動がないからといって輸液反応性がないとは全く言い切れない。
特異度も70%とこちらも褒められた値ではない。輸液反応性がなかったとしても呼吸性変動があることは珍しくない。
さらに、自発呼吸のある患者に外挿するとなると、さらに感度、特異度は下がるかもしれない。

IVCの呼吸性変動はあんまり当てにならない、けれど、という感じで使うようにすると良いと思う。