神様の第二夫人(仮) 

October 05 [Mon], 2009, 0:26
「なさけない・・・っ、自分が情けないわ!」

「あらあら、どうしらのかしら。可愛いアリス、そんなに尖らせたら、唇が可哀想だわ」

憤る妹に困ったように微笑みかけ、頬に指を添えかすかに首を傾けながら、優しい声でたしなめる。そんな姉をキッと振り向くと、クレアリスは堪えきれないように叫んだ。

「だってだってだって! あんな男のことを、今まで本当の兄さんみたいに慕っていただなんて・・っ! うっかりにも程があるってものよ!」

「あんな男、だなんて。駄目よ、家族のことをそんな風に言っては」

家族。

家族、だって? 冗談じゃない!

「私はあくまで、リアン様の妻ですっ。あんな人とは全然関係ありませんっ!」

「・・まったく、どうしたというの。ついこの間まであんなに仲良しだったのに、突然 仇(かたき)みたいに言い出して」

ふう、と呆れたようにため息を吐かれようが、かまわない。私の非ではないのである、断じて。

寂しがりやの姫君2 

June 28 [Sun], 2009, 0:52
山の景色は、どこも似ているようだが、やはり違いがある。
国が変わればなおさらだ。

寂しがりやの姫君 

June 28 [Sun], 2009, 0:43
森の奥深く。
私は今日も倒木の幹に腰を下ろし、ぼんやりと木々の緑を眺めていた。

『歌姫の憂鬱』3 

September 14 [Sun], 2008, 18:43
3.王家のゴシップ


第四王子は、街の花にたぶらかされているらしい。

そんな噂がまことしやかに語られている。
ただし、夜の街に縁のない人々からすれば、「街の花」と言う存在自体 想像の域を脱しないだろう。

一口に夜の商売と言っても、その種類は雑多で、驚くほど健全なものもあれば、その対極に位置するものもある。――とはいえ、ここリキシー歓楽街の場合、とある強力な〈管理者団体〉によって厳しく仕切られているという理由から、危ない商売に手を染めるものはほぼいないといってよいのだが。

とにもかくにも、ここには様々な職種が存在し、歌を聴かせて生計を立てる「歌うたい」というのも、そうした生業の一つだった。

『歌姫の憂鬱』2 

September 14 [Sun], 2008, 15:41
2.歌姫と作歌師


「何度も言うけど」

豊かに波打つ亜麻色の髪をかき上げ、美貌の歌姫はテーブル越しに穏やかならぬ視線を突き刺した。
「誰がライエリ人にラブレターを書きたいって言った?」
「僕の講義はお気に召しませんか、ハニー」
真正面から殺人光線を浴びても平然として――むしろ楽しげですらある彼は、きっと雨が降ろうが槍が降ろうが傘など不要に違いない。いや、槍は傘では防げないが。
「あなたのために半徹夜で例文を考えたのですが」
「訳すのが躊躇われるくらい恥ずかしい例文をありがとう。あとハニーはやめて」
「御意のままに、麗しの君」
「それも却下」
「残念無念です、僕の太陽」
「…」
一瞬閉口した後、歌姫は深々と溜め息を吐いた。

『歌姫の憂鬱』1 

September 14 [Sun], 2008, 15:37
1.ジル・アリアに捧ぐ愛の詩



ああ、麗しのジル・アリア。僕の美しいひと。

君が笑うと花が咲き、君が歌うと風が生まれる。
君が泣くと星が降り注ぎ、君が怒る(いかる)と焔(ほむら)がはぜる。

ああ、愛しのジル・アリア。
君への想いが強くなるにつれ、僕はどんどん弱くなる。
明るい瞳を、澄んだ声を、その微笑みを目にすることの叶わなくなる日の訪れに怯え、居ても立ってもいられなくなる。

ああアリア、ジル・アリア。決してほころばない蕾。
君の唇は誘惑の花弁、君の囁きは眩惑の蜜。
解っている。それでもなおあらがえない甘い罠、それが君。


別れ 

September 05 [Fri], 2008, 23:31
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
だって、それはあまりにも彼らしくない。
やや呆然としつつ間近から顔をのぞきこむと、彼はいつものタイミングで微笑んだ。

「さようなら、セシーナ。私の姫君」

別れの言葉を告げたあなたの微笑みは、どこまでも優しくて、寂しげで、――何だか可哀想だった。
そう、可哀想だったのだ。変かもしれないけれど。
隠し損ねた痛々しさを見つけてしまった私は、言葉を失くした。自分のことを可哀想だと思っていたことも忘れて。

『陛下〜』番外編3 更新 

June 15 [Sun], 2008, 1:15
「だって仕方ないだろう!? 不可抗力だ!」

「じゃあ兄様は、私が悪いって言うのね!?」

「悪いなんて一言も言ってないじゃないか!」

「だったら、どうして私が嫌がるようなことするのよ!」

「え・・・アニィ・・・・・・・嫌、なの?」

「えっ・・・・・・えーと、ううん、あの、そうじゃないけど、その・・・と、とにかく、時と場所を考えてほしいの!」

「だから言ってるだろう。いつだってどこでだって、君は可愛いよ。アニィ」

「なっ・・・・だから、・・・うう・・・・・兄様の馬鹿!」

ティアとレイ 

June 08 [Sun], 2008, 1:46
柱の影に、誰かがしゃがみこんでいた。気になってよく見てみれば、どうやら小さな子どものようだ。
もしかしたら、迷子かもしれない。放っておけなくて、ティアはそっと近付いた。おいっ、と小声で制止しかけたレイも、すぐに無駄だと悟り仕方なく後に続いた。

『ジーンの系譜』7 

May 18 [Sun], 2008, 1:03
「・・・・。えーと。いつからあなたは・・」
「お・し・しょ・う・さ・ま。『あなた』じゃない」
すかさず訂正が入る。しかし、納得もしていないのにそんな呼び方ができるものか。
それでもライは、できるかぎり丁寧に言った。
「一体いつから、あなたと僕とが師弟関係になったと言うんです? 失礼ですが、話の展開についていけません。事情を説明してください」
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小説書きを趣味にしたいな、と目論む根気のない人です。

ひたすらベタなハッピーエンドを目指したいと思います。

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