DEPOTのおすすめ度:★★★☆☆公開日:2006年11月18日
配給:松竹
監督:河野圭太
出演:西田敏行,伊東美咲,成宮寛貴
鑑賞日:2006年11月11日(Yahoo!BBオンライン試写会)
自宅PC(座席数1)
【ストーリー】
脳溢血のため突然死した椿山課長。やり残した仕事や家族、家のローン…未練がありすぎて死んでも死にきれない!天国と地獄の中間地点にある“中陰役所”で、3日間だけ現世に戻ることを許された椿山は、正体がバレないように生前の姿とは似ても似つかない絶世の美女、和山椿となってよみがえる。「あの世」から「この世」に舞い戻った椿山は、家族の秘密と親子の深い愛情、そして秘められた想いをを初めて知る。そして、椿山と同様に、殺されたヤクザの親分・武田もまた3日間だけの“黄泉がえり”を許される。イケメンの美容師へと姿を変えて…。
【レビュー】
またまた当選しましたオンライン試写会。この「椿山課長の七日間」は劇場へ観に行く予定はなかったのでこの当選は本当にラッキーです。西田敏行さんと伊東美咲さんのコラボレーションて何か凄い気がするんですが、どんな感じに仕上がってるんでしょうかね。というよりも、西田さんが登場してくると「釣りバカ日誌」にしか見えなくなってしまうデポはどうなってしまうんでしょうか。
最初に書いた通り、この作品は観に行く予定がなかったぐらいですから期待もしていなかったんですけど、蓋を開けたらアラ!びっくり、結構良かったですよ。突然死してしまった中年男が絶世の美女の姿を借りて現世でやり残したことを成し遂げる。西田敏行さん演じるヨレヨレの中年課長が伊東美咲さんのような容姿になってしまうという設定もさることながら、椿山課長を始めとする3人の逆送者たちがそれぞれの思いを成し遂げ、心の充足と成仏を迎えていく様はちょっぴりホロリとさせてくれます。原作となるのは現在公開中の「地下鉄に乗って」や日本アカデミー賞にも輝いた「鉄道員」で知られる浅田次郎氏の同名小説。活字に弱いデポですから当然の如くどちらの小説も読んだことがないのですが、実は映画の方も両方ともまだ観たことが無いんですよね。この「椿山課長の七日間」がなかなか良かったからといって、すぐに小説を読んでみようとか、「地下鉄に乗って」を観に行こうという気持ちにはならないんですが、映画だけでも機会があったら観てみたいと思いますね(TV放映だなぁ)。
この映画で描かれている“死後の世界”というものはどことなく丹波哲郎さんが描いた「大霊界」の世界観に似ており、暖かく、そして、柔らかいイメージになっています。光に溢れたあの世の世界は、お金や病気などもなく、家さえも好きなところに好きな広さで用意してもらえるという正に至れり尽くせりの天国です。やがて必ず訪れる“死”に対する恐怖のイメージから人はこのような幸福な死後の世界を創造するんでしょうが、実際のところ、人が死んでしまったらどうなってしまうんでしょうかね?「天国の丹波さん、今こそあなたの出番ですよ〜」と言いたいぐらいですね。そんな天国行きを前にして、自分の死に納得がいかず現世に未練のある椿山和昭は生前に“重大な事実”を知らされていなかったという理由により初七日までの七日間の逆送が許可されます。とは言え、椿山課長は死後目覚めるまでに四日間の日数を使ってしまっていたので実際に現世に戻れるのはたったの三日間。その三日間の間に“重大な事実”を知り、現世への心残りと愛する家族たちへの別れが出来るのか?
椿山課長は逆送期間中、伊東美咲さん扮する和山椿という美女の姿になる訳ですが、最初に鏡に映る自分の姿を見たときのリアクションは名作「転校生」のワンシーンを見ているかのようで笑いと共に懐かしさを感じます。そして、彼は生前縁のあった人物をひとりずつ訪ね歩き、“重大な事実”を捜し求めていくんですが、彼が知る“重大な事実”は正直言ってどれも知らなかった方が良かったんじゃないかなぁ…と思うものばかりです。父親の嘘や妻の裏切り、そして、最愛の息子である陽介にまで重大な秘密があり、正に踏んだり蹴ったりです。しかし、最後にはそんな椿山課長にも本当に伝えたかった思いを相手に伝え、心を確かめ合うという嬉しい心残りを成し遂げるというシーンも用意されていてやっぱり逆送して良かったねと温かい気持ちにさせてくれます。そして、椿山課長と共に逆送したヤクザの親分武田や実の親に会いたいと願う雄一もそれぞれの思いを成し遂げていくんですが、一見繋がりの無かったこの3人が実は意外なところで繋がっていたというのも物語のポイントですね。
一度死んだ人間が別の姿を借りて現世に戻ることにより描かれていく家族の絆や愛、そして、信頼と友情。椿山課長はわずか三日間という限られた日々の中でそれまでの人生と同じぐらい、いやひょっとするとそれ以上の貴重な経験や多くのことを知り得たのかもしれません。死ぬということを描くことによって生きるいうことを改めて考えさせてくれるこの作品。笑いの中にも多くのメッセージを含んだ良質の作品なんじゃないでしょうかね。そして、その仕上がりを支えているのは脇を固めている綿引勝彦さんや余貴美子さんといったベテランたちの深みのある演技と須賀健太さん、志田未来さんら実力派子役たちの演技によるものも大きいことを付け加えておきましょう。
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