exhibition 

June 09 [Tue], 2009, 14:44
「あ、はぁっ、はぁっ」
頭が痛い。
耳鳴りのようなガラスを引っ掻くような鋭い音が脳を直撃する。
髪を掻き毟るが痛みは引かない。横向きに床に蹲る。膝を抱えて小さく小さく。
「あ゛、あ゛ああぁ」
爪が皮膚に食い込む。
「出して!出して!出して!!」
果たして声は声になったのか。



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ヤン・シュバンクマイエルの映像作品から
スペル間違ってたら凹む

意識上の平静、無意識下の鼓動 

December 14 [Fri], 2007, 7:59
芯の話。
最近ようやく立ち始めた。ずっと無いと思っていた。もしかするとそっちを見ていなかった。相談相手は芯の強い人が多いと思った。少なくとも私はそういう人にすがった。予備校に行き始めた。自分の意見が求められた。自我が生まれる。好きも嫌いもまだ大きな差はないけど少しは自分の意見を言えるようになってきた。でも成長は止まった。原因は判り切っていた。それを切り捨てられない自分が嫌いだ。芯は太くなっていた。なり続けていた。また性格が変わった。これからも変わると思った。それは楽しみだった。だけど置き去りにした感情が胎動していた。彼(彼女)は行き場を失って出口を探している。


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私の話。

感情論 

August 14 [Tue], 2007, 11:47

「感情的に」

彼は言った。
「奪って欲しいならそれもできる。でも君はそれを重みに感じたりしない?」と彼は言う。

「勝手な感情の押し付けなんて愚の骨頂だわ」

と私は言う。
「互いが感情で繋がっている限り押し付けはいつでも現れる、ある意味ではね。だけどそれが貴方なら構わない。」と私は言った。

ブラインド・ハズ・ドリームス 

March 17 [Sat], 2007, 13:05
能力者が世間に知れ渡ることになったのは、いくつかのふざけた事件がきっかけだった。銀行強盗が何件も起き、政治家が不祥事を隠蔽し続け、麻薬が広く行き渡る。そんな事件が半年続き、やっと捕まえた強盗も尻尾を見せた政治家も麻薬所持者も、皆揃って能力者だということで、世界は認識を改めた。「奴らは生まれながらの悪人だ!」。苛立ちは度を越えて既に諦めに変わり、可哀想にと哀れむくらいには寛大になった。
でも俺は、あの半年間だけは許せない。
産まれた時はまだ目が見え、ある日ちくりとした痛みと共にそれは失われた。ただ光は死んだ細胞越しに感じるのだが、それでも家族は愛して育ててくれた。弟が一人居るが、彼は全くの健康体である。
俺が能力を自覚したのは中学に上がる頃だった。元々自我は早くに目覚めた方だが、自分の予想を遥かに凌駕する能力に猜疑心を持っていたのは事実だ。家族はそれを受け入れてくれ、大学を卒業する時分には会社の設立を考えていた。盲目ということが幸いしたようで、例えば国会議員でさえ俺の訪問に快く出迎えてくれて、しかしそれは能力の披露によって直ぐ様商談へと変わってしまうのだが。

協会を作り、まず最初に訪れたのは“壊れた人形”だった。あまり多くを語らなかったが、聞きかじりだけでも相当生き難い体質で、ちなみに俺の前では女の子っぽいので彼女という代名詞を使っているけど、そうして徐々に登録者は増えていった。
最近では国会の方でも仕事ぶりが認められたらしくよく仕事が舞い込んでくる。俺は現場には行かないが、何時だって温かく見守っているつもりだ。

“人形”だけ知っているこの能力。ケンタと同じリスクのもの。
人の思考、一寸先の未来過去、それらは俺が司っている。

君に口付けを 

February 21 [Wed], 2007, 1:23
いつも一日過ぎてからなのだ、彼女の贈り物は。

周囲がさわさわとざわめいて、そわそわと落ち着きのない空気の中、一人モニターを見つめて仕事に没頭していた。自分で言うのも何だが、久々に真面目に机に向かっている。
早く今日が終わればいいのに、とぼんやり思いながら、しきりに髪を整えている司令官を見ていたら少し笑えた。
疲れた体を引きずって部屋まで戻り、軽くシャワーを浴びビールをあおってからベッドに潜り込む。まだ睡眠薬は使ったことがない。

彼女は言う。
「イベント当日って人が浮かれてるから嫌いなんだ。だから私は一日遅れて渡す。その日を生き抜くことが出来なければ意味なんてないからな」

目が覚めると、ベッドサイドに小さな紙袋が置いてあった。彼女も料理は上手いけど、今のところまだ俺の方が上。
壁際にもたれて、腕を組んでこちらを見ている瞳。いつもの色。
起き上がって微笑んで、それから君に何を伝えよう。
この幸福感は共有できる?

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微副エリ。

ラン・アウェイ2 

February 18 [Sun], 2007, 21:58
かつ、と靴音が響く。ガードレール下の住まいには少々狭いが快適な空間が作り出されていて、浮浪者特有の饐えた匂いさえ我慢すればそれなりに居住できる場所だ。
見た目がちょっと浮いたのか、その訪問者はあまり歓迎されたものではない。しかし見えていないのかまるで気にせず一心に歩を進めている。その先には鏡で映し合わされたような位置に眼帯をしている子供(?)が二人じゃれ合っているが、目的は彼らで間違いないようだった。
×型に組み合わされたベルトのようなもので上手く両目を隠している男と思しき人物が、深夜の景色に違和感なく入り込み、しかしやはり空気の震えだけは伝わったらしく、ぴんと一人の少年が顔を上げた。

「“壊れた人形”」

どうやら名前らしいその言葉に、ゆらりと滑るように二人の傍まで歩いていく。コウシはやれやれと首を傾げ、第一発見者であるケンタは嬉しそうに頬を緩ませた。
“壊れた人形”は、口を隠すほどにまで伸ばされたタートルネックのジャケットの下から、そっと小さな声で告げる。

「…仕事、だから」
「オッケー、すぐ行くよ」

それに対しコウシが答え、肩慣らしするようにぐ、と腕を回した。ケンタも白い瞳で楽しそうに笑っている。“壊れた人形”に、ケンタはよく懐いている。久々に会えたから嬉しかったのだろう。
普段なら警戒心剥き出しのコウシも、“壊れた人形”にだけはどうも調子を狂わされてしまう。
それは彼(彼女)が両性具有ということも関係しているのだろうか。
そうぼんやりと考えた所で、ケンタの肩に手を置いた。ケンタはしゃがんで小さくなり、少年とはいえかなりの重量になるであろうそれを軽々と片手で持ち上げ、ケンタがそっちじゃないあっちじゃないと小言を言い、そしてコウシが大きく振りかぶる。何か効果音でも起きそうな速度でケンタを投げ飛ばし、次に“壊れた人形”に向かって、ん、と小さく促した。
彼(彼女)はケンタの飛んで行った方向とコウシを交互に見詰め慌てた素振りを見せるが、もう一度促すと諦めたように溜息をついて小さくなった。
初めての投げ飛ばされる感覚に内臓がひやっとするも、すぐ後にコウシが飛んで来たのを見てまたぎょっとする。空中で振り返ると高速道路を支える柱の一本に亀裂が入っており、どうやらそこを掴んで体を浮かせたようだった。
こいつらには絶対恨みを買わない。そう決意して“壊れた人形”は前を向いた。



「そうやって、俺の大切な“人形”をぶっ飛ばしてくれたのね」
「ぶっ飛ばしたんじゃないよ、こっちの方が楽なんだもん。俺たち金ないし」
「それはお前らが使っちゃうからでしょ」

柔らかい声が室内に響く。『大日本能力者協会』、そのトップに立つ男の声だ。この協会は自分の能力を披露し署名登録さえすればこの社長直々に仕事を回してもらえるというシステムだった。国家認可だとか言っていたが、この男の裏には色々あるとかないとかこっそり囁かれている。

「ブラインド、今度の仕事は」
「はいはい」

穏やかそうな笑顔で隣の部屋の資料室へ入っていく。その後を“壊れた人形”が追いかけた。
この協会のもう一つの特色は、全員が偽名を名乗ることが入会条件の一つとなっている。
社長―ブラインド―も勿論偽名であり、社長でありながらラフな格好で普段生活している。どこかの会社の捕まった社長をちょっと連想することもあった。
“壊れた人形”は目さえ隠しているものの決して盲目ではないらしく、対してブラインドは本当に目が見えないようだった。ケンタと同じように白く濁った両目を曝け出している。本人曰く、「全盲じゃないよ」とのことだが、全盲の人の方が少ないらしい。視力を失った理由は雪の女王だが。
肩まで伸ばした髪を微かに揺らし、“壊れた人形”と共に扉から出てくる。そのままブラインドは椅子に座り、デスクの上に書類を放った。

「何これ」
「今回は簡単。廃屋を潰すそうだから、それの手伝いかな。コウシなら数分だろ」
「まあ…」
「えーっ、俺は!? ヤクザの取立てとかは面倒だったけど俺役に立てたじゃん!」
「ケンタはいつでも役立たず」
「そんなことない!コウシだってこの前余計なもの壊した!」
「それとこれとは話が別ー、じゃねブラインド」
「待てよ!あ、“人形”さんまたね!」

書類を引っつかんでばたばたと部屋を出て行く二人に、ブラインドはそっと苦笑した。

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一応本編はこれで終わりのつもり(笑)だったけど、他にもキャラを作ったのでそいつらも出してやります。
補足として、ブラインドの能力は誰も知りません。
“壊れた人形”は中枢神経の伝達回路を邪魔する電気を放出して、相手の動きを支配できる。のにしようかな…(笑)

ラン・アウェイ1 

February 18 [Sun], 2007, 18:12
『さああの星に逃げよう!あの美しい星地球に!』

滅亡を目の前にしたある星のある文明は、生き延びる為のマザーコンピュータのみを載せた船が発射させた。人々の希望を載せたその船はそれを見事に裏切り地球に不時着、マザーコンピュータの欠片が平和ボケした国日本に散らばり、粘膜から直に体内へ吸収してしまう物質を張り付かせた部品がありとあらゆる人の体内へ吸収された。
マザーコンピュータと言えどそれは機械群ではなく工夫を凝らしたものでゼラチン状のものもあれば液体のものもあり、最も多かったと思われるガラスが大量に飛散。
かくして人類は、事実上の雪の女王に支配されたということになる。
外見に大きな特徴はないが、千里眼んを持ったり脳の回転が早くなったりと特典は様々らしい。ただし、

「あと何日生きられる?」
「自分で確認しなよ。鏡あるから」

寿命がその分縮むという欠点があった。被爆した瞳は些か色素が薄くなり、水晶体の部分に寿命の年齢がご丁寧に記載されている。
普段は眼帯で隠しているので別段変人奇人には思われないが、備わってしまった能力が公に晒されてしまい現在はニート状態である。
吼翅(コウシ)は腕力が異常に強化され、共に握力も恐るべき数値に達していた。
劒咤(ケンタ)の場合は盲目になりそのかわりに他の五感、加えて第六感が発達している。
因みに二人とも偽名である。
ニートどころかホームレスと言っても差し支えなく、高速道路の下で新聞紙や段ボールなどで生活しているためたまに食料を恵んでくれるホームレス仲間のおじさん達に感謝している毎日だ。
そんな二人にも、月に一度あるかないかの依頼がやって来る。それで稼いだ金は娯楽に使ってしまうため殆ど残らないが。

『大日本能力者協会』

二人はそこに所属している。

ある道化師の話 

February 18 [Sun], 2007, 18:11
彼は白いくつが欲しかった。

白いくつ

彼は白が好きだった。
普段から色の強い原色の服しか用意してもらえなかった。
彼は別に、赤や黄色や青が好きな訳ではなかった。
彼は白を好き、黒を嫌った。
信号機の変わる瞬間、テレビを消した後、電気を点ける前。そんな暗がりを彼は憎んだ。
白は自由と光の象徴だと彼は考えていた。黒は全くの真逆だったのだ。
だから彼は物体を白くする事も好きだった。洗濯や皿洗いは彼が特に好きだった。
彼の髪は茶色く、どちらかというとこげ茶色が強かった。彼は別にこげ茶は嫌いではなかったが、いつかは白くしたいと思っていた。
また、帽子も明るい色しか彼には与えられなかった。また黄色や緑といった、彼にとって毒々しい色のパレードだった。
しかし彼には着る服がそれしか無かったため、仕方なくそれを着ていた。
白い服が欲しい、と言っても団長は全く取り合ってくれなかった。それは彼をとても悲しくさせた。
彼は夜が嫌いだった。暗くなるのを好まなかった。
だから、彼は日が沈む前に床についてしまい、よく叱られた。
しかし彼は朝が好きだったため、夜の分を朝働いた。窓際のカーテンから漏れる光が、彼は好きだった。

やがて、彼は動けなくなってしまった。生涯着る事は無いだろうと思っていた白い服。諦めは現実になりそうだった。
彼はよく働いた。一生をその嫌いな服で身を包んだ。白に憧れたままだった。
彼は団長に最期の願いをした。団長はそれを聞き入れ、よく頑張ってくれた、と言った。彼は嬉しくなった。

彼は今、真っ白い服に身を包んでいる。
叶う事は無いと絶望感を味わった、あの白いくつ。
彼は今、真っ白い服に身を包んでいる。

名も亡き思考 

February 18 [Sun], 2007, 18:10
汗の垂れる感覚がして、目が覚めた。
実際に眠っていたわけじゃない、意識の方が靄がかかったように不明瞭で全く機能していなかったのだ。別に今頭を使わなければならないという事は無い。むしろ使う方が可笑しい状況だ。どこかの木で鳴いている蝉はとてつもない悲鳴を上げている。二週間の内に子孫繁栄のため奔走し羽を擦り減らし交尾しようと必死。何代目かで途絶えた蝉も居るかもしれない。しかし夏の風物詩であるその音は俺にとって不快でしかなく、手元の機関銃で何度撃ち殺したくなったことか。濃い緑が生い茂り頭上に影を作っていてもどうにも暑く、神経を逆なでするような蝉の音も加え不快指数は中々のものだ。隣で寝こけているマネージャーが羨ましくもあった。また汗が落ちる。地面に黒い染みを作っては消えていきその存在を主張することはない。それにしても暑い。よくこの女は寝ていられるなと思って不図視線をずらす。肌は色白なほう。その上にじっとりと湧き出た汗が乗っていて全身を覆っている。明るい桃色の髪は日蔭にいるため影を落とし普段より濃く見えて、それと同時に長い睫も頬に暗
い筋を残している。穏やかな寝息と寝顔。
女は有能な方がいい。あくまでそれはマネージャーの条件だ。先日好きなタイプの女性はという余りにも下らない質問にそう答えた。インタビュアーは引きつった笑いを漏らしていた。事のところ、俺についてこれる女は見たことがたなかった。別にそれを望んでいたわけじゃない。そう言えば嘘になるが、女に余り高望みはしていなかった。俺の条件が高すぎたのもある。ところがこいつは、それを難なくクリアしてしまったのだ。今まで以上のものを期待する自分が馬鹿みたいに思えたが、与えられた課題を次々とこなしていく姿はひたむきだった(但しアナログ専門で)。ルックスも、その辺の男が引っ掛かるくらいには良い。最上級の女。
汗が落ちる。
堕ちる覚悟は出来ていない。

「何居眠りかましてんだコラ」

それにしても暑い。

例えばそれは一本の糸(2006/11/16) 

February 18 [Sun], 2007, 18:09
コードが首に絡まって息の根が止まりそう。
いっそこのまま死んでしまえたらいいのに。
貴方の腕やうなじや頭から伸びている灰色の銅線。
延命機器。
充電が終われば目が醒めると長いこと看護士の言葉を信じてきたが、それが嘘だと分かったのは慰める為に声をかけた看護士本人で、それに俺は多大な絶望と驚愕と憤怒と、生まれて初めてひとを殺したいと強く思った。
貴方のコードで首は吊れるだろうか/首は締め上げられるだろうか。
いつまで経っても貴方のコードは俺の首に絡んだまま。
プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:鴉片
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趣味で書いてるふざけた文章。
「小説なんて書けるか!」と日々絶叫。
そんな稚拙な文章郡。

尊敬:石田衣良、恩田陸、乙一、金城一紀、太宰治、貫井徳郎、村上春樹、村上龍、手塚治虫(敬称略)
レオンさん、紫月さん、ひだまりなさん
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