【本】Dr.竜馬の病態で考える人工呼吸管理〜人工呼吸器設定の根拠を病態から理解し、ケーススタディで実践力をアップ!

June 18 [Sun], 2017, 15:45


人工呼吸管理について非常にわかりやすく解説してくれています。
人工呼吸器の理論や生理を解説した本はたくさん読みましたが、ここまで臨床につながる形で記載してくれている本には初めて出会いました。

呼吸器に慣れた人であっても、人工呼吸器の使い方は指導医から教わりながら、試行錯誤しながら、使えるようになっていった人が多いのではないかと思います。(僕もそうです)
このような場合呼吸器管理はおこなえるようになるものの、どのプラクティスが標準的なプラクティスか、それともローカルルールなのかがわからないままとなり、柔軟な管理、自信を持った管理はできません。
この本を読むことで知識の整理ができ、少し自信を持った管理ができるようになったように思います。

もちろん人工呼吸器の初学者には特にオススメです。このような素晴らしい本に初学者の間に出会えるというのは羨ましいことです。

【レター】ドローンを用いると院外心停止現場にAEDを早期に届けることができる(JAMA 2017; 317: 2332)

June 14 [Wed], 2017, 10:00
Time to Delivery of an Automated External Defibrillator Using a Drone for Simulated Out-of-Hospital Cardiac Arrests vs Emergency Medical Services

【レター】ドローンを用いると院外心停止現場にAEDを早期に届けることができる(JAMA 2017; 317: 2332)

VF/VTによる院外心停止では一刻も早くAEDで除細動をおこなう必要がある。
時間を短縮するため、これまでは市中にAEDをたくさん設置するという戦略がとられてきた。
今回は、最新の技術で現場にAEDを一刻も早く届けることはできないか、と発想を転換して検討をおこなった。

スウェーデンでおこなったシミュレーション。
仮想の緊急指令が入ったと同時に現場の位置情報を入力。
その後、自動操縦でAEDを搭載したドローンが現場に向かった。
そして現場にドローンが到着するまでの時間と救急隊が現着するまでの時間を比較した。

シミュレーションは18パターンでおこなわれ、平均のフライト距離は3.2kmだった。
指令から消防署を出るまでの時間は救急隊で中央値3分、ドローンで3秒だった。
現場へ到着するまでの時間は救急隊で22分、ドローンで5分21秒でかなり早く現場に到着することができた。

なので、このシミュレーションがおこなわれた地域のように救急隊が現着するまで時間がかかる地域においてはドローンを用いたAEDデリバリーシステムは有効なのではないか、という結論。


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AEDを積んで飛行するドローンの写真がカッコいいです。

【DB-RCT】心臓術後AKIでのカルペリチドは尿量増えるがクレアチニン減らない(JAPAN)(J Crit Care 2017; 38: 253)

June 08 [Thu], 2017, 22:29
Effects of low-dose atrial natriuretic peptide infusion on cardiac surgery– associated acute kidney injury: A multicenter randomized controlled trial

【DB-RCT】心臓術後AKIでのカルペリチドは尿量増えるがクレアチニン減らない(JAPAN)(J Crit Care 2017; 38: 253)

心臓術後のクレアチニン上昇に対してカルペリチドは腎保護作用があるか?
日本の11施設でおこなわれた二重盲検RCT

サンプルサイズ200人を予定していたが組み込みがスムーズに進まずに77人で中断してしまった研究。
(なんでも多くの外科医がエビデンスの有無にかかわらず術後のクレアチニン上昇に対してカルペリチドを使いたがったから、というのが原因の一つらしい)

対象は予定の心臓手術の術後48時間においてクレアチニンが0.3mg/dl以上増加した患者77人でカルペリチド群(n=37)とプラセボ群(n=40)にランダム割付された。
カルペリチドは0.02γで持続投与し、両群ともクレアチニンが正常に戻るまで継続した。
両群の投与期間は平均で約48時間とほとんど変わらなかった。

プライマリアウトカムは腎機能の推移だが、クレアチニンはday1, 2, 3, 30, 60, 90と両軍で差を認めなかった。
尿量はday1で98ml/hr vs. 80ml/hr(p=0.018)とカルペリチド群で多かった。

セカンダリアウトカムとして腎置換療法の施行、ICU滞在期間、入院期間を検討したが、いずれもほとんど差を認めなかった。
不整脈や低血圧といった有害事象も両群で差を認めなかった。

結論。心臓術後のカルペリチドは明らかな腎保護作用がなかった。


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残念ながら人数が予定に達しなかった研究なので結果は参考程度。
ただまぁ、カルペリチドを使う気分にさせてくれる結果では、もちろんない。

【後向観察】敗血症性ショックでのPMX-DHPは院内死亡低下と関連(JSEPTIC DIC)(Crit Care 2017; 21: 134)

June 08 [Thu], 2017, 22:03
Potential survival benefit of polymyxin B hemoperfusion in patients with septic shock: a propensity-matched cohort study

【後向観察】敗血症性ショックでのPMX-DHPは院内死亡低下と関連(JSEPTIC DIC)(Crit Care 2017; 21: 134)

敗血症性ショックでのPMXは予後の改善をもたらすのか?
日本での大規模後ろ向き観察研究であるJSEPTIC DIC studyのデータベースを用いたサブ解析。

対象としたのは1723人の敗血症ショックで、そのうち522人がPMX-DHPの治療を受けた。
PMX群とnon-PMX群を単純に比較するとPMX群のほうがSOFAスコアが高く、DICが多く、腹部感染症やグラム陰性桿菌感染症が多く、治療としてはトロンボモジュリン、アンチトロンビン、IVIG、ステロイドやRRTを受けている割合が多かった。
院内死亡はPMX vs. non-PMXで37.9% vs. 36.6%だった。

これをプロペンシティスコアを用いてマッチングさせ、262ペアを作り出して比較した。
それにより、背景因子や治療内容は均一化された。
予後としては院内死亡は32.8% vs. 41.2%(p=0.042)、28日のICU-FDは18日vs. 14日(p=0.045)とPMX群で改善を認めていた。
一方、ICU死亡は21.8% vs. 24.4%(p=0.443)と差を認めなかった。

結論。敗血症性ショックでのPMX-DHP使用は死亡率低下と関連していた。


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ABDO-MIX, EUPHRATESが出た以上、観察研究をいくら積み上げても状況はひっくり返らない。
これらの予後改善を示唆する観察研究を根拠として日本でのRCTを組んで起死回生の一発を狙うしかない。
さもなくば、緩やかに消えていくのみ。
日本で開発した治療を欧米で検証する、というスタイルから脱却できるか。

ちなみに、この研究での敗血症性ショックの治療としてはトロンボモジュリンが3割、アンチトロンビン、IVIGが4割弱、non-renal indicationのRRTが1割強。
多い?少ない?

【大規模観察】敗血症の初期治療において抗菌薬投与までの時間は予後と関連するが輸液完了までの時間は関連しない(N Engl J Med 2017; 376: 2235)

June 08 [Thu], 2017, 20:12
Time to Treatment and Mortality during Mandated Emergency Care for Sepsis

【大規模観察】敗血症の初期治療において抗菌薬投与までの時間は予後と関連するが輸液完了までの時間は関連しない(N Engl J Med 2017; 376: 2235)

敗血症に対する早期の介入について、それを達成するまでの時間と予後の関連を調べた大規模観察研究。
アメリカの多施設でおこなわれた。

今回は3時間バンドル(血液培養、広域抗菌薬、乳酸値測定)に加えて初期輸液に関して調査をおこなった。

149病院で登録された49331人の敗血症患者のうち3時間バンドルを3時間以内に達成したのは40696人(82.5%)だった。
3時間バンドル達成までの時間の中央値は1.30 hr (IQR 0.65 to 2.35)で、抗菌薬投与までの時間は0.95 hr (IQR 0.35 to 1.95)だった。
初期輸液完了までの時間は2.56 hr (IQR 1.33 to 4.20)だった。

12時間以内に3時間バンドルを達成した患者群についてみると、3時間バンドル達成までの時間が長くなることと院内死亡の増加は有意に関連していた(1時間ごとのOR 1.04; 1.02 to 1.05)。
同様に抗菌薬投与までの時間の延長は院内死亡の増加と有意に関連していた(1時間ごとのOR 1.04; 1.03 to 1.06)。
一方、輸液完了までの時間は院内死亡とは関連していなかった(1時間ごとのOR 1.01; 0.99 to 1.02)。

結論。3時間バンドルの早期達成は予後改善と関連しており、抗菌薬の早期投与も同様だった。
しかし、早期の初期輸液完了は予後改善とは関連していなかった。

【メタアナ】敗血症性ショックでのEGDTは死亡率に影響せずコストを増加させる(PRISM)(N Engl J Med 2017; 376: 2223)

June 08 [Thu], 2017, 14:30
Early, Goal-Directed Therapy for Septic Shock — A Patient-Level Meta-Analysis

【メタアナ】敗血症性ショックでのEGDTは死亡率に影響せずコストを増加させる(PRISM)(N Engl J Med 2017; 376: 2223)

ProCESS + ARISE + ProMISe = PRISM!!

今回の試験によって何か新しい知見が追加されたとかそういうわけではなく、純粋に医学的には面白い結果ではない。
ただ、PRISMをおこなうことを予定したうえでそれぞれのRCTを開始し、予定通りNEJMに発表した、ということに意味がある。
North America, ANZICS, Europeが協力しておこなった地球規模の仕事であり、スケールのデカさに圧倒される。
こないだのEuroAsiaをみている限りまだまだなんだろうけど、今後はAsiaもここに加わって、とは思う。
最近の発表される論文をみているとAsiaにその芽は感じることができる。Japanは、、どうだろう。

今回は7カ国の138施設から、ProCESSのプロトコルに基づいた標準治療群を除いた3723人を組み込んだ。
年齢は65歳、組み込み時の平均血圧は67、乳酸値は4ちょい、APACHE IIは16、SOFA4点。
全体として敗血症性ショックとしてはかなり軽症。
ランダム化までに2Lの輸液が行われており、受診から抗菌薬投与までの時間は70分ちょいだった。

プライマリアウトカムである90日死亡率はEGDT群と標準群で24.9% vs. 25.4%と差を認めず、adjusted ORも0.97(0.82-1.14)だった。
セカンダリアウトカムでみるとEGDTは集中治療を要する期間を延長し(5.3 day vs. 4.9 day; p=0.04)、心血管サポートを必要とする期間を延長した(1.9 day vs. 1.6 day; p=0.01)。
その他は人工呼吸管理期間や腎置換療法を受ける割合など、差を認めなかった。
コストについてはEGDT群で多かった。

サブグループ解析も重症のショック(乳酸値が高かったり、低血圧+乳酸値上昇の両方を認めたり、予測死亡率が高かったり)や施設ごとの治療方針の差(輸液が好きとか昇圧薬が好きとか)などを考慮しておこなったが、意味のある差を認める群はなかった。

結論。このメタ解析では敗血症性ショックにおけるEGDTは通常治療に比較して死亡率において差を認めなかった。
また、EGDTは入院中のコスト増加と関連していた。

【Review】心臓術後の栄養管理(Crit Care 2017; 21: 131)

June 07 [Wed], 2017, 21:40
Role of nutrition support in adult cardiac surgery: a consensus statement from an International Multidisciplinary Expert Group on Nutrition in Cardiac Surgery

【Review】心臓術後の栄養管理(Crit Care 2017; 21: 131)

心臓血管手術を受ける患者に対する栄養療法に関する専門家のコンセンサス

まとめると
・心臓血管手術を受けた患者では医原性低栄養に陥る患者がとても多い
・周術期の栄養障害リスクの高い患者群でも積極的な栄養管理で利益があるかもしれない
・でも心臓血管手術患者を対象とした研究はとても少ないので、よくわからない
・ひとまずは、他の重症患者と同じように積極的に栄養管理してみては?
くらいの提案がなされている。(推奨を出せるほどの知見はなかった)

5400人の人工呼吸患者を調べた後ろ向き研究では心臓手術は医原性低栄養ともっとも強く関連していた。
実際に心臓術後早期におけるエネルギーや蛋白の代謝を調べた研究では術後にmacro/micronutrientの欠乏が起きることが示されている。
適切な栄養療法はエネルギー代謝を維持し腸のintegrityを保ち、創傷治癒を改善させることで予後を改善させる可能性がある。
なので、栄養介入をしっかりすると予後が改善する可能性はあると考えられるが、心臓手術におけるカロリー投与量増加と60日死亡率低下が必ずしも改善しないことも示されている。
栄養介入により利益を受ける患者、受けない患者が混在するためと思われる。

なので、栄養リスクを評価して高リスク患者に対して栄養療法をおこなうというアプローチが想定される。
ただし、重症患者でなく一般の患者に対して用いられるMUSTやMNAといった栄養リスク分類ではICU患者すべてが高リスクになってしまう。
そこで重症患者用にNUTRICというスコアが提唱されている。(ただし心臓術後患者にはvalidateされていない)

過去の栄養に関するRCTをみてみても、EDENやEPaNICはそもそもNUTRICで低リスクに分類される患者を多く含んでおり、そのために栄養療法の利益が示されなかったのではないか、と考えられる。
これらの試験ではそもそも対象患者群の設定が誤っていた可能性がある。

栄養状態の評価については、超音波での大腿四頭筋の評価、 CT、BIS(bioelectrical impedance spectroscopy)が注目されている。
使用しにくい血清マーカーから、これらの方法に置き換わっていくのではないだろうか。

心臓術後に対する経管栄養については、昇圧薬をしているなど循環動態が不安定な患者が多いため、腸管虚血を起こさないか、という懸念があって開始が遅れるのかもしれない。
ただ、心臓術後ではないが、人工呼吸と昇圧薬の治療を受けている患者においても早期経管栄養開始が予後改善と関連しており、重症患者でよりその関連性が強かったことが報告されている。
また、ECLSをおこなっている患者や筋弛緩薬や鎮静薬を投与されている患者でも早期の経管栄養は可能であったという報告もある。
なので、心臓術後を対象とした知見は不足しているものの、概ね経管栄養は開始しても大丈夫なのではないかと思われる。

心臓術後は心筋の虚血再灌流や人工心肺の侵襲により炎症反応が上昇する。
そのため、炎症反応を抑制するような栄養素、例えばグルタミンやアルギニンといったアミノ酸、オメガ3脂肪酸のような脂質、セレニウムや亜鉛、Vit A, C, D, Eのような栄養素を補給するといいかもしれない、と理論的には考えられる。
ただし、ICU患者全体を対象とした試験ではこれらの栄養素に関してはがっかりするような結果しか出ていない。

ただし、小さなRCTにはなるが周術期にcoenzyme Q10, マグネシウム、lipoic acid, omega-3, seleniumなどの補充をおこなうことは安全で入院期間の短縮などと関連していたという報告もある。

個々の栄養素についてみるとアルギニンやグリシンは心筋での炎症反応などに関してあまり利益がないことが報告されている。
一方、心臓術後の魚油の補充は炎症反応の抑制において有用かもしれない。
ICU患者全体を対象としたメタ解析でも魚油は感染症の減少や人工呼吸管理期間、入院期間の短縮と関連していることが報告されている。


これらのことから、知見が少なく推奨を出すことは難しいが、以下の6つは考慮しても良いのではないか。という専門家たちの意見が出された。

1. 低栄養患者では術前に栄養状態を最適化するのが望ましいのではないか。特に進行した心不全でVADを埋め込むような手術では利益が大きいかもしれない。術前評価の一つとして栄養評価をおこなっていくと良いだろう
2. 利益を最大限にするためには低栄養患者に対する介入は術前2-7日前から開始しておくのが望ましいかもしれない
3. 心臓術後ではカロリー投与量はルーチンに評価する。特に3日目にはすべての患者で栄養リスクを評価し、できるだけ早期に目標の80%を経腸または経静脈で投与するようにする
4. 栄養の高リスク患者でICU滞在期間が延長することが予測される患者では術後の栄養サポートはできるだけ早く24時間以内に開始する
5. 絶食期間が長い患者や栄養不良がある患者の栄養サポートを開始する際はrefeeding症候群に注意しゆっくりと3-4日かけて目標に到達させるようにする
6. 複雑で長時間の手術患者の栄養サポートを早期に開始する際はセレニウムや魚油などの免疫調整栄養を加えることを検討してもいいかもしれない

【DB-RCT】軽症で外来加療できるCOPD急性増悪でドキシサイクリンは次の急性増悪までの日数を延長させず(Lancet 2017; 5: 492)

June 05 [Mon], 2017, 12:24
Doxycycline for outpatient-treated acute exacerbations of COPD: a randomised double-blind placebo-controlled trial

【DB-RCT】軽症で外来加療できるCOPD急性増悪でドキシサイクリンは次の急性増悪までの日数を延長させず(Lancet 2017; 5: 492)

軽症のCOPD急性増悪に対してドキシサイクリンを投与するか、しないかで比較した二重盲検RCT

軽症であればCOPD急性増悪に対する抗菌薬は死亡率や短期的な治療反応率に影響しないことが報告されている。
ただ、長期的に抗菌薬が良い影響をもたらすか、否かに関してはまだわかっていない。

オランダの多施設でおこなわれた二重盲検RCT
喫煙歴がある45歳以上のCOPD患者で過去に急性増悪を起こしたことのある患者887人を対象とし、最初に急性増悪を起こした時にドキシサイクリンを投与するかどうかでランダム割付した。
両群ともプレドニゾロン30mgの10日投与はおこなった。

急性増悪を起こしたのは305人(34%)でドキシサイクリン群(n=152)とプラセボ群(n=153)にランダム割付された。
ドキシサイクリンは100mgを7日間投与した。
急性増悪で38度以上の発熱を伴っているものや、入院を要するものは除外した。
割付間違いの4人を除いてプライマリアウトカムである次の急性増悪をおこすまでの時間を評価した。
次の急性増悪を起こしたのはドキシサイクリン群とプラセボ群で87% vs. 83%と差がなく、急性増悪をおこすまでの日数も148日vs. 161日と差を認めなかった。

最初の2週間における短期的な有害事象(31% vs. 35%)や2年間のフォローアップ期間における重篤な有害事象の頻度(28% vs. 29%)も差を認めなかった。

結論。外来加療できるくらいのCOPDの急性増悪ではドキシサイクリンの投与は次の急性増悪までの日数を遅らせなかった。この結果からはCOPD急性増悪の外来治療において抗菌薬を使用するという治療は推奨されない。

【本】J-IDEO (ジェイ・イデオ) Vol.1 No.2

June 02 [Fri], 2017, 23:05


真価の問われる連載第2回。
がっつり勉強する、とか意気込んで読むと肩透かしかも。
娯楽として寝転んで読むくらいがちょうど良さそう。
感染症って病院から行政、日本から海外、細菌から真菌、臨床から遺伝子、などなど守備範囲が広いのでこういったオムニバス形式ができて飽きなく読めるのでいいですね。

で、今回はぶぶぶぶの斎藤さんでした。

【RCTのサブ解析】重症小児での早期タンパク質投与量増加は感染増加やICU滞在延長と関連する(PEPaNIC)(Lancet Respir Med 2017; 5: 475)

June 02 [Fri], 2017, 11:41
Effect of early supplemental parenteral nutrition in the paediatric ICU: a preplanned observational study of post-randomisation treatments in the PEPaNIC trial

【RCTのサブ解析】重症小児での早期タンパク質投与量増加は感染増加やICU滞在延長と関連する(PEPaNIC)(Lancet Respir Med 2017; 5: 475)

EPaNICに続き小児を対象としたPEPaNICでも早期の経静脈栄養が有害であることが示唆された。
今回のサブ解析では、蛋白投与量が少ないのにカロリーを多く投与したことが有害だったのではないか、という仮説を立てて検証した。

PEPaNICはPICUに入室した小児1440人を1日目から経静脈栄養を始める群と8日目から始める群に割付して比較したRCTで、晩期群で感染症が減少し、ICUを早期退室できるという結果が得られた。

今回のサブ解析では、PICU入室後7日以内におけるタンパク質、糖質、脂質の投与量(ガイドラインで示されている基準量に対する%)を調べ、それと予後の関連を検討した。

すると、タンパク質の投与量が増加することは新規の感染症発生の増加と有意に関連していた(day1-5においては10%増えるごとにHR 1.043-1.134)。
また、人工呼吸からの早期離脱も減少するという関連(day3-7においては10%増えるごとにHR 0.95-0.975)、PICUからの早期退室も減少するという関連(day1-7においてはHR 0.943-0.972)が認められた。
タンパク質の有害事象との関連性は少ない量でも認められた。

一方、糖質の投与量増加は感染症の減少と関連(day1-3ではHR 0.870-0.913)しており、脂質の投与量増加はPICUの早期退室と関連(day4-7ではHR 1.027-1.050)していた。

結論。重症小児において早期の経静脈栄養が有害であった原因としては早期のタンパク質投与が有害であったためではないか。
糖質や脂質は関連がなさそうだ。


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カロリーよりもタンパク質をしっかり投与することが大事、タンパク質さえ投与しておけばカロリーは少なめで大丈夫。
みたいな感じだったけれど、その流れに大きな一石を投じた研究。

考察では、
アミノ酸はオートファジーの強力な抑制因子でありinnate immunityを抑えたり、組織障害の除去力を抑えたりしてしまうのではないか。
アミノ酸の過剰投与は肝臓や腎臓の負荷になってしまうからではないか。
成人ではアミノ酸を投与しても蛋白の同化は促進されず、尿に捨てられてしまうだけであることが示唆されており、アミノ酸を投与しても思ったような効果は得られていないのではないか。
とか書かれていた。

蛋白投与についての研究はまだまだ観察研究レベルで、有害な可能性すらある、というのは心に留めておこう。