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2005年05月02日(月) 19時10分
オリジナル及び既存作品のファンフィクションの、掌話を中心に扱っております。
有用な情報を探してお越し下さった方は、おそらく該当しないと思いますので、このままお戻り下さい。
お話はファンタジー色の強いものとなります。また女性向け的表現を含みますので、苦手な方はご注意下さい。
当ブログ内の文章の転用転載はご遠慮下さい。

 「D.C − ダ・カーポ」 1 

2005年05月10日(火) 23時15分
ハリポタ / 女性向 / ジェセブ /ほのぼの

「絶対大丈夫だって」
 そう言う目の前の彼から手渡されたのは、親指の先ほどの小さな球体だった。飴色のそれは半透明で、所々に空気の泡が含まれているらしく、光を乱反射してきらきらと輝く。顔を近づければ、微かに甘い香りがした。嗅いだことのない不思議な香りだ。月桂樹を思わせる濃い緑の匂いと薔薇の香りが、同時に脳裏に思い浮かんだ。
 この男の「絶対」ほど、信じられないものもない。
 彼曰く、飴とのことなのだが。どうせろくなものではないだろう。この男がわざわざ手ずから渡すものが、「ただの飴」などであるはずがないのだ。
 セブルスは掌の上でその黄金色の小さなそれを転がしながら、その言葉の主である目の前の男を睨めつけた。
 その視線を受けて――何を勘違いしてかは知らないが――、セブルスの前にしゃがみ込んだ彼は、癖の強い黒髪を照れくさそうにかき回していた。いまセブルスの手の上にある飴玉と同じ色の瞳がきらきらと期待に輝いて、無邪気なともとれる表情で見上げている。
「ね。だからはやく食べてみてよ」
「一つだけ聞かせろ」
「何?」
 わざとらしく、小首を傾げてみたりする。セブルスは蹴り倒してやりたい衝動を寸でのところで堪えた。ここで蹴り飛ばしては、質問に答えさえることが出来なくなる。
 彼がこうしてセブルスの前で身をかがめるのには訳がある。そうしなければ相手を見上げることが出来ないと主張したいのだ。自分が相手よりも背が高いことを示したいのだ。たった、それだけ。
 小憎らしくも、ついに先月背丈をぬかされた。現在の差は0.3センチ。けれどこの先、その差が開くことはあれど、縮まることは……ない、だろう。それは確定した未来でこそなかったが、これまでの成長を省みれば避けようもない事実とも言えるわけで。そのことを敢えて口に出せば目の前の男に揶揄されるのは火を見るよりも明らかで、それくらいならばとセブルスもそれを会話の端に上らせることはなかったが。ことあるごとにそうした仕種を繰り返すのに、さすがのセブルスも堪忍袋の緒が砕けちりそうになることもしばしばだ。目の前にしゃがむ行為を嫌がらせ以外のなにものでもないと思うのは、決して被害妄想ばかりではない。
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名前 : てる
好物 : 読書、煮物、白米、納豆
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