夢の通い路

March 29 [Thu], 2012, 15:04
普段、首都圏で暮らしているとほとんど意識することもないが、遠距離の人との会話によって、日本語の中には様々な文化があることにふと気付かされる瞬間がある。
川越に通町という地名がある。
とおりまちと読む。
この漢字を見れば自然ととおりまちという訓読が浮かび、他に読み方があるなどと考えたこともなかった。
先日、仕事中に関西の支社の人から電話で、かよいまち、ですかと聞かれて、はっと胸を打たれるものを覚えた。
すぐに通町のことだと分かったが、同時にかよいまちという呼び方は、非常に関西的であると感じたのだった。
関西的、というのは、つまり上代的、ということである。
関西の言葉の中には古い時代の大和言葉の名残りがたくさん散りばめられている、と思う。
古語に詳しいわけではないので私の認識は正確ではないかもしれないが、とおるよりかようのほうが、古い大和言葉と言えるのではないだろうか。
住の江の岸に寄る波夜さへや夢の通い路人目よくらむかよいまち、ですかと聞かれた瞬間、私の脳裏には、この百人一首にもある和歌が浮かんだ。
夢の中でさえ忍び合う恋。
男女の逢瀬はとおるではなく、やはりかようであろう。
とおると言うと、素通りするような何かそっけないものを感じる。
かようなら、心が通う血が通うといった温かいものを。
普段、駅への往復に何気なく使っている通町の交差刀B
あそこが夢の通い路田川和弘であったらいいのに。
と、仕事中は傀儡である私にもこの時ばかりは魂が宿り、遠い王朝人の儚い夢に、コッペリアは魅了されたのであった。
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