珈琲屋 

September 17 [Fri], 2010, 2:51
学生時代によく通った喫茶店の内でも、あの居心地のよい店は独特だった。
駅近く、表通りから見えるのに、あまり人に知られていない場所にあった。
表通りからは細い入り組んだ路地を入っていく。
細い賃貸マンションと民家の間、たくさんの大小の鉢植えの隙間にビルの入り口がある。
うっかり通り過ぎてしまいそうなほど。
細長い貸しビルの中3階、階段もとても目につきにくい。

珈琲を飲むための卓は、とても小さくて、45センチ角くらい。
どれも艶よく磨きこまれていた。
大抵はこの卓が2つ並べて置いてある。
一応、四人で座れるような配置だったけれど、お客さんは一人で座っていることが多かった。

私は隅っこの小さな一人掛けの卓を選んで座った。
脇の壁には、少し高いところに換気用の小窓があって、
木枠の釘には一輪挿しが掛かっていた。
どこで探してくるのだろうか、野草のような草花が寂しげに生けられていた。

椅子には、店主の奥さんが作ったと思われる
色とりどりのキルトのカバーが掛けられた小座布団が乗っていた。
店の片隅には予備の背凭れのない丸椅子が数脚、置いてあって
そこにもキルトの小座布団が幾つか積み重ねてある。
好きな柄のものと取り替えてもいいらしかった。

大学図書館から借りてきたばかりのペーパーバック、
授業と関係のないテキスト類、父から借りた新書、
店に置いてある雑誌や新聞を読み耽っていた。
当時は通学時間にも追われるように授業の予習をしていたけれど
大学に近い場所であるはずの、この店では勉強とは関係のない
自分が読みたいものを読んでいたかった。

初老の店主が淹れてくれた珈琲を少しづつ飲む。
私はマンデリンとエスプレッソが好きだった。
時々奥さんが作ってくれるサービスのクッキーがついてくる。
小さなクッキーをつまむ時は、珈琲にも茶色の珈琲砂糖を2粒ほど入れる。

私がこの店で過ごす時間は1時間くらい。
大学に行く前とか、休講が2コマもあるような、
ぽっかりと空いた時間に、珈琲が飲みたくなると足が向いた。
あるいは一人になりたい時間に。
低い音で流れる日替わりの様々なジャズを聴いているだけの日もあった。

店内は、私と同じように、一人で珈琲を飲みに来ている客が数人。
皆かなり年輩で、男性が多かった。
私のような学生は滅多にいなかった。
おばさんも時々いたけれど、皆、一人で来ている。
確かに、あまり女性同士でおしゃべりしながら喫茶するには向かなかった。
そういうお客さんが来ても、店の雰囲気を察して
皆せっせと珈琲を飲んで、さっさと出てしまうのだった。
入り口の扉を開ける音もほとんどしないほど、静かな店だった。

お客さんは、目が合うことは滅多にないけれど、皆さん、席に座る前に
何となく、周囲の客に対して軽い目礼をしている気がした。
「ちょっと失礼しますよ…」 という挨拶をしているかのように。

常連と思われる初老の男性の一人は、よく覚えている。
この人は店の出入りの時に帽子の鍔をちょっと上げて店主に挨拶するのだ。
その帽子がよく似合っていて、
禿げかけた白髪の薄さも、自然で柔らかい感じ。
一瞬、母方の祖父を懐かしく思い出すからだろうか。このお爺さんのファンだった。
彼は、脇の椅子に畳んだ上着と帽子と薄い革鞄を置いて
姿勢よく座って、いつも文庫本を読んでいた。
卓には老眼鏡のケースと、煙草とマッチの小箱。
長居する人らしく、水のグラスが2つ、いつも置いてあった。
時々、本を読むのに疲れて目を閉じているうちに
本当に居眠りしているところも、よく見かけた。

勤めるようになって、大学に行くこともなく、足がすっかり遠のいたけれど
年に一度くらいは懐かしく珈琲屋に行っていた。
あのお爺さんは相変わらず常連で、
ただ居眠りしている時間は増えていたようだった。
相変わらず、夕方6時になると、すっと立ち上がって
素早く勘定を済ませて、店を出て行く。

十年くらい前に、まだこの店があるかどうか、
途中下車して訪ねていったら、別のスナックになっていた。

後日、元同級生の友人と大学周辺の懐かしい店の話題になったとき
この店の名前が出てびっくりした。
聞いてみたら、私と同じ時間に珈琲を飲んでいたこともあるという。
読書に没頭していて、私が彼に気がつかなかったらしい。

「あの店って、一人でぼんやり考え事したり、ひたすら音楽を聴いてたり、
本を読んだりするのが一番似合っていた」

「君はいつも本を読んでいるか、何か考え事をしていて
でも、ちっとも寂しそうに見えなかった。
だから僕も一人の時間を楽しんでいようと思った」

格別なことでもない風に語る友人は少し寂しげだったけれど
あの一人の時間を大事に過ごさせてくれた
この友人の優しさにしみじみとしたのだった。

企画屋 

January 07 [Thu], 2010, 11:28
初めて広告屋の仕事をしたときのように、新しい企画を2つ考えています。
現実に2つできたら 凄いなぁ。本当、大変そう。でもやってみたいのです。

プロジェクトを考えて資金と人材をやりくりして
全ては無理と思っていても、人に助けられていくうちに何とかできそう。
人からパワーと気持ちを引き出し、伝えるのが基本。

失敗をしても、きっとまた挑戦せずにはいられない感じ。
どんどん変化してもいい感じ。
今までに出会った人の全てと、私の続けてきたことが
マッチングしていくなんて、嬉しくて。

まずは考えられるように机の周りを整頓。
それから神社へお参りに行こう。
まっすぐに行く、勇気を持ち続ける、
へこたれないように自分に活を入れるために。

寝正月も明けて 

January 04 [Mon], 2010, 14:43
まずは朝に軽く散歩して、夕方少しゆっくり走り
夜はラテンの曲に合わせて踊り、寝る前に念入りにストレッチ。

年末30日に最後に仕事をして
職場の模様替えをすませ、ざっと掃除をして
肉体労働した仲間と帰り間際に立ち飲みで黒ビールで乾杯。
駅前は駐めてある自転車の山。
忘年会なのか若者から年寄りまでたくさんの人が自転車の列の間を歩いていました。
年配のおじさん達がせっせと整頓して、長時間無断駐輪のチャリに警告の赤紙をとめています。
駅前の安全と美化のため、そろそろ無断駐輪ができなくなるはずです。
たくさんの酔っ払いがいるロータリーを避け遠回りをして
いつものように早足で帰りました。

数年ぶりの年末年始オフ、この1週間に私はほとんど何もせず、
横になって読書するか寝てばかりでした。
どこに行くにも込んでいるのと、仕事続きの疲れがたまっていて出かける気分は無し。
家族がテレビを見ている居間にも居られませんでした。
たまにお茶を飲み、少し食べるために台所へ行き、
布団にもぐりこんで、また本の頁を繰るとほっとしました。
気がつくと眠っていて、よく夜中や明け方に目が覚めました。
疲れているのに不眠でしんどかった若い頃を思うと
布団に入って3分以内に眠れるというのは何だか変な感じです。

私の代わりに家事を強いられた家族には申し訳ないと少し思いました。
でも、お母さんが家事をたくさんできるのは子供達が小さい頃までなのです。

 お母さんが家事のほとんどするために、
 日本の女性は高学歴であっても職を手放さなくてはならないから
 子供の自立は進まないし
 リタイアした男性は家事を習わなくてはならないし
 女性の失業率というか就職率は妙なことになっていると思います。

寝てばかりいて碌に食べず、運動もしてなかったので、
脂肪と筋肉も見事に落ちていて、身体が軽くなって嬉しいのですが。
お餅を1つも食べないお正月は初めてかも。

続 安くない携帯 

November 21 [Sat], 2009, 1:45
買って間もない新しい携帯を誤って水没させてしまいました。
キッチンの洗い桶の中に、ぽっちゃんと。

大雨の日、コケて水溜りに尻餅ついても、
携帯だけは守ってきたというのに…
他人事のように思っていた小さな事故ですが、ぞっとしました。

実際自分がこういう目に遭うとなると、
大量の個人情報が入っている危険性に気がつきます。
ああよかった、電話帳はセンターに預けていて。
ああよかった、保険に入っておいて。
ああよかった、子供の分の端末まで買っておかなくて…

それでも結局ICチップは作り直したので
思ったより高くついてしまいました。
新しい端末が届くまで2日間、代替機を借りましたが
使い慣れない機種で、いろいろと面倒でした。
インストールされてるゲームがオセロ、
オセロ大好きなので、しばし楽しみましたが、
小さい液晶画面はやはり疲れるので、飽きも早いですね。

精密機械ですから、扱いはもっと慎重にしようと思いました。
安定性という意味では、今の携帯はかなり優れた機能を持っているけれど
軽さと大きさのために、本体の頑丈さは犠牲になっていますよ。
全機種、防水機能がノーマル仕様にしてもらいたいです。

安くない携帯 

October 25 [Sun], 2009, 20:28
仕事で使う他にもたくさんの連絡が来るため、
私の携帯利用状況は受電とメールがほとんどです。
ところが今月になって液晶が劣化してきて、日毎に暗くなる画面。
先週、ようやく時間が取れて、機種変更してきました。

http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/style/n03a/index.html

使い始めて8年といったところですが、他社の機種にふらっと迷うこと数回。
逡巡した結果、今回も他社を諦めてD社の新しいものにしました。
今まで使っていた機種の系列で、デザインはシンプルで軽くて薄く、
扱いやすいです。ほぼ即決でした。
色は無難に黒を選びました、ピンクはあまり好かないので。
既に発売されている機種の色違いラインナップだで、端末価格は予想外に安かった。
溜まっていたポイントも使って、当日支払ったのはイヤフォン分のみで済みました。
ついでにプランも変更して、月々の支払いを更に安く。

この機種がなかったら、いっそのこと携帯を持たないと決めていたかもしれません。
どれほどコストが下がろうと、携帯は高機能になるばかり。
新しいサービスに対してお金がかかるというのは変わらないのです。
そんなわけで、浮いた分で娘に携帯を持たせようか、一応考えましたが、結論は「持たせない」。
携帯は子供にとっては高すぎる玩具だからです。
高校生になって、本当に欲しいのであればアルバイトして購入すればよいでしょう。

新しい携帯に使い慣れるまで、1週間くらいかかりました。
甘いお菓子の待受画面が可愛くて新鮮です。

借り物PC 

October 23 [Fri], 2009, 19:06
このところ忙しくて自宅PCに構う暇がなく、
そうこうするうちに本格的にフリーズしてしまいました。
やれやれ、またショップで探さないといけません。
ネットが見られないので、上の子供のマシンを借りて、、、

ところが林檎に慣れている両手なので、
子供の窓PCの設定だの、キータッチだの、トラックパッドの使い勝手に
ものすごい違和感があります。
あ〜〜、もうだめだ、触っていられない、、、
という感じで、30分で作業終了です。
早くなんとかしなくては。

やはり私はデスクトップでフルサイズキーボードでないと使いづらいです。
最近のネットブックとか12インチくらいのノートも使えないと思います。
携帯のボタンで入力するのもとても面倒ですし。
指を10本使ってタイプするのが普通という状況で25年が過ぎましたが、
小さなキーでは頭があまり動かないのです。

書店巡り 

September 29 [Tue], 2009, 12:25
時間がある時には、本能的に書店や図書館に足が向きます。
自分がよく使う駅の近くの書店はいつものことですが
あまり知らないエリアでも、本屋さんと古書店と喫茶店はチェックしています。

先日は滅多に行かない1つ先の駅向こうへ自転車で行ってみました。
図書館に寄ったついでに大型ショッピングセンターに足を踏み入れ、
あまりの人の多さに少し後悔…。
大きな本屋さんとカフェがそれぞれ離れたフロアにありました。
余計に歩き回って疲れて寄った書店はかなりの混み様で、
大体の作りがわかったところで中を見るのは諦めてしまいました。
カフェは隣の席との間のスペースが狭くて落ち着きそうにもなく
空いている平日にはほとんど行く機会もなさそうです。
図書館はよいなぁと思ったけれど。

駅の反対側の、見慣れたエリアに近づくと
大きな寺院の大樹がビルの合間から見えてきて、ほっとします。
古書店を1つ、最近できたと思われるカフェを1つ見つけました。
週末は人が多くて、自転車を駐める場所を見つけるのが大変です。
午前中か、夕方以降の少し人が空く時間に行けばよいのでしょう。

隣りの市の時々買い出しに行くスーパー近くの
中古書ショップ(本屋ではないのです)には
ずっと末娘と探していた児童書シリーズが揃っていて
以来ちょこちょこ覗くことにしています。
案外、古書店には絵本や児童書というのがないので。

仕事帰りの駅近くの書店か、平日遅くまで開いている図書館が
今のところ落ち着く良いスポットです。
雑誌類はバックナンバーを数冊借りて、週末までにまとめて読み、
気に入った号のみ書店で買うのが普通になりました。

よい眠りのために 

September 29 [Tue], 2009, 11:49
小さい頃から枕に悩み、最近は丸ごと洗濯できるパイプの手作り枕を愛用しています。自分の好みの厚みや硬さにパイプの量で調節できるので、手作りが面倒でない人にはお勧めです。
枕カバーは乾きやすいように筒に縫うだけのリネン、ちょっとだけ刺繍したのとか、洗濯しやすいので薄手のバスタオルを巻くだけとか(手抜き)。

寝る前の飲み物は温い焙じ茶とか、お白湯です。
パジャマに着替えついでに箪笥の整理して、引き出しの中の乾燥ラベンダーの香りを嗅いでいます。時々「森の小箱」を開けてみます。頂き物マグの木箱が可愛くて、小物入れに。檜や杉のチップや散策で拾った葉っぱをよく乾燥させたものを入れてあります。時々新しいチップを追加したり、森アロマのスプレーを少しかけます。 
不眠になると読書に没頭するので、戒めのため枕元には本1冊のみ。
テレビやPCモニターは寝る1時間前までに落とします。人工の光量でもモニタのは刺激が強すぎて、遅くまでPC作業をした翌日とか翌々日は昼間に睡魔が来て、眠りのリズムが狂うのです。
ろうそく1〜2本くらいの仄かな灯りがお気に入りですが、娘たちに横取りされてそのままとなり、相変わらず布団から起きて灯りのスイッチを消しています。
ピアノかチェロかギターのCDをかけて音楽を聴きながら、いつのまにか寝ています。

ここのユーカリ葉枕、気になります。安いし↓
http://www.rakuten.co.jp/moridozou/

森林公園に長時間散歩に行きたいなぁ。

黒ごま八つ橋 

September 26 [Sat], 2009, 19:31
友人から京都のお土産に八つ橋を頂きました。
抹茶きな粉と黒ごま味と、昔からのニッキ(肉桂)味。
早速、薄茶を煎れて雅なお茶タイムです。
よい天気でしたから、近所の友人も呼び出して、
玄関先に御座を敷いて、座布団と大小のお盆を置いて、
明るい秋の空の下、女四人は何度もお茶をお代わりしつつ
時間いっぱいおしゃべりしました。

萩焼のお茶セットと、三色の生八つ橋の色合いがよい感じです。
ニッキ味のはとても懐かしい味でした。
抹茶きな粉味は甘さ控えめで抹茶の苦みが中心になってます。
そして濃厚な黒ごま味にうっとり、皮の厚みが倍あればよいのに…
と思うほど気に入ってしまいました。
牛乳を合わせてみたくなりましたが
生憎切らしていたのでお茶で頂きました。

来年か再来年あたりには秋に小旅行がしたいものです。
京都でなくてもいいし、日帰りでもよいのですが。

そういえば娘の修学旅行のお土産も八つ橋でした。
あまり美味しくて、子供たちだけで食べてしまったのでした。
今は八つ橋にも色んな味がありますが、
子供の頃には好きでなかったニッキ味、今はごぐ普通に美味しいのです。

林檎トラブル 

September 26 [Sat], 2009, 18:13
Macintoshは今はとても使いやすくなりました。
初めて林檎PCを触った頃より20年以上が過ぎて
現在では相当古い方になるiBook G4ですが、お世話になりっぱなし。
もう1台軽いものを欲しいと思ってます。
持ち歩くにはMac Bookでしょうか。
窓族も最近ラインナップがいいなぁと思います。

久しぶりに急ぎ仕事があり、数日あれこれ作業して、
昨日は慌ててログアウトしてたら、夜になって妙な動きに。
再起動しても動作が一気に遅くなるだけで、冷や汗です。
メモリ設定初期化するのは最後にしようかと思いながら
数日間の作業中、乱暴に扱ってしまって、すみませぬ林檎殿。
ふと思い出して、起動してすぐ裏のリセットボタンを押したら、
あっさり、いつもの林檎殿に戻っていました。よかった〜
愛おしくて、両手で撫でまくりました。

かつて、何度もフリーズを繰り返し、爆弾が現れ、
強制起動してバックアップを取ったものの、
2年ほどでお釈迦になった林檎G3を思い出しました。
当時、投資した額、今では4台くらい買えそうです。
あの時のショックときたら。

何年も物入りが続いていて、ショップを見るだけの日々。
メンテナンスが上手くいっているなら買い換えはまだ先でしょう。
また中古の林檎を買うのかも。
最先端でなくても十分に時代の先を行ってる機能ですから。
P R
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大切なもの: 家族と友人、出会った子供たち。 新しい眼鏡。愛用の鞄と腕時計。 絃楽器あれこれとiBook G4とiPod。 お茶の時間と読書。銀の指輪。