文化庁主催「明日を担う音楽家による特別演奏会2012」が無事に終了しました。
ご来場いただいた皆様、本当に有難うございました。

これはリハーサルの様子。
オーケストラの後ろにスクリーンを設け、そこにアリアの雰囲気を醸し出す画像を映していました。
贅沢な演奏会です

この演奏会は毎年、文化庁在外派遣研修員として海外で研鑽を積んだ人たちがその研修の成果を発表する場として設けられているコンサートです。
主旨からして胃が痛くなります(笑)
現在日本で活躍している声楽家の多くはこの文化庁在外派遣で留学していて、その多くは20代後半から30代前半で行っている事から若手音楽家の登竜門ともなっている制度なのです。
俗に言う国費留学というものなので、当然狭き門ですし優秀な方が多いです。
おそらく全国の音楽大学の若者達の共通の夢は「いつか日本音楽コンクールで優勝し、文化庁で留学して、そして海外の歌劇場でデビューする。」というものではないでしょうか(笑)
まぁ最近は「海外より日本で活躍したい。ニューイヤーオペラコンサートに出たい。」という人も増えているようです(笑)
まぁどっちにしても大変な事です。
ですので僕がこの制度に受かったのはほんと偶然というか幸運というかなんともラッキーだったなーと自分では思っています。
あ、試験はちゃんと受けましたよ、もちろん(笑)
このコンサートは毎年、すでに活躍している人たちが出ていますし、今年は日本音コンの覇者が二人も出ていました。
僕は二期会に所属しているので、普段ご一緒するのは二期会の歌い手さんが圧倒的に多いのですが、今回は藤原歌劇団の廣田さん、鳥木さん、そしてフリーの土崎君や西村君ともご一緒する事ができました。
メゾの鳥木さんと初めて会ったのはイタリアのボローニャのマスタークラスでした。
もう10年前になります。
ここでは今度トスカのハイライトでご一緒するソプラノの小川里美さんやテノールの樋口さんなどとも知り合いました。
ボローニャ県の外れのマルツァボットという何もない町で、毎日歌に明け暮れていました。
朝からホールに歌いに行き、人のレッスンを聴講し、ホテルに帰ってみんなでご飯を食べて、またホールに行ってレッスン、みたいな日々でした。
日本人だけではなくいろいろな国の人がいました。
空き時間にはホテルのカフェでみんなといろんな話をしました。
どこの歌劇場と契約したいとか、どんな歌手になりたいとか、今度スイスのアジェンツィア(エージェント)を受けるとか。
遠い将来の夢、というのではなくて、将来大きな歌手になるための近い未来の展望をそれぞれがきちっと持っていました。
このマスタークラスで知り合った人たちは今、世界のいろんなところで歌っています。
歌の事以外は何も考えなくていい時間。
それはそれで当時はいろんな苦しみもありましたが、今思えばなんとも贅沢な時間です。
夏はTシャツに短パン、サンダルでレッスン受けたりしていましたが、あれぞ青春だったなぁと今では思います。
話はそれましたが、鳥木弥生さんと会うのはほとんどそれ以来(笑)
何だか感慨深いです。
あの頃から将来を嘱望されていましたが、昨日聞いたらさらに磨かれた声になっていて本当に素晴らしかったです。
藤原からもう一人ソプラノの廣田美穂さんが出場されてましたが、この方は数年前の日本音楽コンクールで優勝された方です。
そのコンクールは僕も客席で聞いていたのですが、もう本当に素晴らしい発声で、これぞイタリアの声と思ってすっかりファンになってしまったのでした。
上手い、とか、すごい、思う歌い手さんは沢山いますが、イタリアの声だなー!と思う人は全ての声種を含めて日本人ではなかなかいないものです。
バリトンの堀内さんなんかもイタリアの声だなぁと思います。
あのコンクールを聴いた時、日本人にもいよいよこういう人が出てきたなぁと思ったものです。
実は彼女は文化庁は同期の留学ですが、もちろん同じ舞台には立った事がなくて、今回絡みはなかったものの一緒の舞台に立てて嬉しく思いました。
今回も鳥木さんと廣田さんの歌った「アイーダ」の重唱は圧巻でした!
そういえばハムレットを歌った鈴木愛美ちゃんと初めて会ったのもイタリアで、ミラノの中華屋でみんなでご飯食べました(笑)
最初に美しいヘンデルを聞かせてくれた山口清子ちゃんも昔から知っていますし、アドリアーナを歌った小林紗季子ちゃんも良く知っていますが、演奏を聴くとやはりしっかり進歩されていてちゃんと積み重ねているなぁと実感。愛美ちゃんと田崎さんを含めこの4人は新国の研修所を出ていて、これからの声楽界でどんどん活躍していくのでしょう^^
今回のコンサートの告知を二期会のブログが掲載していますが、その中に、
「同世代でともに切磋琢磨してきた人たち。仲間であり、お互いにライバルであるからこその見えない絆を感じつつ本番に臨んでいるようでした。」という一文があって、とても良い文章だなぁと思いました。
本当にその通りだと思います。
何の世界でもそうですが、何かを極めようと志す時、そこには楽しいだけではない様々な困難があります。
晴れの日もあれば雨の日も嵐の日もあります。
みんなあまり顔には出しませんが、ここに来るまでにきっと幾度も打ちのめされては、また顔をあげて歩いてきたのでしょう。
舞台というのは、そういう強靭な心を持った者だけが残って行ける世界なのだと思います。
だから僕たちは皆、オペラ界という大海原を共に渡っている同志なのだよなぁと思います。
みんなで前を見ながら、時々横を向いてみんなの顔を確かめながら。
横を向くたびに良い顔になって行く同志に負けないように。
そんな事を思わせてくれた、幸せなコンサートでした。
僕は大曲かつ名曲の「誰も寝てはならぬ」を歌わせていただきましたが、曲が名曲すぎますし、しかもトリ(笑)
久しぶりに緊張してお腹くだしました(笑)
以前にも書きましたがトゥーランドットは僕の声には重すぎる役ですのでそのプレッシャーもありました。。
ゲネプロまで声を探しながら歌っていましたが、本番は今自分の持っているものを素直に出せたかなぁと思っています。
もちろん課題もありますが、それも含めて等身大の声で歌わせていただけた気がします。
ダークヒルズではちょっとしょっぱい歌を歌ってしまったので(笑)そのリベンジはできたかと(笑)
何よりも東フィルのオケでオペラシティであの名曲を歌わせていただけるなんて本当に幸せなことでした^^
田島千愛さんと歌わせていただいたボエームの二重唱も楽しかった〜^^
そして今回一緒だったテノールの2人。土崎君と西村君。
実は僕はこの二人には昔からよく似てると言われてたのですよねぇ。
学生時代は後輩の譲君によく似てると言われ、卒業してからはいろんな所で西村君に似てますよね〜と言われて来ました(笑)
身長とかちょっと猫背なところとかアゴとか?(笑)
ほんとに行く先々で言われるんです。
ということは、向こうも言われてるわけです(笑)
「まさかこの3人が同じ舞台に立つとはねー!」と、楽屋で盛り上がり(笑)
長身のテノールが揃うだけでも珍しいというのに(笑)
僕の声はリリコレッジェーロですが、この二人は日本人には珍しいリリコの声を持っています。
西村君は先日の日本音コンを制したばかりで今ノリに乗っているテノール。
ウィーン帰りの土崎君もティンブロの美しい鳴りを持っています。
二人とも実に豊かな声を響かせていて歌も誠実で、ご一緒させていただいて本当にいい勉強になりました(^^)
というわけで終演後はテノール飲み!
なんかこういうのめっちゃ楽しい(笑)
新国の「沈黙」の出演者たちも稽古帰りで偶然遭遇!
というわけで一緒にパシャリ!

たまにはこういう男臭い写真も良いでしょ?(笑)
左から土崎譲くん、西村悟くん、僕、沈黙組の大沼徹くん、ノヘ←
気分良くみんなで裏ピですw
また明日から頑張ります!(^^)
*****
追記
僕は天日干しにした洗濯物の匂いが好きです。
冬はついつい乾燥機にかけてしまったりするんだけど、乾いてからの匂いが全然違う。
天日干しにした衣類はお日様の幸福な匂いに満ちています。
よく人と、結果が大切か過程が大切かという話をしますけど、、それはきっとどちらも大切なのでしょうけれど、最後に現れる結果というものには、どうやってそこに到ったかという過程の匂いが必ず含まれているように思います。
演奏にも目には見えない匂いのようなものがあります。
どんな風に歩いてきたか。どんな風に求めてきたか。
立ち方ひとつ。歌声ひとつ。
いつかもっと歳を重ねた時に、良い匂いのする歌が歌えますことを。
- 出演作品 |
- URL |
- Comment [3] |
- Trackback [0]








(笑)


