Always

October 01 [Sat], 2011, 0:27
さよなら 君は忘れるかな
永遠を見た夜さえ

ときどき思い出す
一緒に歩いた街、彼の言葉、表情

季節は秋の終わりで ただ一緒にいるだけで2人が深まるのを感じた
周りの景色も音も消えて
ただ2人だけがくっきりと輪郭を深くして

何もいらなかった
全部捨てようと思った
親も友達も仕事も国も

彼さえいれば 私は何をやっても生きて行ける確信があった
彼がいなければ 私の存在の核の部分がごっそり抜け落ちてしまうという明確な予感があった

ただ彼の視線を受け止めるだけで
テーブルの上で無意識に重ねた手の温もりを感じるだけで
私の細胞の1つ1つが光を放ってきらきらと内側から輝いて行くのが分かった

名前を呼ばれるたびに
愛を重ねるたびに

私の身体の周りにあるフィールドが大きく強く育って
彼を含めた世界のすべてを包んでいった

きっと 失うことが分かっていたから
いつか「さようなら」を言わなくてはいけないと どこかで知っていたから
あんなにまっすぐになれたのかもしれない

私は強かった
彼と私を守るためなら

私は弱かった
彼を取り上げられたくなくて

子供のように 無心に 彼を求めた

さようならはあっけなく やってきて
もう波にあらがえなくて 泣きながら受け入れた

最後の彼の姿は 大きな荷物を持っている彼
私は走り去るバスの窓から 必死で彼の姿を追いかけた
彼は笑っていた
私に手を振っていた
まるで「また会えるよ」と告げるかのように

私は知っていた
これが最後であることを
もう 会えないことを

そのときに 別れの序奏が始まっていた

忘れたかな
時がたって 傷はもう生々しくないけれど
そこにある

ときどき 思い出のかけらが 傷を刺激する

彼と暮らした街を通過するとき
彼と観た映画の名を耳にするとき
彼がつけていた香水の匂いがするとき

一瞬だけ 今の私は その頃の私と同時に存在してしまい 混乱する

もう 彼は忘れたかな

2人だけで 真っ暗な部屋でヒーターの灯りを見つめながら話したこと
「だめだよ」と私が怒った顔をしているのに 地下鉄の中で無理矢理キスをしてきたこと
久しぶりの再会で 空港で私を抱き上げたこと
前を歩きながら手を後ろに出して 私が手をつなぐのを待っていたこと

私は忘れないな

胸をえぐるような喪失の痛みも
彼の声も 表情のすべても

私を傷つけたことで 彼も傷ついたと気付いたのは
私が子供を産んで もっと大人になってからだった

きっと どこかで ずっと 彼を愛し続けるだろう
形は変わっても
思いは色褪せても

さよなら
君は忘れるかな
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