恋文(清団清)

2005年09月02日(金) 14時21分
−恋文−

「団蔵、何読んでんだ?」
「文だよ」
「家の人に宛てたの?」
「違うよ、これは清八から。こうして時々村の近況を教えてくれてるんだ」
「ええええええええ!?」
「な、何だよ。そんなに驚く事じゃないだろ?実家からの近況報告なんて」
「う、うん…そうだね。いいなあ、加藤村の人たち元気?」


驚いたのは手紙の内容じゃなく、暗号さながらのその字に対してなんだけれど。






同タイトルのドラマがあったなあ、なんて。
ほぼ会話文のSS、久しぶりに書いた気が。私は精神的団清の清団なので、清団清と表記してみました(長次と仙蔵についても同様)。お互いに字が汚いので、特に気にならない上に直そうという気も起きない(悪循環/笑)しかし清八が字が上手かったりしたらそれはそれでとても素敵なのですが。要するにどっちに転んでもいいわけ ですよ!

清団は5年生頃両想い。告白は清八から。告白しておいてなかなか煮え切れないのとかいいです。それに痺れを切らした若旦那が積極的になって発展できると素敵。団蔵と金吾は有望すぎてヤバイ…!!

視線の行く先2(長仙+鉢雷)

2005年09月01日(木) 3時19分


「読書に来たんじゃないのか」

ゆっくりと振り返ると、何やら古めかしい紙束を前にして此方を眺める男が1人。必ず顔を合わせる二人目の人物だ。
僅かに端を持ち上げ笑みを浮べた薄い口元からは、揶揄する雰囲気が漂っていた。

「…そうしようかとも思ったんですが」

「不破なら今しがた学園長に頼まれていた書物を庵へ届に出たところだ。じきに戻る」

それだけ言うと、ふ、と目を細めて手元の書面に視線を落とした。男のものにしては細めの整った指が頁を捲り、真直ぐな髪がそれに合わせてさらりと揺れる。こっちの目的をわかっていながらからかわれたのは少し癪ではあったものの、雷蔵の動きが知れたのでそれは気にしないことにした。小さく礼を言い、近くの棚から適当に本を手にして相手の対角線上に腰を下ろす。そっちも同じクチだろう、と出かかった言葉を飲み込んだのは、自分でも評価出来る点だと思う。
暫くして、滑らかな黒髪を背へと流して顔は軽く俯けたまま、文字列を追っていた涼しげな目元だけがちらりとカウンターの奥、今は丁度こちらへ背を向けている男へとむけられ、すぐにまた手元へと戻された。決して空気を変えることはせず、極自然に向けられた視線。しかし涼しげな目元と所作に比べ、その熱さだけは浮いていた。周りの人間は気付かない。気付いているのは自分のみ。もしかすると自分に加えカウンター内に居る、視線の先に居るあの男のみ。そして仏頂面の男が仕事の合間にこの定位置で本を読んでいる男の姿を幾度となく見遣っている事に気付いているのも、自分のみかもしかすれば視線の先にいるこの男本人のみである。お互いに気付かれていると知ってか知らずか、決して交差する事なく毎回かわされる視線。もしお互いにわかっているとすれば。


「…イチャこく場所くらい選べよな」

欠伸交じりに心中で呟き、三郎は手元の本に目を落とした。




視線の行く先(長仙・鉢雷)

2005年09月01日(木) 3時12分
過去データ発掘品最終章(大袈裟)

−視線の行く先−

涼しげな目元からは想像出来無い程の熱い視線。
無意識の内の行いなのか。それとも。




三日に一度、図書室へと足を運ぶ。それは自分にとって既に習慣となっていた。
目当ては一つ、図書委員である自分と同じ姿をした級友…想い人。同じ姿と言っても、自分が彼の姿を真似ているのだが。
上級生ともなると委員としての仕事も増える。特に他の委員と違い図書委員や保健委員は毎日といっていいほどやるべき仕事があるので、自然と割かなければならない時間も増える。雷蔵が当番である日は何か用事がある時以外図書館へと向かい、閉館までゆっくり読書をすると言うのがいつもの流れだ。
担任にいいつけられた文書類を提出し、今日も図書室へと足を進める。
図書委員というのは上級生を中心にした当番制らしいが、割り当てられた日数に真面目に顔を出す奴は稀で、雷蔵が当番である日も他の学年は代番が来ていたりと同じ面子であることは少ない。勿論雷蔵は割り当てられた日数、授業終了から閉館時までちゃんと仕事をこなしている。
だが休日明けのこの日は、他の日とは違っている。必ず顔を合わせる人物が2人。
ゆっくりと戸を開けるとカウンターに一人目の姿が見えた。
図書委員長のその人は、相変わらずの仏頂面で何やら書面に目を通していた。

「中在家先輩、お疲れさまです」

会釈とともに声を掛けると、無言のまま頷いて返す。いつもの遣り取りだ。挨拶を終えると目当ての姿を探すべく図書室内を見回した。締め切られた空間には日差しによって暖められた空気が篭っていて、机に肘をついたままこくりこくりと船を漕ぐ生徒の姿も見られる。紙の匂いと日の香りが交じって、優しい其れは彼を連想させた。
一通り室内を見渡すも、目当ての姿を見つけることは出来無かった。昼食の時は確かに当番の日だと話していたはずだが。さては急用でもいいつけられたかと踵を返した直後、一番端の席から潜めた声が掛かった。

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