アタシはrabbit 

June 17 [Sun], 2007, 10:39
そもそもなんでアタシがラビなんて呼ばれてるのかというとデスね、名字なんです名字。

『宇佐美』って名字なの。変わってるでしょ。
んで、うさみ→ウサギ→ラビットてな流れ。
『ラビット』じゃあだ名っぽくないから縮めてラビ。
単純でショ。聞いて損した?

このあだ名を考えてくれたのはアタシのマブダチ、レーナ。
漢字で書くと玲奈。ん?麗奈?鈴菜?まぁ漢字なんかはどうでもよくって。
(実際、レーナが自分の名前を漢字で書くことは稀だ。)
アタシもカナリのもん(らしい)ケド、レーナは更に頭が弱い。
かろうじて足し算引き算できるくらいで、ついこの前までリンカーンはアジアの作曲家だと思ってたらしい。(ちなみに、レーナはアジアを国名だとイマダニ勘違い続行中。)

レーナとの第一次接触は去年の五月。
その日はクソみたいに天気がよくって、クソみたいに緑がまぶしくって、そんでもってクソみたいな教室のそれこそクソそのもののクラスメートの中、アタシはいつも通り不機嫌だった。

キンコンカンコンキンコンカンコン。

HRの始まる合図。みんな一斉に席に着く。




そして―――。




そして、レーナが―――。














レーナが舞い降りた。












アタシたちが仲良くなるのに時間はいらなかった。
好きな音楽や好きな漫画、好きなブランド好きな映画好きな天気(因みに曇り空)、好きな色。
好きなモノそして好きだったモノについてアタシたちはたくさん語った。
それらは一つ一つ互いに符合していて、まさにいわゆるシンパシー!!!!

転校生だったレーナにアタシはこの街のことを一つ一つ教えた。
ヤンキーの吹き溜まりの路地裏、ビッチでサイケな小物だらけ・内装はまッピンクのドギツいカフェの場所、アル中おやじが昼間っから酔って寝ているシケまくりオンボロシアター、痴漢遭遇率100%のアブないトンネルなどなどなど。
レーナは全部面白がって聞いていた。目をきらきらさせて。

かくして、アタシが今まで一人で行っていたその場所は、
やがてアタシとレーナ二人の場所となったのだった。









『君のパパァーをコロしたいッ!!君のパパァーをコロしたいッ!!』
ケータイから流れるのは銀杏BOYZの狂った歌声。レーナからの着信だ。
「ラビ子さんっ♪あっそびましょっ♪」
レーナの声はベイビィ・フェイスならぬベイビィ・ボイス。
キィの高いその声は、オトコを騙すのにさぞかし効果的だろう。あ、コレ褒め言葉だから。念のため。
「いつものトコで待ってるから。」
レーナの言ういつものトコとは例のドギつぅーいカフェのコト。レーナはあそこが大のお気に入り。
マスター(ここだけのハナシ、バイセクシャル)ともいつの間にやら仲良しで、時々オマケしてもらってる。(ちゃっかり!!)
天真爛漫なレーナの振る舞いに、たいがいの人はでれでれだ。
そしてアタシも例に漏れず。

アタシの可愛いレーナちゃん。こうしている間にもアタシを待っている。
その事実があまりにも嬉しすぎるくらいアタシはレーナにゾッコンだ。
さて、と。クローゼットから取り出だしましたるは、Candy Stripperのしましまタンクトップ。
アタシはブラックでレーナはレッド。二人のおそろい。

ジーンズはいて、プラス総キノコ柄プリントの派手派手パーカで準備完了!!
斜めに下げたキャンディー型のポシェットはレーナからのバースディ・プレゼント。

市営の錆びた路面電車で30分、やって来たのは三番街。の通称『親不孝通り』。
ポルノ映画館にストッリップ小屋はたまた合法ドラッグ屋、
実用向きでない下着onlyのランジェリィ・ショップ等々の怪しい店が立ち並ぶ中に、
インディーズの服屋、レコードショップ、洋書店、アクセサリーショップ、クレープ屋の乱れ打ち。
マトモなモノとそうでないものが入り混じった、ソレは言うなれば混沌そのもの。
100円ラーメンの店なんかもあって、お金が無い時はソコでオナカを満たす。
合成調味料たっぷりのその味は中毒性があってヤミツキになる。
体に悪いものって、なんであんなにオイシく感じるんだろうか?
無抵抗なアタシの体への甘い罪の意識にウットリ?マゾヒストかよ。

通りに入ってすぐのところでカフェは営業中。
ガラスの向こうで、レーナがアタシを見つけて手を振る。
なんだか、ショウ・ウィンドウのマネキンみたいだなとアタシは思った。