夜中の電波をキャッチする 

February 28 [Tue], 2006, 0:42
ここ最近の深夜のお決まりと言えば、リスニングの役に立つかはさておき、CNNのニュースをぼーっと見ることに尽きる。CNNと言えばお堅いニュース番組専門のイメージがあるが、以外に海外のローカルなトレンド情報から最近のアーティスト情報まで手広くそろうのであなどれない。ちなみに、今さっきのニュースは、葛飾北斎の浮世絵が円滑な英語に乗っかって紹介されたいた。どうやら、アメリカ・ワシントンで初の北斎展が開催されるらしい。キャスターは北斎の絵を『今までにこんなにエロチックで大胆な絵は見たことがない』と言うようなコメントをしていたが、おそらくあの巨大タコと裸体の女性が絡み合った浮世絵を見たのだろう。私も北斎の浮世絵は好きだが、あの独特の構図の絵を見たときはかなりの衝撃であった。それは、確実に西洋産のポルノ物とも違い、絶妙なリアリズムからくる官能的なジャポニズムの世界であった。浮世絵は当時の西洋画家たちに大きな影響を与えたとされている。(例えば、ゴッホの「タンギー爺さん」の絵画に見られるように)。今回、日本の浮世絵を知らない海外の若いクリエーターたちが見たらどんなに感性を揺さぶられることだろう。初めて見る人も、以前から名前だけ知っていた人も、大いに日本の浮世絵に触発されたら良いと思う。


                                            ゴッホ作 「タンギー爺さん」

フォトグラマー:デヴィッド・ラシャペル×映画『RIZE』 V 

February 05 [Sun], 2006, 1:44

今まで2夜に渡って、デヴィッド・ラシャペルの写真家としての歴史を振り返ってきましたが、いよいよ映画『RIZE』の登場です。見よ、このほとばしる汗の綺麗なこと!!
こんなにも黒人の色濃い肌の色が官能的に、そして汗によどんだその筋肉の細部の動きまでもがこんなに美しく体現されたことはない。
1992年、場所はロス―L.A.サウス・セントラルは全米でも最も危険な地域として名を極めていた。どこまでもドメスティックでドラッグの匂いが溢れかえるような町。こんな治安も安定しないような場所で、若者たちが自ら全て解き放ち、必死で生き抜くためには踊ることしかなかった。やがて、それらはトミー・ザ・クラウンというピエロに扮した一人のダンサーが現れるとともに、ある一大ブームメントを引き起こす。その独特のうねるような動き、斬新的な速さで表現されてくこのダンスは、クランプ・ダンスと呼ばれ、本作はこの世紀のダンスが生まれる瞬間とサウスセントラルで生き残るために這い上がる(=RIZE)若者たちをリアルに描写している。クデヴィッド・ラシャペル本人は後にインタビューで「もう興味を持てない人やものの写真は撮りたくない」と語っている。彼の今までの仕事ぶりはさておき、クライアントから何か依頼され、物を作ることしかしなかった彼が、本作ではやっと自分の表現したいものを自由に撮るという答えにたどり着いたのかもしれない。物事のもっと直接的な真の姿を映し出すという面に関して言えば、写真家クデヴィッド・ラシャペルをはるかに超えた形でスクリーンデビューすことに成功している。ここ最近、スパイクジョーンズやミシェルゴンドリーに代表されるような、多才なアイディアを合わせ持つ映像作家やクリエーターたちが監督として華麗な転職を遂げることが珍しくなかった。しかし、デヴィッド・ラシャペルはそういう出身でありながらも、今までに異型なドキュメンタリー映画を一作目にして世に送り出した。こんな映像作家はめったにいないだろう。その実験たるまなざしは、今後さらに映画界に新風を巻き起こすに違いない!!
今後のデヴィッド・ラシャペルの活動はもちろん、先ほど名前のあがったスパイクジョーンズやミシェルゴンドリーなどのクリエーター陣についても今後特集する予定☆どうぞ、お楽しみに・・・

フォトグラマー:デヴィッド・ラシャペル×映画『RIZE』 U 

February 04 [Sat], 2006, 1:50
昨夜はデヴィッド・ラシャペルの作品を載せてみましたが、彼はここから写真家としての感性が認められてか、PVの世界にもちょくちょく進出するようになるんですね。彼の手がけたビデオのすごいところは、そのセンスの良さはもちろんのこと、どのビデオをとってもそこに流れる空気や世界観が全く違うという点にあると思います。つまり極端なハナシ、彼の作品を一括して見せられたとしても、きっと大部分の方が同じ監督とは予想もしないことでしょう。
映像作家と言うものは、必ず作品のどこかにサインのようにして、自分らしいカメラワークや世界観を漂わしていってくれる監督さんと、そうでない方がいると思います。デヴィッド・ラシャペルの場合、良い意味で後者に当てはまるタイプの監督だと思います。つまり、あらゆる引き出しを持っていながら、それぞれの作品の中では、デヴィッド・ラシャペルであることを隠していってくれる監督なのです。その分、こんな作品も作れるんだぁーとか、前回とは全く違うものを作ってきたよぉーという風に、毎回新たな発見がとても多い監督なのです。それゆえ、常に次回作への期待が高い。まぁー彼の作品を見渡して見れば、「あぁ〜あれも、これも見たことあるぅ」の連続です。最近の仕事っぷりと言えば、あのアメリカのポップアイコンのブリトニー「Everytime」のPVです。ブリトニーが初ヌード的入浴シーンで、放送ギリギリのラインを見せ付けたことでも有名になりました。が、内容は以外や以外にも、入浴中に手首から出血しバスタブで沈ゆくブリjトニー、そして病院で生と死をさまよいながら、まるでブリトニーの命に変わるようにして生まれてきた別の病棟の赤ちゃんのドアップで終わるという、非常に意味深なストーリー。本当にあの、ポップな世界観が魅力の彼の作品!?と疑いたくなるほど。まぁーそれ以外にも、その直後に本当にブリトニーが結婚、そして妊娠となってしまったから本作のPVは非常に話題にも上りました。で、話はかなり道を逸れてしまいましたが、彼の仕事っぷりを、ほんの駆け足で見ていきました。で、どうでしょう??彼の長い歴史、少しはわかりました?(笑)で、そんな彼が次に目をつけたのが、ドキュメンタリー映画っていうジャンルだったって言えば、この映画がどれだけ注目されてるかはもう一目瞭然!!

フォトグラマー:デヴィッド・ラシャペル×映画『RIZE』 T 

February 03 [Fri], 2006, 1:29

今回は、今話題のミニシアター系映画―『RIZE』のご紹介。なんだこうだ公開前から、常に注目を浴び続けていた本作品。いやぁーそれもそのはず、なんたって監督はあの有名な写真家=デヴィッド・ラシャペルなんですから!!・・・そうは言われてみたものの、「えぇっ!?誰それ??」って、この映画の凄さがいまいち分からない方のために、彼の予備知識的経歴も織り交ぜて、この映画を大特集してしまおう、ということで3夜連続でフォトグラマー:デヴィッド・ラシャペルをみっちり予習。

デヴィッド・ラシャペルは、全米でかなり売れっ子な写真家、兼フォトグラファーとして活躍している方です。彼は今までに写真集を出していますが、そのビビッとな色彩感覚とページをめくるごとに全く別の世界観を打ち出してくる彼の才能ときたら、まさに現代アートの玉手箱!!また、その20年たるうちに撮り納められてきたセレブの数にも錚々たるメンバーが名を連ねております。ちょっとかじってみると、マドンナ、ジェニファー・ロペス、デヴィッド・ベッカム、エルトン・ジョン・・・とまぁ、こんなもん。

ちなみにこれはエルトンさんのお写真です。

川久保玲×ドーバー・ストリート・マーケット 

February 01 [Wed], 2006, 1:25
まるで工場の裏地にでもありそうな、ボロボロなトタン屋根一つ。 
決してアートとは言いがたいようなこの“ボロ小屋”は、屋根に大きなリボンをこしらえ、つぎはぎだらけの壁には洋服が無造作にかけられていた。
植木鉢にさされた無数の帽子、昭和を思わせるようなたたずまいは、ノスタルジックな雰囲気をかもしだすことに成功している。
混沌としているのに落ち着く、この不思議な統一感をアートと言えずに何と認識したらいいだろう。
今回はあえて見るからに美しい作品は避け、川久保玲の作り出した奇妙な世界にトリップしてみようと思う。

そう、この一連の作業は川久保玲氏、つまりコムデギャルソンのフロントランナーのしわざだったのである。このスペースには先に紹介したトタン屋根の他に、あらゆる個性的なアーティストやデザイナー達が独自な売り場を展開している。ドーバー・ストリート・マーケットとは、名前の通り、ビルの中にマーケット(市)を作ってしまったのだ。
その強烈な個性は、ぶつかり合いながらも余すところなく、一つの空間に見事に収められていた。私はあえてこの店について、コムデギャルソンがどういうブランドであるとか、そういうネームバリューからは一切言及しない。ただ単純に、この店を含め多種な感性がひしめき合うワンフロア全体が、一つでアートのような作品に感じたからだ。
その雑多な雰囲気は、どこかアメリカのカオス的状況とも共通しているように感じた。あらゆる文化が混ざり合い、成熟して熱を帯び、互いに融解し合って新たな価値が生まれてく。個性溢れる作品は、決して一つに統一されることはない。だけど、こうして一つの枠に飾られることで、その存在感自体に新たな価値や見せ方を付加しているように思う。
ロンドンの静かなボンドストリートには、そんな熱気に満ちたワンフロアが存在していたのだ。

私は目を瞑って考えてみた。
すると頭の中では、すぐにボンドストリートに通じた。あの茶色い小屋やむき出しの鉄筋、そして無秩序な一室がハッキリと浮かんだ。さらには、リアルな店の感覚、そこに流れるちょっと上質な空気の緊張感までもが伝わってきた。

このとき、私はふと中谷彰宏のある言葉を思い出した。

個性は出そうと思って出るものではない
むしろ、なんとか隠そうとしてもにじみ出てしまうものだ―