シーラ 

May 21 [Sat], 2005, 8:20

輪郭をなぞる
影をおとす
その布には
おどりをおどる
ひとたちが
かかれていて
手は
線を描いていく
ものだよ
いつかは
みんなきえる
皮膚が糸の
ように
まきとられていけば
地球を
とりかこむ
鍵盤が
じゅんぐりに音を
たたいていく

部屋に
風をいれるために
窓をあける
夕暮れに気付いて
カーテンを
ひく
すこし酔って
また
窓をあける
きみの腕の
輪郭を
なぞる
わたしのまばたき
と電線の
ふるえ

みんな
神様になりたがる
夜に
しずかでいることは
とても
むずかしいわ

動くことのできない
布の中の
おどりをおどるひとたち
土地に名前を
つけたり
みえない階段を
のぼったり
神様になりたがる
夜に
彼らに
水音は聞こえない
ことばの
殻を割ることが
できないの

いつかは
みんな
きえる
殻が割れないままの
ことばは
だれのもの
にもならないと
しろい
いきもののよう

水が
流れているから
わたしは
きみに追いついたり
きみの腕に触れたり
きみのまぶたに
くちびるを近付けたり
きみのなかで
まるまったりはしないわ

電車がはしる音がする
火花を散らして軋むそれが
ここからはとても
ゆっくりと流れるかたちに
みえる

水は
とめられず
にとまる
その
おしまいの
そのとき
きれいな
おじぎを
する
きみの腕や
おどる
あなたたちの
ような


水の音がずっとする


くし 

March 17 [Thu], 2005, 18:11

梁がさえぎる
灯りに
揺らされる
あなたは
ここに
なにをしにきたの

あなたは
こつこつと
ずっと
壁をたたくけれど
あなたは
ほどけてはいけないし
手は
痛くなり
かわいたものが
割れるおとが
する
それはあなたの
あこがれの
所在



うすい暗闇が
ふれる継ぎ目
どうして
ここは
こんなにも静か


まるまって
眠るのにはまだ
すこしはやく
あなたの
頬や首筋を
撫でるのには
もうおそい
ただ
わたしが
あげる声は
流れていく
ためのもの












わたしたちは
連なっているものを
指さして話した
わたしたちは
すべてを呼ぶことは
できなくて
それでも
そのがらんどうのような
さみしさが
手を繋いで踊っている
ので
模様をもつ
こともできた

ひとつだけ
つるされた
電球は木に
似ている
わたしたちの
手はいつも
なにかに触れる

とどめられた
こえが
あなたを
きめることが
あり
からだに
つたうみずや
ぬののはやさで
あかいちや
はんとうめいのちも
このなかで
ながれて
わたしたちの
くうどうが
ひつような
あいを
ふるわす









わたしは
ただ
あなたが
やわらかく
あって
よかったと
おもう




ざぼん 

February 16 [Wed], 2005, 0:42

蛇口をひねっても
水が
でてこない午後
ひんやりとした
約束の影に
あつまる
いきもの
たち


あそぼうよ あそぼうう
よ あそぼ おう よう









苦い泡のむこうがわ
透明に乱された
むかしのこと

口元をぬぐうやり方
たべもののくず
体温計
きみは窓に手の形の
あぶらをつけて
いくつも 助けて
ほしいって 言っている
みたいだと
わらった










粉末のジュースを
指につけて
なめる
きみのくつは
ぱたぱた
という いつも


アホウドリの音に似ているんだって

かわいたわらは よくもえるよ

冬の枝 は 粘土のいろ

橙のすべりだい 塀のむこうがわの 実がなる木

強情な皮と 濃い点滅 

顔のない ものは みんな こども









脈だけになった
葉、鳥の嘴、
白い羽根の、
ひろがり、引かれる
、線の
それは、
線として、おぼえ
られる、 せいし








あしをあらうのだといっていれものにみずをためる
かおのないものはみんなこども







にせもののあし
やうでが
くうどうをさわがす
がさ が
さ と たすけてほしい
と ふるえる
いないことに
なっているの ありかは
ないよ もう わたしの
からだのなかは
ぽつぽ つ と きごう だ


わらった


ゆうやみがくろい








あの鳥は 凍ってしまったんだ

血がでる までの あいだ

耳を とがらせて

草舟 どこへつながるかわからない河へ


中くらいの石が
割れて
小さい石に
なった
かれた
喉の
なか






もうら 

February 10 [Thu], 2005, 1:08
落ち葉みたいな
紙幣
濡れたやつ
かさかさに乾いたやつ
指のはらで
のばす、しわを

ゆっくりと
かぜがふく

かぜは
何日か前に
雨が降っていたのを
覚えていて
それが
忘れられなくて
しいしいと
いう

いきものの跡を
なぞるのは

紙幣の
緑色の刻印の
におい 
きみはむかし
いきていたの
手を振り上げる暴動
棒を振り下ろす鎮圧

わたしたちは
鈍器の民族
あなたたちは
刃物の民族

傷口のかたちがのこる
わたしたちにあなたたちの
あなたたちにわたしたちの

かぜはしいしいと
ゆびのはらで
のばす、土を
、紙幣には
ことばがかかれて
くにのなの
数になる
くにの
名を

わたしたちの
ぬめる部分は隠されているから
わたしたちの
硬い部分は失われているから

ゆびを服でぬぐった 赤土 

みどりいろの
せんのあなた
あかいろのせんの
あなた
あなたがたはみんな
いきていたの

ひとをころした

しいしいというかぜに
椅子がかたーんかたーんと
ゆらされていて
ふりつもるものは
ずっとかわっていくの


どこまでも
やわらかく
ひとり
ゆるやかなさかを
ころげおちていく
わたしたちのいちぶ
ぬるいかぜのなか
のみずけくだもの
のわれたものを
むしのくちもと
じゅくじゅく
とはらはら
らたい
ひといがいは
みな
らたい


かたいからのらたい


いれものの
かたちで
わたしたちは
あなたたちを
ころした
傷口のかたちを
のこして
あなたたちは
わたしたちを
ころした


からだのなかみがせばまっていくの


ゆびは
あいまいに
あたたかな
ままで

森園 

January 26 [Wed], 2005, 3:08
ママ
ドゥオーモから
でちゃいけないの?

ママ
寒いって
どういうこと?

ママ
暑いって
どういうこと?

ママ
咽喉ってどこのこと?


ドゥオーモは半球
黄身がかった
バルたちは
水銀のように
ふるふると
して
ママにまざったり
パパをうたったり
した

バルたちの声や呼吸なんかは
ドゥオーモが
全部吸い取ってしまったので
バルたちが
ふるふるするたびに
透明から
声がふりそそいだ

まるいもり
まるいバル
まるいみず

ママ
寒いってどういうこと?

バル
寒いってどういうこと?

ママ
外はどうなっているの?

バル
外はどうなっているの?


ドゥオーモは
くりかえすばかり
そうして
ときどき
しゃらしゃらと
いう音がして
ドゥオーモは
いろとりどりの
鳥や魚、毛皮に包まれた動物を
ビジョンに映し出した
バルもそのときばかりは
いろいろな色をうつして

ママ
外ってどうなっているの?

そとってどうなっているの?



ふるふるとした

ドゥオーモからは
月だけが
みえた
月がみえるときはきまって
バルたちは
みんなあつまって
ひとつになって
もうひとつの月になるのだった

植物たちが
ドゥオーモの透明を
内側からおおって
月だけがみえるようにしてくれた
ドゥオーモは
いつも明るくて
いつも暖かくて
バルたちは
ときどき
植物たちがつくってくれる
薄暗闇に
また
ふるふるとした

バル
ママ
バル
ママ

植物たちから
くぐもったこえがする

パレード 

January 26 [Wed], 2005, 3:06
パレード
だよ
だから
いくらでも
泣いていいよ

声をだして

パレード
だよ
サーカスの
雨だよ

ぜったいにぬれたりしない キラキラ たち だ

そういって
ゾウたちが
ゆっくりと
街中を
ゆらした
そのたびにきみの
おしりがゆれてさ
なんて
太陽なんだろうね

ろう らあ こうす た あ

あいしてる



きみに
てをのばそうとすれば
きみは
いつも
すこしずれたところにいるから

まいにちが
ごおごおと
嵐みたいだよ


ぺりぺり
きみはいまごろ
はだかで
まどをあけて
ゾウたちをみてる

乗っけて って いいだせずに いる

きみを
夢の中で
いつもはだかにしてる

きみのずれに感謝したい
そうして
こわいこわいって
さわいでやる


さみしくってさ
もう
どこにもいけない
感じがするけど

つれてけ
つれてけ

って ゾウたちが いうから

彼らは
あんなにからだが
やわらかく
まがるんだよ


サーカスの雨は
涙のかたち
濡れないかわりに
かたちは
かわらないんだ


ゾウたちは
みんな いいね
みんな いいね
って
まだ街中をゆらすよ


パレードだよ
さみしくってさ


ろう らあ こう すた あ


みんな
うるさいから
乗っけてよって
言ってもいいのに

きみは
すこし
ずれたところにいるから


ぱらぱらと
まばたきを
するよる


きゃあきゃあと
きみのすそを
ひっぱった


しろく
脈をふるえさす
きみのすそ
すかあとみたいな

なんて
太陽だったんだろうね


パレードだよ
さみしくってさあ
ろう らあ こうす たあ だよ
ぜんぜん こわくない
ろう らあ こうすた あ  だよ

こときり 

January 26 [Wed], 2005, 3:05
空を
つんざく

シルエットで
凶暴な
ダンスを ダンスを
わたしの
腰骨の
あたりで
きみの つめ
マーブル
もっと
さまざまな名前の
赤を

つづいていく
道は
いらない

とぎれない
言葉は
いらない

空気を
なぐりつける
その腕を
夏に
ひたして
帰っていったきみは
最後まで
からだだった

シルエットで
わたしは
標識になるから

戻る

をさししめす



戦争は
いつも
空からやってきた
揺れ動くパズルの
すきまから
点になって
ふりそそいできた

しめされた 温度を知って また動きはじめるクーラーの ように

静かに 

しずかに たとえば 女の子のなまえを

つけられて

すべてが すんで

ことばしかいえない 声 ばかりが のこった

きみは さいごまで からだだったけれど
からだである きみを だれも みなかった




ざわざわ と

わたしの なかにも 木が あり 夜が あり

波が たち からっぽ で 流れる ひかり を

すかす りずむ と 


きみ は すべて だよ







写真のなかの ガラス玉に 聞いた


目を 閉じて みていた ?

それとも 開けて みていた ?



さあ どちらでも よかった


同じように 脈が あった


空を つんざく

つんざく 


これは わたしの 耳 手 足 目 つんざく





ダンスを ダンスを
鉄に抜き取られてしまった
つよい渦を
よわい理由を
ありったけの暴力を
骨の
きしみを
土に
あわせて


戻る


を さししめす シルエット で



ことばを もたない ちんもく

おわりまで からだだった きみ


いつも
夏にやってきた
戦争に
ダンスを
寒さに
つきる
命であるよう


発声練習 

January 26 [Wed], 2005, 3:04
ロボットに
なまえをつける
センスで
トーキョーって
なんども
いってみる

あたしたちのいきるまち
ってほどの意味もない
トーキョー
いつでも
からだのどっかが
かゆくて
そこは
あたしたちの
模様
変化し続ける
曲線が
トーキョー
そのセンスで

あたしは
だいすきなひと
のまねなら
いくらだってしたいよ
あたしは
だいすきなひとに
なっちゃいたい
だいすきなひとが
たくさん
いすぎて
まよってばかり
だから
すごいおおきなからだで
だいすきなひと
ぜんぶに
いちどに
なれるように

みにくい
アキラ

ケンジはそのまま トーキョーのまま
しずむ しずむ しずむ


センチメンタルで
なにがわるいの
いつだって
あたしのからだは
節だらけ
ふし ふし めにみえない
つなぎめから
アミノバイタルみたいな色の
みずが もれて
電気みたいなのが
いつも放出されてて
それはさ
いつ
生きてもいいってことなんだ
ニンゲン
だから

屋上に
のぼって
この世界ぜんぶ
きみのだ

ぼくはきみのものだけど
きみはだれのものでもない
みにくい
みにくい
アキラ

トーキョー
空気から水があふれだすところ

あたしは
ロボットに
なまえをつけるまえに
死ぬけど
そのまえに
おぼえておいてよ
名前を
簡単につけちゃだめだ
たくさんのロボットに
だいすきなひとを
きりきざんで
注入しちゃ
だめだ

それは あたしは 無傷じゃいられないってこと

無傷でいられる ひとなんて どこにも いないってこと

トーキョー

みんな
なまえを
よばずには
いられないから

みにくい
あい
みにくい
あいのこども

みにくい あいの こども
ひとりで あるけるの?
トーキョー
ひとりで あるける の ?
ねえ


ケンジ
ケンジ
死んだやつは
負けだ

みにくい

あたしは
まだ 泣けるし
泣かずにすますことだってできる

センチメンタル
でなにがわるいの

トーキョー
それは
センチメンタルのなまえで
あたまのなかで
だれかを
殴りつける音だ

あたしの
だいすきなひとたち
死なないで
ロボットに
名前を
つけようとする
センスでいのる

一生 こたえは ださないまま 

トーキョー

美しき日々 

January 26 [Wed], 2005, 3:03
蛙の毒で
ひふがただれた

らら

ヘビにかまれて
死んだ
おかあさん

らら

キャベツに
つつまれた
おねえさん

らら
しらなかった
らら

孵らなかった
こどもたち




むすめの爪は、なにも塗らなくてもあおかったし、
なんというか、むすめは出来上がらない、お城のようだった。
かたかたと、規則正しい音で、風をしらせた。
なによりもむすめは、鳥だらけで、鳥たちは勝手に、
むすめのからだに、等間隔の隙間をつくって、鳥かごにしたのだった。
むすめの口癖は、「あんたたち、なんて鳥らしくないの」だった。
とはいっても、むすめはなにも知らなかった。
パンくずしか食べたことがなかったし、喉のところにも鳥かごが、
あったから。



ちだまり

 ら

ひう ひう

  と

 砂塵



やがて、おとこたちが鳥を撃ちにやってきた。
おとこたちは、皆、何枚も毛皮を着こんで、かたいブーツをはいていた。
かたいブーツをがしゃがしゃいわせて、山をとりまく道をあるいた。
おとこたちは、けして、むすめに触れることはなく、
指をさし、なにかずっと話していた、話しながら弾を、撃ち込んだ。
むすめには、おとこたちの声が、る、る、る、や、ら、ら、ら、にきこえた。
がしゃがしゃ、ら、ら、ら、がしゃがしゃ、ら、ら、ら。
そのうち、なにがなんの音なのか、わからなくなった。
おとこたちは、一年程すると、白い半そでに、着替えた。
むすめは、さしずめ、スポーツゲームのゲーム盤のように、みえた。



はね  はね   はね


はね が まった


はね いがい の もの は みな ほね で

ほね と はね は おなじ もの だった


 ら る  ら  ら



鳥かご、
むすめの等間隔に、無数の弾道が、のこされた。
ぱたん、と、閉じる、扉を、教えた。
ぱたぱた、と、風に、揺らされる、扉を、教えた。
鳥たち、

鳥かご、
なにも、腐らなかった、
らるら、
鳥たち、



ちだまり、
なにも、世界ではない、


はねぼね、
なにも、埋めなかった、

ひみず 

January 26 [Wed], 2005, 3:02
わたしのちいさなおんなのこ
おなかのあたりで
花火 どおん
花火 どおん

トカゲの
背に うつる まだら
うまれたばかりの さかなが
横切って 傷をつけて いったの
 花火 どおん
みずはなび だね
さかなたちが
うまれていくための 儀式だよ

わたしのちいさなおんなのこ
毎日 なまえは 変わるけれど
今日は 花火のなかで カルメ焼きをたべてる
から おなかが ひよひよ っていう
大丈夫 みずは甘いよ
ずうっと あまい よ


こいびとのちいさなおんなのこのなまえと
わたしのちいさなおんなのこのなまえが
一緒に なったときが わかるの
わたしたちの ちいさなおんなのこは
息がどれだけながく つづくか って 競争してる
だから わたしたち くるしくて
さかなに なった みず はなび だね
      
  天蓋  どおん  どおん

ともだちの 顔を おもいだす
ともだちのちいさなおんなのこのなまえと
わたしのちいさなおんなのこのなまえが
一緒に なったとき
わたしたちの ちいさなおんなのこは
マーブルいろの飴をなめて
いろのついた舌を 見せあって わらっていた
だから わたしたち 一緒にすわって
うつむいたり して て を つないだ
泣きたかった

わたしたち
わたしのちいさなおんなのこと
わたしのちいさなトカゲと
わたしのちいさなさかなたちと
わたしのちいさな火薬と
わたしのちいさな水たまりと
わたしたち
まいにち なまえを かえるけれど
だれも その なまえを しらない


こわいよ
こわくないよ
こわいよ
こわくない よ

さむいよ
さむくないよ

さむくないよ


足の裏がすりきれて
コンクリートはあわ立って
花火が おわった
すいい すいい と
乱された あかるさ が
ぷつぷつ と 
まだ そこに いる


わたしのおなかで
トカゲが
歩いた
また
さかなが
うまれた
わたしのちいさな
おんなのこ が
ねむった



どこに いくの

みずを のみに いくの


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