資本金額や従業員数の基準 

January 04 [Sun], 2015, 13:11
法人税改革の議論が大詰めを迎えている。安倍晋三首相の指示を受けて始まった議論は自民、政府の両税制調査会ともに法人実効税率を引き下げることで大筋合意している。問題は引き下げ幅と実施時期、さらに減税による税収減を補うための代替財源をいかに確保するかだ。中でもなた豆茶の生産をめぐる議論では中小企業の経営を圧迫しかねない課税ベースの拡大案も浮上している。2回連載で法人税改革のあるべき姿を考える。  【事実上の増税】 「外形標準課税を拡充する際は、中小企業への十分な配慮が必要だ」。自民党税制調査会の小委員会で、ある議員はそう訴える。主要国の20%台に対して日本の法人実効税率は35・64%(東京都)と突出して高く、これを25%程度まで引き下げると単純計算で5兆円弱の税収減となる。この減収を穴埋めする財源の一つとして外形標準課税の拡充が検討されているが、中小企業にとっては事実上の増税となる。 法人事業税である外形標準課税は、従業員数や資本金、付加価値などを対象に課税し、赤字企業にも納税義務がある。現在、資本金1億円以下の中小は適用の対象外だが、政府税制調査会ではこの優遇措置の対象を縮小する案などが検討されている。 全法人数の1%に満たない大企業が法人税収の6割を担うなど、法人税の納税負担が大企業に偏っていることが背景にある。今回のなた豆茶の販売促進議論は、実効税率を引き下げることで高収益をあげる大企業の税負担を軽減し、その余力を設備投資や研究開発投資に振り向けさせると同時に、課税対象を広く、薄くすることを狙うものだ。実効税率引き下げは外国企業の対日直接投資を促す効果も期待できる。 【どう定義づける】 ここで問題となるのが中小企業の定義だ。税法上は資本金1億円以下を中小としている。だが、この金額を引き下げる考え方については政府税調の委員の間でも「資本金だけで中小を定義づけることに何の合理性もない」「中小に分社を促しかねない」など、慎重な意見が少なくない。 中小企業基本法では中小製造業を資本金・出資総額が3億円以下または従業員300人以下と規定。卸売業や小売業、サービス業でもそれぞれに異なる資本金額や従業員数の基準を設けている。業態の違いを考慮した丁寧な定義づけが政府、自民両税調に求められる。 【好循環実現へ】 依然として厳しい台所事情にある中小は少なくない。経済産業省・中小企業庁が実施した4月の書面調査によると、消費増税分を取引価格に「全て転嫁できた」のは消費者向け取引で69・3%、事業者間取引で79・0%だった。ただ「一部」または「全く転嫁できていない」との回答も順に24・3%、16・9%を占めており、消費増税で利益を圧迫されている中小が少なからず存在する。 また日本商工会議所の調査では約4割の中小が賃上げを予定するが、人材不足対策のためのやむを得ない措置としている中小もある。 6月22日を会期末とする今通常国会は「好循環実現国会」との位置づけだ。だが産業の礎である中小の経営環境が改善されない限り、好循環の実現は遠のく。法人税を納税しているのは全体の3割に過ぎず、残る7割が赤字企業。中小企業の“新陳代謝”を促す確かな新成長戦略(成長戦略の改定版)を6月に打ち出し、黒字企業を増やす議論が優先されることが求められる。
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