第1話
October 29 [Mon], 2007, 21:06
「ほら!さっさと動け。この弱虫ヤロー!!ったく。6年は本当に弱虫だな。お前ら、5年の邪魔すんじゃねぇよ!ったく、6年になっても使えねぇヤローばっかりだよな!このバカヤローが!!」
市のスポーツ少年団バレーの監督が、ミスした6年生の子供たちを怒鳴り散らす声が体育館中に響き渡る。
「また始まった。子供たちのあのひきつった顔・・。かわいそうなのは6年生の方だよ・・・。なんで6年生ばっかり怒るのかなぁ・・・。」
コートの中で、監督・コーチに罵られている6年生の子供たちを、体育館の隅で見つめながら、ため息まじりに優ママが言った。
「うちらが嫌いだからだろ。」
春香ママが怒りで全身を震わせ、握りこぶしをポケットの中にしまいこみながら答えた。
そうなのだ。バレーの監督・コーチに6年生の保護者は嫌われているのだ。それは、5年生の時からであり、子供たちに精神的苦痛を与えることで、その親が苦しむさまをあざ笑い、それを楽しみにしているのだ。そしてその行為は日増しにエスカレートしていき、もう1年以上にも及ぶ。
私たちが悔しがることで、監督・コーチが喜ぶということわかっているので、何食わぬ顔をしていればいいのだが、実際、自分の娘が「バカ!」だの「弱虫!」だの、「使えねぇなぁ!」などと罵声を浴びせられている光景を目の当たりにするのは、やはりつらい。いや、それ以上に完全に無視されているという状況も苦痛である。
これが、技術をしっかり教え、理論を教え、とても強いチームであるなら耐えられるのかもしれない。しかし、しっかりとした技術は教えない、理論的な説明もしない、チームを盛り上げる事もせず、ただ子供たちを罵り、ミスをいつまでも責め続ける。そして、勝てるチームにも勝てない。実際、6年生誰もが、監督・コーチそれぞれに技術らしい技術は教えもらっていないという。それが、このチームの現状なのだ。
どうして、こんな人たちが市のスポーツ少年団の監督・コーチが務まるのか本当に疑問である。そして、どうして私たちは、こんな人たちが率いるチームを辞めないのか・・・。
子供達の為・・・?
それとも私たち親の意地の為・・・?
あの人たちに負けたくないから・・・?
それとも自分自身に負けたくないから・・・?
その答えは未だにわからない。
分かる事はただひとつ。あの人たちは、決していい監督・コーチではないこと。
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